【本編完結】レッドキャップ:ヴィランにTS転生した話   作:WhatSoon

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#47 ブラン・ニュー・パワー part6

OK(オゥケィ)

 

じゃあ、もう一度だけ説明するぜ。

 

俺の名前はデスストローク!

……じゃなくて、デッドプール。

職業は傭兵だ。

 

なんやかんやあって超再生能力を手に入れた時から、この世にたった一人の『スパ──

 

『デッドプール』だ。

 

 

後は知ってるだろ?

 

沢山の人を助けたさ。

死の女神様と恋もした。

 

街も……いや、まぁ、救ったかな。

うん、一応。

そこそこの数、救ったと思う。

 

お前、どう思う?

別アースの作品合わせたら、結構救ってんじゃねぇの?

 

とにかく、俺の名前は『デッドプール』。

不死身のスーパーヒーローだって事だけ、覚えて帰ってくれ。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

「うーん、一度やってみたかったんだよね。このテンプレート自己紹介。新規層のファンにはしっかり説明しといた方が良いだろ?常識的に考えて」

 

 

デッドプールが砂浜で、誰に向かってか虚空へ話しかけている。

 

僕は頭に乗った海藻を捨てて、ため息を吐いた。

 

 

「Oh?どうかしたか、スパイディ?ため息は幸せを逃すぜ?……逆説的に言うと不幸せな奴はため息を吐きまくってるってコト?じゃあ俺ちゃん、ため息を吐いとくかな。不幸せだし。はぁ」

 

 

うるさくて、騒がしくて、頭のおかしい狂人。

 

それがこの、デッドプールへの僕達の評価だ。

 

僕個人の、ではない。

僕達の評価だ。

 

と、言うのも。

 

彼は元『アベンジャーズ』だ。

元だ。

めちゃくちゃ短い期間で参加していた。

何故、短いか?

解雇(クビ)になったからだ。

何をしたのか、スタークさんとキャプテンがメチャクチャ怒ってたらしい。

 

後はミュータントのヒーローチームにも参加していた。

多分、そっちも解雇(クビ)になっている。

知らないけど、多分そうだろう。

 

そんな男だ。

 

やる事、為す事、全部がメチャクチャ。

 

だって今も──

 

 

「……早く、治してくれない?それ」

 

 

下半身がなく、上半身だけで寝転がっている。

これで死んでないのが不思議だが、彼のスーパーパワーが不死性に由来しているから仕方ない。

 

 

「そう思うならスパイディ、俺ちゃんの下半身を持ってきてくれない?そこに落ちてる奴。生やすより、くっ付けた方が早いからさ」

 

「うぇっ……そもそも、何で自分で爆破したのに……一番ダメージを受けてるんだよ」

 

 

僕はデッドプールの下半身……内臓がちょっと見えてるグロテスクなものを持って、上半身へくっ付けた。

 

 

「お、センキュー。結局、スパイディは俺ちゃんに優しいよね。実はツンデレって奴?」

 

 

ほんの数秒で結合し、立ち上がる。

足をブラブラとさせて、具合を確認してる。

キモいし黙って欲しい、切実に。

 

僕は若干の吐き気を催しながら、気絶して液状で震えているハイドロマンに近付く。

 

泊まっていた船からポリエチレン製の容器を拝借して、ハイドロマンを封じ込めて蓋をする。

彼を(ウェブ)で拘束しても液体化ですぐに逃げられてしまうけど、これなら逃げ出せないだろう。

 

一作業終えた僕は、デッドプールに振り返った。

 

 

「それで?」

 

「それでって?」

 

 

僕はこめかみを揉む。

怒ったら負けだ、怒ったら負け……。

 

 

「何の用事?さっき別件で来てるとか言ってなかった?」

 

「あー、そうそう。元々、コイツ捕まえる為に来た訳じゃないんだよね。俺ちゃん」

 

「じゃあ、何しにきたの」

 

「知りたい?どうしても?」

 

 

イラッ。

 

 

「あぁ、知りたいよ。迷惑かけられるかも知れないし……主に僕が」

 

「でもダメ。教えてあ〜げないっ」

 

 

思わず手が出そうになるのを必死に抑える。

どうして、コイツは本当に。

 

 

「クライアントが秘密主義者なんだよ。俺ちゃんの尻の穴の数は教えてあげられるけど、それだけは言えない」

 

「……尻の穴は一つだろ」

 

「でも、そうじゃないかも知れないぜ?見る?」

 

「見ない」

 

 

僕はまた、ため息を吐いた。

 

ハイドロマンはスーパー能力を持った悪党だから、現地の警察官に直接渡すのも問題がありそうだ。

 

それこそ、『S.H.I.E.L.D.』みたいな特殊な組織じゃないと彼を拘束出来ないだろう。

 

 

「え、お困り?ゲロミズマンだったか、ゲスイドウマンだったかは俺ちゃんが預かっておこうか?」

 

「……何で?」

 

 

正直、デッドプールには信頼なんてない。

初見の見知らぬ相手よりも信頼してない。

 

時々、本当に洒落にならない事を仕出かすし。

金さえ貰えば……悪事を働く時もあるし。

 

基本的には善人だから、とやかく言う事はないけど。

どうせ捕まえられないし、捕まえるにしても時間がかかるし。

 

僕も早く帰らないと、グウェン達に不審がられるし。

……あぁ、でももう手遅れかも知れないけど。

 

 

「いや?別件の別件でね。俺ちゃん別に依頼を受けてないけど……」

 

「そういう思わせぶりな発言は良いから、教えて欲しいんだけど」

 

「OKOK、そう焦んないでくれ。こっちは依頼も何も契約してないから、俺ちゃんも話せる」

 

 

デッドプールが胸元のポーチからメモ帳を取り出す。

……海水を浴びて、表紙がぐちゃぐちゃになっている。

 

 

「えーっと?あった、あった」

 

 

それでも気にせずに捲って、目的のページを開いた。

 

 

「こいつ含めて何人かの悪党(ヴィラン)は『ジャスティン・ハマー』に雇われてる。(こっから説明タイムだから適当に読んでくれても良いぜ?)」

 

「ジャスティン・ハマー?」

 

「そう、『ハマー・インダストリー』の社長だ。死の商人とも言われてる。悪人(クズ)に武器を与えて、見返りに半分の報酬を得るカス野郎だ」

 

 

僕は手を顎にあてて、考える。

 

……確かに。

ミステリオもそうだけど、個人では持ち得ないレベルで強力な武器や装備を持っているスーパーヴィランはよくいる。

その元手となる大金や技術は何処から出ているのかと思ったけど……そんな所から出てたのか。

 

 

「続けると『ハマー・インダストリー』は武器商人でもある。そして、『スターク・インダストリー』のライバル会社だ」

 

「スタークさん……?」

 

 

トニー・スターク、アイアンマンの敵……と言う訳だ。

 

 

「YES!そう、トニー・スタークのライバル!……と言うにはちょっとカスみたいな奴だけど、因縁の相手とも言える。因みにこれはエンサイクロペディア調べ」

 

「じゃあ、『ハイドロマン』が襲ってきたのも……」

 

「今日、偶々『スターク・インダストリー』の慰安旅行がここ、マイアミだった訳だ。さっき助けたオッサンも社員だ。ついでに、旅行期間は明日まで」

 

 

僕は頭を抱えた。

どうして、よりによって明日まで。

……僕達の夏期旅行も明日までだ。

 

逆に言うと、明日までなら僕は彼等を助けられてしまう。

見殺しになんて出来ないし……旅行中に隠れてコソコソ、スパイダーマンとして活動しなくちゃならない。

 

僕の夏期旅行がメチャクチャにされる、そんな予感を感じとった。

 

 

「……と言うか。何で、そんな事に詳しいんだ」

 

 

情報通……と言うには、やけに内部情報を知り過ぎているデッドプールに僕は問いかけた。

 

 

「あぁん?そりゃ、俺ちゃんもハマーに誘われたからだよ」

 

「……はぁ?」

 

「あ!ちょいちょい、そんな怖い顔すんなって!大丈夫、俺ちゃんはヒーローだから。そんな事しないって!(デス)に誓って!」

 

 

僕は訝しげに彼を見た。

 

……目が泳いでいる。

 

多分、恐らく、デッドプールの言っている『別件』が無ければ参加してそうだな、なんて思った。

 

 

「ま、コイツ捕まえときゃアイアンマンに媚び売れるだろ。足元見れば金をふんだくっ……冗談、冗談だから」

 

「……まぁ、いいよ。それで?ハイドロマン以外に来ている奴っているの?」

 

「あぁ……?あー、あー、ちょい待ち」

 

 

またパラパラとメモ帳をめくる。

 

 

「……知らね。書いてねぇや」

 

「…………はぁ?」

 

「他にも雇われてる奴はいるだろうけど、俺ちゃんには関係ない話だし。そんなに気にしてなかったわ」

 

 

ムカつきながらも、考える。

 

他に何人ものスーパーパワーを持った悪人がいれば、警察や、普通の警備員だけでは『スターク・インダストリー』の社員を守り切れないだろう。

 

……ヒーローが必要だ。

 

僕以外の。

だって、こっちは休暇だから。

 

スタークさんに代わりに戦ってもらいたい。

だって、本人の会社の話だし。

 

僕はスーツの胸元、蜘蛛のマークをタッチして仮想タッチパネルを展開する。

スーツの視界に起動されたパネルを操作して、スタークさんに電話をかける。

 

……側から見れば、宙に対して手をフラフラさせている奇行に見えるかも知れない。

 

デッドプールに「何してんの?」って、狂人を見るような目をされている。

狂人はお前だろ。

 

数回のコールの後、スタークさんへ電話が繋がる。

 

 

「あ、スタークさん?もしもし」

 

『……ピーター。こっちは今ちょっと忙しいんだけど』

 

「う、すみません。でもちょっと急用があっ──

 

 

爆発音。

通話先から聞こえた轟音に、思わず眉を顰めた。

 

 

『すまない、ピーター。ちょっと今手を離せないから、ジャービスに繋げ直してくれ。後で聞くから』

 

 

また爆音。

 

 

「え、ちょっ、スタークさ──

 

 

ブツン。

 

ピー、ピー。

 

 

 

「き、切れちゃった」

 

「え?何?アイアンマンと電話してたの?今」

 

 

デッドプールが顔を近付けてくる。

 

……幸い、通話先の声は聞こえないだろうから問題ない。

 

 

ジャービスに掛け直して、事情を説明したけど……スタークさんも手が離せない用事中らしく、三日は来れないらしい。

 

 

思わず顔を顰めた僕に、何を思ってか、デッドプールが肩に手を乗せた。

 

 

「やっぱさ、つれぇよな……?蔑ろにされる気持ちってのは……分かるぜ?『痛みを知って、人は強くなれる』……これ、実写版グリーンランタン2の名言な」

 

 

その馴れ馴れしさにイラつきつつ、手を払った。

 

 

「スタークさんは来れないみたいだから……僕達で何とかしないと」

 

「え?達?」

 

 

デッドプールが首を傾げた。

 

……まさか。

 

 

「え?協力してくれないの?」

 

「そりゃあ……金の出ない仕事なんてしたくないし?サービス労働には断固として拒否する」

 

 

……ちょっとでも信頼してしまっていたらしい。

 

僕はまた、ため息を吐いた。

さっき言っていた「幸せはため息で逃げる」ってのが本当なら、僕はもう、この世で一番不幸な人間かも知れない。

 

……目の前の、コイツのせいで。

 

 

「正当な理由もあるぜ?俺ちゃん、別の仕事あるって言ったよね。それも人助け……人助けか?まぁ人助けみたいなモンだから、抜けれねぇワケ。残念ながら」

 

 

言い訳する姿に目を細めつつ……まぁ、コイツ、そういう人間だし仕方ないか……と僕は諦めた。

 

 

「……分かったよ。まぁ……でも、情報ありがとう」

 

 

実際、彼に期待し過ぎていただけで、助けてくれたし……情報も教えてもらった。

感謝こそしても、非難する必要はないかも知れない。

 

 

「スパイディに感謝される日が来るなんて……善行は積んどくもんだな。ついでにスーツにサイン貰っていい?『愛しのデップーさんへ❤︎』って」

 

 

いや、やっぱムカつくな。

 

 

これ以上、話しても仕方ないし……あんまり長時間、グウェン達と離れていても疑われる。

 

デッドプールに後処理は任せて、僕はその場を後にした。

文句を言っていたけど、罪悪感は少しも湧かなかった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

ここは避難所。

マイアミビーチの側にある公共施設だ。

そこに私、グウェン、ネッドは居た。

 

 

「ピーター、大丈夫かな?」

 

 

そう言って心配しているのはグウェンだ。

……ネッドも、避難場所でウロウロと落ち着かずにいる。

 

私は……まぁ、ピーターがスパイダーマンだって知ってるから、そんなに心配していない。

ハイドロマンぐらいなら楽々倒して帰ってくるだろうと、そう思っている。

 

……普段の元気を潜めて、表情を沈ませているグウェン。

あまり、見ていて気持ちの良いものではない。

 

彼女は笑って、楽しそうにしている方が良い。

私はグウェンの手を握った。

 

 

「……ミシェル?」

 

「ピーターなら大丈夫」

 

 

根拠は何も言えないけれど、そう言った。

……遠くで、爆発音が聞こえた。

 

私達は窓から顔を出して、音のした場所を見る。

水で出来た巨人、ハイドロマンが爆散していた。

 

……どうやら、戦いは終わったらしい。

 

不安がる二人を宥めていると、避難所のドアが開いて……ピーターが入ってきた。

 

 

「二人ともゴメン!ちょっと遅くなった」

 

「お、ピーター!やっぱ無事だったか!」

 

 

そう言ってネッドとピーターが抱き合う。

……ネッド、普段はハグとかしないのだろうけど、それだけ心配してたって事かな。

 

ぼーっと眺めていると、握っていたグウェンの手が震えている事に気づいた。

 

……あ、まずい。

 

 

「ピーター、何で一緒に避難しなかったの?忘れ物って?」

 

 

グウェンが笑顔で、ピーターに話しかけている。

……いや、絶対笑ってない。

内心ではメチャクチャ怒ってる。

 

ピーターはそれを見て……うん、気付いてない。

グウェンが笑っている事に安心している様子だった。

 

 

「あ、グウェン。ビーチに置いてあった貴重品が──

 

 

バチン、と大きな音がした。

 

……グウェンがピーターの頬を叩いた音だ。

 

ピーターが尻餅をついて、グウェンが上から睨みつける。

 

 

「なんで、そんな危険な事したのよ!バカ!」

 

 

怒ったグウェンがドカドカと大きな足音を立てて離れていく。

 

ネッドがピーターの方を一瞥して……怒ったグウェンを追いかけて行った。

ピーターよりも、彼女の方を心配しているのだろう。

 

……仕方ない。

グウェンはネッドに任せて、私はピーターのメンタルケアでもしようか。

 

私はピーターの側に立つ。

 

彼は……うん。

凄くショックを受けた顔で床に座っていた。

 

それも仕方ない。

グウェンはピーターを小突く事はあっても、本気で叩くような所は見た事ない。

それだけ、心配だったのだろう。

本気で怒ってた。

 

 

「ピーター?」

 

 

私は、グウェンが去った後を眺めていたピーターに声を掛けた。

 

我に返って、私の方へ視線を向けた。

 

 

「は、はは。ごめん、凄く心配かけたみたいで」

 

 

正直、私はピーターを心配していなかった。

だけどそれは、彼がスパイダーマンだと知っていたからだ。

 

普通の友人ならば、ネッドみたいに安心したり、グウェンみたいに怒ったりするのが普通だ。

 

つくづく、自分は本当の意味で彼等に馴染めていないのだと……そう思った。

 

だけど、そんな事がピーターにバレないよう、言葉を合わせる。

 

 

「うん、心配した」

 

「……ごめん」

 

 

項垂れるピーターに、私は同情した。

 

……彼は人知れず、人助けをしただけだ。

誰にも言えず、理解もされず。

 

そして、彼本来の性分のせいか誤魔化すのも下手で……。

 

私はピーターを励ましたいと思った。

 

だけど、どうすれば良い?

 

 

 

ネッドみたいに『抱きしめる』とか?

 

……いや、好きでもない異性にハグされても困るだろう。

私は今、ネッドと違って彼と同性ではない。

……私は、中途半端な存在なのだ。

 

 

「……ミシェル?」

 

 

黙って見つめている私に、ピーターが不安そうな声を出した。

 

 

「どうしたら励ませるか分からないから……困ってた」

 

 

正直に、そう告げる。

 

すると、ピーターは少し呆れたような……苦笑いをした。

 

 

「一緒に居てくれるだけで嬉しいよ、僕は」

 

「そう、かな?」

 

 

よく分からない理屈に首を傾げる。

 

黙って側にいるのを励ましと言って良いのか?

そんな知識も、経験も、私には無い。

 

私は少し悩んで……グウェンの事を話す事にした。

 

 

「ピーター。グウェンのこと、嫌わないで欲しい」

 

「……嫌いになんてならないよ」

 

「凄く心配してたから、ちょっと怒ってる」

 

「……うん。僕が悪い」

 

 

そう言って項垂れるピーターを見て、私は胸が苦しくなった。

 

だって彼は……。

人助けをして……。

なのに……。

 

幾つもの思いが喉まで出そうになって、私は無理やり飲み込んだ。

それは、誰の為にもならないから。

 

彼の秘密を暴いた所で、悲しむのはピーターだ。

誰も喜ばない。

私の自己満足にしかならない。

 

……誰も、彼の理解者にはなってくれない。

彼自身も。

こうやって責められる事を仕方ないと、自分のせいだと、本気で思っている。

 

 

だから、私だけでも──

 

 

「ピーターは悪くない」

 

 

彼の理解者に、なってあげたい。

そう思った。

 

 

「……そうかな?」

 

「うん。理由は知らないけど──

 

 

嘘だ。

知っている。

彼の秘密を、私は一方的に知っている。

 

 

「ピーターが理由もなく、こんな事をするって思わないから」

 

「……いや?理由もなく、この場から居なくなる事だってあるよ。迷惑をかける事だって」

 

 

ピーターは私の言葉を否定する。

それは、スパイダーマンである事に結び付けられたくないのだろう。

少しでも正体がバレそうな返答は出来ないと、そう気を揉んでいるのが分かった。

 

それでも、誤魔化し方が下手な姿に私は少し面白く感じて、笑ってしまった。

 

 

「……ミシェル、何で笑ってるの?」

 

「ふふ、何でもない」

 

 

私も誤魔化すのが下手かも知れない。

 

お互いに秘密を抱えて、私だけがピーターの秘密を知っている。

少し罪悪感が湧くけど。

 

私の秘密は知られてはならない。

だって、この秘密を知られた時が……私と彼等の最後になる。

 

 

「行こう、ピーター。グウェンを追いかけないと」

 

 

二度と会えなくなるのは嫌だ。

嫌われるのも、嫌だ。

だから、私はいつか来る別れの日が来たとしても……話す事はないだろう。

 

……例え、二度と会えなくなったとしても。

彼等には友達だと思われていたい。

 

私はピーターの手を握って、立ち上がらせた。

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