任務1日目 昼 シラクーザのどこか
彼はMT-LBを停め、通信に応答する。
「はい、スタルカーです。」
「君が撮影した画像から襲撃者は近年シラクーザで活動している人身売買組織の構成員で有る事が確認された。この報告を受けた依頼主から最も近い拠点の殲滅が追加で依頼された。そこで、君には護衛対象を連れた状態でこの拠点に突入し、内部の構成員を排除して欲しい。詳細を通信端末に送信した。確認してくれ」
「確認した。これより護衛対象と共に指定座標へ移動し掃討作戦を行う。」
彼はMT-LBを指定座標まで移動させ始めた。
指定座標に到着し、MT-LBを止める。
彼は寝ているリサを起こす。
「リサ起きてくれ」
起きたリサから質問される。
「スタルカーお兄さんどうしたんですか?」
「依頼主である君のお母さんから人身売買組織の拠点として使用されている倉庫を掃討する依頼をされた。付いて来てくれ。」
MT-LBを降りた彼とリサは倉庫のドアの前までやって来た。
「(拉致した子供をリターニアの変態貴族に売り捌いている連中の拠点はここだな)」
ドアに導爆線と起爆装置を取り付けブリーチングの準備をする。
「リサは私の後ろを付いて来てくれ、3カウントでドアを破壊して突入する。」
「わ、わかりました!」
ドア横に2人は移動して突入を開始する。
「1、2、3、爆破!」
ドアが吹き飛ぶ
「突入!」
突然の爆発に驚き、人身売買組織の構成員達は各々の武器を手にしたまま固まっていた。それは、部屋を仕切る壁が無い倉庫内では良い的だった。
悪党達は拉致した少女達をリターニアの変態貴族に売って得た報酬で装備を整えていたがAK-103から放たれる7.62×39弾には勝て無かった様だ。
彼はマガジンを交換しつつ周囲を確認する。
「クリアだ。リサ、拉致された少女達は見当たらないが他に何か無いか3つの檻を全て確認しよう。」
「わ、わかりました!」
入り口の横に掛けれていた鍵の束を使って、中に大きな箱の見える1と看板で示された檻の鍵を最初に開ける。
「トラップが無いか箱を確認してから中を確認しよう。」
「はい!」
「トラップの類いは無い、箱を開けよう」
中には大量の金塊が入っていた
「凄い金額に成るだろうな…本数を数えよう」
「はい!」」
数え終えた彼は頭を抱えた。
「1kgの金塊が百本も有るのか、ケルシー先生に指示を仰ごう…」
彼はケルシーに連絡する。
「もしもしスタルカーです。ケルシー先生、殲滅した人身売買組織の所有物を確認している途中で合計100Kgの金塊を発見したのだが、どうすれば良い?」
「一部の例外を除き、任務中鹵獲したものは担当オペレーターの所有物となる。だから、君の好きにすれば良い。」
「では、リサの治療費に使わせて貰います。」
そう言って彼は金塊を鞄に回収した。
次に、シャワーとトイレ、毛布が見える2と看板で示された檻の鍵を開ける。
「リサ、次の檻を確認しよう。」
「はい」
「トラップの類いは無い、この檻の中に有る物を確認しよう。」
この檻は拉致されてきた少女達が監禁されていた場所だった様だ。
「(毛布を捲っても何も無い。この檻はシャワーとトイレ、毛布だけの酷い環境だな) シャワーとトイレ、毛布以外何も無い、酷い環境だな…」
「無理矢理連れて来られて檻に監禁されるなんて酷すぎます…」
「拉致された少女達を助けたいのは同感だが、何処へ送られたのか解らない以上、今出来る事は少女達が何処に連れて行かれたのか調べる事だけだ…次の牢を確認しよう。」
「はい…」
最後に手術台と血の付いた椅子、その2つに向けて設置された2台のビデオカメラ、所々が盛り上がった黒い布が見える3と看板で示された檻の鍵を開ける。
「(トラップの類いは無いな、だが嫌な予感がする…) トラップは無い、この檻の中に有る物を確認しよう。」
そう告げた直後、リサが黒い布を捲った。
「ひゃっ」
リサの悲鳴を聞いた彼はリサの方を見る。
そこにはリサと年齢が近い感染者と見られるヴァルポの少女が無惨な姿で5人積み上げられていた。彼は直ぐに生存者が居るか確認する。
「(駄目だ…全員が既に死後半日は経ってる。)」
そして、彼は2台のビデオカメラに記録された映像を確認する。
「(椅子に向けて設置されていたビデオカメラの中身は5人のヴァルポの少女が出演している”ビデオ”で、手術台に向けて設置されていたビデオカメラの中身は5人のヴァルポの少女達に行われた”処置”の記録映像か…反吐が出る。)」
無表情で2台のビデオカメラの中身を見終えた彼は嗚咽を聞いて後ろを向く、リサが今にも嘔吐しそうな青い顔をしていた。どうやら、リサは2台のビデオカメラの中身を見てしまった様だ。そして、耐えられなかったらしくトイレに向かって走っていった。
「※嘔吐する音※」
そして、戻ってきたリサがまだ少し青い顔のまま彼に質問する。
「スタルカーお兄さんは変わりありませんか?大丈夫ですか?」
「リサは優しいな、私は大丈夫だ、生まれ故郷で従軍していた時経験した軍事作戦のせいでこんな光景にはもう慣れてるからな…」
彼は無表情のままそう言った。
「私にはスタルカーお兄さんが到底大丈夫には見えません。話せば楽に成ると聞きますから、私に話してみてください。」
「そうだな、話せば楽に成るかもしれないな…」
そして彼は自分の過去を話し始めた。
「私はロシア連邦という国で生まれ孤児院でニコノフという名前を与えられ育てられた。孤児院から出された後、軍へ入隊し戦争を経験した。つい最近、怪我をしていたところをロドスに保護されて今はその代金を支払う為にオペレーターとして働いている。」
「じゃあ、スタルカーお兄さんはいつかロドスを離れるんですか?」
「いや」
「本当ですか?良かった…」
リサは彼の言葉を聞いて嬉しそうな表情をした。
任務1日目 夕方 シラクーザのどこか
その後、今日の移動を取り止めた彼らは倉庫の側で野営をしていた。
「(今日は精神的に疲れたな…あのモフモフした尻尾を抱き枕にして眠りたい…)」
彼は2人分のボンカレーとサトウのごはんを湯煎しながらそんな事を考えていた。
「カレーが出来たから夕食にしよう」
彼とリサは夕食を取る。そして、彼より少し先に食べ終えたリサが彼に話し掛ける。
「しっぽが気になりますか?」
「あぁ、抱き枕にして眠りたいと思う。」
疲労によって彼はリサの質問に対して脊髄反射で本音を言ってしまった。
「(やっちまった…)」
「良いですよ。」
すると、リサが体に抱き着いてきた。
「では、お言葉に甘えさせて貰おう。」
彼はそのままリサの耳と尻尾を撫でながら就寝した。
「(凄くモフモフしていて良い触り心地だ…)」
ビデオカメラの内容は、BLACK LAGOONに出てくるヘンゼルとグレーテルの過去から発想を得ました。