【悪役を押し付けられた者】   作:ラスキル

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ノッブと弥助の関係性

「(わしの周りちょっとアレな奴多くない?)」
『ノブナガ様!ノブナガ様!ささっ、それがしが草履を暖めておいたでござる!そしてどうかその草履をそれがしにぶつけて頂ければ!!』
『信勝はいつだって姉上の味方でございまする!子供の頃のようにまた、面白おかしく遊びましょう!姉上を理解しているのはこの僕だけなんですから!!』
『信長公!信長公!貴方は私の、私だけの光なのです!この光秀だけが信長公の理解者。私以外の者にできるはずがない!!』

「弥助、わしにビンタされたらどう思う?」
「はあ?...しばき返しますけど」
「そっか〜〜」




短編 虎とヒト「今夜は月が綺麗ですね」①

その目はいつまでも、虎を見ていた。幸せそうに胸に顔を埋め、自らのものだと誇示するように強く抱きしめる虎を。命の炎がきえ、虚いでいく目で、いつまでも、いつまでも。

 

虎は気づいていなかった。男が朽ちていくことに、取り返しのつかないことをしてしまったことに。

 

その後のことは誰にも分からない。ただ事実として、その日、二人の人間が死んだことは確かだった。

 

 

ある日のこと、ボイラー室に一人の狩人が訪ねてきた。

中に入れば黄金が散りばめられた異様な光景が目に入る。この光景に一瞬たじろいだものの彼女は意を決し、ある人物を呼んだ。

 

「んあ?なんじゃ弥助のとこの...ああ、そうじゃった今は名が違うんじゃったな。まあそう睨むではない。して何用じゃ?」

 

そう、自分が知らない彼を知る日本の英霊である織田信長。彼と関わった英霊の一人である。

 

ことの発端は、自分の夫を度々訪ねてくるあの日本の武将。名を長尾景虎と言ったか。二人の関係は知ったことではないが、頻繁に夫を酒の席に連れ込もうとし、彼も断ればいいのに結局絆されその席に参加するのだ。

 

それが気に食わなかった。

 

狩人は問うた。

 

「あの軍神とあやつの関係?ふむ、それにはまず、わしと弥助との出会いから。え、そこはどうでもいい?そっかー」

 

御託をいくらか並べながらも信長は語りだした。

 

 ◇

 

さて、どこから話すか...あの頃の儂はお上の怒りを買っておっての、周りは敵だらけ一世一代の大ピンチで困ってたわけじゃよ。てことで、どこかの国と同盟を組もうという話になり、白羽の矢が立ったのが越後の上杉家。

 

越後の龍なんて言われとってぶいぶい名を馳せとった上杉家の力があれば対抗できる。で、儂が誠心誠意書いた手紙を送ってもらおうと、弥助に命じたのよ。

 

「書けた!書けたぞ弥助、どうじゃ!わし渾身の一筆は!」

 

「———よくもまあ、こうつらつらとお世辞が出ること。下手に出ることに関しては天才的ですね殿は」

 

「うははは!わしにかかればこの程度の諂いとか楽なものよ」

 

「褒めてないですけど...この程度の使い、秀吉殿に任せればいいのでは?あの猿、功績が欲しいようですし」

 

「それも考えたんじゃが、てか猿に対して当たり強くない?そんなことない?...まあそれは置いといて、最近は戦場に出てばかりじゃろう?少し休暇のつもりでこの任を当てようと思うのだ」

 

ぶっちゃけ奴には戦場に出てほしくなかった。死んでほしくなかったとか、そういう情があったわけではない。

あの時のあやつはどこかネジが外れておった。特に勝蔵めと組ませた時は酷いもんじゃったぞ。

 

『よっしゃ、足軽は10点、女子供は3点、大将首は100点ってとこか?』

 

『女子供はご勘弁...そういうのは好きじゃない』

 

『へっ、相変わらず甘ちゃんすぎやしねえか?あんま腑抜けてんと後ろから刺し殺すぜ』

 

『なんとでも言うといい。死ぬなら本望だ。

それに、戦場でいちいち数なんて覚えてられないよ』

 

『あー、じゃあいつも通りにするしかねえなあ』

 

『「敵味方なんか関係ねえ、首を多く取った方が勝ち」」だな』だね』

 

わしですら引いてしまったぞ。戦が終わって報告に来るかと思っとたら全身血まみれで現れるんじゃから。手負いなのか聞いてみたら、これは返り血だ、とか笑顔で抜かしよるし。

 

その有り様を見ていた兵どもはよく分からんこと喚きながら帰ってきて使い物にならんくなるわで散々じゃった。誰も味方までSAN値直葬までしろとか言ってないんじゃけどな。

 

「つまり殿は、休暇ついでに死んでこいと申すわけですか」

 

「誰もそんなこと言っとらんわ!死にたがりも大概にせい。

これでもわしはお前を信頼しておる。桶狭間で勝てたのもお前の知略のお陰じゃった」

 

「帰蝶様に恩を返しただけです」

 

「ならば今回も同じことよ。織田家と上杉家を結び、恩を返して見せよ」

 

「...はっ」

 

そうしてあやつは上杉家に同盟を結びに行った。

まあ、わし自らの直筆の手紙を持たせてたわけじゃし?上手くいくのは目に見え取ったがな!

 

わしの考え通り、あやつは五体満足で帰ってきた。若干、げっそりしとったのは気になったが些細のことよ。

 

「よくやった弥助!これでひとまず落ち着けるじゃろう」

 

「まあ、はい」

 

「どうした?さては、あの龍に何かされたか」

 

「...同盟の条件に定期的にもってこいと」

 

「なんだ、声がちっそうてよく聞こえん。はっきり申せ」

 

「僕の、秘蔵の酒を、定期的にもってこいと...くっ」

 

どうやら交渉の際に振る舞った酒が大層美味かったらしく、えらい気に入られたようでな。あの時の弥助の顔は今でも覚えとるわ。

 

「殿の手紙が謙るにも程があったんです。それで酒を振る舞ったらぐびぐび飲まれて...チビチビ飲むのが好きだったのに」

 

「...是非もなし!!」

 

「どの口が言うんですか!」

 

まっ、そんなこんなで同盟は締結され、弥助は月に何度か上杉家まで足を運んだ。最初は渋々と言った感じじゃったが、時が経つにつれ景虎めのところに行くことを楽しみにしとるようじゃった。

 

 

「わしが語れるのはこのぐらいじゃ

...ん?それで二人はどうなったかとな?」

 

信長は数刻の間何かを考えるそぶりをし、やがて口を開いた。

 

「あれは桜が咲き誇った日だったか。

いつも通り弥助は景虎の元に向かい...それっきり帰ってこんかった」

 

景虎の享報が届いたその日から彼が再び信長の前に現れることはなかった。

真相は本人達にしか知り得ない。あの日あの晩、一体何があったのか。

 

アタランテは勢いよく部屋から飛び出し、彼の元へ駆けていくのだった。

 

「...獣に好かれやすいのも難儀なものよな」

 

続く?

 




百年戦争時のフランスで魔女裁判にかけられそうになり宣教師に紛れこんんで逃走。日本に訪れた際に帰蝶に気に入れられ織田家に仕えることになったのかもしれないし、
平安時代ごろに鬼の一員として暴れたが、源氏や陰陽師に敗れ石に封印された後、数百年後に偶然通りかかった帰蝶に封印を解かれその案を返すために織田家に仕えているのかもしれない。

需要があれば書いていきたいと思ってる

fgo 編のアタランテと怪物の関係 どれが見たい?

  • イチャイチャ
  • つよつよ奥様
  • しっとり/依存
  • 無関心/やり直し

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