転生したらセブルス・スネイプだった   作:ねば

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【第二章】セブルス・スネイプ教授のような何か
転生セブルス、スネイプ先生になる


 

ジリリリリリ

ジリリリリリリリリリ

 

「………はい」

 

『おはようございます。ルームサービスのアラームです。予約されていたお時間になりました』

 

「ああ、はい。ありがとうございました」

 

ガチャンと受話器を戻して、半ば身を乗り出していたベッドに一度戻る。そして、暖かい布団の中を名残り惜しみながら寝床からはいだした。

 

ロンドンのとあるホテルからこんにちは。毎度のことながら自己紹介からはじめるということでいいだろう。

 

セブルス・スネイプ31歳。男の色香漂う30代の現在独り身。子供無し。ホグワーツ魔法魔術学校にて魔法薬学を教えている。

 

え?あれ?結局スネイプ先生?だと?

気にするな。その経緯については私が一番触れて欲しくないところだ。

 

鏡に映る歯磨き中の男は黒髪に黒い目。髪はまた短くしている。前髪は仕事柄顔にかかると邪魔なので大抵あげている。本来のスネイプ先生を知っている人間から見たら別人に思えるだろう。

 

映画と比べるともっと顔が若くなるからな。未だに30代の人間を60代が演じることになったことが解せん。しかし、あの演技力は素晴らしかったな、某俳優。

 

さらに顔を洗い、衣服を整える。ここはマグルのホテルであるために、服装はそれに合わせた。昨日まで、マグルからホグワーツに入学する子供たちの親への説明に出向いていたのだ。

 

「こんなものか」

 

一通りの準備を終えて、部屋を振り返る。特に問題はなく、このままチェックアウトに行っても大丈夫だろう。

 

そのことを確かめると、私はチップと部屋の鍵をまとめて渡せるように用意してフロントに向かった。

 

 

 

 

「久しぶりじゃな、セブルス。経過はどうじゃ?」

 

「何もかも順調です」

 

ホテルを後にして一時間も経たずにホグワーツに到着していた。現在地は校長室。目の前には触るとモフモフしていそうな立派なヒゲのダンブルドアが机を対した向こう側に座っている。

 

「そうか、それはよかった」と言う老人は今にもなにか話を切り出してきそうで、さっきからそれを少し警戒していた。

 

ダンブルドアが両腕の肘を机につき、組んだ指に顔を当てる。ふむ、来るぞ。

 

「ところでセブルス、今年わしらは守らなければならぬ二つのものがある」

 

「そうですね。人生でかけがえのないものは若さと健康だといいますが…」

 

「わしのような老人には誠に羨ましいものじゃの」

 

「そして、私の知るとある懐かしの歌では愛とか勇気だけが友人だそうで」

 

「賢者の石と、ハリー・ポッターのことじゃ」

 

ちっ。強引に話を進めてきたか。会話をはぐらかそうとしていたが本題にはいられ、心の中で舌打ちする。めんどくさい話が嫌いなのは子供の時からかわらない。

 

ダンブルドアは人を見透かしていそうな青い目でこっちをじっと見ている。

 

「君のジェームズ・ポッターとリリー・ポッターの息子を守る意思は変わらないかの」

 

……なぜかムズ痒い質問をいただいてしまった。ダンブルドアはあくまで真剣にこちらを見ている。私も真剣に返すべきなのだろう。とにかくは平静を装っていればそれなりに見えるだろう。

 

「…それについては、10年前貴方に助けを求めた通りです」

 

何げなく言ったつもりだが、これはこれで芝居がかっているようだ。もう、こうなればどうでもいい。

 

「死んだ二人は私にとって大切な友人だった」

 

私はそう、正直に本心を口にしたのだった。

 

 

 

 

校長との話が終わると地下牢の部屋へと向かった。やはり私の研究室と自室はそこになっている。

 

寒いのはあまり好きではない私は南側の部屋を希望したはずだが、当時はまだ20代の青々としすぎた年のために叶えられなかった。いや、立場としても文句を言えるはずもないものだった。実際は言ったがな。しかしどういう運命の修正に遭ったのか、アウトドア派の私はこんな地下に押し込まれてしまったのである。

 

荷物を片してしまってからため息をつく。やる気のない私の教師生活もなかなか長いものになってしまった。昔は子供がいないのが残念であったが、子供を相手にする仕事のために最近ではどうでも良くなっている。

 

机には写真立てが二つ。一つは卒業時に友人たちと撮ったもの。真ん中にはリリーとジェームズで二人ともそれぞれ監督生とクィディッチキャプテン、お揃いの首席バッジをつけ、さらに首席の盾を持っている。リリーのとなりは私が、ジェームズのとなりはリーマスが監督生バッジをつけ、後列にはシリウスとピーターが立つ。

 

学生時代の頃は今でも鮮明に思い出す。ジェームズたちとどれだけバカをやっただろう。木の棒で戦い、鉄の棒で戦い、湖で大王イカの足を釣り上げて全力で逃げ、ハグリッドの鶏の卵を盗み、鶏を盗み、禁じられた森付近で戦利品を食べ、学校の廊下すべてを使い陣取りゲームをし──。

 

──これが黒歴史か。なぜだ、一度は成人をしてから生まれ変わった私は確かに冷静さを兼ね揃えたキャラクターだった。なぜここまで堕ちてしまった。これが男子高校生というやつか。

 

目が自然と三白眼になり、いかんいかんと目を閉じる。つい眉間に皺がよる。だが、しかし私はさらに辛すぎる現実を思い出すことになる。

 

──この左手の闇の印、消えてくれないだろうか。

 

今は薄くなっているが左腕の蛇が口から這い出る髑髏。20代ならばまだ良かった。まだおしゃれで通った。若気の至りだ。

 

だが、正直最近きつい。なんでもっとシンプルな模様でないのだろうか。あのルシウス氏も威風堂々とした姿、洗練された身のこなしと上等の衣服の中にこれがあるのだぞ。会うたびに目をついそらせてしまう。

 

「…君がそばにいてくれればもう少し耐えられるのだが」

 

机に置くもうもう一つの写真に話しかける。こちらは妻のものだ。

 

まあ、見てくれたまえ。なかなか美人になっているだろう?伸ばしたマロンブラウンの髪は手触りがよくて好きだった。あれだけ勉強に対する努力が嫌いだった私がちゃんと「スネイプ先生」をやれているのも彼女のおかげである。

 

こんな性格の私が真面目な彼女に真剣であることを示すためには主席争いができるほどの努力が必要だった。結局主席はジェームズにとられたが、もろもろの分野で努力してジェームズに喧嘩を仕掛けて戦った私は卓越した努力をしたものに与えられる“アンガス・ブキャナンカップ”が授与された。まあ、なんというか“クズでも恋をすると立派になる”を体現したわけである。

 

そんなわけで、卒業三年後の21という若さで教職に就いたのだが生徒たちにそれなりの威厳を持って対することが出来た。それだけの恋をしたのだ。夫婦のお揃いであればお土産屋のキーホルダーにありそうなデザインでもちょっと心が温まる。──ああ。そうだ。先ほどの自己紹介通り、今現在、私は独り身だが。何か?

 

マグル用のジャケットを脱いで、代わりに魔法界用のローブを手に取って腕を通した。もうすっかり魔法界の常識に馴染んでしまっている。セブルス・スネイプの人生が前世の人生をずっと超えてしまった。

 

そのせいでセブルス・スネイプとして生きる決心はついている。だが、やはり未だに私は前世が捨てきれていない。その証拠に現在自宅には例のスーパー○リオ・ブラザーズが残されている。学校に戻る前に今年も全面クリアをこなしてきた。無限一機UPもお手の物だ。

 

マントをしっかりと着ると、闇の印が万が一にも出ないようにするための袖の沢山のボタンを閉じる。これで真っ黒な装いのスネイプ先生の完成だ。

 

服装は結局原作と似たようになっているが仕方がない。魔法界のカラフルなマント着用は正直無理だ。スリザリンカラーのマフラーさえ少し抵抗があるというのに。地味に似合わないだろ?

 

マントの裾をバッとはらい、簡単なシワを取る。身長は高い方に分類される背を、グッと伸ばして立った。

 

 

さあ、スネイプ先生・ネオ「ハリー・ポッター」第一巻の世界に突入だ。

 

 

 

 

 





「クズでも恋をすると立派になる」シェイクスピア『オセロー』のセリフ
腹黒い悪人が人をそそのかしたときの言葉。
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