――古代エジプトの時代は、テーベと呼ばれた都であった。ナイル河西岸の奥深くにある険しい谷には、かつてのファラオたちが眠っている。これを、王家の谷という。
「あの有名なツタンカーメン王の墓も、この王家の谷にあるのだ」
「へぇ、歴史のある場所なんだな」
「いまだに、どこかの家の地下では金銀財宝を求めて政府に内緒で洞窟を掘ってるやつがいるということだ」
「…ところで、ジジイはどこ行った?」
「トイレだ。イギーと一緒だから、異常があれば気付くだろう」
「ハル、かなり陽射しが強いが大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
ルクソールのレストランで、一息つくことになった。
ラジオの雑音が酷い、耳が痛くなってきた。
「あと2日あればカイロまで行けますが、全員何らかの怪我をしているし、疲労が溜まっています。今夜と明日はルクソールに滞在して、休息をとるのはどうですか?」
「うん…」
「そうしようぜ、エジプトに入ってから敵スタンドが特に強くなってきている。ギリギリで勝っているという感じだぜ」
「うーん」
「あれ、ジョースターさん、どうかしたのかい?」
空返事なジョセフさんに、ジャンがそう尋ねると、ジョセフさんは義手の左手を握ったり、開いたりしてから調子がおかしいと言う。
「SPW財団に貰ったばかりだが…。まあ指関節の油が切れたせいだと思う」
「…すみません、そこのラジオのスイッチを切ってくれますか? 音がうるさくて、耳が……」
耐えきれず、店の人に言うことにした。
「変だなあ? 日本製だし、買ったばかりなのに…」
「ジョースターさん? どうかしましたか?」
「いや、なんでもないわい。カイロに入った時のためにしばらく休んだ方がいいな。ただし、油断は禁物だ。ではホテルを探そう」
そして私たちはルクソールのホテルに泊まり、何事もなく夜は開けた。
身支度を終え、外に出たのだが、ジョセフさんがホテルから出てこない。
「おーい、早くしろよ! 早く起こせアヴドゥル! 5分で降りてくるように伝えろ!」
ジャンが2階の窓から見えているアヴドゥルさんにそう声をかける。
数分してからアヴドゥルさんがホテルから出てくる。
「ジョースターさんもすぐに来るそうですよ」
"すぐ来る"そう言ったのにジョセフさんはなかなか来ない。
…ジョセフさんは今、エジプト9栄神、バステト女神の暗示を持つスタンド使いの攻撃にやられてしまっている。助けに行った方がいいかと思ったが、私よりも先に、原作通りアヴドゥルさんがホテルに様子を見に行った。
「承太郎たちはここで待っていてくれ」
「あぁ」
イギーを撫でたり、ガムをあげたり、イギーに許可を貰ってガムを分けてもらったりして時間を潰すけど……一向に来ない。ガムも味無くなっちゃった。承太郎もたばこを1本吸い終わっちゃったし。
「はあ、ジジイはまだか?」
「まだみたい」
「迎えに行ったアヴドゥルも帰ってこねえなあ」
「わんっ」
「ガム? 食べすぎもあんまり良くないよ? あげるけど」
「はっ、まさか! 俺たちに内緒で…超デリシャスなもん食いに行っちまったのか!?」
「どうせトイレが長引いてるとかだろうよ。あと5分待ってこなけりゃ探しに行きゃあいい」
「暇を潰せるものがないから5分が結構長く感じるんだよねぇ……ふわ、あぁ……まだ眠いかも……」
ジョセフさんたちを助けに行くべきかな。んー……でも、原作ではあまり大きなけがはしていなかったはずだし、こっちでもセト神の襲撃にあうし、こっちにいた方がいいかな。