今日はアタランテと子ども達と僕の4人で森へピクニックへ来ていた。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん!早く早くーー」
「こらこら、そんなに走ると転んでしまうぞ」
こうして出かけることは今までもあったが、今回は少し遠出をしている。初めて見る景色に少女は大興奮。
「あー、あえ。リスさん」
「ん?おーそうだね、リスさんだ。よく見つけたね」
肩車をしている妹ちゃんも楽しんでいるようで何よりである。最近は簡単な単語程度なら喋れるようになったようで、これからの成長を見守るのが何よりの楽しみだ。
そうして、歩いていると湖にたどり着いた。周りに危険な気配もなく、ここに天幕を貼ることにする。
「さて、私は肉を獲ってくるとしよう。なに、立派な獲物をしとめてみせるさ」
久しぶりの狩りで滾っている様子。弓をとるや否やすぐさま森へ駆けて行った。どうやら子供たちにいい格好を見せたいようで...空回りしないといいが、彼女に対してその心配は無用だろう、多分。
「ねえねえお兄ちゃん、なにかお話して」
どうやらある程度自然を堪能したようで少々手持無沙汰の様だ。
「う~ん...じゃあ、おとぎ話なんてどうかな?」
そうしてメラニオスは懐かしそうに語り始めた。
◇◇◇
あるところに王様と泥人形と怪物がいました。その三人はときどき喧嘩をしたりしていましたが、とても仲が良く楽しい日々を過ごしています。
ある日のことです、天の神様が王様の国に巨大な牡牛を向かわせました。神様は王様たちを殺そうとしたのです。けれどもうまくいきません、王様たちはとても強かったのです。あっという間に牡牛を倒してしまいました。
神様はそれに怒りました。そうして泥人形に呪いをかけてしまったのです。王様たちの看病むなしく泥人形は死んでしまいました。
王様は嘆き悲しみました。怪物も同じです。溢れ出る涙が止まりませんでした。
王様はそれから一人で不老不死の薬草を探す旅に出てしまいました。友の死を見て、死そのものを恐れたのです。
さて、国の民と怪物は困りました。王様がいなければ国は荒れ果てていくだけです。怪物は考えました、どうすれば王様は帰ってきてくれるのだろうと。
そうして思いつきました。
◇
王様は薬草探しに失敗し国に戻ってきました。
するとそこで目にしたのは、再び国を襲う天の牡牛だったのです。王様は激昂しあらゆる武器を用いて牡牛を打倒しました。
直ぐに神様に詰め寄り問い詰めましたが”知らない”の一点張りです。
王様が再び国に戻るとそこには民も怪物の姿はなく、ただ一人祭司長のみが残っていました。
そうして王様は―――
◇◇◇
「王様は―――...」
「王様は?」
「...どうしたんだろうね。ここから先は知らないんだ」
「えーーつまんない!」
「あははっごめんね。お詫びとしちゃあなんだけど、林檎いるかい?」
「うん!」
そうして林檎を投げ渡すメラニオス。少女はキャッチを―――できなかった。コロコロと転がり落ちていく林檎。
「あっ。ごめんなさい」
「気にしないで、まだまだいっぱいあるし。ほら、」
一方そのころアタランテは
「(よし、これほど獲れれば十分だろう)」
すっかり気分が高揚したアタランテはあっという間に獲物をしとめていた。
「(ふふふっ、あの子たちの喜ぶ姿が目に浮かぶ。よし!もう少しだけ...むっ)」
ふと目に入ったのはコロコロと転がってくる
「(林檎ではないか!!)」
思わず駆け寄るアタランテ。迷わず林檎に齧り付く。
「美味い...はっ、いかんいかん思わず口にしてしまったーーーなんと!」
何故か次々と転がってくる林檎たち。アタランテはそれを夢中で拾い集める。
「おお!ひょっとしてこの近くに果実の楽園があるのやもしれん」
狩を中断しまだまだ転がってくる林檎を拾い集めながら進んでいきます。
「食後にピッタリだな。子ども達も喜ぶに違いない」
後でメラニオスに調理してもらおうと嬉々としながら進んだその先で見たのは
「やったやった!キャッチできたよ!」
「ふふっ、よかったね。でも随分と林檎の数がーーーあっ、おかえりアタランテ」
林檎を手に取り喜ぶ少女。ようやく、この林檎が転がってきた経緯に気がつき肩を落としてしまう。
「...罠だったか」
「何かあったの?...それより早くご飯にしよう。僕ら待ちくたびれちゃったよ」
思えば、狩に夢中になりすぎて時間を忘れてしまっていた。
「(この林檎が呼んでくれたのかもしれんな)」
アタランテは腹を鳴らして待ちくたびれた三人のもとへ急ぐのだった。
次は泥人形と怪物の方を上げたいと思います
fgo 編のアタランテと怪物の関係 どれが見たい?
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