このカルデアには古今東西、様々な英霊が集う。
武勇に優れた者、一国の王、音楽、芸術などが優れた者など十人十色。
その中には当然、他の英雄に憧れた英雄もいる。
◇
「今日のお菓子は何かしら。
「わたし達も!おとうさん早くちょうだい!」
「二人とも行儀が悪いですよ。こう言う時は静かに待っているのが常識です」
おやつどき、この時間になると様々なサーヴァントが食堂に訪れる。まあ、主に子供達が多いのだが
日替わりで、というか作る人の気分でおやつの種類は変わる。今日の担当はメラニオスのようで、どうやら色々な形のクッキーを焼いたみたい。誰かと分け合って食べることで楽しめると考えたようだ。
「はい、お待たせー。みんなは今日もお茶会かな?」
「ええそうよ!今日はフランスの王妃様もいらっしゃるの」
「それは凄い。僕も気合い入れて作った甲斐があるよ」
ナーサリー、ジャック、リリィに手渡す。三人とも嬉しそうに受け取ってくれた。自然と彼も笑顔になってる。
ジャックとナーサリーは、おやつを受け取るとすぐさま自分達の部屋へと駆け出していく。きっとお茶会の準備に忙しいんだろうね。
「そんなに急ぐと危ないよ!...はぁ...ん?どうしたんだいリリィ、君は一緒に行かないのか?」
何故か一人残っている、ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ。
「えっと、そのお。う〜〜」
もしかして何か言いたいことでもあるのだろうか?モジモジとして中々言えないみたいだけど
「どうしたんだい?」
少しかがみ込み、同じ視線に立ち、しっかりと少女の目を見る。
少女は何度か口籠った後、
「私、その、前よりも綺麗に名前書けるようになったんです。だから、今度は、他の字も書けるようになりたいから」
以前、食堂で名前が字で書けないことをオルタに馬鹿にされてから、一人で名前を書く練習をしていたのを見かねたメラニオスが手伝ってあげたことがあった。その甲斐あってかリリィは無事に書けるようになり、他の字も書けるようになりたいと思ったようだ。
「その、また教えて貰いたいんです」
「勿論いいよ」
「本当ですか!これで、あっちの私に追いつけます!」
そう言うとリリィは嬉しそうにしている。
「それにしてもリリィは上達が早い。いっぱい頑張ったんだね」
そっと頭を撫でてメラニオスは微笑んだ。
かつての聖女と同じように、熱心に勉強する姿が重なった。きっとリリィも彼女と同じように優しい子になるのだろう。
「はい!頑張ったんです!あっ...コホン、じゃ、じゃあまた教えてもらうと言うことで...お願いします」
少し照れくさそうにお礼を言った後、リリィは二人の後を追いかけていくのであった。
その姿を手を振って見送るメラニオス。
さて、今日の当番はこれで終わり。そろそろ帰り支度を始めるようだ。
そこへ、
「すまないメラニオス。少し時間を貰ってもいいかね?」
食育の英霊エミヤに声をかけられた。
彼は食堂部門のトップとして朝、昼、晩の食堂メニューの栄養管理などを仕切る、カルデアにとってオカンと言える存在なのだ。
そして、食堂で働くメラニオスの上司でもある。
「なにさ改まって...残業は勘弁してよ、僕だってプライベートは大切にしたいんだ」
このタイミングで声をかけられたということは残業、あるいはミスがあったなど面倒臭いことに違いない。顔を顰め露骨に嫌そうにする。
しかし、エミヤの顔を見るにどうやら違うようだ。
「そうじゃない。少し手伝って欲しいことがあってな。なに、時間は取らない」
「?...まあ、いいけど」
椅子に座らされ、何やら真剣そうな雰囲気に少し押される。
「実はある依頼を受けてね。君にも協力を仰ぎたいんだ」
「はあ...」
少し前、エミヤはある英霊から依頼を受けた。
『すいません、エミヤさん。少し時間もらっても大丈夫っすかね?』
『ああ、マンドリカルド。どうしたのかね』
何やら神妙な面持ちで話しかけてきたのはマンドリカルド。どうやらエミヤに頼みたいことがあるようで。
『実は、この前マスターからバレンタインチョコを貰ったんです。で、後から知ったんすけどバレンタインってお返しが必要なんすよね?』
『あくまで、日本を含めたアジア地域の文化だがね』
『うっす。で、俺からも日頃の感謝を込めてお礼をしたいと思って悩んだんすけど...その、中々思いつかなくって』
誰しもその経験はある。
相手が欲しいものが分かればいいが、いざ自分で選ぶとなると難しいものだ。
『だから俺が欲しかったていうか、失ったっていうか...その、デュランダルを模した何かを渡したいと思って』
なるほど、自分の思い入れのあるものを渡すということか。
『それはいいと思う、しかし、私の手が必要とは思えないが』
『自分で作ってみようといくらかやってみたんすけど、中々難しくて...それで、その道のプロと言われるエミヤさんに是非製作を依頼したくきたわけなんです』
『ふむ。玩具であるなら、何とかなるだろう』
『本当っすか!』
『ああ、君の力になることを約束しよう』
『———ありがとうございます!!』
そう言って彼は頭を下げるのだった。
「なるほど、話はわかったけど、別に僕は必要ないじゃないか。アンタだけで十分だろう」
「いや、他の者の意見も聞きたくてね。それに古今東西の英雄と関わってきた君の意見も聞きたい」
皮肉かこの野郎と一瞬考えたがそんなつもりはなく、本心で言っているんだろう。
だが、そこまでクオリティーを追求することだろうか?
「かのトロイア戦争においての大英雄ヘクトールが所持したとされるデュランダル。それを踏まえると生半可なものは作れない。それすなわち、至高の一品を作るのは当然の...」
「はぁ」
「私の真価が試されてると思うのだよ」
「つまり?」
「———オレも欲しい!!」
思わずガクッと倒れ込みそうになる。
そこに行き着くのか。大の大人がそれでいいのか.
馬鹿じゃないの、と言い捨てるのは簡単だったが...
「———————————!」
あんまりにも少年のようなキラキラした目で語っているので
「ふふっ、あはははは!」
つい面白くて笑ってしまった.
「なっ、笑うことではないだろう!?」
「いや、ふふっ...らしい顔も出来るんだなって」
彼の表情は、どこか気を張ってるものや、顰めっ面ばかり見ていたので少し新鮮に思えた。
「分かったよ。僕も出来ることは手伝おう」
「...本当か!」
「さ、設計図とか作ってるんでしょ?どうせならロマンめいた物作ってやろうぜ」
「ああ、当然だ。これが、今のところの設計なのだが...」
「へえ、流石だね...そうだ、剣のグリップ部分に細工して———」
「!、なるほどモードチェンジか。ならばここをこう組み込んで...」
「...そこに音声認識を」
「それは流石に———」
二人はアイディアを出し合い、至高の一品を作り上げる。時には意見がぶつかるが、お互いのいいところを組み合わせたり、男のロマンを思いっきり積み込んでいく。
◇
「二人とも楽しそうですね」
「...ああ」
その様子を少し離れたところから見守ってた、アルトリアとアタランテ。
アルトリアは小腹が空いたので間食をもらいに、アタランテは帰りが遅いメラニオスの様子を見にきていたところ、談合する二人を目にした。
「ふふっ、まるで子供だな。あの二人は」
「ええ、あんな顔もできたのですね」
二人の目線の先には楽しそうに玩具を作っている、赤毛と黒髪の少年の姿。
「...少し安心しました。私が知る二人は、どこか悲痛な顔をしていることが多かったですから」
二人の少年にはしがらみはなく、本音同士で話すことができているようだ。
「だが、少し妬けてしまうな。たまにはその笑顔を見せてくれてもいいだろうに」
その光景をしばらく、微笑ましげに見つめているのだった。
◇
シャキーン!(武器の効果音)
あのデュランダルがついにオモチャに!!
武器を振るうと音が鳴るぞ!(シャキーン!ジャキーン!!)
さらにグリップの部分を引っ張ると
(グリップ部分が伸びて変形する)
モードチェンジ!ドゥリンダナに変形するぞ!!
そしてボタンを長押しで...
『標的確認、方位角固定...
ヘクトールの宝具音声が鳴るぞ!!
その他にも様々な機能がついてくるDXドゥリンダナ絶賛好評中!!
登場サーヴァント
・メラニオス バレンタインでアタランテからはハートのチョコを貰った。座に還りかけた。
・エミヤ 改良に改良を重ねてもはやオリジナルの面影が無くなってしまった。本人は満足げ。
・子供達 今日も元気いっぱい!リリィは名前以外の字を練習中。
・マンドリカルド 二本目も依頼中
fgo 編のアタランテと怪物の関係 どれが見たい?
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イチャイチャ
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つよつよ奥様
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しっとり/依存
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無関心/やり直し