昼 昔モスクワと呼ばれていた地域のどこか
「(物資と放射能の問題をアーティファクトで無視出来ても地上は極めて危険だ。だが、トンネルはミュータントの侵入を防ぐ為に爆破され通行不能だ。地上を経由してポリスに向かって進むしかない。)」
地上に出て数ヶ月後 昼 昔モスクワと呼ばれていた地域のどこか
彼は自身を執拗に追跡するデーモンの群れから逃げていた。
だが、彼には運が無かった。
「(クソッ、アノーマリーだらけで逃げる場所が無い…) 離せこのクソ野郎」
そして呆気なく彼はデーモンに捕まり、アノーマリーへ投げ捨てられた。
昼 ロドス
「(これは…ランダムテレポート型アノーマリーの仕業か、五点着地だな) グハッ」
彼は五点着地により死を回避することには成功した。だが、着地時に頭を打ち気絶した。
「なんだ?」
「ケルシー先生、私が確認して来るわ」
「そうか」
そしてブレイズは甲板で意識不明の人物を発見した。
「ケルシー先生、甲板に空から人が落ちてきたみたいね、怪我をしているわ」
「そうか、フォリニック、アンセル、オペの準備だ」
「了解です。」
「了解しました。」
彼が回収されて約1時間後 昼 ロドス
ベッドの上で目覚めた彼の目の前にケルシーが居た。
「目覚めたか、私は君が今居るロドス・アイランド製薬、医療事業部のリーダーを勤めているケルシーだ。君は数日以内に退院出来るだろう。とはいえ我々は慈善団体では無い、故に君は治療の対価を支払う必要がある。今の君は無一文だが、金銭を用意出来ない人物向けにその支払いにはお金以外の方法がある。その支払い方法はここで働くことだ、つまり君にはここで働く以外の返済手段は残されていない。」
「(目の前の人物にアクセサリーではないピコピコと動く猫耳が生えている、なおかつ窓から見える植生もモスクワと完全に違う。ここは一体何処なんだ。) 私はニコノフ、治療感謝する。私は軍隊上がりで戦う事しか出来ないが問題は無いのだろうか?」
「我々ロドスの目標である感染者問題の解決には時として武力が必要な場合がある。故に戦闘オペレーターは常に募集している。」
「感染者問題?」
「君は鉱石病について何も知らないのか?」
「あぁオリパシーという単語は私の故郷であるロシア連邦では聞いたことが無い。」
「…鉱石病は不治の病で3つの特徴がある。
1つ目は長期に渡って源石やその加工品に接触していると感染しやすいという特徴だ。
2つ目は具体的な症状は患者ごとに差が有るが、体表が侵された場合はその部位に源石が表出し容易に感染者と判別できるという特徴だ。
3つ目は感染者のアーツ使用能力は強化されるが、感染者がアーツを使用する過程で症状が悪化して行き、最終的には感染者の命を奪い新たな感染源にしてしまうという特徴だ。
この3つ目の特徴が原因で鉱石病に罹患した者は差別を受ける。」
「そのオリジニウムやアーツはどの様な物なんだ?」
「…源石はこのテラの大地に普遍的に存在する鉱物の一種で、大半が黒く半透明な結晶体だ。主な用途はアーツの施術工具や触媒の原料、発電や機械の動力に用いるエネルギー源で源石エンジンの発明以降生活には欠かせない資源だ。
アーツの正式名称は源石術で、源石を利用して物質の形や性質を変化させる技術だ。一般的には「アーツユニット」や「アーツロッド」と呼ばれる源石を用いた道具を媒体にするが、一部の鉱石病感染者が自身の肉体に含まれる源石を用いてアーツを使用する場合がある。」
「(明らかに地球とは違う環境だ、つまりここは異世界か…) 故郷では聞いた事が無い技術だな…」
「…君の故郷であるロシア連邦はどの様な国家なんだ?」
「既にロシア連邦という国家は戦争によって滅んでいる。とはいえ一言で表現するなら地獄が妥当な場所だ、何故なら戦争の後に残った物は、居住はおろか防護装備無しでは息をする事すら不可能なレベルで汚染された地上と、生き残った住民が少ない物資を巡って互いに殺し合う地下だけだからだ。」
「…その戦争とはどの様な物だったんだ?」
「この戦争は軍事同盟のNATOとロシア連邦の戦いで勝者は居なかった。」
彼は一息付いてから、鞄を手に取り、鞄から明らかに収納出来ないサイズの円錐を取り出した。
「何故ならこの兵器によって全ては焼き付くされたからだ。
中にあるウラン235と呼称される物質が、爆薬の爆発によって圧縮され反応し摂氏1兆度に達する熱エネルギーを発生させる。次にその熱エネルギーによって中にある重水素と呼称される物質が反応する事によって更に強い熱エネルギーを発生させる。最後にその熱エネルギーによって範囲内の物体は焼かれた後、空気が瞬時に膨張した事による凄まじい爆風で吹き飛ばされる。そして反応後の汚染物質が地上に降り注ぐ。このアーティファクトはこのような兵器を無限に取り出せる、悪用を防ぐ為にも私以外に使用出来ないと説明して欲しい。」
こうして彼とロドスのファーストコンタクトは終わった。