先日、水星の魔女を視聴していたら推しが死にました。いや、死んでないと信じていますがガンダム、そして強化人間の運命的に...いや、ワンチャン仮面つけて帰ってくるか?
なんにせよ許すまじサンライズ!お前ら人の心とかないんか?
私は気がつけば彼が来るのを心待ちにするようになりました。
今日は来るだろうか、来てはくれないのか、なら明日はどうだろうか。
「お久しぶりです。
今日も随分着飾っているのですね」
「はい!其方が褒めてくれましたので...!
それで、どうですか、今日の私は?」
「大変お可愛らしくて、目の保養になります。また一段と綺麗になりましたね」
「可愛い...ふふっ、あっははははは!!
ええ、そうでしょうとも!なにせ、頑張ったんです、私!」
季節が変わるごとに、月日を跨ぐごとに私たちの距離は縮まっていく。
遠慮することはもうありません。
彼なら、私を受け入れてくれるのですから。
「ねえ、今度は私が膝を貸しましょうか」
「え゛、それはちょっと...」
「いいですから、ほら、遠慮なさらず。ね?」
「......」
「仰向けにならないと寝づらくはありませんか?」
「...これで、十分です」
「あはは、其方もそのような顔ができるのですね」
「...お戯を」
「ふふっ、可愛いですねぇ。いい子、いい子」
「ん゛ん゛」
季節は巡り再び春になった。
桜は咲き誇り、鳥は唄い、そしてお酒が美味い。あいも変わらず私たちの関係は続いている。
着物で着飾るのはやはり慣れない。しかし、彼はこの姿を見るといつも笑ってくれるのだ。それがなんとも言えぬ心地になり私を温める。
理解されなくても良い、私も理解するつもりはない。けど、彼には、其方には私を見てもらいたいのです。
「実はですね...」
これからも彼との関係は続くだろう。否、何を言われようと続けてみせます。
しかし、何も変わらないというのは些か飽きた。
初めは待ち焦がれる時間が愛おしく感じた。待った分だけ、再び会う時に喜べるのだから。
だがそれも次第に苦痛になってきた。
何故其方はここに居ない、私のそばに居てくれない。あのうつけの元ではなく私のそばにいれば良いのに。
だから考えたのだ。
これなら家臣達も納得する。我ながらいい考えだ。
「そろそろ身を固めようと考えていまして」
「おお、それはそれは、めでたいですね」
他人事のように言う。
それが少し気に食わない。
でもいいのです。これで私たちは次に進めるから。
「それで、そのお相手というのは?」
「えっと、その...其方です」
「?」
ああ、顔が熱くてたまらない。
「ですから、その...其方に、私の伴侶となって欲しいのです」
「.....」
意を決して言った。
思わず俯いてしまう。見れない、彼の顔を見れない。誰かに想いを伝えるというのはこんなにも難しいものなのか。
けど、返事を聞かなければならない。
顔を上げ、彼の目を見つめる
彼は少し困ったような、面食らったような顔をしている。
そして、口を閉ざしたまま俯いて、再び顔を上げて口を開くまで少々時間がかかった。
その時間が煩わしい。
私は分かっています。其方ならきっと、私のことを受け入れてくれると、
「ごめん、なさい」
「———はい?」
...あれ、可笑しいな。
そんな、こと。いや、そんなはずない。そうだ、聞き間違いだ。
そうに違いない。
視界が酷く歪む。
「い、今なんと」
「ごめんなさい。貴方の気持ちに応えることはできないのです」
「...他に相手が?」
なら、殺そう。奪おう。
そうすれば手に入るのであれば、私はそれを成そう。
彼は肯定はしなかった。しかし、否定もしない。
「いえ、そういった方は居ない...今は居ません」
「なら、どうして...」
彼は月を見上げながら、どこか懐かしそうに話す。
「約束...そう、約束したのです。誰かと、遠い昔に誰かと。もう顔も思い出せないけど、僕を待っている人がいるのです。
だから...貴方の想いに応えることはできません」
どこまでも優しい声で私に語る。
愛おしそうに、遠く離れた誰かに思いを馳せる彼。
———ああ、そうか。そうだったのか、
結局のところ、彼は私を見ていなかった。私を通して、どこの誰かも解らぬ者を重ねていたのだ。
初めて会った時よりも明るくなった彼。何もかも諦めていて、何をするのも受動的だった。
今はどうだろうか。
“おかげで思い出せた“と希望に満ちた目で私を見る。
「僕も貴方に言わなければならないことがあります」
——やめろ
「随分と一つのところに滞在しました。そろそろ潮時かと思いまして」
——ねえ、お願いだから
「織田家には僕はもう必要ないでしょう。だから、また旅に出ようと思うんです」
——私のことを
「しばらくは日の本を見て回ろうと思います。お土産期待しててくだs...」
——私のことだけを...!
行動に移すのに躊躇はなかった。
鮮血が飛び散り部屋が血に染まる。
「あっ....?」
ポタポタと落ちる血。
どこから溢れているのだろうか。男は不思議に思った。
視線を女へと向ける。
目の前の女は何かを嘆きながら刀を握っている。その刃先には血が付いており、数秒間硬直した後、それが自分の喉から溢れていると気づいた。
「ガヒュッ!?コヒュッーーー!ーーー!?」
ゴボゴボと鳴る喉。
哀れな男。これにより伝えたいことも、何一つ話せなくなりました。
喉を押さえても血は止まらない。
“なぜ?、どうして?“、その言葉が発せられることはない。喉を切り裂かれ、戸惑いを隠せない。
目の前には虎がいる。
虎は刀を握り、再び男に切り掛かった。逃げようにも、動揺により体を上手いこと動かせない。
「私以外のことを口にするならもう必要ないでしょう?」
再び刀が振るわれる。
男の視線に銀色の輝きが見えたかと思うと、一瞬にして視界が真っ赤に染まる。
走る激痛。あまりの痛みに叫び声を上げたつもりだが、
「ーーーーー!!ーーーーー!?」
漏れるのは不快な呼吸音。
もう目の前の虎がどのような顔をしているのかも分からない。
「私のことを見てくれないのなら、そんな目は要らない」
虎が近づいてくる。
男は痛みに耐えることが精一杯で反撃することができない。
それでも、せめてもの抵抗として虎に向かい腕を伸ばすが、
「邪魔」
ぼとりと音を立てた。
伸ばした腕が軽くなる。どうやら切り落とされたらしい。もう一方の手も同様だ。
最早、男に残るのは二本の脚だけ。それも時間の問題だろう。
「笑顔が好きだからと...女子らしいのが好きだと...其方が言ったから私は...!」
斬り裂かれ、斬り落とされ、男が懇願してもそれが止むことはない。
幸運だったのは、男がただのヒトではなかったことか。たとえ致命傷でも心臓を貫かれぬ限り絶命することはない。
しかし、いくら傷が治ろうとも虎の捕食が止むことはない。次第に回復力も落ち、最後には虎に抱きしめられることになった。
「あはは、これで良い。
其方はただ、私のことを思ってくれるだけで良いのです。ここに居てくれるだけで良い」
男は微かに回復させたその目で虎を見ていた。幸せそうに胸に顔を埋め、自らのものだと誇示するように強く抱きしめる虎を。命の炎がきえ、虚いでいく目で、いつまでも、いつまでも。
“嫌だ“
「そばに居てください。私のことを拒絶しないでください....」
だが、虎は気づいていなかった。
男の斬り裂かれた手足に触手が生え始めていることに。
“まだ、終わりたく、ない“
それは逃走手段。
拒絶するつもりはない、傍にいる事もある程度は善処しよう。
だが、生き飼いされるつもりは毛頭ない。
虎の手を振り解き、男は逃走を始める。
この行動は矛盾している。これまでの男は“死にたい“と願っていた。しかし、今はどうか。
“死にたくない“、その生存本能が死にゆく男を突き動かした。
「なんで、なんで...どうして私を、私だけをみてくれないんですか?」
顔を歪ませ、虎はその後を追う。その目に光はない。
今度こそ手に入れて見せよう。もうドコヘタリトモイカセナイ。
男は既に死に際の獲物に過ぎない。自慢の足はなくなり、ただ歩行機能を持った触手を引きずりズルズルと逃げ場を探している。後ろからは自分を探す虎の鳴き声が響いている。
「......!」
思わず逃げ込んだ狭い一室。だが、それは悪手だった。
そこは厠。
もう、逃げも隠れもできない。
扉が開く。
虎が血の匂いを嗅ぎつけ追いついた。
“見つけた“と感情のない笑みを浮かべ虎は再び刀を振りかぶる。その醜い触手を切り取り自分のものにする為に。
男に刃が迫る。もう逃げることはできない。しかし、それを受け入れることもできなかった。
だから、思わず、
「あれ....ゲホッ...あ、あはははっ!!」
女の体を貫いてしまった。
血に染まる白銀の髪。その胸には心臓を貫いた触手。
致命傷である。
いかに神仏の化身といえど、死は避けられない。
それでも景虎は笑っていた。
「これで、これで...一緒にいられますね!」
男の胸に深々と刀を突き立て、その命が果てるまで笑う。
もう逃がさない。これで何時迄も彼は自分のモノだと、笑った。
それが叶わぬことだとしても。
男は朽ちていく。また一つの生を終わらせようとしている。
女は最後まで力強く抱きしめてきた。事切れるまで、何時迄もずっと、ずっと。
「(ああ、どうしてこう、上手くいかぬ)」
最後に浮かべたのは後悔か。
消えゆく体に別れを告げ、冷たくなる彼女の頭を撫でる。
「(似ていたんだ、似ていたから入れ込んでしまった。ごめんなさい...ごめんなさい...ごめん、な...さい)」
そうして塵となって何処かへと消えていった。
その後のことは誰にも分からない。ただ事実として、その日、二人の人間が死んだことは確かだった。
◇
「大丈夫...大丈夫だから。そろそろ離してほしいな」
「....」
先程から何も喋らず、ただ抱きしめてくる彼女に優しく話しかけた。
押さえつけられた時はどうなるやらと思ったが、抱擁してくる彼女を受け入れるだけで済んでいる。
「何もなかった、何もなかったんだ...お虎さんは、その、大切な人であることは変わりないけど、ただそれだけだ」
そう、何もなかったのだ。
それで良いじゃないか、その方がお互い幸せだ。
嘘で隠した方がいいこともあるんだ。
けど、そう上手くはいかない。
君が嫌いなことは"嘘"...僕は結局どうすればよかっただろうか。
「...嘘吐き」
顔を上げたアタランテに睨み返される。
しまった、どうやら誰かに話を聞いていたらしい。殿か、森君、それとも茶々、はないか...誰にせよ余計なことをしてくれたものだ。
抱きしめてくる腕の強さはより一層強くなる。
「忘れてしまえばよかったのだ」
「.....」
「百の人生を繰り返せば、それだけ生の実感が薄れていくだろう。それは薄い生を放り捨てているだけだ。だから、忘れてしまえばいいのだ。
そうすれば、苦しむこともなかっただろうに」
それは、確かにそうだ。
そうすれば、ただの怪物として死ねただろう。誰を理解することもなく、理解されることもなく、純粋な悪役として。
でも、できなかった。できなかったんだ。
「それでも...覚えていたかったんだ.馬鹿な真似もした、救えなかった、人もたくさん殺した、殺されることもあった。それでも、忘れたくなかった。良いことや、大切な出会いもあったんだ。勿論、君と出会ったこと、恋をしたこと。それも大切な物の一つなんだ」
これは本心だ。
嘘偽りない、僕自身の思い。
けど、彼女は納得してくれないようだ。不機嫌そうに耳を絞り、あいも変わらず目すら合わせてくれない。
「ふんっ、都合の良いことだけでは納得せぬぞ。この浮気者...!!」
「ん゛ん゛」
ズキリと胸が痛む。
そんな言い方はないじゃないか。
まだまだ、彼女の怒りは鎮まらない。
「私は汝のことを、ずっと、ずっと想っていたのに。お前は他の者にうつつを抜かしていたというのだからな」
「そんなこと...僕は君のことを愛していた。それは今でも変わらないよ」
たとえ、僕が偽物だとしても。
「っ...どうだか?愛してるというなら、私を放ってあの女のところなどに行かぬであろうよ」
「むっ...」
それは、悪かったと思ってる。
けどそれとこれとはまた、別じゃないか。
「あの女が好きならば今からでも行ってくればいいだろう!ああそうさ、何処へなりとでも行ってしまえばいい!!汝などもう知らん!」
そう吐き捨てると、ベットから離れ部屋の隅っこの方へ毛布を被り塞ぎ込んでしまった。声をかけても“うるさい!“、その一言で終わりだ。
何処なりとでも、か。行かないでって言ったのは君じゃないか。
その通りに出ていくこともできる。一度、頭を冷やすのもいいかもしれない。
けど、それは違うのだ。悪いのは僕だし、原因も僕だ。
なら、謝るのが筋というものだ。
「ごめん、ごめんね...もう黙って何処かに行かないし、出かける時は一声かけるよ。君との時間をもっと大切にする。だから、さ」
それでも、返事が返ってくることはなかった。困った、完全にヘソを曲げてしまったみたいだ。
ならば、
「今日は...寒いね」
「知らん」
「...一緒に寝たら暖かいだろうなあ」
「....」
「....」
待てども、待てども返事は返ってこない。
仕方ない、今夜は一人寂しく寝るかなと彼女から視線を外し、体も反対に背ける。
すると、毛布が捲れ隣に暖かな体温が現れた。腰に回される腕が愛おしい。僕は黙ってそれを受け入れる、お互い顔を合わせぬまま数刻、また数刻と時は流れる。
「愛してるって言って欲しい」
掠れた声が聞こえる。今にも消えそうな小さな声で、
「愛してる」
それくらいお安い御用だ。
「本当?」
「当然」
「...なら良い。でも...できればあの女のところに行って欲しくない」
「善処するよ」
少し力が強まる。
「わ、分かった。月一ぐらいにしておく」
「...朝帰りは無しだ」
「ははっ、うん。了解です」
つい飲み過ぎてしまうのは悪い癖なのだろう。人のこと言えないな。
彼女の方へ向き直り、今度は僕の方から抱き締める。このまま眠ってしまおう。でも、アタランテはそれを許してくれなかった。
「寝る前に風呂だ。汝から私以外の匂いがするのは...あまり好かん」
スンスンと匂いを嗅ぎながら彼女は上目遣いで言ってきた。
「...お手柔らかに」
自分のモノだと主張されるのも悪い気はしないのだ。
◇
今日も美しい満月...といってもシュミレーター内の景色なので風情などないのだが。
一人寂しく酒を飲む。いつからだろうか、一人で飲むのがつまらないと感じてしまうようになったのは。
...私だけを見て欲しかった。ただ,そばに居て欲しかった。まあ,今更虫が良すぎるというもの。
「でも,安心しました。其方は再び会うことができたのですね」
彼があの狩人に向けている笑顔は私が見たことなかったもの。それを思い知るたび,心が苦しくなる。
けど,彼は彼であって彼じゃない。私が恋した彼は,私自身で殺してしまったのです。
だからこうして一人で酒を飲む。いつもと変わらぬ一日の終わり。
しかし,今日は来客がいるようで,
「もし?よろしければ同席させて頂いても?」
「んあ...?」
声が聞こえた。その声は何処か懐かしくて,反射的に後ろを向いてしまった。
そこには,あの頃と変わらず同じ格好で,いつも通りお酒を手に私のところに来てくる彼がいた。
「どうして。今日は,駄目だって...」
「ん?ああ、そうですね。アタランテのことはあっちの僕に任せます。この僕は...まあ亡霊みたいなモノです。一時的に体を得ているだけですから」
彼はよく分からないとこを言いながら私の隣に座る。
そして酒を注ぎ私に差し出すのです。
「んぐっ...んぐっ...美味しいです」
「でしょう?蔵から拝借して来た甲斐がありました」
今まで飲んだことのないような優しい味わい。彼の故郷の酒だと言う。
これはあの日の再演なのだろうか?なら,もう一度聞いてみようか。
「———今夜は...月が綺麗ですね」
以前聞いた話では,当世ではこのような言葉で相手に思いを伝えるのだとか。答え方を彼が知っているかは定かではないが思わず言ってしまった。
返事を待つ。
答えはわかってる。これは意味のない問答,それでももう一度聞いてみたかったのだ。
彼はあの日と同じく口を閉ざしたまま俯いて,暫くした後,再び顔を上げ口を開いた。
「...死ぬのはごめんです」
「そうですか」
ああ、これで良い。これで良いのです。
私たちはこの関係が心地良い。
「それにしても...其方が持ってくるお酒は、本当に美味しいですね」
ああ、今日もお酒が美味しい。
上げるたびに減っていくお気に入り、薄まっていく評価。
なかなか文章力が成長しないのが悔しい。
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