【真名】ギルベルト
【性別】男性
【容姿】
【挿絵表示】
【ステータス】筋力:C 耐久:E 敏捷:A+ 魔力:A 幸運:D 宝具:D~B
【保有スキル】
・魔女の魔術:C
モルガンから教わった魔術。大魔術...とまではいかないが初歩的なものから応用まで基本的に使用できる
・魔力放出:B
武器ないしは自身の肉体に魔力を帯させ、瞬間的に放出することによって能力を向上させるスキル。ギルベルトは剣戟の際は勿論の事、戦いの際は常に放出しており高速戦闘が可能。
・擬態
その名の通りあらゆるものに擬態できる。サーヴァントであればそのステータス、宝具ですらある程度再現できるスキル。
・戦神の加護:E‐
彼が所持する名剣マルミワロワーズに本来宿る戦神の加護。単純に拒否、恐れられているためマイナス方面に働いている。
【宝具】
『射殺す百頭(偽)』
ランク:C~B 種別:?? レンジ:臨機応変 最大捕捉:臨機応変
彼の大英雄の技術を模倣した宝具。基本的には高速で接近し標的を切り刻むという単純なもの。本物には数段劣る。
「息子と認められぬと...そうおっしゃるのですか騎士王!?」
兜を外し素顔を明かしたモードレッド卿は自らの父がアーサー王ということを知り意気揚々と話しかけに言ったものの、王がそれを認めることはなかった。
「お、俺は貴方の後ろにいるだけでよかった。なのに一度も振り返ろうとしないお前を、貴様を、貴方を!!...何もかも!何もかも!!破滅させてやるぞ!!ア゛ァァァァァーサァァァァァー!!」
ただ認めてほしかった。振り返ってほしかった。その願いが伝わることはなく親子の溝は深まり破滅に向かう。
「―――モードレッド?」
王が立ち去ってなお怒りに肩を震わせるモードレッドの前に黒い騎士が姿を現した。ランスロット卿の討伐事件において多くの騎士が失われても変わらずアーサー王に仕え続ける最古参の一人”ギルベルト卿”であった。
「ギルベルト」
「...ああ、そういうこと」
何やら悟った風なこの男が来たのは好都合だった。
「母上がいざというときはお前に頼れと言っていた。なあ?裏切り者のギルベルトさんよお、俺に力を貸してくれんだろ?無理ってんならこの場で貴様をぶった切る!!」
脅すような口調で詰め寄るモードレット卿。既にその目はアーサー王への憧れなど一切なく、只々憎悪の炎をたぎらせていた。
「あははっ...勘弁してくれよ。そんなに脅迫めいたことしなくても協力させていただくとも」
黒い騎士は薄っぺらい笑みを浮かべていた。
順番が違っていればこの騎士は王のため破滅を阻止しようともがいただろう。しかしながら魔女に助けられた。それ故彼は
「もう少し、安寧な終わりを考えていたけど......もう夢から覚めるときなのかもねアルトリア」
一人の女の夢を壊す。
◇
「では、後のことは任せましたギルベルト卿」
異民族を送り込んでくる元凶たるローマに反撃すべくブリテン軍は多数の船団を用意し攻め込もうとしていた。アーサー王の作戦はローマ軍が海に出る前に上陸し陸上戦闘において相手を蹴散らす。相手に反撃の余地を与えぬほど攻め込み講和会議に引きずりだすというのが狙いのようだ。
「了解した。でも王自ら出陣することはないんじゃないかい?いくら何でも危険すぎる」
「いえ、私自ら先陣に立ち兵を鼓舞することがこの戦いに必要なのです...それにこれ以上民たちを苦しめるわけにもいかない」
「僕もついていこうか。ローマの大地を駆け、迫る敵を蹴散らすぐらいはできるけど?」
「ふふっ、その言葉はありがたいですが...今この国を守れるのは貴方しかいませんギル」
先のランスロット卿の乱においてガウェイン卿は負傷、モードレット卿とケイ卿はそれぞれの担当地区で内政を行っているので離れることができない。他の騎士や領主も自分の仕事で精一杯であった。
「その呼び方はよしてくれと言ったろ、虫唾が走る」
嫌そうに顔をしかめそっぽを向くギルベルト。その様子を微笑みながらアルトリアは言葉を続けた。
「覚えてますか?いつの日か貴方に宣言したことを」
「...うん」
”見ていてくださいギルベルト。すぐにではないがこの島を善き国にしてみせます。伝説に言うアヴァロンにも負けないように”
塔の上で少女は騎士に宣言した。絶対に実現して見せる、と希望に満ちた目で。
「貴方は無理だと、この国は滅びると...そう言っていましたね。
「ああ、それは今でも変わらないさ...君がいくら自分を犠牲にして頑張ろうがね」
「いえ、この戦いでその戯言を終わりにしてみせます」
ブリテンの宿敵であるローマを討てば異民族の侵攻も収まる。ようやく安寧な時がこの地に訪れる。
「...結果は変わらないさ」
「悪い冗談はよしてください、いい加減私も怒りますよ」
アルトリアは穏やかな笑顔で答えた。
「―――戦うと決めたのです、選定の剣を抜いたあの日から。たとえなにがあっても、この国を滅ぼさせたりなどさせない」
そう言ってアーサー王は軍を率いて港を出港していった。
それを黙って見送るギルベルト。後ろを向いているので表情はよくわからない。
「...僕を止めようとしないのですか、マーリン?」
ギルベルトは背を向けたまま背後に佇んでいた魔術師に声をかける。
「おや、気づかれてたか。いやはや参ったね」
わざとらしく微笑むマーリン。
「止めるも何も...君たちがどうしようがこの国の運命は変わらない。君だってわかっていただろう?」
特に表情は変えず淡々と魔術師は喋る。
「...貴方は間違えた。あれを王として作り出すべきじゃあなかったんだ。もはや向けられた憎悪すらわからず、自分が苦しむことがさも当然であるとする。それが今のアルトリアだ」
理想の王は確かに完成した。しかしながら彼女はウーサーとマーリンが求めた理想ではなく人々の幸福のために戦い続けた。お互い見ていたものが違ったのだ。
「ああ、そうとも...もう少し早く気付くべきだったのさ」
「さて、私は引きこもるとするよ...君もアルトリアも悔いのない結末を迎えられるよう祈っている」
「......」
◇◇◇
ブリテン軍とローマ軍の戦争は結果的にブリテン側の勝利に終わった。
『アーサー王ある限りローマはブリテンに侵攻しない』
かつて異民族相手に誓わせた約定と同様のものである。それは”アーサー王ある限り”というアルトリア自身が生きている間だけという仮初のものに過ぎなかったが...
凶作はいまだ解決の目処は立っていない、だがこれで人同士の争いで国が滅ぶことはなくなった。不安を胸に抱えながらも兵たちは安どの表情で故郷へと目指す。
しかし、彼らを待ち受けていたものは...
「お、王よ。み、港が、我らのブリテンが―――燃えています!!」
一斉にどよめきが走る。何故?何故?
「伝令!伝令!モードレット卿とギルベルト卿が蜂起!!!すでにキャメロットは陥落したとのことです!!」
二名の円卓の騎士の反逆。既に疲労困憊の兵の心を折るのには十分だった。
「(そんな、どうして...ギル)」
ようやく前に進める希望が産まれたところで積み上げた物が一瞬で崩れ去る。それが彼女の功の酬いだった。
◇◇◇
王に恨みがあるわけではない。只々限界だったのだ。
「ひ、ひぃぃぃぃ」
民衆は「今は耐えてほしい、未来のために」という王の言葉を信じてここまでやってきた。しかしどうだ?争いは終わらず凶作は続く。
この戦乱はいつまでも続く困窮に耐えられぬ者が反逆者たちに縋ってしまっただけなのだ。
「お願いします!どうか、どうか命だけは...」
黒い騎士は剣を振りかぶる。目の前の騎士の命を絶つために。
「生まれたばかりの子供がいるんです!!」
振り落とされる剣が止まる。
「嫁は身体が弱くて、自分がいないと食っていけない。今ここで死ぬわけにはいかないんです...」
「......」
「殺さないで」 「家族に...家族に会いたい」「助けt―――」
首が落とされる。黒い騎士は剣を納めており見逃すつもりであった。しかし隣にいる反逆者はそれを許さなかった。
「駄目だここで死ね。騎士の栄誉ある死だ、敵に命乞いなどするな」
モードレッド卿は血でぬれた剣を拭い、黒い騎士を睨みつける。
「なに今更いい子ちゃんぶってんだ...それとも何か、俺まで裏切ろうってんのか?」
「...まさか。少しの気の迷いさ」
肩をすくめ歩き出すギルベルト。すると二人のもとに兵士が近づいてきた。
「モードレッド様、ギルベルト様、ガウェインが挙兵しました。アーサー王上陸の援助ため港に向かってるようです」
「チッ、あの野郎大人しくしとけばいいものを」
舌打ちをして馬にまたがるモードレット。兵を集め指示を出す。
「半分はついてこい!俺がガウェインを討つ!!もう半分はギルベルトについてアーサー王上陸を阻止せよ!!」
兵士を引き連れモードレットはガウェインのもとに向かう。残った兵はギルベルトと共に港を目指した。
この反乱においてモードレッド側に着いた諸侯は多くアーサー軍は劣勢である。それでもなお王に味方をする者はいた。
「―――よお、相変わらず馬鹿げたことしてんじゃねえか」
先王ウーサー・ペンドラゴンの騎士エクターの嫡男。幼少期からアルトリアとギルベルトと共に苦楽を共にし、長年王のそばにあり続けた円卓最古参の騎士”ケイ”である。
「驚いた...君のことだから真っ先に逃げ出したものだと」
「はっ、そうだとも。こんな内輪揉めに付き合う義理はねえしな。今も逃げてる途中だ...偶々お前たちが俺の逃げ道に居ただけだ」
剣を構えるケイ。これは避けられないとギルベルトも同様に構える。それと同時に兵に向かって指示を出す。
「ケイ卿は僕が相手しよう。君たちは港にm「させねえよ」...ああ?」
ケイの背後に現れたのは多数の兵。
「逃げ回ってる途中にいつの間にか集まってきちゃってな...悪いが付き合ってもらうぞギル」
「......」
僅かに顔を歪ませながら軍を率いて突撃をするギルベルト。それを迎い打つケイ。
「クソッ、いい迷惑だぜ...お前もアルも揃いもそろって大バカだったな」
◇◇◇
聖剣の輝きは失われ、大地は血に染まった。反逆者モードレットとギルベルトは討たれ、戦争は終わりを告げる。滅びゆく国をキャメロットの上から魔女は見ていた。
「...ギルベルト。貴様これはどういうことだ!」
ワナワナと身体を怒りで震わせ魔女モルガンは血まみれの騎士に吠えた。
体を切り裂かれ、心臓を聖槍で貫かれ体は塵に帰り始めている黒い騎士。既に息絶え絶えの彼はズルズルと身体を引きずり魔女の顔を見て笑った。
「どういうことって...玉座は手に入り名実ともに君がキャメロットの、ブリテンの支配者だ」
よかったじゃないかと笑う騎士に魔女は怒りをあらわにする。
「支配する国も民もいなければ意味がないのよ!!」
腕を振るい騎士に向かって魔術を放つ。凄まじい爆発。
「――――――――」
特に抵抗することなく、騎士は地に倒れ伏した。
「あははっ...神秘が支配する時代は今日で終わりだ。これからブリテンは人の時代が始まる。もう必要ないんだよ、アルトリアも君も...僕も」
笑いながら塵に帰っていく。
「――――――――!!」
憎しみを込めた魔術をモルガンは再び放つ。ありったけの呪いを込めて、目の前の存在をこの世界から消し去るために。
死が迫ってくる。これはいったい何度目の光景か。最早恐怖もない、淡々と自らの運命を受け入れる。
”さあギル、剣を構えてください!!今日こそ私が勝ちますから!!”
騎士が最後に思い浮かべたのは自分に笑いかけてくる少女の姿だった。
「...アルトリア。君はやっぱり――――」
◇◇◇
「違う、こんな結末私は認めることは出来ない」
屍が積み重なった丘で一人の王が嘆いている。
「私が誰よりも惨く惨めに死ぬのは受け入れていた。それだけの事をしてきた。だが、こんな筈じゃなかった。こんな終わり方になる筈はなかった!!終わるなら、もっと穏やかな、眠るような終わりだと信じていたのに」
だから世界に望んだ。望んでしまった。
「これは違う。断じて受け入れられない!!私の死は容認できてもこの光景は容認できない!!!」
そうしてその願いは聞き届けられた。
”いいでしょう。願いを叶えられる機会を用意します。そして願いの成就を条件に、その死後をもらい受けます”
...こうして一人の王は未来永劫叶うことのない、救われることのない運命へと歩んでいくのだった。
叛逆軍、ガウェイン卿、ケイ卿の足止めにより一時停滞。その間にアーサー王上陸。
両名の騎士は討死したもののモードレッド、ギルベルトは負傷により後方指揮に。攻防戦は叛逆軍有利に進むが攻めきれず7日目にキャメロットまで一時後退。両軍とも死者多数。
カムランの丘にて決戦。ギルベルトとアーサー王の一騎打ち。
◇
やっと本編に戻れる...
次回はすまねえ、虫爺とハサン先生が好きな人はすまねえ。多分次回で出番が終わるかも
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