【本編完結】レッドキャップ:ヴィランにTS転生した話   作:WhatSoon

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#2 アクロス・ザ・フェイト Part1

ここはニューヨーク、クイーンズ。

とあるビルの屋上。

 

太陽が昇りつつある昼頃に、僕は三人のスパイダーマンと見合っていた。

正確にはスパイダーマンが二人と、スパイダーガールが一人か。

 

その中の一人、目付きの悪いスパイダーマンが、急に現れたスパイダーガールを指差した。

 

 

「次から次へと珍妙な奴らめ……何者だ!」

 

「だから言ってるじゃん、スパイダーガールだって!敵じゃないよ、君達の味方」

 

「それをどう証明する?」

 

「不意打ちしてないのが、その証拠だって。それとも貴方、スパイダーマンなのに罪無きガールを攻撃するつもり?」

 

「………チッ」

 

 

手を振るスパイダーガールに対して、目付きの悪いスパイダーマンは顔を顰めた。

マスク越しに分かるぐらい、顔を顰めて居た。

 

 

「とにかくさ、話し合おうよ?ね?」

 

 

手を擦り合わせながら、そんなことをスパイダーガールが口にする。

対して僕も手を上げた。

 

 

「それは僕も同感。少しでも状況を把握したいかな」

 

「お、そっちのスパイディは話が分かるね。黒い方は?」

 

「……うん、僕も構わない。貴方達が誰か気になってるし」

 

「よしよし……で、そっちの悪人顔さんは?」

 

 

スパイダーガールが目付きの悪いスパイダーマンへ目を向けた。

 

 

「私は悪人ではない。貴様らなんぞより優れたスパイダーマンだ……癪に障る女め」

 

「うーん、態度を変えたら納得してくれる?」

 

「……チッ、態とらしい態度を取られても鬱陶しいだけだ。構わん、話ぐらいなら聞いてやる」

 

 

悪態を吐きながら、それでも頷いた目付きの悪いスパイダーマンに対してスパイダーガールが頷く。

 

 

「それじゃ喫茶店……に行くにはドレスコードがダメダメかな。誰かこの近くに基地(ラボ)か家がある人〜?いない?」

 

「「……………」」

 

 

手を挙げたくないなぁ……なんて僕は思って居た。

知らない人を家に上げるリスクがあるし……他のスパイダーマンが挙手するなら譲るつもりだ。

 

……だったけど、誰も手を挙げやしない。

ため息を一つ吐いて、僕は手を挙げた。

 

 

「はぁ……スパイダーラボは存在しないけど、僕の家は近所にあるよ」

 

 

そんな僕に対して、スパイダーガールは腕を組みながら頷いた。

 

 

「それじゃ、お邪魔しようかな?ありがとね、スパイディ」

 

 

まぁ、悪い人では無いんだろうけど。

スパイダーマン達相手に道案内をする羽目になるなんて……今日は厄日だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、クイーンズにある賃貸のアパートに来た訳だけど。

 

目付きの悪いスパイダーマンが椅子に座って、腕を組んでいる。

黒いスパイダーマンは緊張した様子だ。

スパイダーガールは物珍しいのか部屋の中をうろうろしている。

 

しかし、ああ、良かった。

ミシェルは既に帰宅していた。

今日は仕事だと言っていたから、今朝の偽スパイダーマン事件の調査でもしているかもしれない。

 

とにかく、彼等と会わせるとややこしい事になりそうだし、彼等の正体が分かるまで会わせたくはなかった。

よく分からない人達だし。

 

しかして、スパイダーガールがテレビを点けた。

別に許可制って訳じゃないけど、他人の家のテレビを勝手に点けるのはどうなんだと思う。

 

そんなテレビにはJ・ジョナ・ジェイムソンが映っていた。

 

 

『今朝もあの覆面男が強盗を働いたぞ!けしからん自警団もどきめ!負傷者も少なからず出ている!偽物だと言いたいのなら、本物はマスクを脱いで自己弁護すべきだ!姿を表せ、卑怯者のスパイダーメナスめ!』

 

 

僕が苦笑いしていると、スパイダーガールも苦笑した。

 

 

「うわー……こっちのジェイムソンはまだまだ元気なんだ?」

 

「え?あ、うん……ジェイムソンはいつも元気じゃない?」

 

「こっちじゃそうはいかないんだよね」

 

 

こっちの……?という言葉に不信感を抱いていると、スパイダーガールが僕達を見回した。

 

 

「さて、今の事情に詳しい人っている?居ないなら私から推測を発表しちゃうけど」

 

「「「…………」」」

 

 

その言葉に僕を含む3人のスパイダーマンは、首を横に振った。

何が何だかさっぱり分からないからだ。

 

 

「じゃあ、失礼して……まず、ここがどこだか分かってる人いるかな?」

 

 

彼女の言葉に僕は手を挙げた。

 

 

「どこって、ニューヨークのクイーンズだよね?」

 

 

対して、黒いスパイダーマンが手を振った。

 

 

「いや、違う。よく似てるけど、僕の知ってるクイーンズじゃない。『アルティメッツ』も居なさそうだし」

 

 

その言葉に、目付きの悪いスパイダーマンが同調した。

 

 

「それには私も同感だ。私のビルが無い……待て、アルティメッツとはなんだ?」

 

「アルティメッツはアルティメッツだ。というか貴方のビルって、何言ってんの?」

 

「貴様の方こそ、訳の分からない言葉で煙に巻こうなどと──

 

「ストップストップストップ!喧嘩しないの、同じスパイディでしょ?」

 

「私を貴様らと『同じ』にするな」

 

 

スパイダーガールが二人の仲裁をしつつ、僕へ目を向けた。

 

 

「とにかく、そこのスパイディが、この世界の『スパイダーマン』ってことかな?」

 

「この世界の……?」

 

「そう。私達はきっと、別の宇宙(ユニバース)から来たスパイダーマン達なのよ」

 

 

そう口にすると、黒いスパイダーマンはギョッとしたのか席を立った。

 

 

「それ、何を言って──

 

並行世界(マルチバース)って単語、聞いた覚えはない?異なる法則、異なる空間、異なる時間、異なる宇宙……並列的に並んでいる世界。それが並行世界(マルチバース)

 

 

その言葉に僕は覚えがあった。

ミシェルやDr.ストレンジ(スティーヴン)が話していた。

小さな選択で無限に分岐を繰り返し、異なる現実が生み出される。

こことは違う世界、それが並行世界(マルチバース)だ。

 

 

「……そこのスパイディは驚いてないようだね。他の二人は?」

 

 

スパイダーガールが問い掛けると、黒いスパイダーマンは椅子に座り直した。

 

 

「……僕も、言葉ぐらいなら知っているけど、存在してるとは思わなかった。でも、ここがクイーンズなのだとしたら、僕の知ってるクイーンズと違う……それが、世界が違うからだって理由なら納得できる」

 

「そっか、良かった。じゃあ、目付きの悪い方」

 

「いい加減にそう呼ぶのを止めろ……私は既に納得している。多元宇宙の理論、そして並行世界(マルチバース)の存在は知っていた。まさか、巻き込まれるとは思っても居なかったが」

 

 

二人がそう言ったの見て、スパイダーガールが腰に手を当てた。

 

 

「ね?つまり、何らかの理由で、私達はこことは違う世界から集まった『スパイダーマン』ってこと。この世界のピーター・パーカーも理解した?」

 

 

そう言いつつ、僕へ目を向けた。

本名もバレてるらしい。

お手上げだ。

 

 

「……分かったよ。それにしても何で?って、いうか君は関係者なの?事情に詳しいみたいだし」

 

「私?まぁ、ちょっと並行世界(マルチバース)に詳しいだけで、別にこの事件の原因じゃないし、理由も分かんない。私、これでもビックリしてるんだよ?鳥肌出てるけど、見る?」

 

「いや、見せなくていいよ」

 

「あ、ちゃんと返事するんだ。思っていたよりも、真面目だね」

 

「僕ってどう思われてるの」

 

 

何だか話していると疲れる女の子だ。

そう思っていると、スパイダーガールが再びベッドの縁に座った。

 

 

「それじゃ、互いに互いのことを知るべきだし、自己紹介でもする?この事態の解決方法を調べたいなら、チームで行動すべきだし」

 

 

その言葉に、目付きの悪いスパイダーマンが首を振った。

 

 

「不要だ。私は一人で事態を収拾する。貴様らの手助けなど不要だ」

 

「この世界には貴方の家も、お金も、戸籍もないんだよ?目付きの悪いスパイディ。衣食住が足りてないホームレス生活をしながら、一人で調査するつもり?」

 

「…………」

 

「まぁ、私達を利用すると思ってさ。集団行動してみない?」

 

「……チッ」

 

 

口車に乗せられている自覚はあるのだろう。

目付きの悪いスパイダーマンは忌々しそうに、スパイダーガールを睨み付けた。

 

 

「「…………」」

 

 

そうして場の空気が悪くなり、静かになってしまった。

この空気を打破するには……うわ、スパイダーガールが僕に目線を向けている。

自己紹介を促しているのだろう。

嫌だなぁ。

 

渋々、僕は小さく挙手した。

 

 

「えっと……僕はスパイダーマン」

 

「それは知ってるけど?」

 

「見たら分かるよ」

 

「当然だ」

 

 

酷い言われようだ。

自己紹介しろって目配せされたのに、スパイダーガールすら非難してくる。

 

そんな彼女はため息を吐いて、僕を指差した。

 

 

「ていうか、スパイディ。自己紹介の時はマスク脱いでよ。それで、ちゃんと生い立ちから自己紹介した方がいいよ」

 

「えっ、でも」

 

「大丈夫だって。ここには言いふらすような人は居ないし……そもそも、貴方の正体ってバレバレだから」

 

 

それもそうだ。

そもそも、さっき僕のことをピーターって呼んだのに、他の人達は驚いてなかったから。

 

 

「はぁ……」

 

 

僕は一つため息を吐いて、マスクを脱いだ。

 

 

「え……思ったより、イケメン」

 

 

その瞬間、スパイダーガールが自分の口元に手を置いて驚いたような顔をして……ボソボソと何やら小さな声で呟いていた。

……僕の正体を知ってた癖に、どういう反応なんだ?

 

まぁ、気を取り直して。

 

 

「僕はスパイダーマン。それと、ピーター・パーカー。7年前に蜘蛛に噛まれてから、スパイダーマンをやってる。エンパイア・ステート大学の学生だよ」

 

 

そんな僕の自己紹介に対して、スパイダーガールは手を挙げた。

 

 

「ゴホン。はいはーい、ピーター。彼女とか居ますか?」

 

「え?それって必要?」

 

「うん、必要。トラブルに巻き込んじゃうかも知れないでしょ?」

 

 

野次馬根性かと思いきや、スパイダーガールは少し真剣な声色だ。

 

 

「……居るよ」

 

「名前は?」

 

「……ミシェル」

 

 

そう口にすると、今度は黒いスパイダーマンが驚いたような仕草をした。

 

 

「ねぇ、ピート。彼女の下の名前は?」

 

 

ピートって……何だか急に随分と馴れ馴れしいな。

 

 

「ジェーンだよ。ミシェル・ジェーン=ワトソン。それが僕の彼女の名前」

 

「……なるほど。この世界の『MJ』って事か」

 

 

何だかよく分からないイニシャルで黒いスパイダーマンが納得した。

ついでに、目付きの悪いスパイダーマンも。

 

その態度に、僕は首を傾げた。

 

 

「なに?そのMJって。イニシャルからして、ミシェルの事だろうけど……別世界でも有名人なの?」

 

「まぁ、そうだ。メリー・ジェーンはピートの恋人だった」

 

「え?」

 

 

『だった』って何?

今はもう別れてるの?

何だか凄く不穏なんだけど。

 

というか、名前ちょっと違くないか?

 

目付きの悪いスパイダーマンの方へ目を向けると、少し鬱陶しそうな顔をしながら頷いた。

 

 

「確かに……こちらの世界でも、MJは恋人だったな。世界が違っても、同じ人間には同じ役割があるという事か」

 

「え?」

 

 

だからその『だった』って何なのさ!?

僕もこれから別れるってこと?

そんなの考えられないよ。

だって、僕は彼女を愛しているし……彼女の僕のことを愛してくれている筈……だよね?

 

ちら、とスパイダーガールに目を向ける。

 

 

「あ、あー……私の世界では、結婚してたよ。ピーターと、MJは」

 

「そ、そっか……良かった」

 

 

別世界だから僕じゃないピーターと、ミシェルじゃないMJ……他人だ。

でも、他人の結婚話でこんなに嬉しくなったのは初めてだよ。

 

 

「まぁまぁ気を取り直して、次。今度はそっちの黒いスパイダーマン」

 

「僕?僕か……はぁ」

 

 

黒いスパイダーマンは少し躊躇ってから、マスクを脱いだ。

褐色の肌をした……あれ?

会ったことないけど、どこかで見た事あるような顔だ。

 

 

「僕はマイルズ。マイルズ・モラレス。3年前に蜘蛛に噛まれてから、僕もスパイダーマンになった……僕の世界のピートとは面識がある」

 

 

その言葉に僕は目を瞬いた。

 

 

「え?僕と?」

 

「まぁ、うん……別人だけど。僕の師匠みたいな人だ」

 

「……そっちの世界の僕はスパイダーマンやってないの?」

 

「いや、やっていた」

 

「じゃあ何で、君がスパイダーマンを名乗ってるんだ?ヒーローネームの被りは御法度だろ?」

 

 

僕がそう問い掛けると、黒いスパイダーマン……マイルズは少し顔を顰めて、言いづらそうな顔をした。

 

 

「引退したんだ、ピートは。だから僕が二代目のスパイダーマンってワケ」

 

「そうなんだ……」

 

 

何となく、彼の言葉は嘘っぽい。

でも、何が嘘かは分からない。

悪意はなさそうだし、これ以上問い詰めるつもりはないけど……別世界の事情に首を突っ込み過ぎるのはよくない。

 

 

「はいはい、じゃあ次!そこの目付きの悪いスパイダーマン」

 

 

ちょっと気まずくなった僕に対して、スパイダーガールが無理矢理、進行した。

しかし、『目付きの悪いスパイダーマン』と呼ばれた彼は不服そうにマスクを脱いだ。

 

そこには僕より年上の、30歳ぐらいの……僕とよく似た顔があった。

 

 

「私はピーター・パーカー。何年前に噛まれたかなど覚えていない。そもそも重要ではないからだ……パーカー・インダストリーズの社長をしている」

 

 

え、名前が同じって……って、社長!?

僕と同じく、マイルズも、スパイダーガールすらも驚いている。

 

 

「……何だ、貴様ら」

 

「いや、僕と同じ名前で社長やってるって言うから……スタークさんみたいな?」

 

「あんな奴と一緒にするな。独裁主義のメンタル弱者、ペテン師だぞ、奴は」

 

「うわ、酷い言いよう」

 

 

僕の尊敬するスタークさんの悪口に顔を顰めそうになるが……彼の言っているスタークさんは別世界のスタークさんだ。

あまり、気にするものじゃない。

 

だって僕、社長になんてならないし、なれない。

モチベーション的にも、経営力的にも……両方無理だ。

 

だから、目の前のピーター・パーカーが僕じゃないって事はよく分かる。

 

そんな彼に対して、スパイダーガールが小さく挙手した。

 

 

「じゃ、目付きの悪い方のピーターは──

 

「その呼び方はやめろ」

 

「え?じゃあ、なんて呼べばいい?」

 

「ピーター・パーカーで良いだろう」

 

「それじゃ、こっちのピーターと被っちゃうじゃん。それとも、別の人の世界にまで来て、名前まで奪っちゃうつもり?」

 

 

名前まで奪う……という言葉に、目付きの悪いピーターが眉間に皺を寄せた。

 

 

「……貴様、何を知っている?」

 

「え、いや、何も?」

 

「……チッ、私のことは『博士(ドクター)』と呼べ。そう呼ぶ奴も、元の世界には居る」

 

 

そう言って目付きの悪いスパイダーマン……ドクターは椅子に座った。

その様子を見て、スパイダーガールが手を小さく叩いた。

 

 

「じゃあ、今後の方針だけど──

 

「待って。君の名前は?」

 

 

思わず止めた。

スパイダーマンの3人はマスクを外している。

対して、スパイダーガールはマスクを外していないし、自己紹介すらしていない。

 

僕の疑問は当然のもので、ドクターとマイルズも頷いた。

 

 

「えぇ……やっぱしなきゃダメ?」

 

「うん、せめて顔は見せて欲しいんだけど」

 

「それってナンパ?」

 

「まさか……もしかして、ふざけて誤魔化そうとしてる?」

 

「そ、そんな事ないよー……はーあ」

 

 

苦笑しながら、スパイダーガールがマスクを外した。

 

 

「……え?」

 

 

そこにあったのはまだ若い……10代中盤のティーンエイジャーの顔だ。

それも、かなりの美少女だ。

少し蒸れた、カールがかった茶髪を手で梳いて、苦笑した。

 

 

「私はスパイダーガール。スパイダーマン歴は2年……みんなから見れば後輩かな。ミッドタウン高校に通ってる16歳だよ」

 

 

そう自己紹介する彼女を見て、僕は違和感を覚えていた。

彼女も、どこかで見た覚えがある。

だけど、どこかは分からない。

というか、正確には見た覚えはない。

誰かに似ている……そんな気がした。

 

そして、彼女が自分の名前を口にしていない事にも気付いていた。

 

 

「あの──

 

「待て、スパイダーガール。貴様は名前を言わないのか?」

 

 

僕の質問より早く、ドクターが問い掛けた。

 

 

「えー……あー、うん。まぁ、言わなきゃダメだよね?」

 

 

ちらちらと僕を見ながら、そしてため息を吐いた。

 

 

「私は……あー、メイって呼んで?本名は非公開で」

 

「貴様……ふざけているのか?」

 

「ふざけてないよ?事情があるんだって……それに、貴方達も言ってない秘密があるでしょ?」

 

 

スパイダーガール……自称、メイの視線にドクターもマイルズも、目線を逸らした。

 

え?

そうなの?

何か秘密があるの?

 

 

「ほら、互いに言いたくない事はあるはず。私に言わせたければ、まずは貴方達が秘密を暴露すべきだよ」

 

「チッ」

 

「はは……」

 

 

何というか、三人とも誤魔化している。

そうして、有耶無耶になっている中、スパイダーガールことメイが小さく手を叩いた。

 

 

「気を取り直して、自己紹介もしたし、これから私達はチームってことで!ここに呼び出された事態を解決するための……うーん、チーム名は何がいい?『アメイジング・フレンズ』とか?」

 

「私は貴様らと協力関係だとしても、友達(フレンズ)になった覚えはない」

 

「これからなるかも知れないじゃん?ね?ピーター」

 

 

メイがチラリと僕へ目を向けた。

 

 

「え、まぁ、うん……」

 

 

マイルズとメイはいい。

でも、この偏屈で傲慢な僕とは仲良くなれなさそうだ。

 

僕が言葉を濁したと同時に、ドクターが顔を顰めた。

 

 

「黙れ。そもそもチーム名など必要ない。元の世界に戻るまでの協力関係だ……貴様らなぞ、仲間でもない」

 

「素直じゃないなぁ……いや、逆かな?自分に正直過ぎるのかな、ドクターさんは」

 

 

またちょっとギスギスしてる。

これ、本当に上手く行くんだろうか。

 

刺々しいドクター。

馴れ馴れしいメイ。

止める気もなく難しそうな顔をしているマイルズ。

そして、僕。

 

 

「…………」

 

 

僕は内心でため息を吐いた。

 




◇マイルズ・モラレス
有色人種のスパイダーマン。
年齢は18歳、高校生。
元の世界では、ピーターの弟子らしい。

◇ピーター・パーカー(ドクター)
傲慢で偏見なスパイダーマン。
年齢は32歳、社会人。
パーカー・インダストリーズの社長らしい。

◇メイ
高い社交性を持つスパイダーガール。
年齢は16歳、高校生。
本名は不明の美少女。

◇ピーター・パーカー
エンパイア・ステート大学に通う親愛なる隣人。
年齢は21歳、大学生。
デイリー・ビューグルに自分の写真を売って、食費の足しにしている。
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