文字数がかなり多くなって分けることにしました、長いと皆さん読むのが大変だと思うので...
もう少し読みやすい文章で書きたいなあ
今日も先輩の家に訪れる。まだ先輩は起きていないようなので朝ご飯を作っておくことにする。今日は焼き魚と付け合わせの白菜の漬物と味噌汁で中々の自信作だ。
「おはよ―桜ちゃん!う~ん、今日もおいしそうな匂い!!」
そうこうしているうちに藤村先生もいらっしゃった。その元気なあいさつで先輩も目が覚めたようで、私に寝坊したことを謝るとすぐに朝食の準備のお手伝いをしてくれる。
「「「いただきます」」」
...うん、美味しい。途中から先輩に手伝ってもらったけど我ながら成長していると思う。先輩の様子が気になり横目で見てみると...何だか調子が悪いようだ。顔色もあまり良くない。
「そうだ、士郎 今日は朝起きるのが遅かったみたいだけど何かあった?」
さすが藤村先生。先輩のちょっとした変化も見逃さずはっきり聞くなんて...私もそんな勇気が欲しい。
「...昔の夢を見たんだよ。目覚めが悪かっただけで全然大丈夫」
「なんだあーいつものことか。じゃあ安心安心」
そう言って食事に戻る先生。先輩は昔からうなされることが多いようで今日もそうだったのだろう。
朝食を食べ終わり学校に登校する支度をする。藤村先生は一足先に原付で向かった。「遅れちゃダメよー」はお決まりのセリフ。
「よし行こう...桜、どうしたんだ? また気分でも悪いのか?」
「...いえ、わたしは大丈夫です。先輩の方こそ今朝は体調が悪そうでしたし...昨日の痣が悪化しているんじゃないですか」
「いや、あれきりとくには...」
やはり左手には令呪のような紋章がうっすらと浮かんでいる...やっぱり見間違いじゃなかった。
「あー...心配すんな。こんなのつばでも付けとけば治るって。それともなんだ、桜が間違えて踏みつけちゃって、とかだったりするのか?」
む...それはあんまりだ
「そんなことしません!...そんなに重いわけじゃありませんし わたしは、ただ...間違いだったらよかったなって」
「?」
先輩はまだ聖杯戦争のことを知らないはずだ。でもいずれ巻き込まれてしまうかもしれない。それは嫌だ。
「先輩お願いがあります」
「うん?」
「わたし明日の夜までここに来られないんです。その間なるべく家の中にいてくれませんか?」
「バイトとかも休めってことか?」
「はい、最近物騒みたいですし」
少なくともこれで先輩が巻き込まれる可能性は減った。夜に出歩かなければ安全なはずだから。
「ふーん...じゃあ久しぶりに羽を伸ばすかな」
やはり不自然だっただろうか。不思議そうに先輩は見てくる。それでも――私は先輩を守りたい
それから特に会話はなく、私たちは登校するのだった。
◇
「あっ桜...ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「遠坂...先輩...はい、何ですか?」
廊下を歩いていると声をかけられた。
この人は遠坂凛。同じ学校の先輩で時々私に声をかけて気遣ってくれる...わたしの―――
「ちょっとしたことなんだけどね...その、昨日桜が帰る途中だったんだと思うんだけど、金髪の外国人に話しかけられてなかった?」
「っ――――――」
”いまのうちに死んでおけよ娘”
あの人に言われたことを思い出した。
「...見てたんですか」
「ん たまたまね...知り合い?」
本当のことを言ったところで意味はない。結局のところ何も変わらないのだから。
「...道に迷っていたみたいなんです。何を言っていたのかはちょっと...」
「ん、そっか。ならよかった」
何でこんな時だけ気にかけてくれるんだろう
「桜...最近どう?」
「あ、はい。元気です、わたし」
「慎二はがまた何かやったら言いなさい。あいつは度っていうのを知らないみたいだから」
私が何をされていたのか知らないくせに
「心配いらないですよ先輩。兄さん最近優しいんです」
私はまた一つ嘘をつく。
◇
今日は兄さんの言いつけ通り先輩の家に向かわず自宅に帰る。今日は部活で少し遅くなってしまい、既に辺りは真っ暗だ。
「―――おい!どうなってんだよキャスター!!」
家の前に着くと外からでも聞こえる怒号が響いていた。兄さんがキャスターに怒りをぶつけている。
「なんなんだよあの学校の結界、あっさりと封印されてるじゃないか!!しかもろくに魔力は集まってない!」
「...まあ適当に張ったからね」
「適当って...お前キャスターなんだろう!?」
「人には得意不得意もあるってことだよ。だからこうして魔術の勉強をしてるんじゃないかシンジ」
キャスターは目の前に間桐家が所有する魔導書を広げている。しかしながら、そのどれもが初歩的なものばかりだった。
「...ばかにしてるのか」
「まさか、それに僕だって成長してるよ。使い魔程度なら作れるようになったし...まあ視覚共有は練習中だけど。褒めてほしいくらいさ」
「クソッ...!」
慎二はイラつきが隠せないようだ。キャスターは相変わらず魔導書を読みふけっており既に目の前の兄さんのことはどうでもいいみたい。
「兄さん?」
恐る恐る声をかけるが、怒りで周りが見えてない兄さんは私を無視してどこかへと出ていってしまった。最近は夜遊びが激しい、お爺さまがいなくなったことでより態度が増長しているのだ。
「あっ...兄さんご飯は......行っちゃった」
まあいつも食べてくれないし、機嫌が悪い時は食器を投げつけてくる始末なので放っておくのが一番かもしれない。
残るのはキャスターだが...
「お帰り桜 どうしたの?」
「いえ、その...兄さんが怒鳴っていたので」
「さぁ?思春期ってやつじゃないかな?可愛いもんさ」
...多分違うと思う。
「そうだ、晩ご飯食べますか...あっ、サーヴァントには必要ない「本当に!?是非食べたい!!」あははっ...すぐ作りますね」
凄い喰いつきようだ。もしかしたら食べるのが好きなのかもしれない。キャスターはすぐに机に広げていた本をしまい大人しく座っている。
キャスターはギリシャ出身だと言っていたから洋風な料理にしよう...グラタンなんてどうだろうか。慣れた手つきで料理を作る、いつも先輩の家で食べることが多いのでこうしてこの家で誰かに料理を振舞うのは久しぶりな気がした。
出来上がった料理をテーブルに置くとキャスターは早速食べ始めた。
「う~ん!美味しいよこれ!!桜は料理が上手なんだね!」
「そんなことないです...まだまだわたしなんて」
まさかこんなにうれしそうに食べてくれるなんて。作った甲斐があったというものだ。
「そうだ、作り方を教えてよ。作ってあげたい人がいるんだ」
「構いませんけど...誰に作ってあげるんですか?」
彼はサーヴァントであるためこの時代に知り合いがいるわけでもないだろうに...
「うん...僕を待ってくれている家族がいるんだ。いつかまた会えた時に...喜んでもらえたらいいなって思ってね」
どこか遠くを見るような目で答えるキャスター。
家族...少しだけうらやましくなった。わたしにはそんな存在程遠いものだから。メモに作り方などを書いて渡し、自室へ戻ろうとした、その時
「ん~...なんだ?」
何かあったのだろうか。キャスターの顔が険しくなる。
「どうかしたのキャスター?」
「試しに使い魔を遊ばせていたんだけど、大きな魔力を感知したらしくてね...多分新しいサーヴァントが召喚されたんだろう」
いやな予感がする。
「...場所は分かるの?」
「多分、武家屋敷のあたりかな。ほらサクラが朝に通ってる」
――――先輩の家だ
「魔力の大きさからしてサーヴァントが三騎と魔術師が二人かな。う~ん視覚の共有の仕方がよく分からないなあ、実際に行った方が早いか」
...本当にキャスターなのだろうか?いくら何でもここまで魔術の知識がないなんて
「で?どうするサクラ」
キャスターが尋ねてくる。どういう意味だろうか。
「生憎シンジはいない。つまり今はサクラが僕のマスターってことさ。でだ、あの場所には恐らくだが他のマスターもいるに違いない...今がチャンスだ。命令してくれたらサーヴァントが争ってるうちに一人くらいマスターを殺すぐらいならでき「―――やめて!!」...」
まだ確定したわけじゃない。でも、もし先輩がマスターになっていたら...そんな嫌だ。
「もし、他のサーヴァントと戦うことがあってもマスターだけは殺さないで...」
令呪を使ってもいないただのお願い。私は俯きながら話しているのでキャスターの表情は分からない...何を言っているんだろう私、戦うのが怖くって兄さんにキャスターを押し付けているのに、卑怯者の癖に。
―――先輩にこんな姿を見られたくない
キャスターが口を開く
「―――分かった。他ならぬサクラのお願いだ、善処するよ。ご飯も食べさせてもらったしね。それに、そこまで言うのは何か事情があるんだろう? 大丈夫、知り合いと戦いたくない気持ちはわかるつもりだから」
そう言って私の頭を撫でてくれた。どうやら今回は傍観に徹してくれるらしい。少しだけほっとした。
「でもシンジに無理矢理命令されたときはちょっと難しいかもしれないな。一応手加減はするけど...期待しないでね」
兄さん...あの人なら平気でそんなことをするかもしれないけど今はキャスターを信じるしかない。いざとなったら私の令呪で――
「さてと僕は魔術の勉強に戻るとするかな。サクラも早く寝るんだよ、女の子なんだから健康にも気を使わないとね」
「あっ、はい。えっと...おやすみなさい」
まるで子供を窘めるような言い方をしてキャスターは書庫へと向かっていった。
いくつかの不安が残ってはいるが、私には何もすることができない。明日の夕方にでも先輩のうちに寄ってみよう。きっといつも通りの日常があるはずだから――
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