ロシア連邦という名の地獄から来た男   作:Огонь

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ヴイーヴルやサルカズの角と尻尾ってどんな触り心地がするんでしょうね?


第9話 100点満点のミルフィーユ

夕方 龍門近衛局

 

約1日の時間を要した龍門近衛局での事情聴取が終わり、ホテルへ帰還した彼をラップランドが出迎えた。

「数日ぶりだね、キミはテキサスには会ったかい?」

「あぁ」

「テキサスは元気にしてたかい?」

「シチリア人を自称するガンビーノとカポネのファミリーに襲われてたが、元気そうだったな」

「キミは子分を連れてシラクーザから逃げ出した奴に、ファミリーを名乗る資格やシチリア人と自称する資格があると思うかい?」

「奴にそんな資格は無いだろうな、罪の無い一般市民を拉致して売り捌く連中に手を貸した時点でただのクズだ。」

「当然だね!」

「ところで今日の夜、狼狩りに行くんだが一緒に行くか?」

「ハハッ! 良いねぇ!」

彼はラップランドの隣に行くとその耳を優しく擦るようにして撫で始める。

「………っ!?」

「(このモフモフとした耳の感触、素晴らしい…)」

ピョコピョコとラップランドの耳が反応する。

「フフッ、唐突だね? 少しびっくりしたよ」

「驚かせたならすまない。だが、ここ数日間癒しが無いんだ。」

彼はそう言って耳の付け根を撫で回した。

そして、ラップランドはそれを気持ち良さそうに受け入れている。

「それにしても、キミは撫でるのが上手だね。どうかな? テキサスにもやってみないかい?」

「確かに触り心地が気になるな、今度会った時にやってみるか。ところで尻尾を撫でて良いか?」

「構わないよ? キミならね」

許可を得ると同時に彼は敏感な先端を避けて尻尾を撫で始めた。

「(体温と柔らかな毛並みを感じる、素晴らしい!)」

彼はラップランドの尻尾を撫でて、頬擦りをする。

「(そういえば、尻尾や耳に疲労が溜まりやすいと聞いたな。それが事実なら耳や尻尾の付け根を揉んだり、撫でると気持ちが良くなる筈だ)」

彼は尻尾の付け根を優しく指でマッサージをするように揉んでみた。

「────っ!?」

するとラップランドが驚いたように目を見開く。

そして、へなへなと彼女の体の力は抜け、その体はカーペットへうつ伏せに倒れかけた。

「……今のは………何だい……?」

ベッドのフレームを掴んで体を支えつつ聞いてくる。

「ここが気持ち良いのか」

彼は指で尻尾の付け根を、揉む位の力で撫でてやる。

すると、ラップランドの体がとろんと溶けるようにカーペットへ沈んだ。

下半身はその体を支えられず、正座を崩したような形でぺたん、とカーペットに着いている。

そこから彼はさらに畳み掛けるように、右手で尻尾を、左手で耳を撫でる。

「…………ぃ……ぅん…………」

「(やり過ぎたな)」

彼は撫でる手を止めラップランドを見る。

ラップランドは動こうとしなかった。

「アハハハハッ、どうやら、気持ちが良すぎてボクの腰が抜けちゃったみたいだ。悪いけど、ベットにボクを寝かせてくれないかい?」

彼はラップランドをベッドへ仰向けに寝かせ、隣に座った。

「すまない。やり過ぎた」

「構わないよ。上手に撫でられるのは気持ちがよかったからね」

「うぉっ」

ラップランドは彼を引き倒すと同時に首筋に噛み跡を付けた。

「けどね、あれだけ好き勝手したんだ。甘噛みぐらい、許してくれるよねぇ?」

ラップランドは獲物を見据えた狼のような目をして彼を見ていた。

「(スイッチを入れてしまった様だな)」

彼は狼狩りへ出発する時間までラップランドを堪能させられた。

 

深夜 龍門市街

 

「······ハア、ハアッ。出口······あそこか······! もうすぐ! ──誰だ!? 出てこい!」

「やはり死んでなかったのか、そりゃ以外だな。鼠王のやることもそこまで徹底的じゃないってことか。」

「······テメェに刺された傷がまだチクチクしてるぜ。カポネ、テメェの方から俺の前に現れてくれて嬉しいぜ。これで俺自身の手でテメェを殺せるからな。」

「龍門中の連中が俺たちを追っている。お前のことで時間を無駄にしたくないな。だから、速攻で決着を付けようじゃねぇか。」

「テメェにはファミリーを裏切った代償を払ってもらうぞ──。」

「はは、ファミリー、ファミリーねぇ。本当に懐かしい響きだね。うーん、ところで、キミたちテキサスには会ったかい?」

「こ、この匂いは······!」

「······落ちぶれ狼。なぜ龍門にいやがる?」

「テキサスがここにいるからさ。当たり前じゃないか?」

「しかしさ、子分を連れてシラクーザから逃げ出して来た奴に、ファミリーを名乗る資格があるのかな? シチリア人だと自称する資格があるの? キミたちが誇りにしていた栄光と歴史を奪ったあの······ミズ•シチリアご本人は、それを許したの?」

「──黙れ! 俺の前でその女のことを口に出すな! テメェはただの裏切り者だ。俺たちにとやかく言う資格なんてお前には──。」

「うるさいよね、ゴミクズが。あれー、キミたち怪我してるんだ? この嗅ぎなれた血生臭さ、狼の血ね。そうか、これがいわゆる『故郷の匂い』ってやつかな? テキサス、変わったでしょ? 本当にめちゃくちゃ変わったんだよ。シラクーザの古い馴染みが訪ねて来たっていうのに、まさか生きたまま龍門を離れることを許すなんてね? これは良くないね。お客さんに失礼だよ。ありえないでしょ? でも大丈夫だよ。あの子にできなかったこと、つまり後始末はボクとそこの彼がするからさ。もしシラクーザの馴染みの首が目の前に転がってたら、あの子も少しショックになるかな。そうだよね、いいこと思いついたよ······。キミたちさ、あの子は逃げられると思う? ファミリーの影から、あの過去から?」

「······カポネ、踏ん張れ。」

「ハッ、まさか俺と共闘するとはな? お前の栄光とファミリーはどうした?」

「お前が急所を避けたことに免じてだ。」

「フン、ビビってるのか?」

「俺はあのアマに殺されることだけは御免だよ。」

「······そうだな。どうせ死ぬなら、俺だって五体満足で死にたいさ。」

「アハハハ、キミたちもう震えているんだね。ちゃんと立てないのに戦えるのかい? いいね、実にいい。目の前で死に物狂いでもがくのを見るのも暇つぶしにはちょうどいいね。さて、今から、十秒あげるよ。逃げてごらん。」

ガンビーノとカポネは死に物狂いで走ってラップランドから逃げ出した。

「10」

ラップランドが剣を鞘から抜きカウントダウンを始めた。

彼は暗視装置を装着してストックと8発装填のシリンダー、サプレッサー、赤外線レーザーサイトが装着されたリボルバーを鞄から取り出した。

「9 8」

彼はスピードローダーで8発の44マグナム弾を装填した。

「7 6 5 4 3 2 1 0。さて、狼狩りと行こうか?」

彼は即座にガンビーノとカポネの両手、両膝を撃ち抜いた。

「んぐッ···っ!」

「ぐあ──!!」

彼はリボルバーをリロードすると、ラップランドと共に地面に倒れたガンビーノとカポネに近付いた。

「ラップランド、最後の仕上げを頼んだ。」

「さて、どうするかな?」

「体をミルフィーユみたいに切り分けるのはどうだろう?」

「ハハッ! いいね!」

彼はガンビーノとカポネが“ミルフィーユ“に加工されるのを見届けた。

 

「フフ、ボクお手製のミルフィーユ、味はどうだい?」

「100点満点だ。」

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