ガンダムビルドブレイカーズ after ZERO   作:有音 響

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第14話〜終遠のZERO〜

前回のあらすじ

義之はZ部隊の仲間と共にマスダイバーによる侵攻を防ぎ、一時は勝利を納めたが、事態は一転し突如現れたグレイズアインの襲撃により、部隊の仲間達は次々と行動不能に陥ってしまう。

ただ1人残された義之はグレイズアインに立ち向かうが、阿頼耶識による敵の反応速度に追いつけず窮地に陥った。

その時、黒い騎士のようなガンダムが目の前に現れ、グレイズアインを無惨な形で倒し、危機を逃れた。

義之は助けられたが、何者かもわからないまま突然現れ、去っていこうとするガンダムに誰だと聞く。返ってきた答えは…黒騎士(ブラックナイト)世界の均衡を護りし者…と。

 

キノ「ブラック…ナイト?」

???「それ以上語る事は無い。」

そう告げると、すぐさま立ち去ろうとした。

去ろうとするガンダムに向け、義之は言う。

キノ「待って!」

相手の動きは止まった。

???「なんだ。まだ何かあるのか?」

相手は呆れたような言い方で答える。そこに義之は問いかけた。

キノ「貴方はレイトさん…いや、有音 零斗って人の事を知りませんか?」

一瞬、相手は固まったような素振りを見せ、答える。

???「さぁな。聞き覚えの無い名前だな。」

義之は更に問いかける。

キノ「そんなはずはありません。そのガンダムはレイトさんが乗っていたガンダムに姿がよく似ているんです。本当は貴方は…」

ピーッピーッ…何かを言おうとした途端、オペレーターから連絡が入った。

オペレーター「本部より入電です。Z部隊の機体の回収、収容が完了しました。キノさん、この後回収に向かいますので、そこで待機しててくださいね。」

プツッ…

キノ「なんでこう言う時に…」

???「………。じゃあな。」

そう言うと、相手は立ち去ろうとする。

キノ「待って!」

???「悪いな。俺は…見つかる訳にはいかないんだ。」

最後にそう告げて、もの凄いスピードで目の前から消えた。

キノ「……っ!」

ZERO「キノ…また会えるよ。きっと…。」

キノ「…そうだね。」

そう話していると、改修隊がやってきた。

 

………一カ月ほど前。

零斗はアキラとの決戦に向けてガンプラ、コアガンダムZEROの最終調整を行っていた。

レイト「ZEROモード…まだ完全に調整が完了した訳じゃ無いが、これだけやりゃ、大丈夫か。もしもの為の保険って所だがな。」

ZEROモードはコアガンダムZEROに組み込んだ機能である。本機のスペックを極限近くまで跳ね上げて闘う為のものだ。

しかし、まだ調整段階。不完全なものであり、暴走の可能性もあった。

だが、本機はこの機能を使う事無く終わってしまった。

決戦の日には、愛機を渡された事により、ブラックボックスになりかわった。

 

改修隊に収容、修理を受けている時、コアガンダムZEROはこの機能を使っていたら、義之を危険に晒さなかったのでは無いかと思っていた。

 

レジスタンスにて…

オペレーター「お疲れ様でした。」

キノ「かなりダメージを受けた気がします。」

オペレーター「そうですね。現状の資材と機器だけでは多数のエネミー反応を感知できませんし、資材も無いので、現状完全な状態まで治せるのはキノさんの機体のみですね。頭部の破損は特にコードを繋ぎ直したりと大変で…人手も少ないので全機修理するには時間も…」

キノ「そうですか…。」

オペレーター「GBNのシステムのほとんどはシステム攻撃により機能してないので、再度ログインしたとしても、キノさんの機体は修理の途中からの状態からなので…」

キノ「…わかりました。ZEROが治るまでここに居ます。」

オペレーター「いいんですか?」

キノ「大丈夫です。」

オペレーター「特にダメージも無いので、腕部のコードを繋ぎ直す程度である程度は治るはずですので、少々お待ちくださいね。」

 

数十分後…

義之は待っている間、とある事を考えていた。

考えてる所にちょうど司令官が現れた。

司令官「キノ君、大丈夫かい?」

キノ「…。」

司令官「どうしたんだい?」

キノ「ん…、あ、司令官さん。」

上を向きはっとした表情で答えた。

司令官「何を困ったような顔をしてるのかい?」

キノ「さっき、僕の目の前に現れたガンダムの事を考えてました。」

司令官「ブラックナイトの存在か。」

なんと司令官はその存在を知っていたのだ。

キノ「知っているんですか?」

司令官「あぁ。彼の事は少し前から知っている。」

キノ「会ったことがあると…?」

司令官「いや、彼の事は噂でしか聞いた事は無い。だが、降下作戦の時、そして今回と2回ほど目にした事はある。」

キノ「僕達が降りたあの時に…?」

司令官「君の機体が無事に降りれたのはあのガンダムが助けたからだ。」

キノ「…!!」

その言葉に声すら出ない驚きを見せた。

そして、そのガンダムについて更に答える。

司令官「彼は降下作戦の時、機能停止した君のガンダムを受け止め、安全な場所に降ろしたその後、何処かに飛んで行った。そして今回、君の危険に颯爽と現れ、敵を破壊した。」

キノ「僕を守った…と?」

司令官「そうとしか言いようが無い。だが、これが何かの運命だとも言い難い。」

キノ「やはりあのガンダムは…」

司令官「あのガンダムの事を知っているのかい?」

キノ「いえ…あのガンダムと良く似たガンダムを知っているだけです。」

司令官「やはり…君も似たガンダムの事は知っているか。」

キノ「君も…?って事は…。」

司令官「私も知っているのだよ。宇宙の騎士の話も。」

キノ「プラネッツナイト…」

司令官「その通りだ。私も目を疑ったが、あのガンダムはよく似ているのだよ。」

キノ「僕も同じような気はしていました。だけど…パイロットの彼は…」

司令官「…死んでこの世界にはいるはずが無い。」

キノ「………。」

司令官「…。こんな話をしてすまないね。もし、明日もここに来るのなら、力を貸して欲しい。そして、この場所へ行くといい。」

そう言うと、マップを開き、とある場所に目的地を示す。

キノ「ここは…?」

司令官「あぁ…。えっと…あのガンダムがよく目撃されてるという場所だ。」

キノ「…。(ここに行けば…)」

義之は少し考え、答えた。

キノ「ありがとうございます。明日、一度訪れようと思います。」

そう答えると、オペレーターより通信が入る。

オペレーター「キノさん、機体の修理が完了しました。安心してログアウトしてくださいね。」

キノ「わかりました。ありがとうございます。」

司令官「また来てくれたまえ。君のように強い味方が居てくれると私達としても心強いのでね。」

キノ「来ますよ。僕は…ここでやらなければならない事がありますから。」

そう告げて、義之はGBNからログアウトした。

司令官「無形のZERO…君の言っていた彼は良い子だな。君が正体を隠してまで助ける理由がわかった気がするよ。」

 

湯ノ森にて…

湯ノ森では有真に2人の人間が呼び出され、何故呼ばれたのかを問いていた。

シロウ「どうして俺達を呼んだのか答えてもらうぞ。」

アルマ「君たちは彼の、有音 零斗のコアガンダムと、それに関するアーマーの設計図を持っているようだね。」

アキラ「あったとしても、これは渡す訳には行かぬのだ!私は零斗の弟、響に必ず返すと約束したのだからな!」

アルマ「僕はそれが欲しい訳じゃ無い。その設計図と、君達の技術力を借りたいのだよ。」

シロウ「どういう事か詳しく教えてもらおうか。」

アキラ「まさかこの男の言葉に乗るのか?!」

シロウ「それ以外の道は無い。この人は俺達よりもずっと強い。下手に刃向かえばこの湯ノ森にすら居られなくなる。」

アキラ「……。仕方あるまい…。その話に乗ろう。」

アルマ「シロウ君、君は彼の下でガオファイガーを模したコアガンダムを作ったそうだね。その技術、僕に貸してはくれないだろうか?」

シロウ「…。もし、嫌だと言ったらどうする気だ?」

アルマ「君達は断る事はできない。僕の力で君達に全面協力をするのだからね。」

アキラ「ほう。我々に拒否権は無いのだな?」

アルマ「察しがいいようだね。」

アキラ「だが、それでも拒否する。この設計図だけは渡せぬ。」

有真は手を挙げやれやれとした素振りを見せる。

アルマ「全く。仕方のない人たちだ。僕は君達が作ろうとしているガンプラを作る手伝いをしようと言っているのだよ。」

アキラ「なに…?」

シロウ「俺達が作ろうとしている物の手伝いだと?そんな事をしてアンタに何の得が?」

アルマ「君達は好きに自分のガンプラを作ればいい。だけど、それが完成したら僕の作ろうとしているガンプラを作る為に協力して欲しいのだよ。決して悪いようにはしないさ。君達の欲しい物は全て僕が取り揃えるからね。」

アキラ「我々は好きに作り、完成したら手を貸す。それだけなんだな?」

アルマ「勿論さ。その設計図も少しの間借りるだけ。君達にも僕にも損はないだろう?」

シロウ「いいだろう。その話、乗った。」

アキラ「我が武士道を極める為の新しいガンダムも作れるのなら、協力しよう。」

アルマ「感謝するよ。」

有真達は誰にも知られる事無く話を終え、各々で散らばり、帰宅していった。

 

義之がログアウトしてから数時間後…

キノ「ただいま。」

家の扉を開け呟いたが、誰の声も返ってこない。

彼女の中の当たり前の日常は少しずつ形を崩してしまっていた。

キノ「いつもなら、[おせぇよ。心配してたんだぜ?]なんて、言ってくれるのにな…。」

扉を閉め、鍵をかけ、靴を脱ぎ、鞄を下ろすと、廊下に服を脱ぎ捨てて脱衣所に向かった。

そして、その通った後を振り返った。

しかし、誰も服を拾ってくれる人は居なかった。

キノ「……。」

義之はパンツ1枚の状態で通った道を戻り脱ぎ捨てた服を拾う。その服を洗濯機の中に入れた。

今度こそ脱衣所に向かい、浴室の扉を開いた。

浴槽の中はスッカラカンとしており、水一滴すら溜まってない。

義之はため息をつきながらお風呂を沸かし始める。

十数分後、浴槽に綺麗な透明のお湯が張り巡らされた。

脱衣所で待っていた義之はパンツを下ろし、浴室の扉を開けた。

ちゃぷん…と音を立て、ゆっくりと身体を浴槽に沈めていく。

身体が温まると、浴槽から身体を起こし、浴槽から出た。

鏡の前に立ち、その近くに置いてある椅子を引き寄せて座った。

洗面器でタオルを濡らし、シャンプーを付けて泡を立てる。

泡が立つとそれから数分なにもせずただ座っていた。

そして気がつく。

キノ「そうだった…洗ってくれる人が居なかったんだ…」

義之はいつも、背中を洗ってもらっていた事もあり、癖になっていたのだ。

このような状態から約1ヶ月…同じ事を繰り返している。

彼女は居なくなった彼を忘れられないのか、それとも…いつか帰ってくると思いそうしているのか…それは定かではない。

 

義之はついに自分で背中を洗い始める。

髪を洗い、シャワーで流し、そして浴槽にもう一度入る。

キノ「……。レイトさん…。」

と、ぼやき、その数分後に浴槽から抜け、浴室を出ると脱衣所で濡れた身体をバスタオルで拭き始めた。

新しい下着に着替え、脱衣所を抜け、リビングのテーブルの上を覗いた。

その視線はガッカリとしていた。

彼がいた頃、汚れた服を洗濯機に入れたり、背中を洗ったり、料理を作ったり、あらゆる事をやってくれていたからこそ、それまでの日常が無くなり、彼女の生活にはぽっかりと穴が空いていた。

義之は冷凍庫の冷凍食品を漁って、一つだけ取り、それを食べる。

最近はカップ麺か冷凍食品のどちらかしか食べていない。

彼女は料理がド下手なのである。

とても食べられたものじゃないのだ。

それを自分でも自覚しているから、作ろうともしないのだ。

 

そして、食事を済ませるとアニメを1つ見てその後眠りについた。

それから次の日の朝、義之は明け方と共に起床し、弾の入ってない実銃の素振りをする。素振りを30回ほどした後、部品をそれぞれ外し、ひとつひとつ手入れをする。手入れを終えると元に戻し、食事を摂らずに学校へ向かった。

退屈な授業を聞き、学校を終えると一目散に走っていく。

 

ゲームセンターへと走り、GBNデバイスを取り出し、機械の前に立った。

そして、機械の前に設置された椅子に座りデバイスを接続し、GBNの世界に飛び込んだ。

 

キノ「…。」

気がつくと仮想空間の世界に居た。

義之はレジスタンスに目的地を指し、移動した。

移動後レジスタンスキャンプにて…

司令官「やぁ。キノ君、今日も来てくれたか。来てくれた事に感謝するよ。」

キノ「こちらこそ、軍に加入してないのにこの場所に入らせてもらえて光栄です。」

司令官「それじゃあ、昨日教えた場所に行ってくるといい。」

キノ「わかりました。では、行って参ります。」

そう告げて、司令官に教えてもらった座標に向かい歩き始める。

数分が過ぎた頃、座標の地点まで辿り着いた。

キノ「ここが…」

目の前には森林が広がっていた。

その場所の情報をマップから調べる。

そこには[この地、MS、MA等の侵入を禁ずる。]と記載されていたのど。

キノ「徒歩で来て良かった。」

そう言うと、森林の中を掻き分けて進んでいく。

その先の光景を見て言葉を溢す。

キノ「ここは…レイトさんの言っていた…。」

目の前に広がる湖と、その先には大きな桜の木が一本だけ伸びていた。

そう、ここは零斗が生前に約束をしたという地だった。

そして、次に目にした物に一言こぼす。

キノ「あれは…」

黒い装甲に自分よりも大きい槍を持ったガンダムが桜の木の下に立ち尽くしていた。

キノ「あれは…昨日のガンダム…。」

湖の脇の道にそり、少しずつ木の下へ近づいていく。

だが…

???「誰だ。そこで何をしている。」

と、声が聞こえてきた。

その声に一瞬、身震いし数秒ほど立ち止まる。

その後、声の主が少しずつ近づいてくる。

目の前に白服の長身の男が現れた。目元を隠し、サングラスに白い帽子を被っていた。

その男は次にこう言った。

???「ここに何をしにきた。」

その男の言葉を聞き、少しだけ間を置き口を開ける。

キノ「えっと…迷い込んでしまって…。」

と答えると、男は…

???「なぁんだ、ただの迷い人かよ。」

と、軽い言葉を漏らした。

キノ「え…?」

???「この場所は木々が生い茂って迷うやつがたまに居んだよ。まあ、安心しろ。ちゃんと出入り口教えてやっからよ。」

キノ「は…はぁ。」

と、話をしていくと男からとある言葉が出る。

???「なぁ、ちょっとここで休んでいくか?」

キノ「へ…?」

 

男の言うままに付いて行き、桜の下へ。

そこにそっと座り込んだ。

そして、男も座り込む。

???「はぁ〜。久しぶりの来客者だ。まあ、楽にしていけよ。」

キノ「は…はい。」

その男はそれからも話しかけてくる。

???「なぁお前、なんて言うんだ?」

キノ「え…?」

???「名前だよ。名前。」

キノ「僕は…」

と、咄嗟に偽名を言ってしまう。

キノ「僕はチアキ…です。」

???「へぇ〜。チアキか。いい名前だな。見た目はあんま男っぽくねぇけど、あ…こういうの性差別って叩かれるよな。今のは忘れてくれ。」

と、偽名を言うが、疑われるような事は無かった。

キノ「えっと…貴方は…?」

???「俺か?俺は…無形のZERO。…って、わかるわけないか。そもそも俺は死んだ男だしな。」

その言葉に何か違和感を覚えた。

キノ「死んだ…?」

レイト「俺の本当の名はレイト。俺、本当は四年前に死んでんだ。」

その名前を聞き、義之は心の中で一言溢す。

キノ「(見つけた…。)」

 

そして…数分が過ぎた頃、レイトはとある話をし始めた。

レイト「俺、死んでから少しの間俺の姿が見える女の子と一緒に過ごしていたんだ。」

と、話を切り込み、義之は知らないをフリをして聞いた。

キノ「へ〜。死んでるのになんでそんな事が?」

レイト「その子がよ、俺が見えててさ。その子と一緒に俺は住む事になってな。俺はそいつと過ごしてた間がすげぇ楽しくてさ。」

キノ「へぇ〜。ちょっと気になる話ですね。」

レイト「昔話だがよ、聞いてくれるのか?」

キノ「どうぞ。僕も少し聞きたいです。」

レイト「俺は死んでからも地元に居ついててな。

たまたまここへ越してきた子が俺に話かけてくれてな。

あの子のおかげで…暇だった日常が少しずつ楽しくなってよ。

それまでは誰にも存在を知られず、孤独に過ごしていたからかな…俺はその子と話してる時が楽しくて仕方なかった。

確かにちょっと出過ぎた事をして怒らせたり、喧嘩したり…でもよ、そんな日々も俺にとっては大切な思い出だった…。

俺は…大切な人に自殺されて、俺は病死して…弟を残してしまってさ…。

…俺は…弟に何もできないまま旅立って…どれだけ悲しい思いをさせちまったか…。

そんなこんなで未練だらけのまま4年が過ぎた頃、俺はその子と出会った。

アイツは本当に可愛くてさ…弟にできなかった分、可愛がったつもりだ。

ほんとガキみたいなやつで、良く痴話喧嘩なんかしたな。

ちょっと身体を触れたくらいでセクハラだの変態だの言って…。

俺は別に気にはしなかった。ただただ、一緒にいられる事が嬉しくてよ。

あれだけ楽しい時間をくれたのに俺は…2つ、言えないままになった事があってよ…」

キノ「2つ…?」

レイト「1つは「ありがとう。」だ。こんな奴に楽しい日々をくれた事に感謝をしたかった。」

キノ「ふむふむ…」

レイト「2つ目は…「ごめん」って。俺、何も言わないで勝手に居なくなったからよ…それで悲しませたかもしれないってのがずっと心に引っかかっててな…だから、もしもまた会えたなら…謝りてぇんだ。」

キノ「……。」

義之は零斗の本心を知り、黙ってしまった。

レイト「…。わりぃ。こういうのはよくねぇよな。」

キノ「大丈夫です。いつか…言えるといいですね。」

レイト「そうだな…。俺がブラックナイトとして、この世界に居る間に…もう一度だけ出会えるなら…な。」

キノ「信じていれば…きっと言えますよ。」

と、少しだけ笑顔を作りながら言った。

レイト「…まぁ…俺も結構強がってわざと他人のフリとかをしなけりゃ言えるんだろうが…うまく行かなくてなぁ。」

キノ「多分、そんな事してもバレバレかな…と。」

レイト「いいや、アイツは結構必要なところが抜けてるから多分俺の事はわかってねぇよ。」

キノ「…。それは、その子に失礼なのでは?」

レイト「あはは…。悪い。口が滑った。」

 

そして…

2人は会話を終えると、

レイト「チアキ、話し相手になってくれてありがとな。」

キノ「こちらこそ、ありがとうございました。」

レイト「この場所の抜け道はこの先にあるから、また暇になったら来な。俺はだいたいここに居るからよ。」

キノ「わかりました。じゃあ、それではこの辺で。」

と、2人は別れようとすると、零斗は空を見た。

空から点の字のようにして物体が降りてくる。その物体は地上が近づくほどにその姿が露わとなる。

レイト「あれは…モビルスーツ…?」

キノ「かなりの数…ですね…レジスタンスの部隊でしょうか…?」

レイト「いや、アレは…マスダイバーによる不正アクセス者達だ!」

マスダイバーは前回の反省をしたのか、モビルスーツを大群にして送り込んできたのだ。その数は50機以上、まだまだ地上に降りてくるモビルスーツの群を見て、零斗は咄嗟に身体が動き出す。

チアキと名乗った義之の手を掴み、走り出した。

キノ「な…なんで走って…!」

レイト「これ以上俺の大切な人達を失いたくねぇからだ!早く森を抜けてレジスタンスキャンプへ向かえ!」

キノ「それじゃあ、貴方は!」

レイト「心配するな。俺には相棒がついている!」

と、言い残し、桜の木の下のガンダムの方へ走り出した。

そしてガンダムに乗り込み、空高く舞い上がった。

キノ(このままだといくらレイトさんとはいえ軽い怪我じゃ済まない…。)

と、考えた後レジスタンスの方へ走り出す。

 

レジスタンスキャンプにて…

レジスタンスへと急いで戻った義之は状況を報告しにいった。

キノ「オペレーターさん、司令官!大変です!空から大多数のモビルスーツが!」

司令官「なにぃ?!それはどういう事だね!」

オペレーター「この機器では索敵範囲外で検知できてないようです…。」

司令官「くっ…!もっと整備が整っていれば!」

オペレーター「キノさん、敵の数はおおよそどのくらいですか?」

キノ「50機はゆうに超えてます。」

オペレーター「司令官!現在出撃可能な機体はキノさんも含めて5機しかありませんが…どうされますか?」

司令官「キノ君、やってもらえないだろうか?」

義之は目つきを変え、言った。

キノ「やってみせます。」

そう言うと義之はコアガンダムZEROの方へ向かった。

 

スタンバイシークエンスにて…

キノ「ZERO。いけるかい?」

ZERO「問題なく安定してる。俺はいつでもOKですよ。」

ピーピーッ!

オペレーター「キノさん、発進準備ができたら出撃してください。」

キノ「了解。ZERO、いくよ。」

ZERO「了解した。」

そう言うと義之を乗せたガンダムは空高く飛び立ち、それに続き4機のZ部隊員が飛び立つ。

 

戦場にて…

零斗の乗るブラックナイトは圧倒的な耐久力と攻撃力をみせるが、敵の数による攻撃により、反撃の暇すら無くただただ攻撃を防ぐ事しかできなかった。

レイト「くっ…!なんて数だ。これじゃ反撃すらままならねぇ…!」

敵は数はかなり多いものの、ダメージと呼べるほどの攻撃はほとんど無く、ブラックナイトの鎧ですら傷一つ着かないほど威力の弱いものだったが、下手に攻撃を仕掛ければその攻撃の隙をつかれ数による攻撃で押し切ろうとするのま目に見えていた。

防戦一方のまま少しすると、とある通信が届く。

ピロリン…メールが届いた。

レイト「なんだ…?」

そのメールの内容を読むと、

レイト「少しだけ左に避けろ。だと?」

その言葉の通り、左側に避けると

ズギュューン!

とんでもない音と同時にビームが一直線に飛んでくる。

そのビームの直線上に居たモビルスーツは累計7機ほど撃墜された。

そして、そのビームが通った方向を見ると、1機のガンダムが居た。

ZERO「ナイスショット。」

キノ「流石に数が多すぎるね…。」

レイト「何をしている!邪魔をするな!」

と、通信に入って来た。

キノ「もし僕が撃って無かったら貴方はあの状況を抜け出せなかったんですよ?」

レイト「なんだと…!?」

しかし、逆にビームライフルを撃った事が仇となる。

そのビームを打った方向にほとんどのモビルスーツが目を向け、

キノ「これ、だいぶまずい…?」

ZERO「多分…そうかなぁ…」

近くに居たモビルスーツがだんだんと近づいてくる。

キノ「逃げるよ。」

と、言い後ろに下がろうとするが、

キノ「なっ…!」

後ろには完全に敵が待ち受けており、簡単に捕まってしまった。

前方から無数のモビルスーツが近づいて来る。

キノ「…っ!は…離れろ!」

と、もがくが、前方から来るジム頭のモビルスーツに

ガッ…!

とコクピット部分を殴られ、

キノ「カハッ…ッ!」

義之は気絶してしまった。そして、ZEROも動かなくなった。

その姿を見て、零斗の中の何かが切れた。

レイト「これ以上…そいつらに手を出すんじねぇぇぇぇっ!」

凄まじい勢いで槍を振り回しながら敵を殲滅していく。

義之の乗るガンダムの下へ近づいていくが、両サイドから腕を掴まれてしまい、動けなくなってしまう。

レイト「く…っ!くそぉ!」

他の部隊員も動きを封じられ、動けなくなり、ついに誰も手も足も出ない状態になってしまった。

レイト「こんな所で…終わってたまるかよ…!」

そう言ってもがき続けるが、敵にしっかりと動きを固定され、身動きする事も不可能だった。

レイト「ちくしょう…ちくしょうっ!」

そんな時、ZEROが目覚めた。

ZERO「キノ…?大丈夫?」

義之はよろけながら目を開け、言葉を返す。

キノ「大丈夫ってほどじゃないけど…なんとか…。」

ZEROは話を切り出す。

ZERO「この状況を打開する方法が…1つだけある。」

キノ「え…?」

ZERO「ブラックボックスとしてシステムに抑えられていたんだけど、これを使えばなんとかなる。」

義之はZEROのシステム欄を開き、ブラックボックスとなってるデータを漁り始めた。

キノ「ZEROモード…?」

ZERO「それを使うんだよ。」

キノ「大丈夫なの…?」

ZERO「わからない…けど、やってみる価値はある。」

そして、義之はシステムのボタンを押した。

ZERO「ZEROモード、起動。」

そのシステム音と同時にコアガンダムZEROの目が赤く光り出した。

自分の周りに居たモビルスーツが全て地面に落ちていく。

それと同時に近くに居た順に一つずつ地面に叩きつけられるように落ちて行った。

それは味方にも同じように効果を発揮し、零斗の乗るブラックナイト以外は全て地に落ちた。

零斗は確信した。

レイト「こいつは…ジャミングと制御システム妨害による2段攻撃か…そして、こいつだけ落ちずに居るという事は…同じタイプのガンダムが発動させた…まさか…!」

ZERO「ウォォォォォォォッ!」

その怒号が響いた瞬間、無人機のモビルスーツが爆発していく。

コクピット付近から頭部メインカメラの辺りを全て爆発により破壊されていく。

そして、怒号が去ると、人間が搭乗したモビルスーツのみ残っていた。

その光景を見ていた義之は言った。

キノ「これ…全部ZEROがやったの?」

しかし、その問いに答えることは無かった。

キノ「ZERO…?ねぇ、ZERO。僕の声が聞こえないの…?」

ZEROのメインコンピュータ内から声が響く。

「パイロットにも危険が及ぶ可能性大。今すぐに脱出を。」

キノ「そんな事できない!僕はレイトさんに…あ…くっ…あ…頭が…ぐぅ…。」

義之は急に苦しみ始めた。

そして、動きが止まる。

レイト「どうなってんだ!こんな力、俺は組み込んでなんか…!」

その瞬間、唯一乗っていたマスダイバーパイロットが襲いかかる。

マスダイバー「どこを見てやがる!」

レイト「しまった…!」

義之のもとに向かうマスダイバーを止める為、零斗は咄嗟に体が動いていた。

だがしかし、それも一瞬で終わるのだった。

マスダイバー「死ねぇ!」

とビームサーベルを振りかざそうとしたその瞬間だった…

ZEROは目の前の相手に向けて手を広げた。

マスダイバー「な…う…動かない…」

レイト「…?!」

ZEROは敵の動きを止めた。しかし止めた訳ではない。相手のシステムを掌握し、操作を全て無効化したのだ。

マスダイバー「うごけ…!動け動け!」

次の瞬間、何も無かったかのように敵は消えたのである。

ZERO「delete」

そう告げると、手をグーの形にし、動きを止めたモビルスーツは潰れていくが如く消えた(消去)のである。

これが…ZEROの力…

ZEROの本当の意味は全てを終わらせるという意味を持つ。

それは…全てを無にする力。全てはZEROから始まり、ゼロで終わる…。

それが…ZEROモード…

ZEROは空に登り、また怒号を響かせる。

その瞬間、大地まで届く突風を起こし、暴走していた。

 

零斗はそれを見た時、小さく呟いた。

レイト「…こいつは…俺が生み出したシステムだ…。俺が…俺自身が止める!」

キノ「ZERO…お願……もう…止め…」

暴走するZEROを止める為、黒い騎士は立ち上がる。

この世界と…大切な人を守るために…

〜続く〜




もしも…もしもこれが全て夢だったなら…
彼は…彼女は…何を願うのか…
次回〜最後の願い IF〜
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