【悪役を押し付けられた者】   作:ラスキル

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ポケモンマスターになっていたら一ヶ月経ってしまっていた。図鑑も埋め、マスターランクに至った私はようやく筆を取り始めたが、運が悪く魔法使いの夜が届いてしまうのだった。

今回のお話はウルク3人組の冒険のお話です。幼い怪物が彼等からなにを得たのか、本編に続くような、若干違うようなそんなお話。

ウルクの怪物ちゃん/くん

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泥人形と怪物 「忘れるべからず」

賑わう街道。その中を緑の人は進んで行く。

美しい緑の髪、透き通るような白い肌。人々は彼/彼女を目にすると様々な反応をする。それは畏敬だったり、あるいは畏怖だったり。それを気にすることなく彼/彼女は目的地へ進んでいく。

...ここでは彼と言わせて頂こう。

彼が目指すのは友達がいる場所。彼は今日も激務に追われているのだろうか。あの子はまた眠っているだろうか。

そんなことを考えながら友の居るジグラットへと足を進めた。

 

 

怪物は人の姿をしていた。初めは恐ろしい異形の怪物だったが、王と泥人形に諭されたことで——簡潔に言えば分からされた———人として歩むことを選んだ。

その姿は泥人形と瓜二つ。違う事と言えば、彼が美しい緑の髪に対し、怪物の髪は夜のように黒く染まっていた。そして外見も人形に比べて幼かった。

泥人形が一人の娼婦の姿を模倣したように怪物は泥人形の姿を模倣したのだ。

 

怪物の名は“クル=マヴロス“

神々に恐れられ、星にすら嫌われた怪物。

そして僕の小さな友達。

クルは今、ウルクの祭祀長のシドゥリの膝に寝ていた。友達が遊んでくれるのを待ち侘びながら。

 

煌びやかな装飾の椅子に座る王様は退屈な国政に追われていた。抜け出すのは容易いことではあるが、祭祀長であるシドゥリの目が光っているうちは渋々ながらも作業にあたる。

そんな様子をシドゥリは笑顔で見守り、膝に寝転んでいる怪物の頭を撫でる。

 

「....暇だなあー」

 

「....」

 

足を大の字に広げてクルは精一杯自分の退屈さをアピールした。

その要求を王様は答えるでもなく、無視を選んだ。今は構っている暇はない。目の前に山積みされた粘土板に目を通さなければならない。

クルはそれを聞こえてなかったと判断したのかより一層声を張り上げるのだ。

 

「ねえ!!ギールー!!ボクは!!ひーーーまーーーだーよ!!」

「たわけ、少しは我慢を覚えよ...シドゥリ、次の粘土板を」

「はい、こちらになります。

クル?王はお忙しいのです、もう少し待っていましょうね。」

「ん〜〜!」

 

シドゥリが宥めようとするも、本人にとってはもう十分に我慢したのだろう。膝下を離れ、ゴロゴロと縦横無尽に王の間を転がり回った。

全ては目の前の友人の興味を引くために子供のように駄々をこねるのだ。

それでも王様はちっとも振り向いてくれない。

 

そんな騒がしい様子を僕は外から眺めていた。

彼らの楽しそうな様子を見るのもいいが、そろそろ輪に混ぜてもらおうか。

 

"やあ、今日も元気だねクル"

 

クルはこちらに気づくとすぐに駆け寄ってくる。以前は僕を怖がってる様子もあったけど今では足に抱きついてくるほど関係は良好だ。

 

「遅いよ!ボクずっと我慢してたの!」

 

どうやら悪いことをしてしまったみたいだ。謝罪の意味も込めて先ほど市場で貰った果実を渡す。クルは食べることが何より好きだ。いや、どちらかと言うと取り込むことが好きなのかもしれない。

 

『これは魚です。さあ言ってみて』

『さ...あにゃ?』

『さ・か・な』

『さ..か..な』

『ええ!よく出来ました!』

『さかな。さかな、さかな...魚』

 

人の言葉が喋れなかった頃はシドゥリが熱心に教育しようとしたが、彼は一度聴いただけであらゆる知識を自分のものにした。単純に貪欲なのか、それとも、そうあれと作り出されたのか。

 

『いいですかクル?誰かに親切にしてもらった時は“ありがとう“と言うんです。あ・り・が・と・う、ありがとうですよ』

『あり..と。あり、がと。ありがと!ありがと!』

『ふふっ、何度も言わなくてもいいのですよ』

『シドゥ、ありがと』

『まあ!ご覧ください王よ、クルは本当にいい子です!』

『ほう?では我に対しての賛辞の言葉でも覚えさせるか。今のうちから教育するのも悪くない。ほれ、“ギルガメッシュ王万歳“と言ってみるといい』

『べ〜〜〜〜!』

『あら!?』

『な!?おのれ、誰に向かってそのような無礼を...エルキドゥ!また妙なことを覚えさせおったな貴様!」

 

僕の知るところではないが彼がそう望むのであればそれでいいのだと思う。

 

「甘やかすのも大概にしろエルキドゥ。此奴は自分で待つと言ってまだ半刻すら経っていない。偶には辛抱というものを覚えさせねば...」

 

クドクドとギルは何かを言い始めた。“君だって何かと甘い癖に“といつもながら思ってしまう。今だってこれから僕達との約束を守るために職務を済ませようとしている。

けど、クルはその言葉にムッとしたらしい。頬張っていた果実を飲み込み、再び大の字に寝転がると駄々をこね始めた。ギルの呆れた顔が面白そうなので僕も一緒に寝転がることにした。

 

「「ヒマーーー!!」」

 

「ええい、うるさいわ!これでは終わるものも終わらぬであろうが!」

 

顔を真っ赤にして怒る。それが面白くてクルと顔を見合わせて笑った。

 

これは僕達が行った最後の旅のお話。その断片的なものである。

 

 

ギルの仕事も片付き、僕らは船に乗り込んだ。この船で今からユーフラテス川を下り運河に出る。そこから先は未知の世界。僕らが見たことないような景色が待っているのだという。

 

「エルキドゥ、これを」

 

船に乗る際、シドゥリにバスケットを手渡された。中を開けると美味しそうな匂いが溢れた。どうやら食事が入っているようだ。

 

「あの子はすぐにお腹をすかせるでしょうから。もちろん、お二人の分も用意しておいたのでお昼にでもお召し上がりください」

 

彼女が作る食事はどれも非常に美味しい。思わず頬っぺたが落ちそうなものというのは彼女の料理のことなのだろう。

“ありがとう“とバスケットを受け取り船に乗り込む。

既にギルとクルは乗り込んでおり、どちらが船を漕ぐかで揉めているようだ。ギャアギャアと騒ぐ声が聞こえてくる。結局順番で漕ぐことに決まり、最初はギルが漕ぐことになった。

 

「おのれぇ、なぜ我がこのような雑事をしなければ」

 

見送るシドゥリに手を振り、僕らは旅立つ。

 

こうして僕らの冒険は始まった。

 

旅は順調、天気は良好。僕らは運河を下り海へと出る。我らが目指すは世界の果て...それは言い過ぎた。でも、僕らならそれも可能なのかもしれない。

さて、目の前に広がるのは青く澄み渡る海にどこまでも広い海、海、海、海...なかなか陸地は見えてこない。そもそもこの辺りの地理などわからないので適当に船を漕いでいる。だから当然と言えば当然なのだが。

国を出てはや数時間。目新しさがあったのも束の間、退屈を感じてしまっていた。

しかし、この暇の潰し方を考えるのも旅の醍醐味なのだ。

 

「「......」」

 

というわけで僕とクルは海面に腕をつけ、ジッと待っている。

相手を誘うように、小魚のように腕を揺らす。こうする事で誘き寄せることが出来るのだ。

今か、今かとその時を待つ。

 

「——————!!」

 

どうやら先にかかったのはクルの方だ。

腕に喰らいつく大きな魚。引き摺り込まれないように体に力を込め一気に引っ張る。

 

「やった!」

 

それを見事吊り上げ自慢げに胸を張った。

 

「むふぅー!」

 

ふふっ、だが甘いね。

狙うならもっと大物ではないと。

 

「...釣竿を使わぬか」

 

呆れたように見ているギルを尻目に僕は腕をさらに伸ばす。深く、深く、海底の底へと。

 

“きたね“

 

腕に何かが絡みつく感触。

それを合図に一気に引き上げる。

 

ザバっと水音を立て引き摺り出されたのは、

 

「オレハイカーー!」

 

巨大な白い怪物—— 大王イカ———

突然引っ張り出されたのが頭にきてしまったのか、長い触腕を振りあげ僕らを叩き潰そうとしてくる。

 

「オコッター!オコッター!!」

 

どうやら怒らせてしまったようだ。謝れば許してくれるだろうか、駄目だろうな。それとも迎撃するべきか。

悩んでいる暇ない。

ので、

 

“ギル?“

 

あくびをしている友に声をかける。

 

「....失せよ」

 

ギルはめんどくさそうに空に手をかざす。

 

「!?」

 

すると空間が煌めき、槍や剣が顔を出した。勢いよくイカに発射される。

武具が触腕を切り裂き、巨体が苦悶の声を上げた。

 

「イターイ!イターイーーーーー!!」

 

予期せぬ反撃に恐れをなしたのか、武具が刺さったまま可哀想な大王イカは逃げ去ってしまった。

 

「はっ、回収する気にもならんわ...モグモグ...」

 

切り取ったイカ足を齧りながらギルは言った。

...姿焼きにしようと思っていたのに。

 

「これ、あんまり美味しくない」

 

味は大味だった。

何事も大きければ良いと言うわけではないようだ。

 

 

船を進ませると、やがて陸が見えてきた。いよいよ見つけた新天地。

しばらく探索すると大きな洞窟があり、僕らはきっとお宝があると考え、中に入っていく。洞窟の中はジメジメしていてなんだか気味が悪い。

少し進むと、開けた空間に出た。まるで、何かの巣のようだ。

やはりと言うべきか、そこにいたのは、

 

「■■■■■!!!」

 

九つの頭を持つ大蛇だった。

 

「ぬおおおおおおお!!」

 

意気揚々と大蛇に挑んだギルは、最初こそ首を切り落とし高笑いをしていたが、大蛇はそれでは死ななかった。なんと、首を切り落とされた全ての傷口から二本の首が再生し、あっという間に倍以上の首に増えてしまった。

これにはびっくり仰天。再び全ての首を切り落とすが、またも再生を繰り返しさらに倍になった首。なので、たまらず逃げている訳である。

 

「よもやこのような結果になるとは、我の目をもってしても読めなかった...!」

 

だからやめとこうって言ったのに。君は一度反省したほうがいいと思う。

そんなことを考えながら共に走る。

 

「モグ!モグモグ!...モグッ!?」

 

ギルはクルを抱えながら逃げている。歩幅が小さいので抱えないと追い付かれてしまうんだ。

無造作に抱えられたクルが文句を言っていたようだが、口をモゴモゴさせていたので何を言っているのかはよくわからない。

 

「貴様、この状況で何を呑気に食べている!...何?さっきのイカが噛みきれない?ええい、ぺっするか、飲み込むのだ!」

「...ゴクン」

「よし!」

 

後ろを振り向けば怒り狂った百の頭を持つ大蛇。

“このまま逃げるかい?“と問うが、「王が畜生如きに背を向けて逃げ帰るわけなかろう!」と絶賛背を向け逃げているギルは答える。

とはいえ、どうしたものか。あの大蛇は致命的に僕らと相性が悪い。

あの再生力さえ阻害できればいいんだけど、

 

「あれ、焼いたら美味しい?」

 

クルが大蛇に指を指す。

...どうだろうか?

見たところ、あの大蛇は気味が悪いほどの鮮やかな体表をしている。ああいった生き物は大抵毒を持っているのだ。

“前に赤いキノコ食べてお腹壊してしまっただろう?あの蛇も同じようなものだから、ちょっと難しいかもね“

そう言い聞かせると、残念そうに項垂れてしまう。

 

「こんな時まで食い意地が張るとは...いや、待てよ」

 

ギルはニヤリと笑う。

 

「よくやったぞクル。後で褒美をやろう」

「「?」」

 

首をかしげる。

一体どうしようというのか。

 

「ふっ、万事この我に任せるが良い」

 

自信満々のようだ。

どうやら良い作戦を思いついたらしい。

 

「エルキドゥ、クル。お前たちは奴を縛りつけろ。出来るな?」

 

“うん“と頷き、僕らは左右に展開する。

 

“クル、準備は良いかい?“

「うん!」

 

僕は大地に体を同化させ、少しだけパーツを鎖の生成に使わせてもらう事にした。クルも僕を真似して鎖を産み出す。僕らに違いがあるとすれば、借りるか、奪うかの違いだろう。

二人の鎖は大蛇に絡みつく。ギッチリと鎖に縛られ、大蛇はその場から身動きが取れなくなってしまった。

それを見計らってギルは勢いよく躍り出る。

 

「フハハハハハハハ!出し惜しみはせんぞ?」

 

こうなってしまっては大蛇は文字通り手も足もでまい。百の頭を数百の武具を持って斬り落とす。その様子は暴風さながらで大蛇の首を全て薙ぎ払ってしまった。しかし、大蛇の首はすぐさま再生を始めてしまう。

 

「させぬわ、火炙りにしてくれる!」

 

ギルの背後から溢れ出した炎が大蛇を取り巻く。

 

「善い、善いぞ。それでは傷の修復もできんだろう?」

 

首を修復すべく傷を癒そうとするが、傷口を焼かれた事によりそれも出来なくなってしまった。たまらず大蛇は暴れ狂い逃げ出そうとするが

 

「ムムムッ...」

「しっかり縛っていろ貴様ら!」

 

鎖に縛られていてはそれも叶わず、ただ嵐のような蹂躙を受け入れることしかできなかった。

 

数刻後にはプスプスと焦げ臭い匂いを立ち込めながら大蛇だった焼肉は地に倒れ伏した。

 

「この我が蛇如きに遅れをとるわけがないであろう。その身を持って理解できたことを光栄に思うがいいわ!」

 

「さすが我、さす我!」と焼け焦げた死体の上で下品に高笑いをするギル。...ああいったことを言っちゃうから後で酷い目に合うんだと思う。突然やって来た部外者に殺された大蛇を少し不憫に思ってしまう。

 

「ね、ね? ご褒美!ご褒美は!」

 

ギルの腕を引き、顔を輝かせながらクルは呼びかけた。よほど楽しみなのだろうか、ぴょんぴょんと飛び跳ねている。

 

「ハハッ、そう急かすでない。しばし待て...確かこの辺りに仕舞っていたな。ええい、これでもない、あれでもない」

 

ガサゴソと蔵の中を漁る音が聞こえる。

 

「ほれ、此度の褒美だ。有り難く受け取れよ」

「おぉ〜...?」

 

投げ渡されたそれはクルにはよく分からないもののようだ。

ギルが渡した物それは、

 

「我の宝物庫の鍵だ」

「カギ...?」

「そうだ、お前に預ける。その鍵を無くさずに持っているのだ」

「持ってるだけでいいの?」

「ああ。我の財宝を盗み出そうとする不埒な輩が居る...とは思えぬが、なに万が一もあるだろう。お前が持っていることで我の財宝は守ることができる」

 

そして、とギルは言葉を続ける。

 

「この鍵は、我とお前の友の証でもあるのだ」

 

...ギルの言葉は幼い怪物にどれくらい伝わっているのだろうか。

それでもガッチリと鍵を握りしめ、クルは顔を上げて答えた。

 

「うん、いいよ。ボクがギルの宝物を守るから。 友達だもん!」

「ほう...よいかクル」

 

僕は背後にいるため、彼の表情を確認することは出来なかった。

 

「我にとって友とは我が財と同義である。お前も、エルキドゥも我の友であり、財であることをゆめゆめ忘れるでないぞ」

 

けど、その優しげな声色から分かる様に穏やかな笑みを浮べていたのだろう。

満面の笑顔で首を縦に振りクルは此方に駆け寄ってくる。

 

"よかったね。大事にするんだよ"

 

抱き寄せ、優しく頭を撫でた。

暖かな体温が伝わり、ポッと僕の中に一つの暖かいものが生まれる。この胸に感じた想いを僕は理解することはできない。

...それでも

 

"誰がなんと言おうとも、誰もが君を憎んだとしても。僕は、僕らは君のことを祝福している"

 

どうか、この怪物が幸せになりますようにと力強く抱きしめるのだった。




主人公の最初のお名前。意味はそのまんま。
桜と怪物はこの時より少し成長した姿でギルガメッシュと対峙している、的な感じ
成長した怪物(AI)

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元絵

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この後のお話はfgo編に投げるということで。彼らの別れのお話はまた別の機会にでもかけたらいいかな。

本日は二本投稿。 次は短編最終話です。彼とアタランテのお話をお楽しみください。

fgo 編のアタランテと怪物の関係 どれが見たい?

  • イチャイチャ
  • つよつよ奥様
  • しっとり/依存
  • 無関心/やり直し
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