【悪役を押し付けられた者】   作:ラスキル

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fgo2500万DLおめでとうございます!皆さんは☆4鯖何を選びますか?私はもちろんアタランテです‼


狩人と怪物 「汝は馬鹿」

 懐かしい夢を見ました。

 

"父がいて、母がいる。そして自分がいる。"

 

 顔は分かりません。黒く塗り潰されてるようで全く分かりません。

 

"なんでもない毎日、でもそんな日々が幸せだった。"

 

ふと後ろを振り返りました。。そこにはのどかな風景などなく、気味の悪い笑顔を浮かべた怪物がいます。ニタニタと笑いながら青年で遊んでいます。”痛い、やめて、殺して”叫び続けても止まりません。それにとってはただの遊び、一時の思い付きでしかないのですから。

 

”あまり思い出せない、これが自分なのかそうでないのか、それすらも分からない”

 

 場面が変わり、青年だったものが辺りを燃やし尽くしています。逃げ惑う妖精たち、容赦はしません。なぜなら、あの怪物と同じ姿をしているのです。気持ち悪くて仕方がないのです。”痛い、やめて、殺して”と懇願してきます。それをニタニタと笑いながら、ゆっくりゆっくりと燃やしていきます。。”なんて良い声を上げるのだろう!”もっと聞きたい、もっと聞かせてほしい、そう思い次のおもちゃを探しますが、もうなくなってしまったみたいです。でも心配ありません、すぐ近くに人間の村を見つけましたから。

 

”...もういい”

 

 人間達は、泣き叫んだり...”もういいって”...してきます。色々な反応をしてくれました、嬉しくてたまりません!手始めにこちらを見て祈る夫婦を...”お願い!”そして大きな口を開け”お願い...もうやめて...”

 

 夫婦は最後まで息子のことを案じ続けていました。

 

 ◇◇◇

 

 

”っ...!!”

 

 目を覚ます。気を失っていたみたいだ、もう辺りも随分と暗くなっている。

 

”誰か...”

 

 返事はない、外で焚火が燃え盛る音のみが辺りに響き渡る。ここは誰かの天幕の中らしい、ご丁寧に手当までしてくれている。傷は大体治っている、これなら明日にでも動けそうではある。

 

”っとっと...血、流しすぎちゃったかな”

 

 立上がろうとするがどうも身体がふらつく。歩き出そうとするが足がもつれてしまう。

 

”やばっ...転ぶっ!―――ぐえっ”

 

 転ぶ瞬間に後ろから服をつかまれる。間一髪で転ばずに済んだ。

 

「はぁ、なにをしているのだ汝は...」

 

 後ろを振り返ると、呆れと心配が入り混じった表情でこちらを見るアタランテがいた。

 

”え!、あ、その...ありがとうございます?”

 

 突然のこと過ぎて頭が追い付かない、”なぜここに彼女が?”や”やった!また会えた、嬉しい!”といった感情が頭を飛び交う。

 

「全く...怪我人なのだから大人しくしていろ。」

 

 無理矢理に寝かされ触診を受ける。彼女の手が優しく体に触れる。ちょっとだけくすぐったい。

 

”はわわわっわ”

 

 情けない声を上げてしまう。だって仕方がないだろう!こんな経験今までなかったんだ...

 

「ふむ、傷は治っているのか...いったい何者なのだ汝は、あのように姿を変えたり、ただの人間ではあるまい?」

 

 警戒に満ちた視線が注がれる。浮ついた気持ちがさあーっと冷えていく。返答次第ではただじゃすまなそうである。

 

("困ったな...どう誤魔化そうか、嘘をついても気づかれるだろうし")

 

 あまり悩むとかえって怪しまれる。...よし、この作戦でいこう。

 

"人間だよ、ちょっとだけ魔術が使えるね"

 

「魔術...?私もあまり詳しいわけではないが汝のそれは..."ぎゅるるる"...腹が空いているのか?」

 

"そういえば今日はまだ何も食べてなかったな、あははは..."

 

顔を赤らめ答える。アタランテは"はぁ..."と呆れた表情で外へ何かを取りに行く。

 

"計画通り(ニタァ)"

 

どうやら、外で肉を焼いていたらしい。焼きたての鹿肉を持ってきてくれた。

 

「私の今日の獲物を分けてやる、それを食べて精をつけろ。」

 

 あの小鹿の姿を思い浮かべ"ごめんね"と心の中で謝る。これを食べれば少しは回復できるだろう。彼女には感謝しかない。

 

"ありがとう、傷の手当から何もかも..."

 

「気にするな、一応こちらにも責任はある。しかし...私はてっきり汝が"黒き怪物"だと思ったのだが...」

 

"...黒き怪物?"

 

 一瞬ドキッとする。詳しく聞くとこの辺りに古くから伝わる昔話のようだ。

 

"それは突然現れました。それは何にでも化けます。それは夜のように真っ黒です。それは次々と神様を食べていきます、ニタニタと笑いながら。ああ恐ろしい、恐ろしい。でも心配しないで、英雄がきっと来てくれます。彼らはいつだって私たちを助けてくれるのですから。"

 

 大昔から伝わる話だそうで、多くの男たちは”自分が怪物を倒して英雄になってみせる”と酒の席で豪語するのだとか。...酔っ払いに退治されるのは流石に勘弁だな。

 

「最初は勘のいい鹿だと思っていたのだが、次々と矢を躱すのでな、つい滾ってしまった。更に大鷹に化けるのだからこれはまさかと思ったのだがな...」

 

 こちらをジッと観察するような目で見てくる。何だろうと首をかしげると、ふふっ、と少し小馬鹿にしたように

 

「汝の間抜け面を見ていると...ふっ、どうやら私の杞憂だったようだ」

 

 むっ、間抜け面...?確かに会話出来ることが嬉しくてにやけた顔になっているのは否定しないけど、

 

”君ってその...案外ハッキリ言うタイプなんだね、あははは...”

 

 そんな会話を続けているうちに肉を食べ終わってしまった。あまり長居をするのも申し訳ないな、だいぶ体も動くようになってきた。

 

”ありがとう、だいぶ元気も出たしそろそろ自分の天幕に戻るよ”

 

「そうか...もう一度忠告するが用が済んだのならこの国を去れ。次にもし森で撃たれても文句は言えんぞ」

 

”あーうん、考えておくよ”

 

 ”じゃあね”と手を振るが彼女はこちらに一瞥をくれただけで中に戻ってしまった。でも進歩はあった!なにせ会話もできた上に一緒にご飯まで食べれたんだから!。自分の天幕に向かう足は思いのほか軽かった。

 

 ◇◇◇

 

 

 次の日、腕一杯に果物を持ちながらアタランテのもとに向かう。森の動物たちに美味しい果物が実る場所を聞き、一人で食べるのも勿体ないしせっかくだしお裾分けというわけである。勿論、彼女と話したいという気持ちもあるのだが。ちょうど今日の勝負から帰ってきたアタランテを見つける。

 

”あ、おー-い!”

 

 アタランテは一瞬驚いた顔をするが、こちらを見ると呆れた表情で”はあ”とため息をつき

 

「汝は...馬鹿なのか?」

 

”ええっ?!”

 

 怪物は少しづつを知っていく。それはきっと無駄だとしても――――




今回もありがとうございました。ご感想などお待ちしています。

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