ガンダムビルドブレイカーズ after ZERO 作:有音 響
えぇ…以前投稿してから2ヶ月、3ヶ月余り過ぎましたかね…遅くなり申し訳ないです。
今回もまた長い文章ですが、どうかお読みになられたのであれば幸いです。
さて、今回は過去の深掘り、そしてこの先の展開をメインとしております。
また、今回の話を読む際、ガンダムビルドブレイカーズfor War ロストシスター編をお読みになると話が多少わかりやすいかと思われます。
義之と零斗は四郎に勝ち、その日は夜までみんなと過ごした。
みんなと言っても、啓司と圭衣に四郎しか居なかったけど。
みんなはジュースを飲んで祝杯をしながら、色々とやらかしていたのである。
ケイジ「ねぇ、キノさぁん?さっきのぷにぷにした感触なんすかね?」
ピクッ…
キノ「知らないです。」
ケイ「ん?なんの話?」
ケイジ「いやぁ。今朝、キノさんが勝った後に持ち上げた時に、めちゃくちゃ柔らかい感触があったんすよね。でも、それがなんなのかよくわかんなくて、よくわかんないうえで顔をビンタされたっす。」
ケイ「はぁん…なるほどね…」
圭衣は義之を睨みつける。
キノ「な…なんですかその目は…」
ケイ「キノさんって、もしかしてそういうタイプだったんですか?」
キノ「え…?」
シロウ「おいおい。お前ら学生のくせにそんな話はするなよな。そういう生々しい話は大人になってからしようなぁ。」
一番大人にはかけ離れてそうな人に言われ、皆は静まる。
一方その頃零斗は眠っていた。
零斗はアーマーの改造や特訓などをしていた為、ほとんど睡眠が取れてなかったのである。
そして、零斗はずっと眠ったまま皆は解散し、義之もベッドに横たわり、眠りについた。
夢の中で…
レイト「ん…?あれ…俺…眠っちまってたのか…」
???「レイト君。」
女の子の声が聞こえる。そして、零斗はその声にどこか懐かしいような気持ちを抱いた。
レイト「その声…もしかして…」
ユリ「レイト君。5年ぶりだね。」
レイト「ゆ…ユリ…!」
零斗は嬉しさのあまり、ユリと呼ばれた女の子に抱きついた。
レイト「やっと会えた!ずっとお前に会いたかった!これからは絶対に離さねぇ!ずっと…ずっと一緒に!」
ユリ「レイト君…ごめんね。まだ一緒には居られないの。」
レイト「な…なんでだよ!どうして…」
ユリ「今、この世界に脅威が訪れようとしてる…それを止めてほしい…」
ユリと呼ばれた女の子はだんだん体が消えていった…
レイト「ま…待て!どういう事だ!ユリっ!」
???「今、お前らの世界では大変な事が起きようとしている。」
と、謎の男の声が聞こえる。
レイト「誰だ!」
???「お前に告げよう。お前達の終焉の世界を。」
と、言うと、突然目の前に映像が映し出される。
レイト「…っ!これは…」
零斗は唖然とした。
建物は倒れ、惨い状態で死んだ人々、鉄筋で串刺しされた者や、落ちた建物により身体が上半身と下半身で真っ二つになってる者、そして…目の前には義之の亡骸が転がっていた。
レイト「な…なんだこれは…っ!どうして!どうしてこんなっ!」
???「これは、お前達の世界に未知の力を持つ者が来訪した事により、時間、空間、次元の概念を壊し、この世の真理を覆されたのだ。」
レイト「どういう事かわかんねぇよ!未知の力ってなんだ!教えろよ!」
???「それは…ゲッターだ。」
レイト「…は…?」
???「そんな言葉しか出ないのもわかる。だが、これは本当に起こりゆる可能性のある未来だ。そして、ゲッターがこの世界に降りる歯車、鍵になるのは、電之一華という女だ。」
レイト「い…イチカだと…?!」
???「何故その女が鍵になるのかは必ずわかるはずだ。近い日にな。」
レイト「なんでイチカみてぇなガキが鍵なんかになんだよ!」
???「あの女の凄まじい力にゲッターは引き寄せられたのだ。そして、ゲッターは人間だけでなく、機械やガンプラを進化させ、この世界で暴れる事だろう。」
レイト「…。どうすればいいんだ…」
???「あの女の存在を抹消、殺すしか道は無い。」
レイト「ふざけんな!あいつは弟の大切な友達だ!そんな事できるかよ!」
???「……。そうか。では貴様にも、ゲッターの力の恐ろしさを覚えてもらう必要があるみたいだな。」
レイト「何…?!」
零斗の真下に居た義之の亡骸の下から何かが出てこようとしている。
そして、目の前に現れた。その大きさは20メートルに近いほどの大きさとなった。
レイト「なっ…!!!」
零斗はその姿を見て震えた。
コアガンダムαもとい、プラネッツナイトに近い姿のガンダムが目の前に現れたのである。
レイト「プラネッツ…ナイ…ト…」
そして、プラネッツナイトに似たガンダムの近くから声が聞こえた。
キノ「レイトさん…ずっと…探してたんですよ…さぁ…」
と、言って零斗を掴み始めた。
レイト「は…離せっ!」
キノ「絶対に…離しませんよ…!」
と、言って握りつぶしてきた。
レイト「ぐぁぁぁぁっ!」
…
レイト「はっ…!はぁ…はぁ…。」
零斗は目が覚めた。
レイト「な…なんだったんだ今の…」
明け方…
レイト「…ユリ…。」
キノ「んん…んにぅ〜…。」
義之が零斗の声を聞き目覚めるのだった。
キノ「レイトさん…おはよう…すぅ…すぅ…」
レイト「全く…。寝ぼけてんじゃねぇよ。」
キノ「寝ぼけてなん…て…」
レイト「ダメだこいつ…」
キノ「レイトさん〜…」
義之は寝ぼけた状態から零斗に飛びついた。それも、モデルガンを手にして。
レイト「お…おい!」
スチャッ…
義之が銃の先を向けた。
レイト「お…おま…ングッ!」
キノ「それ以上動いたら撃ちますよ?」
レイト(こ…こいつ、本当は起きてやがったのか…っ!)
キノ「じゃあね。」
レイト「ンゴッ…!」
ダンッ…鈍い音が部屋中に響く。だが、特に何も起きなかった。何故なら…
レイト「あ…危ねぇだろが!何してんだ!俺が幽霊じゃ無かったらマジで死人出たかもしれねぇんだぞ!」
キノ「……。」
義之はそっぽ向いた。
レイト「聞いてるのか!」
キノ「……。」
レイト「キノ!」
キノ「なんですか?」
レイト「俺の話を聞いてたか!」
キノ「……。」
レイト「何かあるなら言え!」
キノ「…の…から…。」
レイト「あ?」
キノ「他の女の子の名前を呼んでたから…。」
レイト「な…なんだそのくらいの事で機嫌損ねてたのかよ…。」
キノ「そのくらいってなんですか!僕だって女の子です!」
レイト「んな事で機嫌悪くすんなよな…?」
キノ「レイトさん嫌い…。」
レイト「な…なんでそうなんだよ?」
キノ「だって僕よりも好きな人を思ってるみたいだったし…」
レイト「んな事ねぇよ。俺の1番はお前だけだぞ。」
キノ「お世辞なんて言わなくていいですから…」
レイト「しゃあねぇなぁ…」
キノ「…?」
零斗は義之の顔を自分の顔の前に持ってくるように向けた。
キノ「な…何するんですか…?」
レイト「お前には毎日お世話になってっからな。お返しだ。」
チュッ…
零斗は義之にキスをした。
キノ「れ…レイトさん…?!や…やめて!ちょっと!」
レイト「なんだ?俺とこれをしたかったんじゃ無いのか?」
キノ「いや…だって…約束は…」
レイト「お前に悲しい思いさせたみたいだからな…。特別だからな?」
と、零斗は言った。
彼なりの正直な答えのようである。
それから…
キノ「レイトさん、ずっと女の子の名前を呼んでましたけど、その女の子って、この前言ってた人ですか?」
レイト「…あぁ。ユリの事か。」
キノ「アマリさんから聞いた過去の話の。」
レイト「少しだけ話してやるよ。俺とユリの昔の話を…」
〜回想〜
5年前、俺が幼馴染みの子と初めてガンプラに触れた話だ。
ユリ「レイト君、私はこれがいいな!」
冬白 優里(フユシロ ユリ)
名前を冬の白い百合の花という風に覚えられている女の子だ。
当時14歳でまだ中学生でまだわからない事も多い時期だ。
優里がそう言って俺に渡してきたものはコアガンダムのキットだった。
ユリ「このガンプラ、小さくて可愛いし、アーマー?ってやつを付けると普通のガンダムみたいな大きさになるんだよ!」
レイト「ほぇ〜。」
ユリ「私、レイト君にはこのガンプラを作ってもらいたいな!」
レイト「え?俺が?」
ユリ「うん!」
レイト「しょ…しょうがないなぁ。」
ユリ「私も作るの手伝うからさ!大切にしようね!」
俺は優里のおかげでコアガンダムと出会えた。
そして、その想いは今も俺の意志と思い出と共に、弟に受け継がれている。
俺は初めてコアガンダムで戦い、勝利した場所も優里と一緒に訪れたあの湖のある場所。
それから数ヶ月が経った頃、優里はガンプラバトルを無理矢理やらされ、負けた。
あの時に優里が使っていたガンプラもコアガンダムだ。
俺たちは2人でコアガンダムを使っており、基本的に俺の手元に置いている為、コアガンダムが無い事に異変を感じた俺は、急いで優里を探した。
その時にはもう何もかも遅かった。
それから優里は飛び降りて自殺し、優里の形見としてコアガンダムは残ってしまった。
悔しかった。
大切な人に死なれて、自分の無力さ、苦しんでる事に何も気づかなかった自分に腹を立てた。
だが、そんなことをしても返ってくるものなんて無い。
だから俺は強くなる事を決意した。
コアガンダムとともに。
そして、死んだ今俺と共に戦ってくれたコアガンダムは俺の手元を離れ、弟の響の元にある。
俺と優里が築いてきたものは受け継がれ、新たな発展を試みている。
いつか訪れる未来の為に。
キノ「そんな事があったんですね…」
レイト「ユリはいいやつだったけどな…。俺はアイツの事をちゃんと知ってたつもりで、全然知らなかった。本当に知っていればアイツの苦しんでいる事にもすぐに気付いてやれたってのにな。」
キノ「レイトさんは悪くないですよ!ユリさんのお父さんや無理矢理バトルをさせた人達がいけないんです。」
(詳しい事が知りたくば、前回も読んでくれよな。)
レイト「珍しく言うじゃねぇか。だが…俺がもっとしっかりしてりゃこんな事にはならなかったはずだ。」
キノ「レイトさんがそこまで縛る理由はなんなんですか…?」
レイト「さぁな。だが、あの時があるから、俺はお前を守りたいってのがあるんだろうな。俺が居なきゃ今頃お前はいなかったかもしれねぇんだからな?」
キノ「そうですね…まさか僕を殺しに父さんが来るなんて思わなかったですし…レイトさんが居たから僕は今を生きてるわけか。」
レイト「へっ。」
キノ「なんですかその鼻で笑った声は。」
レイト「いやぁ、お前にしちゃ割と素直に言ってるなと思ってな。」
キノ「…。金輪際レイトさんと話さなくてもいいんだけど?」
レイト「ま、待てよ!それはよしてくれ!」
キノ「冗談ですよ。僕もレイトさんと話していたいし。」
レイト「お…脅かすなよ…。」
キノ「えへへ。」
2人はそれからもお互いの過去を打ち明ける。
キノ「じゃあ、今度は僕が話す番ですね。」
レイト「ん?」
キノ「僕の家系の話。」
義之の家系では皆幽霊を見る力がある。だが、それともう一つ一人一人別々の力を持っていた。
キノ「僕ができるのは、幽霊を見る事とこの身体に幽霊を憑依させる事。お兄ちゃんが使えた力は少し先の未来を見る力。お母さんは悪い霊を祓う力。お父さんは幽霊を消す力。」
レイト「それって、浄化とは違うのか?」
キノ「違いますね。父さんはその霊事態の存在の抹消。輪廻転生すらできなくしてしまう禁忌の力。」
レイト「待て…お前の兄貴はお前を庇って…」
キノ「…多分もう居ないと思います。多分…」
レイト「多分って、どういう事だ?確信できないのか?」
キノ「父さんの力は触れた幽霊を抹消するから、人を殺した時にも同じようになるのかまではわかりません…。」
レイト「…。俺はあの野郎に触れたが…何故消えなかったんだ?」
キノ「…。もしかしたら、僕とお兄ちゃんが居なくなって以降、力が使えなくなったとか…。」
レイト「無限に使える力じゃねぇんだな。」
キノ「この世界に無限はありませんよ。そうじゃなければレイトさんも死んでないし、お兄ちゃんも死ななくて済んだ…」
レイト「キノ…。お前はお兄ちゃんの事が大好きだったんだな。」
キノ「………。」
レイト「俺も一応兄弟が居たからな。兄妹を持つ人間の気持ちはわかる。」
キノ「無理に励まさなくてもいいですよ。」
レイト「俺は励ましてるつもりはねぇよ。」
キノ「そうですか…。」
レイト「なぁ。もし、お前が良いんならよ。俺のことをお兄ちゃんって呼んでも良いんだぜ?」
キノ「キッモ…」
レイト「あ?!」
キノ「冗談ですよ。…ありがとう。レイト…さん。」
レイト「いや、そこはお兄ちゃんって言えよ!」
キノ「まだ恥ずかしいから嫌です。」
レイト「つまんねぇなぁ。」
キノ「いいでしょ?」
レイト「うーん…無難な…」
そうこう言ってる間に時間は過ぎてゆき…
お昼頃…
レイト「曇って来たな。一雨降りそうだな。」
キノ「雨に降られたら困るんですか?」
レイト「いや、アマリのねぇちゃんの所に行って買い物しようと思ってんだよ。」
キノ「今行ってきたらどうですか?」
レイト「そうすっかな。あ、お前も行くか?」
キノ「僕はいいです。テレビ見てるので。」
レイト「そ…そうか。んな事より、何見てんだよ。」
キノ「ん?新ゲッターロボを見てるだけですけど?」
テレビ[「…これこそ待ち望んでいた世界。ゲッターが作り出した世界だ。」
『なんだと?!』
「機械と同化し、選りすぐれた体を奪う事で、人は更なる進化を続ける
人は人を超えた存在になれる…!」
『なにバカなことを言ってやがる!』
「ふっふっふ…ならばあそこを見てみろ。新しい生命の誕生だ。あらゆる意味でな。」
『っ…!』
『ふざけるな…!なんだってんだ!どうしてこんな世界があるってんだ!』
「知りたいならあそこに行けばいい。あそこに行けば…。」]
レイト(なんで新ゲッターロボのトラウマ回と言っても過言ではない9話を…ん?)
レイト「…俺…夢で…」
(イチカの抹消…)
その言葉が頭をよぎる。
レイト「っ…!」
ズサッ…
零斗は膝をついた。
キノ「レイトさん…?!」
零斗が突然膝を着いて動かなくなったのを見て、テレビから目を離した。
キノ「レイトさん!大丈夫ですか!レイトさん!」
レイト「…。今のは…」
キノ「よかった…もう、驚かさないでください!」
レイト「す…すまん…」
テレビ[『やめろ!やめやがれぇぇぇぇ!』
「はっはっはっはっはっ!」
『…!』
『あれは…俺…なのか…?』]
キノ「あ〜!」
レイト「どうした?」
キノ「新ゲッター終わっちゃった…」
レイト「そ…そんな事かよ…!」
キノ「そんな事ってなんですか!」
レイト「いや…だって、それって昨日シロウが持ってきたDVDだろ?もう一回見ればいいだろ。」
キノ「もう一回一から見てたら時間がかかるじゃないですか!」
レイト「なら飛ばせばいいだろが!」
キノ「これだから男は!時間の無駄の無いようにする事の大切さをまるっきりわかってない」
レイト「あぁ?!」
キノ「なんですか!やるんですか?!やるなら撃ちますよ!」
ガラガラ…ヒョコッ。
シロウ「おいおい。喧嘩するんじゃ無いよ。」
2人「どこから現れてるんだ!」
四郎が突然窓から現れ、2人の注意はそっちに向かった。
そんでもって20分後…
レイト「そんじゃ、こいつの事頼む。」
シロウ「まかせろ。護衛は得意だからな!」
キノ「…。」
レイト「ちゃんといい子にしてろよな?シロウもこいつに手を出すんじゃねぇぞ?」
シロウ「そんな事する訳ないだろ!俺はこれでも二十歳なんだぜ?ちゃんとやっていい事と悪い事くらいわかってる。」
レイト「後でキノに聞くからな?」
シロウ「心配のし過ぎだ!早く買い物に行け!」
レイト「はいよぉ〜。」
病院の扉を後にした零斗。
零斗が扉を出てすぐに入れ違いで1人の女の子が入っていく。それも、零斗はその女の子に見覚えがあった。
レイト「あいつ…どっかで…」
それから更に時間が経ち…
レイト「アマリさん、ありがとな。」
アマリ「いいのよ。キノちゃんが早く退院する事を願ってるわね。」
レイト「あいつはだいぶ元気になってっから、もうすぐ退院できるさ。」
アマリ「あら。そうなのぉ?じゃあ、今度またお店に連れてきてねぇ〜。」
レイト「わかったよ。あ…なぁ。」
アマリ「ん?なぁに?まだ何か足りないものがあるの?」
レイト「いや、やっぱなんでもねぇ。」
アマリ「そう?じゃあ、またのご来店を〜。」
レイト「お、おう。そんじゃ。」
レイト(なんだ…この胸騒ぎ…何か嫌な予感がする…)
その嫌な予感が的中するとは誰も思いもしなかった。
零斗が病院へ戻る時…
ザー…
レイト「雨…」
雨が降り始めた。
レイト「この胸騒ぎも、関係してるってのか…?」
一方、義之のいる病室では…
キノ「雨、降ってきましたね…。」
シロウ「多分すぐに帰ってくるから大丈夫だと思うぞ。」
キノ「なんか…嫌な予感がするんです…変な胸騒ぎというか…」
シロウ「胸騒ぎ?俺に恋してr…」
キノ「それは絶対ありません。」
シロウ「そんなにハッキリ言う…?」
その頃、零斗の方では…
「がァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!!」
苦しむような叫び声が聞こえた。
レイト「…!今の声!まさか…っ!」
雨の中を声のした場所へ零斗は走ってゆく。
そこは駆けつけた頃には何もかも遅かったかのような悲惨な現実が待っていた。
レイト「…っ!な…」
零斗が見たのは、見るに絶えない状態になっている一華が全身から血を流し、倒れている姿であった。
レイト「おい!イチカ!しっかりしろ!イチカ!」
一華の首元に手を当て、脈を測る。
レイト「脈が弱い…。早く病院に連れて行かねぇと死んじまう…!」
零斗は一華を背負い、病院に連れて行こうとする時、バラバラに砕け散った一華のガンプラが目に入った。
レイト「これは…イチカのザク…。なんでこんな事になってんだ…!」
零斗は一華のザクのパーツを買い物した袋の中に入れ、一華を背負い、病院へ連れて行く。
イチカ「………誰……?」
途中で一華が意識を取り戻し、喋り出した。
レイト「喋んな。あと少しで病院に着く。」
と、言って一華に極力体力を使わせないようにした。
レイト(そういや、四郎のやつが言ってたな。死にかけて幽霊が見えるようになったって。こいつも死にかけて、俺が見えてるって事か。)
そして、病院に着く少し前…
ヒビキ「イチカ!どこだ!イチカぁ!」
アイナ「イチカお姉ちゃん…!どこにいるの!」
響とエタの妹のアイナが一華を探していた。
レイト「イチカ…あとはヒビキ達が連れてってくれるんだとよ。」
完全に意識を失っている一華にそう囁き、近くの木の下に座らせ、一華の居場所を教えるかの如く、物音を立てた。
ヒビキ「居た!イチカっ!」
レイト「あとは頼むぜ。ヒビキ。」
零斗は一華を託し、先に病院へ入って行った。
零斗が戻った頃…
キノ「お帰り。」
シロウ「びしょびしょだな。」
レイト「あぁ…。」
キノ「レイトさん?」
レイト「…なんでもねぇよ。」
それから、時間は経ち…夕方。
雨が上がると同時に四郎は帰り、一華が近くの病室に入院した。
その夜、零斗は…
零斗は悍ましい夢を見た。
有真が一華を殺そうとしたやつをシュレッダーにかけ、生きたままバラバラにしている姿を…
そして、その先の未来で一華は精神は壊れてしまい、戦い狂う夢を見たのである…。
レイト「…っ!今の…あれがまさか…昨日の夢で見た未来…あのまんまにしたら、この世界は…!どうすりゃいいんだ…」
明け方…
レイト「……。ふぁ…ちぇっ…全然眠れやしねぇ…」
キノ「…zzz」
零斗は隣で眠る義之を見て思った。
レイト(もし俺が、このまま未来を変えようとせずにしたら…ヒビキやキノの笑顔を見られなくなる…。だが、どうすれば未来を変えれんだ…。)
零斗は立ち上がり、病室にあるテーブルと椅子の前に立つ。
パラパラ…
何かの破片が転がるような音がする。
レイト「…あ。」
それは昨日、零斗が拾い上げた一華のバラバラになったザクの破片だった。
レイト「そういや、こいつを治さなきゃな…。」
そうして、パーツを近くに束ね始める。
すると、何処かから声が聞こえた。
???「痛い…痛いよ…」
レイト「あ…すまん。もう少し優しくするからよ。」
そして、一瞬頭に?が浮かんだ。
レイト「…?俺、今誰と話してんだ…?」
???「ワンちゃん…を助け…なきゃ」
レイト(まさか…このガンプラが俺に話しかけてんのか?)
ガンプラ「…ワン…ちゃ…ん…」
レイト「お前が話しかけてるのか?ダブルオーザク」
ザク「私の声…聞こえる…の?」
レイト(間違いない。こいつが話しかけてんだ。)
レイト「お前の声は聞こえている。」
ザク「お願い…イチカに…ワンちゃんに会わせて。」
レイト「ダメだ。今のお前はイチカには見せてやれねぇ…」
ザク「どうして…」
レイト「お前は…バラバラになって、ほとんど形を止めることができてない。だが、俺が必ず治してやる。お前の持ち主に少しでも早く会わせてやる。だから、少しだけ待ってくれ。」
ザク「…。わかりました。約束です。絶対に…ワンちゃんに会わせてくださいね。」
レイト「あぁ…。勿論だ。約束は果たす。」
そして、ダブルオーザクは何も言わなくなった。
レイト(さっきのが…あいつの…ザクの願い…か…。…安心しろ。必ず治してやるからな。)
零斗は拳を強く握り、ザクを完全に治すことを誓った。
キノ「レイトさん気持ち悪い…」
レイト「き…キノ?!」
キノ「ちょ…近づかないでくださいよ…1人で喋り始めて気持ち悪いなぁ…」
レイト「お…おい!お前いつからいやがってんだ?!」
キノ「ダメだ。今のお前はイチk…」
レイト「おい!結構前から聞いてんじゃねぇか…!」
キノ「嫌だ…気持ち悪い…レイトさんって、そんなに厨二だとは思わなかった…」
レイト「違うんだよ!決してそんなんじゃねぇんだ!」
キノ「えぇ…」
レイト「信じろよ!」
キノ「最近、レイトさんおかしいですよ…。」
レイト「俺はいつも通りだぞ!?」
キノ「でも、いきなり独り言言うし、昨日は僕以外の女の子の事を考えてたし。」
レイト「あのなぁ…」
キノ「あのさ。」
レイト「なんだよ?」
キノ「レイトさんって、僕のように不思議な力を持ってるんですか?」
レイト「あぁ…そういや言ってねぇな。」
キノ「やっぱり何かできるんですね?」
レイト「あぁ。俺はガンプラの声を聞くことができんだよ。」
キノ「え?」
俺が何故声を聞く事ができるのか、それは偶然の事だった。
俺が死ぬ半年以上前…
レイト「ユリ…なんで俺とこいつを残して行っちまうんだよ…」
俺が悲しみに明け暮れていた頃だった。
俺は…いや、俺たちは取り残された。
俺は優里と作ったコアガンダムを手に取る。
レイト「お前は俺が死ぬまで大切にするからな…。」
そうして俺はコアガンダムと共にいることになった。
それから毎日、手入れを忘れないようにしてきた。
強さの限界を感じ始め、少しだけカスタマイズを行ったりもした。
コアガンダムα…始まりの意味を持つコアガンダム。
優里と共に出会い、俺がガンプラを始めるきっかけにもなった俺の始まりを意味するガンプラ…
俺は手入れをしながらガンプラに毎日のように話しかけていた。
今日あった事、優里との思い出、いろんな事を語った。物言わぬガンプラに。
そうして毎日話しかけていると、思いもしない事が起きた。
レイト「α、お前は俺のことがどう見えてんだ?」
………
レイト「ま、言っても答えが帰ってくる訳…」
α「君は優しい人間だ。」
レイト「…?!」
α「驚かせてすまない。」
レイト「お…お前が話しかけてんのか…?」
α「そうだ。私はコアガンダムα。君と今は亡き君の友の…君達の作ってくれたガンプラだ。」
レイト「なんで喋れんだ…!?」
α「何を言っているんだ。私はずっと話しかけていた。だが、プラモデルの私の声は聞こえるはずが無いと思っていたのだろう?」
レイト「そ…そりゃそうだが…」
α「私の声が聞こえるようになったのは、君がずっと問いかけてくれたからかもしれないな。」
レイト「そ…そんなもんなのか…?」
α「それは君次第さ。」
レイト「まあ…あんまり言及はしねぇけどよ…。」
α「ありがとう。私もその方が助かる。」
レイト「なぁ、お前は俺と一緒に居てくれるよな?」
α「もちろんだ。私は君とずっと共にいる。亡き君の友の為にも。」
そして、俺はいつのまにかいろんなガンプラの声を聞けるようになった。
キノ「ガンプラと会話…ね…未だに信じられないなぁ…」
レイト「まぁ、そうだろうよ。だが、俺には確かに聞こえてる。あのザクの声も、ZEROの声もな。」
キノ「ZEROの声も聞こえてるんですか?」
レイト「おう。お前が車に轢かれて、治してる時にな。「キノさん…ごめんね…」なんて言ってたぞ。」
キノ「へぇ〜…。」
レイト「信じてねぇな?」
キノ「半信半疑って所ですよ。」
レイト「まあ、いいさ。お前も物を大切にしてりゃ、いつかその声が聞こえるようになるさ。」
キノ「…。」
俺は、今だからわかる。一華の心も、一華のガンプラの想いも死んじゃいない。一華が強い理由はガンプラと意志を疎通させているからなのだろう。いつか…必ず俺や零華よりも強い存在になるのだろうな。
ガンプラの想い、一華を救う為にもこのザクを治さなきゃならない。
必ず治してみせる。
そして、1週間が過ぎた頃…
レイト「まだこれで半分くらいか。まだ道のりは長そうだな…」
キノ「レイトさん、毎日やってますよね。食事とお風呂、掃除に洗濯の時以外は全部。」
レイト「仕方ねぇだろ。お前がまだもう少し入院しなきゃなんねぇんだからよ。お前の分まで俺が色々世話をしなきゃいけねぇんだしよ。」
キノ「無理はダメですよ。ちゃんと休憩してください。」
レイト「わかってるよ。この1週間寝てねぇだけさ。」
キノ「なんで寝ずにそこまで…」
レイト「あいつには…イチカには借りがあんだよ。返しきれねぇくらい大きな借りがな。」
キノ「弟のヒビキ君の事…ですね。」
レイト「あぁ。俺が死んでからは、塞ぎ込むようになってたあのヒビキを救ってくれた恩人だからな。受けた借りは倍にして返す。それが俺のやり方よ。」
キノ「レイトさんって、そういう所はしっかりしてるんですね。」
レイト「うるせぇ。一言多いぞ。まあ、そんな事よりよ。」
キノ「?」
レイト「キノ、隣の病室を少し見に行ってくれねぇか?」
キノ「なんでですか?」
レイト「イチカが居るんだよ。」
キノ「え…」
レイト「俺も毎日顔を見てはいんだが…まだ起きてねぇんだ。この1週間、一度もだ。」
キノ「それって…」
レイト「心配すんな。心音は安定、脳も特に支障は無い。ちゃんと生きてるぜ。」
キノ「じゃあ、なんで…」
レイト「……。外傷が酷かったからな…。」
キノ「…。」
レイト「まあ、そんな顔をすんな。アイツなら大丈夫だ。ザクも治して、必ず元気になるはずだ。」
キノ「そう…ですか。」
レイト「とりあえず、見に行ってくれねぇか?」
キノ「わかりました。行ってみますね。」
義之は隣の病室の前に立った。
扉を少し開けると、声が聞こえた。
???「我が娘イチカよぉぉ!ごめんなぁ!」
キノ「うぃっ?!」
その声の大きさにびっくりし、飛んでいきそうになった。
キノ「な…なにあの家族…みんなして化け物なの…?」
と、病室の外で言ってると、市長である有真が怖い顔をして歩いてきた。
義之は有真を見て、
キノ「こんにちは。この前はありがとうございました。」
といった。有真は笑顔になり、話しかける。
アルマ「やぁ、キノ君。かなり回復したみたいだね。」
キノ「市長さんは、ここに何をしにきたんですか?」
アルマ「古い友人の子が入院してるから、見舞いに来たのさ。」
キノ「そうだったんですね。(あの大声を出してる人は、イチカさんの親だったのか。)」
アルマ「そこをどいてもらえるかい?僕はこれでも忙しいんだ。この後も仕事が山積みでね。」
キノ「失礼しました。」
と、言って義之は病室と扉から離れた。
そして、自分の病室へ戻っていった。
病室に戻ると…
レイト「どうだったか?」
キノ「市長さんと家族がお見舞いに来てたので入れませんでした。」
レイト「なに?アルマが来ていただと?」
零斗は知っていた。有真が来るということは何か大きなことが動いてるか、この事故には何かの裏があると。
レイト「キノ、お前はここに居ろ。」
キノ「え?」
レイト「心配すんな。すぐに戻る。」
零斗は隣の病室の前に立ち、耳を立てる。
ヨシモリ「アルマ、もし俺やママにできる事があれば言ってくれ!なんでもするさ!」
アルマ「……いや、君たちはいつも通りの日常に専念してくれ。イチカが戻って来れるように。僕は………。」
アルマ「僕なりにやれることをやるよ。市民を傷つけるだけでは飽き足らず、ガンプラマイスターの腕を壊した。それだけが分かればいい。」
アルマ「イチカ、君は必ず僕がなんとかしてみせる。」
笑顔の有真が病室から出てきた。
アルマ「失礼した。」
有真が歩く先で、零斗は壁に寄りかかりながら声をかける。
レイト「待てよ。」
アルマ「なんだい君まで。僕は忙しいんだ。市長としての仕事に、ゴミ掃除までしないといけないんだからね。」
レイト「なぁ、アンタはそれでいいのか?」
アルマ「どう言う事だい?」
レイト「アンタがイチカのやつをあんな風にした奴を恨むのもわかる。だが、それが本当に正しい事だと思ってやっているのか?」
アルマ「君がそんなことを言うなんて珍しい事もあるんだね。」
レイト「考えなおせ。今のアンタは俺の知っているアンタじゃねぇ。もっと冷静になれよ。」
アルマ「僕は常に冷静さ。君こそ、キノ君の看病に尽くし過ぎて疲れてるんじゃないのかい?」
レイト「…。そうかもしれねぇな。」
アルマ「君こそまず休みたまえ。」
レイト「…。あぁ、そうさせてもらうぜ。」
そうして有真は颯爽と駆けていった。
笑顔で去っていったが、その笑顔の裏にはとても悲しく、そして、煮えたぎるような怒りを抑えてるように見えた。
そして、零斗は何かに気づいたようであった。
レイト「(あの悪夢が現実に起こりえる可能性があるのかもしれねぇな…)」
零斗が不在の病室では、義之が1人ポツンと病室のベッドに横たわっていた。
キノがベッドでため息をつくと…
???「ねぇ。君、暇なの?」
キノ「…!!」
義之はとても驚いた表情を見せる。
???「あ、ごめんね。驚いちゃった?」
キノ「僕が人の気配に気づかないなんて…」
???「あ…そっち?」
キノ(この子、何故か同じ匂いがする…。)「君は何者なんだい?」
コハル「私は狐春。別に私は何者でも無いよ。あ、そうそう。以前の君のバトル、拝見したよ。すごく強いんだね。」
キノ「あ…あぁ、どうも。僕はキノ。よろしくね。えっと…狐春さんでいいですよね?」
コハル「別に呼び方はお任せするよ〜。」
キノ「君もガンプラバトルをやってるの?」
コハル「そうだよ。私のガンプラはこれ。」
そう言って取り出したガンプラを義之に渡す。
キノ「これは…コアガンダム…?」
コハル「そうだよ。私の師匠がコアガンダムを使ってた人でね。私もコアガンダムを使う事にしたの。」
キノ(師匠って、もしかして…)「あの、その師匠さんの名前は…?」
コハル「有音 零斗って人。今はもう思い出の人だけどね。」
キノ「やっぱり…」
コハル「え?」
キノ「あ、な…なんでもないですよ。」
コハル「そっか。でも、私にはなんとなく感じるの。まだ師匠は生きてるって。」
キノ「…。」
コハル「それに、キノさんのそのコアガンダムも、師匠と同じような気を感じる。」
キノ「僕のガンプラは、自分だけのものじゃ無いから。もしかしたら、僕に作り方を教えてくれた人も、君と同じように、その師匠から教えてもらったのかもしれないね。」
コハル「そっかぁ。あ、そろそろ家に帰らなきゃ。またね。」
キノ「あ、うん。」
コハル「あのさ。明日もここに来ていいかな?」
キノ「いいよ。僕はもう少し入院してなきゃいけないから。」
コハル「わかった。それじゃ、またね〜。」
そう言って狐春は病室を後にした。
キノ(なんというか…不思議な子…)
1時間後、零斗は義之の待つ病室に戻ってきた。
そして、多少の会話を交えた後、またダブルオーザクの修理に入った。
それから一週間、同じような日々が続いた。
零斗は昼間は1人で作業をするため外へ行き、義之は狐春と病室で話したり、ちょっとしたゲームをして楽しんだ。
そして…
レイト「やっと…治った…。」
ついにダブルオーザクは完全に形を取り戻し、修理が完了した。
ザク「治してくれてありがとう。早くイチカに…ワンちゃんに会わせて。」
レイト「なぜそこまで急いでんだ?」
ザク「感じるの。今、ワンちゃんに必要なのは私なんだって。」
レイト「そうか。わかった。イチカのところに連れてってやるよ。」
そう言ったのも束の間…
キノ「レイトさん!」
レイト「どうした?」
キノ「隣の病室のイチカさんが数日前からいないんです!」
レイト「何…!?」
ザク「イチカ…」
レイト「そうか。お前が急いでる理由はこの事だったのか。」
キノ「なんの話を…?」
レイト「話は後だ!とりあえず今はイチカを探すぞ!」
キノ「でも、何処を探すって言うんですか?あの身体でガンプラバトルはできないのに。」
レイト「(言われてみりゃそうだ。あの腕で戦う事はできねぇ……。いや、一つだけある。腕を使わなくても、その感覚だけでできる唯一の方法が!)キノ、GBNの設置されているゲーム施設に行くぞ!」
キノ「え?でも、何処に…」
レイト「ここはガンプラバトルの街、湯ノ森だぞ!何処にいってもある程度の施設にあるはずだ!」
キノ「わかりました。急ぎましょう!」
レイト(待っていろ。イチカ!お前が道を踏み外す前に必ず止めてみせる!)
「ワンちゃん。」
「シグ…ちゃん…?」
「なんだ…この世界は…この暖かい感覚は…」
「…兄さん?」
(そうか。これは、あのザクの力…)
「ここに居るみんなの思いが聞こえる。」
次回、運命と未来、紡がれる心〜人々の願い〜
これは、君達が掴んだ未来、そして…この先の希望。