【悪役を押し付けられた者】   作:ラスキル

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短編の彼と本編の彼は別物。
辿ってきた√が少しばかり違うのです。だから、はっちゃけてるのも問題ナッシング


HappyHalloween

「「「trick or treat!!」」」

 

今日はハロウィーン。

様々な仮装をし子供たちがお菓子をねだりにくるという、大人たちにとってはとても忙しい1日となるが子供にとってはお菓子を貰うことができる夢のような1日になるだろう。

 

「Happy Halloween、楽しいハロウィーンを」

 

そう言って子供たちに手作りのお菓子を配る。

受け取った子供たちはお礼と喜びの声をあげる。

 

「わー、ありがとう!!」

 

「ふふっ、喜んでくれて何より。でも、食べ過ぎちゃあ駄目だよ。じゃないと怖ーい看護婦に怒られちゃうからね」

 

「うん!」

 

足早に次の標的を目指す子供たち。まだまだお祭りは続くようだ。

 

さて、ハロウィーンとあってか子供達もだが、大人の方も個性あふれる仮装をしている。

簡素なものから、思わず二度見してしまうほどの過激なものまで、多種多様なものだ。

中でもフローレンス...婦長のは酷い。

 

『ハロウィンには危険がつきもの!我々医療班も厳戒態勢で見回りをするべきです。もちろん雰囲気を壊さないように』

 

君の衣装が最も危険だ。

なんでそんな破廉恥な衣装で歩けるんだ。鉄仮面にも程がある!

みろ、すれ違う男はガン見してるぜ!?少しは恥じらう気持ちを持った方がいい!

 

一部サーヴァントの暴走はあるが大体は平和だ。

 

「あら、騎士の仮装かしら似合ってるわね」

 

「...でしょう?」

 

僕はというと、霊器を一段階切り替えた姿である騎士の格好で出歩いている。

本当は僕自身に戻ってもいいんだけど、流石に泣かれるのでやめておいた。

これも一応は仮装といってもいいだろう。名まで変えないといけないのは面倒ではあるが。

 

とりあえず、手持ちのお菓子を配り終えてカルデア中をぶらぶらしていると

 

「くっ...我々は一体どうすれば...!!」

 

何やら騒がしい声が聞こえた。

どうやら、円卓組の部屋のようだ、

 

「なんという...!!」

 

「まさか王があのようなお姿に...」

 

「またしても、お一人で苦渋の決断を下したというのですか..!」

 

一枚の礼装写真を囲み何やら嘆いている円卓の騎士たち。

 

誰が言ったかどすけべ礼装(ロイヤル・アイジング)

煌びやかなドレス、そしてほんのり透けて見える黒い下着。雪のような衣装に身を包んだアルトリアの写真。

ほのかに染まった赤い頰がまたしても、グッとくるものがある。

 

「———何を悩んでいるんだい」

 

「はっ、その声は!?」

 

「王の歩む道の後ろに従うというのが臣下というもの」

 

彼らの前に現れた一人の男。

 

「「「ギルベルト卿!!」」」

 

よし決まった。

しっかりと決めポーズを決め登場する。

 

女性を語る会の仲間、そして元同僚たちが困っているなら手を貸さない訳にはいかない。

おっと、どの口が言いやがるってのは禁句ね、心は硝子だから。

 

「しかし、一体どうする?」

 

「決まっている」

 

勢いよく、着ていた鎧を脱ぎ去る。

そしてその下に来ていた本当の仮装が姿を現した。

 

「そ、それは王と同じ...」

 

即席で作ったロイヤル・アイジング礼装(サイズぴったり)

もはや恥もプライドもない。

 

「ふっ、勿論君たちの分も用意している」

 

彼らの目の前に差し出す。

一瞬神妙な面持ちになったものの決断は早かった。

 

「感謝します、ギルベルト卿!

こうしてはいられません」

 

鎧を脱ぎ捨て衣裳に身を包む馬鹿ども。

この場に四人の怪物が揃った。

 

「さあ、我らも王に続きますよ!」

 

各々ポージングを整える。

全ては王のため。その顔に一切の曇りなし。

王の待つ会場に足を運ぶためドアを開けた、

 

その瞬間、

 

一閃せよ———(何やってるんですか)

 

彼らの目の前が光り輝いた。

そこに立っていたのは円卓唯一の良心。

 

銀の腕!!(この馬鹿どもーー!!)

 

「「「「ぐわああああああああ!!」」」」

 

銀の腕の騎士、ベディヴィエール卿。

彼により、ハロウィンの怪物たちは打ち倒された。

 

「急患ーーー!!急患でーす!!」

 

 

「何があったのだ...!?」

 

「い、いや〜〜、あははは」

 

アタランテがあらかたお菓子を配り終え、帰った時目にしたのは包帯にぐるぐると身を包まれミイラ男となった夫の姿だった。

お仕置きを食らった円卓たちは医務室に搬送され、各々治療を受けた(お説教付き)

 

「大袈裟に治療されただけだからさ」

 

「はぁ...羽目を外しすぎだ汝は。また問題を起こしたのだろう?」

 

「うっ...」

 

包帯を取りながら呆れたように言うアタランテ。

正論なので反論はできない。

 

包帯が外され、いつもの自分に戻る。

 

部屋に入り、今日の出来事を語り合った。

 

「子供達、すごい喜んでいたよ」

 

「ああ、一緒に作った甲斐があったな」

 

一人で用意するのもアレなので、夫婦の共同作業ということで一緒に手作りのお菓子を作った。苦労した甲斐もあってか大好評のようで、こちらも嬉しい限りだ。

 

本当にハロウィンという行事はいいものだ。

怪物である僕でも彼らに混じって心置きなく参加できるのだから。

 

「そういえば言い忘れてた、その仮装、すごく可愛いね」

 

「そ、そうか。あまり派手では無いのだが」

 

「それぐらいがちょうどいいんだよ」

 

アタランテは申し訳程度の白い布を被ったお化けの仮装といったところか。

欲を言えば、もっと派手なものを期待したのは言うまでもないが、その場合は部屋から一歩も出すことができないのでこれでいいのだ。

 

「あ、あまり見てくれるな...恥ずかしいから」

 

「そういうとこが好き」

 

「なっ!?...うぅ」

 

反応が面白くてつい揶揄ってしまう。

うん、そのむすっとした顔も可愛い。

思わず頭に手を乗せ撫でてあげると、擽ったそうに身を捩りながらも満更でもなさそう。

 

ひときしり楽しみ、彼女の可愛いさに満足したあと、そろそろ寝るかとアタランテに背をむけベットに向かう。

 

「ん?」

 

すると、キュッと袖を引っ張られた。

どうしたのかなと後ろを振り返ると、

 

「が、がおー」

 

「....」

 

可愛く両手を上げ、こちらを威嚇するようなポーズをとっているアタランテ。

その姿が可愛過ぎて呆気に取られてしまう。

 

「今日はハロウィンだからな、trick...その、イタズラだ!」

 

少し照れたように頰を染め、そして、してやったりと胸を張るアタランテ。

 

「「ぷっ...ふふっ...あはははは!」」

 

なんだか、可笑しくって二人で笑ってしまう。

うん、いい。凄くいい顔だ。

悪戯されるのもたまには良いものだ。

 

そう言えば、これも言い忘れてたな、

 

「...Happy Halloween、アタランテ」

 

 




本編の彼はどんなに頑張ってもこんな風に遊ばない。料理も作らないし、マスターに懐くことはない。他のサーヴァントとの相性も基本最悪。
ただ、アタランテの為と行動する。

よかったらご感想や評価を頂けると嬉しいです。

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