ここを訪れる者はみな人ではない。
その異界に怪物は呪いを吐きながら立ち入る。
◇
Ζω στον ύπνο. Μόνος και σαπίζοντας στο σκοτάδι.
Σήμερα είναι η ημέρα του θανάτου μου, τα γενέθλιά μου.
Έλα, πάμε να σε δούμε.
私は眠りの中で生きている。ひとりきりで暗闇の中、腐っていく。
今日は私の命日であり、誕生日。
さあ、君に会いに行こう。
Η ζωή μου είναι αθάνατη, αλλά τελικά εξαντλήθηκα.
Είμαι φάντασμα. Είμαι έξω από τον ορισμό της ζωής.
Εσύ, υπέροχη, υπέροχη εσύ. Παρακαλώ, θα σας δω στο μέλλον.
私の命は不滅ですが、とうに疲れ果てました。
私は亡霊です。生命の定義からは外れている。
愛おしいキミ。可愛らしいキミ。どうか、未来で会いましょう。
Ήταν λάθος να τους αγαπάς.
Είμαι αμαρτωλός και δεν αξίζω πια.
Είμαι αμαρτωλός.
Έχω σκοτώσει τους φίλους μου.
Είμαι αμαρτωλός.
Θέλω απλώς να πάω σπίτι.
Είμαι αμαρτωλός.
愛したのは間違いでした。
私は罪深く、もはや価値はない。
私は罪人です。
友を殺した。
私は罪人です。
私はただ帰りたいだけです。
私は罪人です。
Κανείς δεν θυμάται πια το όνομά μου. Εγώ ο ίδιος το έχω ξεχάσει.
Έκανα λάθος από την αρχή. Είναι οδυνηρό να ζεις.
Σας παρακαλώ κάποιος να μας σώσει.
私の名前はもう誰も覚えていません。私自身も忘れました。
はじまりから間違えていました。生きているのは苦しいです。
誰か私達を救ってください
Η αγάπη ήταν περιττή. Η νοημοσύνη ήταν βάρος.
Ω, η φύση μας είναι η στέρηση και η λογική είναι μόνο μια δεύτερη σκέψη.
Σε παρακαλώ, θάνατος. Σε παρακαλώ, δώσε μου το θάνατο.
愛は不必要でした。知性は重荷でした。
ああ、私達の本質は奪い合いで、理性など後付けに過ぎない。
どうか、死を。私に死を与えてください。
Δεν υπάρχει ανάγκη για ορθότητα. Αντίο στη σεβαστή κακοποίηση.
Είμαστε θηρία που καταβροχθίζουν το ένα το άλλο. Όλη μας η ζωή είναι ένα ψέμα.
...Έκανα ένα λάθος.
正しさなどいらない。敬虐はさようなら。
私達は食い合う獣。その生は全て虚飾。
...僕は間違えた。
◇
呪いの言葉を紡ぎながら怪物は祭壇へと向かう。
一歩、また一歩と進むごとに纏う魔力は高まり、周囲の空気は黒く染まる。
天と地を繋げるが如く揺らめく炎。
その祭壇の中央には今にも産声を上げようとする呪いの塊。
怪物はその前に立ち、道化のように笑うのだ...
笑う、笑う。
誰かがワタシを笑っている。
昔から妖精に捕まった子供は二度と家に帰れないという迷信がある。実際それは本当だ。現に、僕は帰る場所が分からなくなってしまった。
早く帰らなくてはいけないのに。いつの間にか帰る家は消えてしまった。
ずっと遠くにワタシの家。
ずっと遠くが僕の家。
『エイエンニ、エイエンニ、アソビツヅケヨウ』
笑う、笑う。
脳裏で誰かが笑い続ける。
きっと、永遠に帰れない。
全部■べた。家族を■した。何度も■んだ。神も、人間も誰もが
血に染まる両手。
それを見てワタシは笑った。
それでも、
『あ■■を■して■る、■つ■でも」
一度だけ、帰る場所を作った。
何万年もの時の中でほんの一瞬、何もかも、罪も忘れ、ようやく僕は帰———
消して消えてひび割れて、全部、全部ナイナイナイ
"ねえ、どうして動かないの?"
冷たくなった友の体に縋りつきながら僕は問います。
"...死だ。これが生きとし生けるものが決して避けられぬモノの名だ"
王様は涙を流しながら答えました。
ええそうです、僕は恐れたのです。死、という概念をそこで初めて理解したのです。
だから、逃げました。
別れも告げず、世界の裏側へ。だってそうすれば死ななくて済みます。
誰にも干渉されず、星の終わりまで眠りにつく。ほら、最高でしょう?
それを呪いは許してくれませんでした。
彼らは僕を攫っただけではなく、呪いまでくれていたようです。
英雄が生まれるたび、僕は世界に生まれるのです。
そして彼らの物語の時には悪役となり、打破されるのです。
何度も、何度も、何度も、繰り返しました。
それで気づきました。
これに終わりはないのだと。
ええ、正直喜びました。感謝さえしました、あの妖精達に。
老いもせず、死ぬこともなく、姿形も自由自在、そして巨人から奪った力もある。
終わりの遊び。
終わりのない旅路。
どうせ終わらないなら楽しもう、と英雄共の物語に介入したのです。
でも、楽観的でいられたのはア■■ン■と出会うまで、そこでワタシは■を、■を知ってしまったのです。
幸せでした。
今まで奪い、奪われ、憎まれ、憎み、呪われ、呪うことしかできなかった僕に彼女は■を教えてくれた。
共にいるだけで十分だった。
誰かを救うなど、彼女がいなければ決してやりもしない行いまでした。
家族ができた。帰る場所ができた。
僕はそこで初めて、人として帰ることが———
はいはい、歩みの末に消えまして。
...はて、なんだったか。
ああ、そうだ。
ワタシは死ななければならない。
なぜか、と問われると返答に困る。
もう限界なのです。
次はもう自我は持てない。
どんなに優秀な機械だろうとメンテナンスは必要です。
ワタシの呪いは、この万年の歩みで錆びついてしまった。
次この世界に生まれるときは、自我のない地縛霊と同等になるだろう。
それでは駄目だ、約束が果たせない。
誰と、何を約束したのか、もう思い出せないがワタシは...
いっそ獣に堕ちてしまえば良かったのに
◇
怪物は祭壇に立つ。
呪いを身に纏い、異界に立った。
「アンリマユ...この世すべての悪、か」
黒く聳え立つと柱にそれは居た。
肉体はまだ形成されておらず、未だ胎児のまま、それでもしっかりと怪物を見つめていた。
「60億の人間を呪う英霊、泥、肉塊、なれ果ててまで産まれたいのか」
怪物は無表情のままソレを見つめ返す。
似た者同士、押し付けられた者同士、思うことはあるが言葉にするまでもない。
誕生しようとする者、死滅しようとする者、両者は決定的に違っているのだから。
「馬鹿が、させるわけないだろう。人類が滅んでしまえば人理も滅びる。それは認められない、それは望んでない。
せめて一人くらいは残しておかないと、呼べるものも呼べないでしょう?」
西暦後、人類は飛躍的発展を遂げた。
例を上げるならば“銃“である。
起源は不明なものの年代が進むにつれ頭角を表したソレは容易く人を殺せるものに進化した。
例え赤子でも引き金を引けば殺せるのだ。これほど効率の良い発明は二つとない。
かつて剣や槍が競い合った戦場は、今や銃の撃ちあい。
これにより戦いで名を馳せる英雄は生まれにくくなった。人類にとって“殺す“ということは容易いものと化したのだ。
「今じゃ世界を救ったぐらいでは英雄と呼べない。それぐらいなら誰でもできることになってしまった、言い換えれば些細なことでも致命的な要素になり得てしまう」
世界を滅ぼすくらいなら核兵器の発射ボタンを押せばそれで事足りる。アメリカ大統領の机の引き出しにはいつでも押せるように発射ボタンがあるとされているが、仮にそのボタンが押されようとして、誰かがそれを暗殺か何かで阻止したとしよう。では、この阻止した人物は英雄なのか?
勿論、答えはNOだ。
だって次の大統領の人間が再びボタンを押すかもしれないのだ。一度止めた程度では、そんなものその場しのぎにしかならない。
脅威となる存在も引き金を引けばそれで解決。チャンスの有無は問わず誰だって可能なことなのだ。
であれば、だ。
「簡単な話です。創ってあげればいいんですよ、星を救う
世界を救う程度では英雄とは言えない。じゃあ
だが、実行しようと思い立った時には不可能だった。
自身の真体を引き摺り出す余力はとうになく。エーテルはとっくの昔に失われていた。
19世紀に入ってからは死ぬことすら難しくなってきた。英雄など最早存在せず、ただ自分が朽ちていくのを実感していく日々。
自殺も試したがどうやら無駄らしい。ワタシはどこまで行っても倒される悪であるしかないのだ。
活動するために死肉を食らった。戦場の腐肉を漁った。
いつからか食事は捕食へと変わった。普通の食べ物では得られる魔力が薄い。それゆえ人を喰らった。
だが、足りない満たされない。失っていく魔力、朽ちゆく体。なんのために生きているのかすら認識できず捕食を続ける日々。
いよいよ霊魂だけの存在へと成り果てるかと覚悟した時、風の噂を聞いた。
極東の都市で行われる大儀式の話を。
そこからは早かった。
国を跨ぐ間に身体は失ったが問題なし。召喚儀式に潜り込み偽りのサーヴァントとして霊基を得た。幸いにもワタシには英霊として認められる素質があったらしい。(皮肉なものだが)
勝ち残れるかは賭けだったが結果はこの通り、どう転ぼうがワタシの勝ちに変わりはない。
「一から造るとなると難しい。英雄ではなく、星の脅威の方がね。
...南米の方に相応しいのが居るには居るんだがあれはダメだ、当分起きない。それにあれは星の脅威ではなく霊長の敵だ。区分が違う。
ならばどうするか、簡単なことだ。
———ワタシがなればいい。そのための聖杯、そして貴様だアンリマユ」
都合のいい肉体、そして
この肉体は聖杯、強いてはその中身と繋がるもの。霊基は神代のもの。
素材は揃った。
「今のワタシでは星の脅威とは認知されないだろう。だから本来のワタシに戻る。英雄を産むために、
貴様はただの魔力源だ...もしくは触媒というべきか。
なに、心配するな。真体を引き摺り出した後は、ちゃあんと食べてあげますから」
パチンっと指を鳴らす。
怪物の周りに召喚陣らしきものが描かれる。得体の知らない文字、有り得ざる異界への干渉。
「とはいえ、条件もなしにできるものではなくてね。
だから、席を用意した。未だ埋まらない7騎目の席を」
魔力が疾る。
世界の裏側に通じる道が開かれる。
触媒も呼水となる契約者もこの場に揃っている。
「さあ、来なさい。再びワタシはこの星の悪となる!!」
『ワタシは追い、奪い、引き裂き、喰らい、飲み干す!
神々は逃げ、隠れ、打ち震え、絶望し、亡びゆく!
廻れ、廻れ因果!
黒い、黒い月よ!
顕現せよ、我が真体!今ここに、道を開く———』
祭壇に招かれざる物が生まれ出でる。
産道を通り外界へと産まれる赤子のように堕ちてくる怪物を、両手で包み込むように受け止める。
もとより裏側にあった真体は抜け殻のようなもの。故にその扱いは依代である子機に委ねられる。
「ぐっ...ア゛ア゛ア゛ァァァ——————」
その巨体は押し潰さんと堕ちていくかに見えたが、
許容の範囲を超える異物を受け入れる身体は苦しみの声をあげ、徐々に徐々に変質していく。
その身はかつて神々を喰らった姿に。なり損ないの獣に。
泥を纏うようにその身体をかつての在り方に...
「■■■■■ッ!!!あっ で ぢぃいぃ うーっ あーっ ふーっ、ふーっ、ふーっ」
しかし、事はそう上手くいかないようで。
かつての姿を纏えたのは、ほんの一瞬。完全に顕現したかと思えたその身体は溶け崩れ、少女体へと戻ってしまった。
「足り、ない、かっ」
聖杯による補助、少女に宿る魔力、アンリマユの霊基、これだけあっても在りし日の姿を保つことができない。
神霊における分霊ならいざ知らず、真体そのものを召喚したのだ。それだけでも膨大な量の魔力を消費しており、ましてやその巨体を維持するための魔力を常に生み出し続けるのは不可能に近い。
この時代において、神や怪物など既に時代遅れの産物。だが、アテはある。
「ふ、ふふふっ。ようやく、ようやく元の体に戻れたんです。後は、お腹を満たせばいい、だけ——」
空洞の奥に佇む大聖杯には無尽蔵の魔力が渦巻いている。
世界中の魔術師がこぞって集まり、好き勝手くみ上げようと尽きない貯蔵量。
数回に渡る聖杯戦争の末に魔力は溜まりに溜まっており、たとえ底があろうとも、無尽と称しても間違いではない。
そして、その中には
今の怪物にとって、これほど上質な餌など存在しない。
「無様なものだ。あんな偽物の杯に縋らねばならんとは.....ん?」
祭壇から地上を見下ろす.
崖の下。
黒い太陽を見上げながら、遠坂凛は己の妹であったモノを睨んだ。
「—————————っ」
その存在の重圧、変貌に圧倒され、凛は僅かに後ずさる。
...少女の変貌は、あまりにも凄まじい物だった.
アンリマユ...そして黒き怪物と同化したその姿は“悪を押し付けられた者“という呪い、それを周囲に振り撒き、役目を持たせる機能が、間桐桜という少女に課せられたもの。
「あら、もう少し足止めできるかと思っていたんですが...お早い到着ですね、姉さん」
「まあね。神父の暴走ドライビングがなかったらもう少し遅れてたかも...それより、くだらない三文芝居は止めてくれる?気持ち悪いから。
もうほとんど残ってないんでしょ、あの子?」
“言ってくれるね“と肩をすくめ、姉に身体を向ける。
「それで?
貴方の目的は達成できたのかしら。まあ、その様子じゃあ失敗しちゃったみたいだけど」
「ははっ、とんでもない。むしろここから始まるんだ。
そうだ、よかったら見ていくかい?その方が手間が省ける」
「冗談。
でも不思議ね。邪魔されたくないならどうして私をここまで通したの?もう
既に怪物に少女が飲み込まれたと言うのならば遠坂凛に構う必要などない。怪物にとって凛は取るに足らない存在なのだ。
それなのに悪意の目で怪物は凛を見下ろす。
「———いいえ。それがまだなんですよ、姉さん。
まだ
それは怪物の遊びか。それとも少女の本心か。
少女体の怪物は凛を見下ろしながら淡々と喋る。
「...もう、姉さんなんてちっぽけな存在なのに、姉さんはワタシの中から消えてくれない。姉さんはワタシの中でずっとワタシを苛め続けている。
だから———お前がいる限り、サクラは自由になんてなれない」
矛盾に満ちた言動は、怪物が既に正気でないことを明らかにしていた。
怪物の声は歌うように楽しげで、粘りつくような殺気を纏う。
大空洞に満ちるは優越と狂気が混ざった狂想。
「ふうん。なら私だけを殺せば良かったでしょうに。あんなに大勢の人間を、なにも関係ない人間を喰い殺す必要はあったの?」
「ええ。だってお腹が空いたらなんだって食べたくなるもの。喉が渇いたら水を飲むし、お腹が鳴れば食べます。
だから同じ。姉さんと変わらない。ワタシ達は当たり前のように、みんながしていることをしたんです」
外界では変貌した怪物達が人間を食らい続けている。
そこに何も感傷もなければ後悔もない。ただ、そうするように仕組んだのですから。
「———ねえ。今の屁理屈、本気で言ってる?」
「屁理屈などではない。ボクは間違ってない。
違ったのはこの世界だ。変わってしまったから、ワタシの在り方も変わらざるを得なかった」
「ボクは———ワタシは約束を守らなければなりません。そのためには何だってやってやる。
...そう。守るためには仕方がないことなんだ。きっとそうだ。死んで償えば、今までしてきたこと全部当たり前の、仕方ないことだったっていえる筈です...!!」
懺悔とも取れる絶叫。
そう、信じることでしか逃げることができなかった、泣きじゃくる子供の訴え。
「...そ。そうやってアンタは逃げ続けてきたってわけか。なによそれ、ただの八つ当たりじゃない。死にたきゃ勝手に死んでろってえの。
けど、士郎はどうなの。ああ、これはアンタじゃない。桜に聞いてるの。ねえ、聞いてるんでしょ、あいつは今でもアンタを助けれると信じてる。それでも関係なく、アンタはあいつを殺す気?」
「っ——————」
怪物の貌が引き攣る。
凛の問いかけは、桜と怪物にとって最後の関だった。
...飲み込まれていた意識が浮かび上がる。少女は、もう間近に来てくれた少年を想い、手放しかけていた心を僅かに取り戻す。
そうして穏やかな笑みを浮かべ、
「はい。先輩だろうが関係ありません。
ううん———きっと殺したいじゃなくて。
ワタシ、早く———先輩も食べてしまいたい」
間桐桜であった者の答えは、もう何もかも手遅れだった。
凛は手にある宝石剣を握り、頭上の“敵“までの距離を測る。
「...ふん。バカな娘だと思っていたけど、まさか怪物に魂売るようなバカとは思わなかった。完全に同化して、とっくに人間辞めていたのね」
明確な敵意。
遠坂凛はこの地を預かる管理者として、妹であったものを“悪“と認定した。
「ふふふっ。強がりが好きなこと。素直になってくださいよ姉さん。
こんな強い力を見せられて、本当は羨ましがってるんでしょう?嫉妬してるんでしょう?だからわざわざ、敵わないって知りながらワタシを殺しに来たんです。
...そう。またワタシから奪って、自分だけ幸せになる気なんだ」
湧き上がる影の巨人。
それは怪物のものではなく少女の力。
彼らは守護する巨人のように、眼下のちっぽけな人間へと手を伸ばす。
「...願いへの道は手に入れました。あと数歩でワタシの物語は終わります。
これより、邪魔するもの全てを抑止力とみなし排斥します」
影の巨人が迫る。
防ぐことも躱すこともできぬ圧倒的な力が、遠坂凛を飲み込む」
「———力の差を思い知らせてあげます。
もう誰にも負けない。湖に落ちた蟲みたいに、天の杯に溺れなさい」
次回 「」
士郎達のパートからになりますね。
凛VS怪物が描けたらいいなあと思います。まあ、原作と似たようなものになりますが。
良かったら感想や評価など頂けたら幸いです
fgo 編のアタランテと怪物の関係 どれが見たい?
-
イチャイチャ
-
つよつよ奥様
-
しっとり/依存
-
無関心/やり直し