ガンダムビルドブレイカーズ after ZERO   作:有音 響

18 / 23
おっひっさぁ!
何年振りかはもう聞くな。
ワターシ本業が現在イラストに、プラモデルにカードゲームで割とかなり趣味が混濁し過ぎて小説のリソース完全に削ぎ落とされてたってワケ(嘘です。話が浮かばなかったのが悪い)
まぁ、今回久々に更新するのですが、そもそも設定とか色々忘れて矛盾多いんだろう?と、思ったか?残念!
ちゃんとある程度関わりあるストーリーは全部読み込んできました!本編の方まで…?
あっちは巻数多過ぎて諦めたよ()
まぁ、とりあえず読んでください。


第16話 守る者、奪う者〜悲優なる復讐者〜

零斗は目の前で光になって消えてしまった。

しかし、その間にGBN内では、地上の一部、レジスタンス近辺と宇宙のGBNGO本部をアクセスだけでワープする事が可能になった。

GBNGO(GBN grand operation)、GBNの大司令部である。

この拠点はサーバーが別であり、公式のカスタマーセンターが管理している場所である。

問題が発生した場合、ここから基本的にシステムエラーを解消するが、現状を見るに、システムのエラーでは無く、ハッキングによるデバック、不具合とは別である。

公式は不具合を治す程度の事しかできず、戦力すら全く持たない…。その為、今は公式の管理下で司令官を任命されたキャプテン・ジオンが現在、1番の権力を持っている。

 

 

司令部の本部にワープを利用し、義之は戻ってきた。

司令官「キノ君。お疲れ様。君のおかげで地球のほんの一部ではあるが、奪還に成功した。君が敵と戦っている間にあの辺りの一部を本部のサーバーの書き換えに成功したのだよ。」

キノ「そう…ですか。」

義之はあまり良い答えを示さない…

司令官「どうしたのかね…?これはとても大きな一歩だというのに。」

キノ「………。」

司令官「ん…?」

キノ「僕が不甲斐ないばかりに、黒騎士を死なせてしまったんです…。」

司令官「そうか…。あの宇宙からの反応、それから地上から放たれたビームの反応は君達の…」

キノ「あの場所は…あの桜の木は、彼が1番大切にしている場所です。守り抜いてください。思い出が思い出にならないために…」

重苦しい言葉を司令官に向けて吐き出した。

近くで聞いていた本部の人間、オペレーターは何も答える事ができない。

しかし…

司令官「わかった。あの場所は私が夜に守ろう。昼間は他の者たちが私の代わりに守ってくれているはずだ。人が少ない時に私が直々のあの桜の木は守り抜こう。」

義之は少しだけ表情を柔らかくした。

だが…非難の声が流れる

部員「ふざけないでください!確かに貴方が動いて、これだけの成果を持って帰って来た事には敬意を示します。ですが!司令官はここの司令までして更には地上を守れと!?あまりふざけたことを…」

司令官はやめろでも言うように制した。

司令官「私なら、大丈夫だ。私もあの場所を守っていた黒騎士とは顔見知りでね。彼から聞いたのさ。[ここだけは守り抜きたい]と。」

義之はその言葉に少しの衝撃を受けた。

部員「し…しかし、そこまでされては貴方はいつ休息を…」

司令官「私は、皆の笑顔を守るヒーロー、キャプテン・ジオンだ。この私が悪から人々を守らずして、ヒーローとは名乗れぬよ。」

司令部員達は静かになっていく…

オペレーター「ですが、貴方が不在の間は誰から…」

司令官「大丈夫だ。私の知り合いのロンメル君にでもお願いでもしよう。」

オペレーター「ですが…もし、ダメだった場合は…」

司令官は義之の方に目を向けた。

司令官「その時は、彼女に任せよう。あの拠点をほぼ1人で奪還したんだ。きっと良い司令を送ることができるはずだ。」

義之はそう問われた途端[え!?]とでも言いたそうな目で見ていた。

司令官「頼むよ。キノ君。」

ここまで言われてしまっては、断ることはできない。

キノ「わ、わかりました。がんばります。」

司令官は少し安心したように笑顔を作り、こういった。

司令官「それでは、今回の任務は終了する。皆はゆっくり休んでほしい。久しぶりの休暇だ。1日しっかり羽を伸ばしてくれ。」

号令がかかったその後、義之に向けて目線を飛ばした。

その視線には「帰って休みなさい。」とでも言うように。

そうして、義之はログアウトしていった。

 

 

GBNからログアウトしたその後の帰り道…

義之はとぼとぼと1人で帰っていく

キノ「せっかく…会えたのに…。」

ZERO「でも、約束したんでしょう?また俺たちに会うって。」

声を掛けてきたのは、コアガンダムZERO。零斗と義之の2人で作ったガンプラだ。義之はガンプラの声が聞こえる力を手に入れ、たまに話しかけてくる様になった相棒的な存在だ。

キノ「そう言っていたけど…どうしても煮え切らなくてさ…」

ZERO「俺は信じて良いと思うけどなぁ。」

キノ「信じている。信じているさ…だけど…」

義之は少し暗い顔をした。

キノ「今度は本当に会えなくなりそうな気がして…」

ZEROは答えられなくなった。

何を答えても否定的な言葉で返されるのではと思い、言葉に詰まったのだ。

 

 

帰り道を行く2人、下を向いて歩いていた義之は前の信号をよく見ていなかった。

ZEROは鞄の中に入っていて信号の色が見えていない。

赤信号が光っている。しかし、義之は気がついていなかった。

隣からブォォーッと何かが走る音が聞こえる。

ピーッピーッ!と、大きなクラクションが鳴り響いた。

キノ「…!?」

音にびっくりして、足を止めた義之は目の前を赤いバイクが通るのに驚いていた。

目の前を通り抜けたバイクの風に煽られ、よろけてしまい、尻餅をついた。

ドサッという鈍い音がお尻辺りから響く

キノ「いてて…」

ZERO「大丈夫!?何があったの!」

ZEROも流石にびっくりして心配している様子を見せる

キノ「ちょ…ちょっと信号見てなかっただけだよ。」

ZEROはホッとした様な声で

ZERO「はぁ。それなら良かったよ。でも、もう少し体重は落とした方が良いかもよ?お尻辺りに邪魔なお肉が多いんじゃなぁい?」

義之はむっとした顔で

キノ「ちょっとそれは失礼でしょ…」

ZERO「だってぇ〜」

その後、尻餅をついてる義之の所に通り過ぎたバイクから降りてきた人がこちらに寄ってきた。

???「大丈夫かい!怪我は!」

キノ「大丈夫です。すいません。考え事してて信号を見てませんでした…。」

???「はぁ…。特に怪我が無くて良かった。」

キノ「ごめんなさい。」

???「謝らなくていいよ。多感な時期の子は考え事が多いのも無理はないさ。」

バイク乗りは義之の手を取り立ち上がらせ、バイク乗りはヘルメットを外した。

髪の毛がピンク色で、白いメッシュが特徴のロングヘアーの女性が現れた。

サラ「私はサラ。びっくりさせちゃってごめんね。」

義之はサラと共に近くのベンチに寄って座った。

義之とサラは雑談を交わした。

サラ「そっか。大切な人と離れ離れになったんだね…」

キノ「はい…。」

サラ「バイクでも行けそうにないかぁ〜。困ったねぇ。」

キノ「僕もバイク持ってるから大丈夫ですよ…?」

サラ「え?!君バイク持ってるの!?」

キノ「はい。初めてバイクに乗ったのは12〜3歳くらいでしょうか…?」

サラ「えぇ…」

そんなこんなで時間は過ぎていく…

サラ「君も大変だね。私はこの辺りに一応住んでるから、また会えたらいいね。」

キノ「そうですね。今度会った時は一緒にドライブも。」

サラ「良いねそれ!でも、私のスピードに追いつけるかな?」

そう言いながら、サラはバイクに跨り、バイクのエンジンをかけた。

サラ「それじゃ!またね!」

バイクはあっという間に走り去っていった。

ZERO「なんだか良い人だったね。」

キノ「そうだね。良い人だった。」

ZERO「でも、これからは気をつけてね?君が跳ねられたら、俺はバックの中でめちゃくちゃになっちゃうから。」

キノ「ちゃんと前を向いて歩きますよ。」

やれやれと言いたい様な顔で返答した。

 

 

薄暗くなってきた帰り道、偶然同じ学校の学生が目の前に居た。

前に居たのは響だった。

ヒビキ「キノさん?こんな所で会うなんて。」

義之は少し困った様な顔で答えた。

キノ「ヒビキさんこそ、なんで…」

ヒビキ「僕はさっきそこのショップで買い物してたんだ。」

目を向けた先にあるショップは、電乃商店、アマリさんが経営しているお店だ。

キノ「ヒビキさんはガンプラがあるのに、何故…?」

響は、少し答える事に困った顔をした。

数秒の魔が空いたその後、答えた。

ヒビキ「もう…無いんだ…。」

キノ「え…。」

 

少し前、零斗が消えてから3週間ほどの頃、義之の知らない所で響の持っていた零斗の形見であるコアガンダムαは大破し、修復も不可能になっていた。

 

響はコアガンダムαを見せる為、義之を初めて家に上がらせた。

部屋に入ると、机の上にある小さな箱を見つける。

コアガンダムαの砕けた身体が入ったガンプラが入っていた…。

実に痛々しい姿だった…

肩や胸には小さなヒビ、腹部には抉られた様な傷跡、上半身と下半身は完全にバラバラになっていた。

そして…パーツも足りていない。至る所が傷だらけで完全な形での修復はどうやっても不可能だ…

胸に輝くクリスタルだけが唯一傷一つ無い綺麗な状態を保っていた。

義之はその箱の中にそっとコアガンダムZEROを置いた。

その途端、ZEROは答える。

ZERO「…兄弟…。いや…兄上。こんなに傷つくまで闘うなんて…」

キノ「そうだね…こんなにボロボロになるまで頑張ったんだよ。」

その言葉に響は驚いた。

ヒビキ「キノさんにも、その声が聞こえてるんだね。」

キノ「はい。レイトさんが居なくなってから、声が聞こえるようになりました。」

ヒビキ「君は、αの事をどう思う?」

ZEROはキョトンとした様な声で答える。

ZERO「俺…?」

ヒビキ「君だよ。」

ZERO「こんなになるまで闘った理由が知りたい…かな。」

響は少しだけうつむいた。

響「ガンプラバトルの初期型、ガンプラデュエル。そのデュエルは決闘というにふさわしいものでね。今の様に、データをスキャンしたらするんじゃ無いんだ。ガンプラそのものが実際に動いて闘うものだった。ただ、その分、ガンプラは傷つく…それ故にガンプラを大事にしたい層からは不評でもあった…」

少しだけ間が空間を静かにさせた。

そこに義之が口を挟む。

キノ「何故、それで決闘を…」

響は強く拳を握って言った。

ヒビキ「過去の復讐だよ。」

義之は何も言えなくなった。答えがあまりにも単純で心の底から軽蔑しそうなほどに…

ヒビキ「4年前、兄さんが闘ってた相手だった。兄さんに負けた事がどうしても悔しかったと。兄さんのことすら覚えてなかった。ただ、αだけを倒す為に形だけ覚えていたらしい。」

ZERO「でも、君はその闘いに勝ったんでしょう?」

その問いに響は悲しそうに答えた。

ヒビキ「勝ったよ…。確かに勝った…でも、僕一人だったら勝てなかった。」

義之は問いた。

キノ「勝てなかった…?」

ヒビキ「うん。勝てなかったじゃない。勝てる試合じゃなかった。彼は強かった…。復讐の炎だけで闘っていたのに、僕は勝機を見出せなかった…。力に溺れたというほどに、強かったんだよ…」

悔しそうに言葉を吐く。

しかし…

ヒビキ「でも、僕が諦めようとした瞬間、αが勝手に動いていたんだ。操縦すらしてないのに、自分の意思で。その時に言ったんだよ。[私は、君の兄と約束したんだ。君を守れと。]ね。」

小さな箱に入ったコアガンダムαを見つめ、さらに続ける。

ヒビキ「αは最後まで諦めようとはしなかったんだ。身体中ボロボロだというのに、何度も何度も立ち上がった。諦めようとするたび、何度だって問いかけてきた。[諦めたらダメだ。彼は一度も諦める事はしなかった。同じ血を持つ者なら、それができるはずだ]なんて言って僕に立ち上がらせる勇気をくれた。だから、諦めずに立ち向かって勝てた。でも…代償はあまりにも大きかった…」

キノ「……。」

ZERO「最後まで元の主との約束の為に命をかけて自分の使命を果たしたんだね。」

ヒビキ「そうだね。僕の為に最後まで命を張って頑張ってくれた。もう…声も聞こえないけど、それでもまだ生きている様な気がする。」

キノ「生きてるよ。」

義之はぼそっと口にする。

ヒビキ「え…?」

キノ「彼らは生きてます。GBNで僕は見ました。彼らが思い出の場所を守っている所を。」

響は驚く。もう形のない人間とガンプラの魂がバーチャル世界に居るなんて思えなかったのだ。

しかし、納得をしていた。

形が無いからこそ、その世界で生きる事ができているのではないか。と。

キノ「今はいないけど…彼らはまた必ず僕らと会うと約束したんです。」

響には何があっているのか知る術はない。しかし、なんとなく分かっていた。何を守ろうとしていたのか、何故消えてしまったのか。

ヒビキ「それだけ、守りたかったものがあったんだね。そっか…。」

響は部屋の棚に向かって歩いていく。扉を開けると、いくつかの箱を取り出した。

ヒビキ「キノさん、コレを持って行ってほしい。」

箱の中には、それぞれのアーマーが独立して入っていた。箱は3つ渡されたが、他にもあるようだ。

キノ「コレは…受けとれません。」

ヒビキ「どうして?」

キノ「だってそれは…貴方のお兄さん、レイトさんの形見…」

響は首を振った。

ヒビキ「もうαは居ないから、僕が持ってても意味がない。ZEROは同じタイプのガンプラだから、その為に使って欲しい。」

キノ「でも…それじゃあ…」

ZERO「キノ。受け取ろう。」

キノ「ZEROまで何を言って…」

ZEROの方に目を向けると、驚く様な光景があった。

座らせて置いたZEROの隣にはαの砕けた身体がある。

そのαが目から涙を流しているかの様に身体の破片が破れている姿を見せていた。

ZEROは言った。

ZERO「αは、僕たちにそのアーマーを使って欲しいみたいだよ。」

義之は少しだけ考える素振りを見せながら言った。

キノ「良いんですか?本当に。彼の大切な物ですよ?」

ヒビキ「うん。αがそれを願ってるなら、それが1番の答えだから、」

キノ「…。わかりました。ありがたく受け取らせていただきます。」

響は少し嬉しそうな顔をしていた。

魂は消えても、魂を受け継いで闘ってくれるものがいる。

それこそ、騎士の誇りなのだろう。

そこそこの数のアーマーがあり、全て受け取るのは難しい為、2種類のアーマーと、まだ手をつけてないアーマーを受け取り、義之達は響の家をあとにした。

 

 

家に帰ると、家は鎮まりかえっていた。

この生活も1ヶ月が経つはずだ。しかし、それでもまだ慣れる気がしなかったのである。

いつもなら、どこからともなく声が聞こえてくる。しかし、その声はもうしばらく聞こえてこない。

キノ「そりゃ、誰も居ないか…。」

食事の準備をし、お風呂のお湯を溜め、洗濯物を入れる。

毎日同じ事を繰り返している。

キノ「居なくなって初めて大切さに気がつく…か。」

独り言を呟きながら、脱衣所に向かい、お風呂に浸かった。

しばらくすると、身体中に水を滴らせながら脱衣所から出てきた。

食事も簡単に作れるものを作り、ささっと済ませ、洗濯物を干す。

ZERO「今日は、いつも以上にテキパキ動くねぇ。」

と呟いた。

キノ「明日の為だよ。」

ZERO「でも、明日は土曜日だよ?なんで休日なのに…?」

その言葉を受け、少しだけ動きを止める。

キノ「明日は、実戦。明後日には作戦を決行するからさ。」

その後、零斗の使っていた部屋に向かい、扉を開き部屋に籠った。

彼の部屋には色々な物があった。ニッパー、ヤスリ、ピンセットにドライバーなど…

この部屋で何かしら作業をしていたのだろう。

キノ「この部屋、しばらく開けてなかったね…」

そう言いながら、部屋を眺めていた。

実体のない者がここで生きていたかの様に物を使った跡だけが残っている。

引き出しに目をやると、何かが挟まっている。

怖い物見たさに引き出しをゆっくりと開く。

そこには、手紙の様な物があった。

キノ「これは…」

そこには、こう記されていた。

【キノへ こんな形でしか言えなくてごめん。

これを読んでいる頃、俺は居ないのだろう。

俺が居なくなってメソメソしてる気がして心配でたまらない。

だが、きっと前を向いてくれると信じている。

自分らしく生きてほしい。

もうサポートできないが、自分らしいガンプラを、自分らしい戦いをしてくれ。

この手紙をしまった下の引き出しに、箱があるはずだ。

それを見てどうするか考えてほしい。俺からできる最後のサポートだ。】

読み終えると義之は

キノ「引き出しの次の段…」

そう呟き、一つ下の引き出しをスーッと開く

一つ下の引き出しを開けると、小し大きめの箱があった。

そこには、真っ黒なアーマーとともに沢山の装備品まで入っている。

どれも綺麗であり、新品の装備品ばかりだ。

色はほとんどが白か黒であり、塗装も行ってないように見える。

しかし、アーマーには黒い塗装が施されていた。

何故黒色なのかはわからない。しかし、綺麗に整備されており、最後に残した物だとわかるほど綺麗な物だった。

義之はZEROの元に箱を置き、中身を取り出して目の前に置いた。

ZERO「すごい綺麗な黒のアーマーだねぇ。こんなの隠していたなんて、主もなかなか良い性格してるねぇ。」

キノ「そうだね。本当に…」

しんみりとしながら言うと、ZEROは提案した。

ZERO「そうだ!そのアーマー、俺につけてみてよ!絶対すっごいアーマーだよ!」

キノ「え…?」

困惑しながらも、アーマーをひとつずつつけていく。

ZERO「うん!コレすごく良い感じ!他のアーマーと着心地は変わらないけど、なんだかそれ以上に強くなった様な気がする!」

キノ「ガンプラにも着心地なんてあるんだ…。」

ZERO「もちろん!俺みたいなタイプのガンプラはこういうオシャレができるからさ。」

キノ「そ…そうなんだ。」

変なことを言われても理解できず困惑してしまう

ZERO「でも」

キノ「ん?」

ZERO「この肩、前後ろ逆だよ。」

義之はアーマーを取り付けたのはいいものの、前後を間違えてしまっていたようだ。しかし…

キノ「自分らしいガンプラ…か。」

ZERO「ちょっとぉ。聞いてるのぉ?」

キノ「うん。聞いてるよ。」

ZERO「え、聞いてて無視したの!?」

キノ「ちょっと黙ってて。何か思い浮かんだんだ。」

ZERO「へ…?」

と、咄嗟に義之は零斗の使っていた椅子に座り、装備品を手に取り、響から受け取ったアーマーからもパーツを少しずつ拝借した。

1時間ほど過ぎた頃、塗装された装備と追加で装備されたパーツを取り付け完成した。

キノ「コレが…僕の、僕だけのガンプラだよ。ZERO。」

ZERO「うん!なんだか良い感じだね!左肩のこのヒラヒラもオシャレ!」

ついに完成した自分だけのガンプラをリビングに置き、その後泥に浸かる様に眠りについた…。

翌日、動きの調整を行い、遂に作戦を決行する日が訪れた。

 

 

朝10時ごろ、準備をして外へ出る。

外に出ると、表札付近に佇む男が居た。

シロウ「朝っぱらからどこへいくんだ。今日もガンプラ部には行かないのか?」

目の前には四郎が居た。

少し心配そうな顔をして家から出た義之に話しかける。

キノ「今日は、やる事があるんです。」

シロウ「部活をサボるほどの用事か?」

キノ「はい。僕にしかできない事なんです。」

四郎は目を見る。しかし、その目には嘘は無かった。そして、ため息をつきながら言った。

シロウ「なら、俺も一緒に着いていく。」

キノ「え…?」

シロウ「君が嘘を言ってる様には見えない。だから、俺が着いて行って確かめると言っているんだ。」

義之は少し困った顔をしつつも、その言葉を受け、了承した。

キノ「わかりました。ですが、僕の邪魔だけはしないでくださいね。」

そうして、二人でGBNの施設へ向かうのであった。

 

二人は施設に入ると、四郎は困惑した。

シロウ「ID…?そんな物まで必要になるのか!?」

キノ「はい。そうしないと、ガンプラのデータを登録できませんし、乗り手も登録できませんから、不法にもガンプラを取られた場合の対策ですよ。」

シロウ「お…俺が知らない間に、ここまで技術が進化していたなんて…」

キノ「おじさん臭い発言しないでくださいよ。」

やれやれといった様な雰囲気に戸惑いながら、四郎もIDを登録していった。

そうして、GBNの世界に訪れる。

世界に訪れた瞬間、呆れた様な言葉を吐いた。

キノ「シロウさん、なんで初期アバターの状態なんですか…」

シロウ「いやぁ…、人を待たせる訳にも行かないだろう?急いでた物だから見た目なんて考えてなくて…あはは…」

キノ「彼女さんいるなら、もう少し見た目は考えた方が良いですよ。」

シロウ「そ…そうだな。少しだけ待っててくれ。着替えてくる。」

数分後…

シロウ「待たせたね。」

目の前には、緑っぽくなったアムロの服をつけた、オレンジ色のロングヘアーをつけたおじさんが目の前に居た。

シロウ「どうだい?だいぶカッコいい見た目になっただろう!顔も俺の顔にだいぶ寄せてみたんだが、どうだ!」

キノ「まぁ、似合ってると思いますよ。」

煮え切らない答えしか出せなかった。

シロウ「よし!じゃあ、君の言う場所に行こうか!」

とても鈍い男である。

 

 

GBNGO本部…

2人の目の前の扉が開くと、司令部はいつもの様にバグの観測、オペレーションの計画報告、現在のレジスタンスの状況、物資の調整などなど…たくさんの仕事に追われていた。

そんな中で義之は司令官の元へ歩みよった。

キノ「司令官、少しいいでしょうか?」

司令官「きてくれたか。待っていたよ。隣の君は?」

キノ「僕のお仲間です。」

シロウ「シロウです。よろしく、司令官。」

司令官「少しでも力になる仲間が増えてくれるとありがたいよ。よろしく頼むよ。」

そうして、軽い会話の後に別の部屋に引き連れられる。

司令官に続く2人は、部屋に入ると、座らされ、話が始まった。

司令官「それで、キノ君。どんな話なんだい?」

キノ「今日、この後すぐに作戦を決行したいんです。」

司令官は驚いた顔を見せた。

司令官「いきなりだね。どうしてすぐにでもなんだい?」

キノ「皆さんの為です。ここの人たちはみんなここしばらくずっとこの世界で仕事をされてますが、それをすぐにでも終わらせようと。」

司令官「ま、待ってくれ。突然君は何を言っているんだ。私たちはまだバグを引き起こしてる所の特定すら…」

義之は立ち上がり言葉を放つ

キノ「すぐそこにあります。」

司令官は驚いた表情を隠しきれない。

シロウ「待て待て。どうしてそう言い切れるんだ。地上からの場合もあるだろう?」

キノ「確かに地上にも同じ様な拠点はあるかもしれません。だけど、僕は見ました。宇宙から地上に向けて鉄の杭を撃ち込むモビルスーツを。」

司令官「確かに、あのビームライフルの光はキノ君が打ち込んだものだとは確認した。しかし、何故それだけで…?」

キノ「地上からなら、沢山のモビルスーツを呼び出す方が圧倒的に強いはずです。ですが、あの時は一機のみでした。他には観測もできなかった。さらに、あの距離から地上へ向けて狙うのにもその場所に送るまでに時間がかかる。そう考えると、あの周辺に根幹を担う物が側にあるからできたのでは?と。」

理由は一応通りはする。しかし、確証はない。

司令官は悩みながら言った。

司令官「キノ君、君の言う事が本当なら、私はその言葉に賭けよう。」

キノ「ありがとうございます。では、僕が単独で作戦を…」

と言ってる側で隣から待ったがかかる。

シロウ「俺も護衛に回る!敵の本拠地に1人で行くのは無茶だ!」

キノ「もちろん構いません。ただ、相手に観測されない様にしてください。少しでも観測されれば無事では済まされないはずですから…」

いかにも危険な作戦だという事をものがたる発言を受けた。

普通ならば、この地点で作戦決行の許可など降ろしはしない。しかし…

司令官「いいだろう。君のその作戦に私も賭けてみよう。」

キノ「ありがとうございます。」

作戦は決まった。

格納庫に向かうと、そこには整備士達が待っていた。

整備員「やぁ、キノさん。驚いたよ。まさか、格納庫に入ったら君と同系統のガンプラがもう一機あるとは思わなかった。お連れさんの機体かい?」

キノ「そうです。」

整備員「そっかぁ。整備士としてはありがたい事だよ。マニュアルは一つでいいし、メンテナンスする時には同じパーツを用意すればいいし、願ったり叶ったりさ。」

キノ「ですが…」

困った様に答える。

キノ「特殊なタイプのアーマーを用意されてるので、アーマーの方のメンテナンスは相当苦労すると思いますよ…」

整備員は首を傾げていた。特に何の事だかわかってないのだろう。

と、話をしていると司令官からのアナウンスが入る。

司令官「皆の者、この後特殊作戦を遂行する。地上の部隊は各員持ち場で待機。キノ君とシロウ君は発進のスタンバイを」

キノ「わかりました。」

シロウ「了解!」

その言葉から、格納庫からすぐにハッチの前まで移動していく。

2人がハッチにつき、スタンバイをする。

ZERO「遅かったね。待ちくたびれたよぉ。」

キノ「ごめんごめん。ちょっと忙しくてさ。」

 

作戦の概要

敵の本拠地をジュピターアーマーで散策

敵のモビルスーツ出現位置から座標を把握

アーマーを囮に使い敵機を誘導

その間に敵の本拠地へ入り込み、根源を探し出す

という作戦

実際には1人でこれをやろうとしていたが、四郎の介入により、援護をしてもらえる様になったのである。

 

司令官「作戦は1度きりだ。決して失敗は許されない。しかし、私は信じているぞ。君たちなら必ず成功して帰ってくると!」

そう告げて司令官からの言葉は終わる。

ZERO「だってさ。」

キノ「大丈夫だよ。僕たちならできる。」

シロウからの通信が入った。

シロウ「背中は俺に任せてくれ。必ず目的地まで無事に送り出す!」

ハッチに着くと、各々装備をし、シークエンスに入った。

キノ「ジュピターアーマー、出ます。」

無人機操作のジュピターアーマーが先行し、宇宙に飛び出す。

この宇宙の近辺には、もともとGBNを使用するユーザーの為にコロニーが建てられていた。

しかし、今はそのコロニーすら人がおらず廃棄された鉄の塊の様に変わっていたのである。

キノ「コロニーは、間近で見るとこんなに大きいんだね。」

ZERO「関心してる場合じゃないよ。俺たちの任務は、もしかしたらこのコロニーを探索する事になるかもしれないんだから。」

キノ「何それ。フラグ建ててるの?」

無人機操作とはいえ、操作しているのはZEROのコクピットからであり、キノとZEROは何気ない会話をしながら探索をしていく。

ZERO「ん…?」

ZEROが何か怪しい部分を見つけた様だ。

キノ「どうしたの?」

ZERO「今、コロニー内には人が居ないはずだよね?」

キノ「え…そのはずだけど、なんで?」

ZERO「今、一瞬人が居た様な気がして。」

ピーピーピー!

と突然アラートが鳴り響く

敵機の信号を検知した様だ。

その後、目の前に二機のモビルスーツが現れた。

キノ「前方からなんて…!?」

急旋回を試みるが、敵機にアーマーは捕えられてしまった。

ZERO「あちゃあ。捕まっちゃったか。」

キノ「なんで喜んでるのさ。」

ZERO「だってぇ、このボタン押せるからさ。」

と、言いながら、自動で赤いボタンを押した。そして、ジュピターアーマーが赤白い光を放ち、捕えてきたモビルスーツ達と共に大爆発を起こした。

キノ「ヒビキさんからもらったアーマーなんだから、もう少し優しく扱っても…」

ZERO「でも、いいじゃん。だいたい座標は把握したし。」

そう言いながら、目の前で明るく光り、ゆっくりと消えていくアーマーとモビルスーツの残骸を見ながらZEROは言う。

ZERO「うーん。あんまり綺麗じゃなかったねぇ。宇宙の帝王はこれ見て美しいって言ってたはずなのに」

キノ「それ、惑星規模の爆発だからじゃない?」

そう話していると、通信が入ってくる。

シロウ「どうだ。座標はわかったか!?」

キノ「はい。完全に見つかりました。本部から3つ先のコロニーです。」

シロウ「そこに、悪の親玉がいるんだな。」

キノ「ほぼ間違いなく。」

オペレーターからさらに連絡が入る。

オペレーター「報告です!第三コロニーの周辺に大勢のモビルスーツを確認!グレイズとウィンダム、GN-XⅢです!」

司令官「よりによって、ナノラミネート、フェイズシフトに太陽炉持ちが相手か…」

ビーム、実弾、更に継続的な戦闘に長けたモビルスーツが呼び出されており、通常の機体ではなかなか苦労をさせられる立ち回りを要求されてしまう。しかし、今回は特殊なモビルスーツがあり、多少の無理は効くのだ。

 

オペレーター「2人とも、発進のスタンバイはOK?」

シロウ「もちろん!」

キノ「できてます。」

オペレーター「では、各機発進してください!」

キノ「ガンダムブラックZERO、出ます。」

シロウ「コアガンダムG、出るぞ!」

二機のモビルスーツが発進する。

ブラックZERO、コアガンダムZEROに黒のアーマーを装備した、機体だ。左右不対称だが、バランスは保たれており、装備の変換、作戦毎にそれにあった装備に換装できる。

高いポテンシャルと共に適応力に優れた機体である。

コアガンダムGはステルスガオー装備で敵からの索敵、反応されにくい特徴を持っている為、現在の作戦においては1番の適した運用だ。

しかし、今回はドリルガオー、ライナーガオーが長距離飛行能力を持たない為、フル装備形態の特殊運用で巡航中…

宇宙に出た二機は第三コロニーへ向かいながら、侵入可能な場所を探している。

キノ「ZERO、どこかに入れそうな所はあるかい?」

ZERO「うーん…俺の目が正しければ、奥の方にコロニーのハッチがあるけど…、アレ、開くのかな…?」

シロウ「問題ない!たとえ開かなくても俺が道を開けて見せる!」

キノ「頼りにしてますよ。」

 

 

第三コロニー内部…

[3年前…

まだ、GBNが開設されて間もない頃…

まだ完全な整備が整ってないGBN世界では、態度の悪いユーザーが多く、それゆえに酷い争いまで起こっていた。

それは、誰でも無差別に見下すほどに…

青年「なんだよ。お前ら別にたいして強くもないないじゃんか。」

少年達は対戦に敗北した。

青年「技術力はあっても、肝心の使い手がへっぽこじゃ、全然ダメだよなぁw」

少年A「そんな…そんな事ない。」

少年B「いや、その通りだよ…僕には操縦能力が無いのさ…」

そうして、少年Bは数日後…

学校内で自身の首を縄にかけ、首を吊って死亡している所を発見された…

隣には…バックの中にガンプラも残されたまま…]

 

MD1「………。嫌な記憶を思い出してしまった。」

MD2「友達の夢でも?」

MD1「あぁ。この世界に殺された。アイツの夢を…な。」

MD2「では、何故いつもあの青い地球を見ているのです?」

MD1「あの地球が美しいからさ…だが、少しずつチップの効果は力を増している。あの地球ももうすぐ荒れ果てた地と化す。それまでの間、美しい地球を眺めている。それだけさ。」

MD2「なんとも言えませんな…。世界は美しくなんかない。それ故に美しい。」

MD1「そうさ。美しくなんかないから、アイツは世界に殺されたのさ。だから、アイツを殺した世界を俺が殺してやる。その為なら、どんな手段を取ろうと…」

MD2「ブラックナイト…彼もそう…と?」

MD1「あぁ。あのガンダムはあの周辺しか守ってなかったが、気に食わなかった。何も守れなかった俺とは真逆で…何かを守る為に必死になってる姿が無性に気に入らなかった。」

MD2「………。」

MD1「どっちにしろ、あのガンダムが地上を守っていたら、俺たちの計画の進行の妨げにはなる。だから、早いうちに消せて良かったのさ。コレも、穢れなき理想の為さ…。」

MD2「私は、貴方の執事です。貴方の望まれる事こそが真実なら、何も言いませぬよ。」

MD1「そうしてくれ。それがアイツの為にもなる。」

MD1が左を見つめると、一機のモビルスーツが置かれていた。

ウイングガンダム、デスティニー、バルバトスのパーツで形成されたガンダムだ。

それを、悲しそうな顔をして見つめている。

何かがあるのだろう…悲しく思うほどに…

 

キノとシロウは敵のに探知されないまま少しずつ第三コロニーへ進んでゆく。

コロニーの入り口へ向かっていく。しかし…

MD2「マスター。コロニーの入り口付近に微弱ながら不明な反応が2つ。」

そう告げられると、彼は言う。

MD1「ほぉ。ついにここを見つけられたか。しかし、たった二機だろう?外の敵は周りの無人機に任せておけ。もし侵入されたとしても、コロニー内の強化型ザクIIを30機もあれば落とせるだろう。」

そう言うと、トランシーバーを取り出し、号令をかけた。

MD1「お前達、準備を始めておけ。」

 

ZERO「どうやら、バレちゃったみたいだよ。」

キノ「え…?」

ZERO「今、レーダーの反応を確認してるけど、俺たちの周りにいる50機相当がもうこっちに押し寄せてるみたいだよ。」

第三コロニーはただ廃れきった建造物ではなかったようだ。

どこかからカメラで外の状況を把握し、内部に映像が流れるように仕向けられていたのだ。

シロウ「キノ君、君は中に入るんだ。」

シロウは鬼気迫る様に言う。

キノ「しかし…この数を相手にするのは…」

シロウ「大丈夫さ。」

キノ「……。」

シロウ「この任務は君に全て掛かっているんだ。頼んだよ!」

そう伝えられ、送り出された。

キノ「僕も、信じてますよ。」

そして、2人は別行動を取る。入り口に向かい、扉を開く者、その扉のある場所の行く手を阻む者。

二機のガンダム達は同じ目的の為に力を合わせていたのである。

シロウは司令部に通信し、こう叫んだ。

シロウ「本部へ、ファイナルフュージョンの承認を頼む!」

オペレーター「ファ…ファイナルフュージョン…!?」

司令官の眉がぴくりと動く。

司令部員「司令官、どうされますか…?」

司令官は通信を取る。

司令官「シロウ君、ファイナルフュージョン、承認!」

シロウ「物分かりの良い司令官様で助かったぜ!」

オペレーター「い…良いんですかコレで?」

司令官「君もやるべき事があるだろう。」

オペレーター「え…?」

司令官「そこに、赤いボタンがあるだろう。それをプログラムドライブ!と言って押すんだ。」

オペレーター「え…え…」

司令室は静まり返るが…

オペレーター「ぷ…プログラム…ドライブ…!」

オペレーターさんは恥ずかしそうに赤いボタンを押し込んだ。

シロウ「行くぞ!ファイナル!フュージョン!」

シロウの乗るモビルスーツの周りを嵐の様なものに包み込まれた。

嵐の中から叫ぶ声が届く。

シロウ「ガオ!ファイ!ガーーーッ!」

嵐が消え去り、勇者の真の姿を現した。

司令室はざわついた。黒く輝くボディ、青に煌めく胸、身体中から溢れる光輝くエネルギーを前に、一層熱くなる。

司令官「勇者王、ガオファイガーとこんな所でお目にかかれるとはな…」

オペレーター「ちなみに…何故、あの時乗っかったんですか?」

司令官「実は…私も一度は言ってみたいセリフだったんだ。ファイナルフュージョン承認って。」

オペレーター「へ…へぇ…。」

 

シロウはさらに言葉を発した。

シロウ「ウルテクエンジン、起動!」

背部のウイングが緑に輝く。

シロウ「行くぞぉ!」

まばゆい光の軌跡が宇宙に色をつけていく。その軌跡の先にある敵を掴み、さらには破壊していく。

その頃、キノは最初の扉の前に立っていた。後ろからは数機の敵が後から続く。

ZERO「敵さん、少しずつこっちに来てるよぉ。シロウさんもっと頑張ってよねぇ。」

キノ「いいから、早く開けないと。」

ZERO「それがさぁ、この扉、ロックは外から開けられないタイプみたいだから。」

キノ「え…?開けられないの!?」

ZERO「うん。だから、開けるには内部からロックを解除するしかないみたいだよ。テロリスト対策だねぇ。」

困っている2人に通信が入った。

シロウ「キノくん、そこを退くんだ!」

キノ「え…」

シロウ「ファントムリング!プラス!」

光で形成されたリングがガオファイガーの目の前に現れる。その光の輪の中心に渾身の力を込めたパンチを放とうとする。

シロウ「ブロウクンッ!ファントムッ!」

ゴォォォォッ…!と唸る様な音と共に、キノの方に向かって拳が飛んでくる。

キノ「ちょ…ちょっとまだ準備が」

ZERO「ほいっと…。」

ブラックZEROはさらっと扉から避ける。近くに居た敵モビルスーツを巻き込みながら、最初の扉に風穴を開けた。その後、同じ扉の数十メートル離れた所から腕がもう一つ穴を開けて戻って行った。

シロウ「これで通れる様になっただろう?」

最初の穴には真ん中がすりつぶされたモビルスーツ達が一つに固まった跡ができており、そこから二つ目の扉へ向かった。

キノ「シロウさん、ありがとうございます。」

シロウ「ここから先は、俺たちはもう何もすることはできない。頑張ってくれ。」

ZERO「は〜い。」

キノ「シロウさんも、負けないでください。」

シロウ「あぁ!約束する!」

コロニーは少なくとも三層の扉で遮断されている。外部からの侵入を避ける為、外部からの攻撃で扉が1つ破壊されても酸素が漏れる事を防ぐ為である。

 

第二扉…

キノ「ここは、特に何もないみたいだね。」

ZERO「そうだね。ただ、ハッキングしないと開けられないかも。」

キノ「できるの?」

ZERO「もちろん!」

ZEROは周辺の機器の情報掌握を始めた。

ZERO「なるほどなるほど。案外簡単だね。」

キノ「どう?」

プシューッ…

ZERO「開いたけど?」

キノ「早いね。」

ZERO「俺はコレでも君達の分身みたいなものだからね!キレ者の頭脳もちゃんと持ってますとも!」

キノ「ほえ〜。」

ZERO「もうちょっと興味持ってよ!」

そうして、最後の扉が前に現れる。

ZERO「第二扉、閉まったよ。」

キノ「じゃあ、第三扉を開けるね。」

扉の前のレバーを引き、第三扉が開く。

目の前には、真っ暗な世界だが、人工物や居住区が並ぶ世界が目に入った。

キノ「ここに、たくさんのユーザーが居たなんて思えないね…」

そんな事を発していると、突然コロニー内が明るく照らされた。

キラキラと光っていく居住区、映し出された偽物の空、太陽と間違えるほどの人工太陽その全てが光だし、その世界を照らしてゆく…

照らされた瞬間

ズババババババッ…!

マシンガンを乱射する音が流れてきた。

キノ「…っ!」

いち早く気づいたZEROが自分の意思で緊急回避していた。

MD1「おっと。威嚇射撃やめ。」

号令とともに、声がコロニー内に響く。

キノ「ん…?」

MD1「外見は少し違う様ですが…、この前の地上で闘っていたモビルスーツ乗りですか。」

キノ「あなたは何者ですか!」

MD1「俺はマスダイバー01と呼ばれている者だ。通称MD1。」

キノ「MD1さん、こんな事はやめて投降してください!」

MD1「ほぉ…?何故そんな事を?」

キノ「無闇な争いをしたくないからです!」

MD1「ここまで来れた事には称賛をしよう。しかし、君にはここでデリートさせていただきます。」

キノ「交渉する気はない…と。」

MD1「もちろん。君達の様な輩は特に嫌いなのでね。」

キノは少しだけ考える。

MD1「では、みなさんで残りは好きな様に。」

そう告げると、コロニー内から30機の強化型ザクIIが現れた。全員全身にドクロのマークを付けており、色はオレンジに統一されている。

キノ「ZERO。あの力、今なら使えるかな?」

ZERO「うーん…多分大丈夫だと思うよ。」

キノ「一か八か…。」

ザク部隊長「お前ら、あの黒塗りのガンダムを血祭りにあげるぞ!」

部隊員達「おぉぉぉーっ!」

号令がかかり、無数のザクが襲いかかる…

キノ「クロークビット、スコープビット、脚部ブースター、一斉解除。フォームチェンジ、アサルトフォーム&ブラックボックスシステム発動。」

身体に纏った装備が外れ、さらに装備が宙を舞う。一つ一つが個別に合体し、2種類計4つのビットに姿を変える。

さらに、ブラックZEROの目が黄緑色の強い光を放ち、コロニー内に浮かんだ。

ZERO「さぁ。ショータイムだ!」

ブラックZEROが身体中に力を込める仕草を取ると、身体から輝く衝撃波をコロニー全域に解き放つ!衝撃波が造られた世界に広がっていく。

電波妨害の力を持つ光がコロニー内を完全ブラックアウトさせていった。

MD1「な…なにをしたのだあのガンダムは…」

MD2「まさか…トライアルシステムですかな…?」

MD1「いや、トライアルシステムではない!アレは太陽炉搭載機にしか影響しないはずだ。」

MD2「では、アレは…?」

MD1「あの黒いガンダム、少々軽率に見ていたようだ…」

MD1は唇をくやしそうにしながら噛む。さらに、全機に向かい通信を行った。

MD1「全員、撤退しろ。」

しかし、ジャミングが入り、全機には通信は入らない。

MD1「くっ…!通信すら入らないだと!」

状況も、何も把握する事さえ出来なくなってしまい、MD1は拳を力強く握りしめた。

キノはつぶやいた…

キノ「この暗い世界で僕とZEROを簡単に目視する事はできない。君達は僕たちを追い込んだと思ってるだろうけど、逆だったね。」

ZERO「なんて言ってるけど、ZEROモードの安定化を心配していたじゃん。」

キノ「でも、こういう事だったんだよ。」

ZERO「ん?」

キノ「レイトさんの…最後のサポートって。」

ZERO「ほんと、不器用な主人だね。」

真っ黒い機体の心理はそのガンダムそのものの安定化を目指されたものだったのだろう。

最初にZEROが装着した時、強くなった気がすると言った答えがここにあった。

そうして、闇の中に潜みさらにコロニーの敵機に近づいていく。

ザク部隊長「全機!大丈夫か!おい!なんで通信が取れない!」

黒い影が忍び寄る。

ザク部隊長「ひっ…!」

目の前に向かいヒートホークを振り翳した。

しかし、攻撃は当たらなかった。

ZEROは呟いていた。

ZERO「そんなの光らせてたら、どこから攻撃来るかバレるでしょう?」

と、言いながら、背後へ回り、ビームピストルをゼロ距離で打ち込んだ。

ピシューン…と、小さく音が鳴り響くが、誰もそれには気が付いてないらしい。隊長機は崩れ落ちる様に地面に倒れ込んだ。

さらに敵機を誘き寄せるために仕掛けた。

ブースターを装備したビットを軽く飛ばした。

敵機が反応した。マシンガンをバパパラ…と打ち込んでいく。

5機がその作戦にハマり、ZEROの標的になった。

ZERO「トリックショット〜!」

全く上の空の方向へビームピストルを5発、両打ちで合計10発打ち込む。それをビットで反射していった。

スコープにはビームミラーコーティングを施されており、ビームを反射していく。

ビームは反射し続け、5機のザクのコクピットにそれぞれ2発ずつ命中させた。

残りのザク達は次々倒されていく仲間の爆発を目にし、ブラックZEROの姿を一瞬だけ目視した。

そのガンダムの顔は闇に紛れた忍び、黒い血に染まった怪物の様に見えていたのだろう。マシンガンを乱射しながら、抵抗を試みるも、逆に自分の居場所をバラしてしまっている。ビットに頭を突き刺され、宙に舞う。

それをすかさず肩に装備していたビームガトリングを8発お見舞いした。

蜂の巣の様に穴が空いたザクは宙を舞いながらコロニーのど真ん中で爆散したのである。

ZERO「さて、あと残り23機もしっかり処理して行きますか!」

キノ「さっきの5機は僕が倒したんだけど?」

ZERO「でも、俺だってちゃんと倒してるから合計でいいじゃん?」

キノ「まぁいいけどさぁ…。」

 

次々に破壊されていくザク部隊。

しかし、そろそろ夜の闇に目も慣れてくる頃だ。

その時にキノは言う。

キノ「ここからは、僕が全部対処するよ。」

さらに、右肩にマウントしているマウントしている大型実体剣の肢の部分を手に取ると、分離して小型の斧になり、それを敵に向けて投げ飛ばした。

ザシュッという鈍い音とともに、敵の胸部付近に突き刺さる。

そこから、赤く熱を発した。

少しずつ敵の胸部が溶けていく。

抜け落ちる所をサッと手に取り、つばめがえしの如く上に切り上げた。ここまでほんの5秒ほどの出来事だ。

敵の歪んだ機体は赤く光を放って爆発を起こす。

その時、敵が完全に視認されたのである。

しかし、それ以上にスピードが早く、現場に駆けつけた頃にはもう姿はなかった。

残り22機がバラバラになり、辺りを探索し始める。

しかし、一機、また一機と爆発していく。違う場所から、同時に爆発も発生していた。

ビットが潜んでおり、地雷の様に敵を探知して切り裂いている。

まさに闇の中の地獄とも言える様な世界だ。

どこから奇襲されるかわからない…。

強化型ザクは次から次へと爆発と宙を舞っていくのを繰り返す。

残りはわずか3機となってしまっていた…。

部隊員1「ど…どこにいるんだ…。奴の姿を認識できなければ、下手に動けば地雷を踏んで仲間達の様になる…。ならば、敢えて動かなければ…!」

と、動かずに過ごすザクが1機。だが…その考えは甘かった…。

すでに背後にいるのだった…。

動かずにいると、突然メインカメラが見えなくなる。

キノ「残念だけど、考えが甘かったね。」

そう言いながら、ザクの頭を貫いていたビームダガーを引き抜くと、右の腕部を軽く削ぎ落とす。

腕部と頭部から爆発を起こす味方機を見た敵はこちらに向けてマシンガンを構えた。

部隊員2「このぉぉっ!これ以上やらせてたまるかぁぁっ!」

マシンガンをこちらに向けて打ち付けていく。

腕と頭から煙を放つザクを蹴り飛ばし、素早くジャンプする。

蹴り飛ばしたザクにマシンガンの弾がさらにボディを貫いていく。

蹴り飛ばした勢いは劣る事なくマシンガンを打ち付けていくザクに向かってぶつかり、

飛び上がったブラックZEROは宙を回転しながら背後にザクの背後についた。

カチャッ…という音と共にビームピストル二丁をゼロ距離で打ち付けていく。

そして、ブラックZEROは二機から距離を取った。二機は真っ赤な光を放ちながら膨張し、爆発する。

キノ「残り一機。」

ZERO「いい所で悪いんだけど、時間ぎれだよ。」

辺りから光が点っていく。

コロニー内に光が完全に戻り、通信まで戻ってしまった。

キノ「大丈夫。残り一機はもう…」

右下に目を向けると、残り一機を完全に視界にとらえていた。

部隊員3「見つけたぞ!黒いバケモノめ!」

ヒートホークを構えようとした瞬間、目の前にはもうすでにブラックZEROが迫っていた。

部隊員3「な…な…」

肩にマウントしてある大型実体剣を切り離し、相手の横腹に向けて斬りつけた。

剣を振り下げたその後、キノは最後に一言告げた。

キノ「倒しきってるから。」

そう告げた瞬間、ザクは真っ二つとなり、大きな爆発を起こし、完全に沈黙していた。

ZERO「さっすがキノ。俺の主人ほどじゃないけどやるねぇ。」

キノ「レイトさんと僕で君を作ったんだから、僕も主人でしょう?」

ZERO「まぁまぁいいじゃん。終わらなければ全て無視!ってね!」

キノ「…。終わりよければ全てよし?」

ZERO「それそれ。」

 

コロニー内には赤と黒の煙が渦巻き、そこには一機しか立っていなかった。真っ黒い機体が一つ立ち尽くしているだけだった。

キノ「さぁ、MD1を探そう。」

ZERO「多分、近くにはいないはずだよ。きっとコロニーの奥の方だよ。」

ビットモードを解除し、身体中に装備させ、コロニーの奥へ進んでいく。

 

その頃、コロニー外部では…

シロウ「プラズマホールド!」

敵に磁場を逆転させ手元に寄せていく。

シロウ「うおぉぉぉぉっ!」

ガシャァァァンッ!

敵をコロニー内部に侵入させる事なく、薙ぎ倒していく。

時には敵の残骸を投げ飛ばし、ビームなどを使う敵には反射を行いながら、着実に倒していく。

シロウ「流石に、敵の数が多いな…拉致があかない…!」

確実に1人で100機以上を撃破している。

さらに敵が押し寄せる。そして、敵は正面だけではなかった。

足元には残骸の山から手を伸ばすグレイズがいた。下半身と繋がってすらないが、コクピットのAIが生きており、上半身だけで動いていた。そんなグレイズがガオファイガーの足を掴む。

シロウ「しまった…っ!」

一騎当千とはいかないほど、敵もしぶとかった。

足を掴まれたが、脚部のキャタピラをフル回転させ、掴んでいる腕を振り払う。正面の敵もコクピットに向かってパンチをかまし、完全にコクピットが潰れる様にしっかりと潰しに行く。

シロウ「あと少し…!あと少し時間を稼げば!」

その時、通信が入った。

司令官「シロウ君。」

シロウ「キャプテン!今は忙しいんだ!」

シロウは余裕がない為か、司令官と呼ばずに名前で呼んでいた。

司令官「君の持ってきた装備をそちらに輸送する!」

シロウ「ダメだ!まだアレは完成していない!不完全な状態で使うにはあまりにもリスクが大きすぎる!」

司令官「大丈夫だ。私達、整備員達を信じてほしい。必ず完全な状態に修復させて見せる。」

整備員達は通信が聞こえているらしく、首をめちゃくちゃに横に振っていた。しかし、そんな姿は司令官にもシロウにも見えていない。

シロウ「なら…!その言葉を信じるぜ!」

整備員達は顎が外れる勢いで口をあんぐり開けていた。勝手にどんどん話が進んでいく…

司令官が通信を促す。

司令官「キノ君の残りのアーマーに最終兵器を取り付けるんだ。急いでくれ。彼らの為に…!」

 

コロニー内奥部…

この辺りには、システム全般、気候環境の変動、一部モビルスーツの格納庫にもなっている。第二から第四格納庫は空いた状態となっており、ここからザク30機が出てきたのだと把握できる。

そして、奥へ向かうと、地球を見られるデッキがあった。

きっとそこに、マスダイバーが居ると踏んでいた。

キノ「ここに居る…」

そっと呟くと、ZEROは答える。

ZERO「なんでわかるの?」

キノ「彼らの目的はこの世界の地球の破壊。それを見るなら地球を一望できるデッキに居るはずじゃないかな?」

ZERO「鋭いねぇ。」

そうして、コロニー奥の巨大なハッチがゆっくりと開いていく。

一度開ききると閉まるまでしばらくかかりそうなほど巨大な扉だ。

ブラックZEROはハッチの奥へ進んでゆく。

しばらく進むと、

ZERO「おっと…」

キノ「どうしたの?」

ZERO「この辺り、不自然に重力があるよ。」

突然、コロニーにはなかった重力感が発生した。完全にこの辺りだけ重力が設定されている。

キノの疑念は確実なものとなる。マスダイバーはここに間違いなくいる。と。

奥には、広い部屋があった。たくさんの椅子やテーブルが設置されている場所だった。

そして、1番奥にだけ、少し風の違う赤色の椅子がある。

その椅子には、人が座っていた。キノが待っているであろう存在。

この世界にもたらした厄災の全ての元凶が。

MD1「ここまで来るとはね。君達の事を完全に甘く見ていた。」

キノ「MD1…。」

その姿を見た時、少しだけ動揺した。

アバターは、零斗によく似た顔をしていた。生きているかと思うほど…

髪色は黒っぽさに少しだけ特殊な銀のメッシュ、頭の上の少し目立つ癖っ毛に、藍色の瞳の奥に水色がかった透き通った目

強いて違うところはメッシュが右か左の違いと、本人との身長差にも差があった。身長はキノとそこまで変わらないほどの身長だ。

しかし、それを踏まえても顔や髪型、表情までよく似ているのである…。

キノはブラックZEROのコクピットハッチを開き、デッキに降り、相手に駆け寄っていく。

MD1「おっと。女の子だったのか。」

キノ「僕の事はどうでもいいです。僕から2つ質問させてください。」

MD1「いいでしょう。」

キノ「一つ目に、この世界を壊す理由です。何故この世界にマスダイバーを蔓延させ、この世界にバグを放ち、破壊を目論んでいるのか。」

そして、一呼吸おいて、次の言葉を吐く。

キノ「二つ目に、彼方の姿です。」

MD1「ほぉ?」

キノ「彼方の姿は、有音 零斗さんに似ているんです。本当に、彼が居るかと思うほどに…」

零斗の名前を聞いた瞬間、一瞬だけMD1は肩が動く。

MD1「…。」

キノ「では、答えてください。どちらから答えても構いません。」

MD1「…この世界を壊す理由は、この世界に大切な友達を殺されたからさ。」

キノはその言葉を聞いて、ものすごい嫌悪を感じてしまった。

自分は人の大切な人を殺しておきながら、自分達の事を棚に上げている様な姿に酷い軽蔑を覚える。

MD1「僕の本来の名は、レント。僕には、親友が居た。たった1人と言えるほどの親友だ…。僕は3年前に親友と共にこのGBNのアーリーアクセス時からプレイしていた。だが…サービスが始まった瞬間、僕らはこの世界の非情さをしらされた。サービス当初のこの世界は誹謗中傷が絶えなかった。僕たちも同じさ…。負けては[弱い][ゴミ][ゲーム辞めろ]と言われてきた…。それに絶えきれなくなった親友は自殺したのさ…。」

 

GBNは約4年半前からベータ版として存在していた。その当時は地球全域は使えず、宇宙も移動制限があるほど狭い空間での運用だった。

そのベータ版の世界で初めてレイトとユリが降りたのがあの桜の木である。アーリーアクセス版は当選した人達だけが早期にイベント、ランクマッチに参加できる権利を持ったユーザーである。

その中でもみくちゃにされたのがレント達が見てきた世界だ。しかし…その世界はまだ今も続いていた。今でも少なからず同じ様なユーザーは存在しているのだ…。

 

レント「僕は親友の為にもこんな世界は破壊すると決めたのさ。」

キノ「そんな事をして…喜ぶと思うんですか…」

レイト「何…?」

キノ「彼方は、その人達と同じだと言っているんです!あの世界を楽しみたい人達から場所を奪い、大切な思い出を守ろうとした者まで殺した!彼方がやっている事は、されてきた事と全く同じです!」

ものすごい剣幕で言葉を吐くキノ。

彼女らしく無い言葉を吐きつけた。

レント「僕もそんな事くらい分かってる。だが、それでも許されないからさ。」

キノ「………。」

レント「僕は、今までたくさんの物を奪われてきた。だから今度は僕が奪われてきた物を奪い返す。」

キノ「命は…戻らない…。」

小さくつぶやきながら話していく…

キノ「どんなに取り戻したくても、命は戻ってこない。大切な人達は帰ってこないんです…。」

 

レント「…。」

レントは黙り込む。

キノ「次に…彼方のその姿について教えてください。」

レント「…。彼に憧れていただけさ。」

キノ「……。」

レント「彼の非業の死は知っている。彼等の話は界隈ではかなり名の知れているチームだったから。彼、有音 零斗は自分の命すら顧みず仲間の為に必死になって闘い続けた彼をカッコいいと思った。それだけだよ。」

キノ「……何も知らないんですね。」

レントは眉を動かした。

レント「何…?」

キノ「レントさん、彼方から見たらそうなのかもしれません。ですが、彼方の知る有音 零斗…レイトさんは、そんな人ではなかった。」

レント「何をバカな…」

キノ「レイトさんは、沢山の物を背負って闘っていたんです。僕は、彼から全て聞きました。レイトさんは貴方が想像もしないほどたくさんの物を背負って闘っていたんですよ。」

レント「そんなはずない。生まれながら強い才能が…」

キノ「そんなのは嘘です。ネットの記事か何か知りませんが、そんな才能は持っていません。レイトさんは必死で努力して強い姿を見せてるだけで、本当はすごく弱い人です。涙脆くて、大切な人を愛おしく思うそんな人です…。彼の強く見せてる姿こそ強がっているだけの偽りの姿です。」

レント「そんな…そんなはずない!僕の知る有音 零斗は…!」

キノ「嘘なんかじゃありませんよ。僕は彼から話を聞いているんですから。」

レント「な…何を言っているんだ!有音 零斗は死んだんだ!どうやってそんな話を…」

レントの答えは真っ当な答えだ。しかし、キノはそれに答える。

キノ「もし、僕がレイトさんの幽霊が見える…としたら?」

レント「そんな事あるはずが…」

キノ「それが、あるんですよ。僕は、幼い頃から幽霊が見える体質で、今でもたまに人と幽霊の区別がつかなくなる時があるんです。」

その言葉を聞き、レントは驚きを隠せず、答えを聞こうとした。

レント「…まさか…本当に…」

キノは小さくうなづく。

キノ「僕はレイトさん本人からの聞いたんです。彼の知る全てを。ね。」

レント「そんなはずはない!なら、何故そんな人間があんなに強くなれたんだ!アレだけ強くなるにはどれだけ…」

キノ「貴方と同じですよ。」

レント「へ…?」

レントはキョトンとした様な声を発した。

キノ「レイトさんが強くなったのは…彼も大切な人を亡くしているんです。」

レント「そ…そんな…」

キノはゆっくりレントの方へ歩み寄る。

キノ「レイトさん、彼が強くなったのは、2度と大切な人を失わない為です。彼が強くなる決心をしたのは…」

レントは唾液を飲み込み話を聴く。

キノ「彼には、幼馴染で未来を約束した彼女が居ました。ですが…彼女は自殺してしまった。父親からの性的な行為に苦しみ、得意ではないガンプラバトルで無理矢理戦わされ、果ては親との事を知られていじめられた…。そうして彼女は精神的に追い込まれて自殺しました…。

レイトさんは自分の無力さを怨み、守れなかった事に憤り、何も知らない自分に腹を立てて、1番大切な人を亡くして悲しみました…。

そして、レイトさんは必死になって強くなったんです。もう2度と大切な人達に悲しい思いさせない為、大切な人達を失わない為に…。」

レントは強くなった真実を知り、声も出せない…。

キノ「レイトさんは、みんなが思っているほど強い人なんかじゃない。ですが…優しくて、面倒見が良く、それでいてすごく心配性…強がって口も悪いのがたまにキズですが、本当のレイトさんはそんな人なんですよ。」

レント「…じゃあ…僕がやっていた事は…全部間違っていたのか…そんな…そんな…!」

頭を抱え足をつくレント

キノはレントの前に座り、小さく抱擁すると

キノ「レントさん。貴方がやった事は、絶対に許されるものではありません。でも…レイトさんならこう言うと思うんです。[君は悪くなんかない。君をそこまで追い詰めた人達が悪いんだ。]って。」

キノは背中を優しくさすりながら、レントに声をかけていた。

レント「ごめん…なさい…。」

キノ「それでいいんだよ…。」

優しくレントをさすりながらキノはゆっくりと立ち上がらせる。

キノ「ZERO。彼を一緒に乗せても大丈夫かな?」

ZERO「え…?それは大丈夫だけど、彼に伝えなくていいの?」

キノ「なにを?」

ZERO「ブラックナイトの正体。」

キノ「…。知らない方がいい事もあるんだよ。」

そう呟いた。

ZEROが次に飾られいるガンプラに目を向けた。

ZERO「あのガンダム…」

キノ「仕方ないよ。アレは置いていくしかない…。」

レントが言った。

レント「あのガンダムは、置いていけない。」

キノ「大切な物なんですか?」

レント「親友が残していったガンプラだから。」

キノはその言葉に胸を大きく揺さぶられる。

キノはその想いを知っているからだ。

零斗と優里が作り上げたコアガンダムαは、彼等の亡き後に響の手に渡り、今もなおその意思は受け継がれている。

大切な人が残したガンプラを無碍に扱う事はできない。

キノ「ZERO。一緒に連れて行こう。」

ZERO「キノ!?めちゃくちゃな事言わないでよ!あんなの持っていたら襲撃を受けたりそたら…」

キノ「彼の…レント君の大切な思い出のガンプラなんだ。」

ZERO「………。しょうがないなぁ!もう!今回だけだよ!」

キノ「ありがとう。コレでレイトさんには怒られなくて済むね。」

ZERO「というか、キノがそのガンダムに乗ればいいんじゃないかな?」

キノ「え?」

ZERO「俺って、無人でも動けるんだから、別にキノが乗らなくても闘えるし!」

キノ「そっか…。ナイスアイディア。」

そんな話をしていると、足音が迫ってくる…

MD2「その子を放しなさい!」

背後からこちらにライフルを向ける老人の姿をした人が構えている。

キノ「…!あ、貴方は?」

MD2「もう偽装する必要もないわね。」

そう言うと、アバターが切り替わっていく。

タキシードに身を包んだ老紳士から、片方に髪を伸ばした女の人に姿が切り替わる。

チサキ「私はマスダイバー02、もといチサキ。レント君を放しなさい。」

レント「チサキさん、もう終わったんだよ。」

チサキ「いいえ!まだ終わってない!」

チサキの手には何かを握っていた。何か嫌な予感がする…。

キノ「あなたもこの世界がなくなってしまえばいいと思っているんですか?」

恐る恐る聞いた…

チサキ「私は…弟の…ユキヤの恨みを果たす為なら…」

キノ「弟…」

彼女は亡くなった彼の姉だった。

姉弟である彼女からすれば、レントとは全く違う恨みがあるのだろう。

知らない所で殺された弟への悲しみは計り知れないものだ…。

キノ「チサキさん、貴女の気持ちは痛いほどわかります。ですが、こんな事はやめてください。貴女の弟さんがそれを望んでいるとでも…?」

チサキは動揺する。しかし…引き下がらなかった。

チサキ「あの子は…この世界が好きだった。自分のガンプラが自由に羽ばたく事ができる世界が!だけど…」

キノ「なら…!そんな大切な世界を壊す必要なんてない。そうでしょう?」

キノは必死に説得を続けた。それでもまだ引き下がろうとはしなかった…

チサキ「この世界に、ユキヤを殺した人達が平気な顔をして過ごす姿をただ見ているだけなんて耐えられない…。」

キノは何かが吹っ切れた。

キノ「ふざけないでください…」

チサキ「ふざけてなんかないわ!」

キノ「貴女達も知らないうちに人を殺しているというのがわからないのですか!」

ZERO「キノ!やめるんだ!」

咄嗟にZEROは止めに入るが、その言葉は弾かれてしまった…

キノ「あなたたちが地上に放った鉄の塊…あの場所に居た彼は…レイトさんは僕の目の前で死んだんです…。」

ZEROのコクピットに乗り込もうとしているレントが答えた。

レント「そんな…。いや、嘘だよね?僕が…憧れの人を殺した…?」

キノは悲しみを込めて言った。

キノ「僕からしたら、あなたたちに殺されたのと同じです…。ですが…レイトさんは復讐なんて望まない。確かに僕はとても恨みました…。この手で殺したいとも思いました。けど…レイトさんは最後に言っていました。[必ず戻ってくる]と。そんな彼の復讐したって、彼は喜ばない…。だから僕はあなたたちを止める為にここにきたんです!」

レントは自分のした事を後悔した。沢山の人を自分たちも悲しませていたと知った。だが、キノのうちに秘めた強い信念が自分に償わせる機会を与えようとしているとも感じていた。

レント「チサキさん!もうやめよう!僕たちもユキヤの命を奪った人達と同じなんだよ!もうこんな事はやめて投降しよう!」

チサキ「………。」

レント「チサキさん!」

必死に問いかけたが、残酷な答えしか出なかった…

チサキ「なら…何もかも終わりにしましょう。」

腕に握っていたものを上に掲げて赤く光る突起物のついたものを見せた。

それは、誰が見てもわかるほどのスイッチだ。

キノはすかさず銃を構えた。アバター登録時にナイフや剣などの1種類もらえる備品で、ライフルはセミオートタイプのピストルだ。

キノ「それを放してください。」

チサキ「もし、離さなかったらどうなるの?」

キノ「貴方を撃つことになります。」

キノは急所を外すべく、肩に狙いをつける。

チサキ「どうせ、急所を外すつもりなんでしょう?」

キノ「……。」

チサキ「撃つなら撃ちなさい!あなたも私を撃てば私たちの仲間入りよ!」

キノを煽り、動揺させてゆく…

キノの手が震え、ついに…撃つ姿勢をやめて銃を降ろしてしまった。

チサキ「そう。撃てないのね。残念。でも、コレはもう止めないけどね…!」

スイッチを押そうとした瞬間だった。

ピシューン…と、桃色に光る閃光が頭の上を通っていく。

その閃光の先にはチサキが居た。

だが、その光を浴びたチサキの身体は黒く影だけ写していた。

キノがまばたきをした時には、その影すらもう残っていなかった…

キノは後ろを振り向くと、ブラックZEROがこちらに向けてビームスプレーガンを向けていた。その手に持った銃の先からは、煙をだしていたのである。

ZERO「キノ。君にこんな仕事は向いてないよ。」

キノ「ZERO…。ごめん…」

ZERO「何謝ってるのさ?誰かがこうしないと止められなかったんだから。仕方ないよ。」

ZEROの言葉を聞き、前を向きなおすと、キノは少し悲しそうな顔をした。

すると、突然声が響いてくる

???「あっははは!」

キノ「今の声は…チサキさん!?どうして…!」

チサキ「アバターを消した所で、私はエルダイバーとして入ってきたのよ!例え身体を持たなくてもこの世界に干渉する事はできるのよ!残念ね!あなたが撃っていたとしても、止められないわ!」

そう言い放つと、突然コロニーが振動を始めた。

 

入り口に居るシロウも異変を感じた。入り口に溜まる残骸が振動によりホコリの様に舞い出した。

シロウ「な…なんだ!?コロニーが揺れているのか!いったい何が!」

 

チサキ「あはは!今からこのコロニーは、地球に向かって墜落するわ!コレだけの重量のものが地球に落ちたらどうなるか、わかるでしょう?」

キノ「あなたの狙いは…コレだったんですね…。」

チサキ「今更知っても遅いわ。この偽りの世界の地球最後の日を口を開けて見てるといいわ!せいぜい悔やんでなさい!」

そう言うと彼女の声は消えていった。

 

司令部にて…

オペレーター「第三コロニーから強い熱源反応です!」

隊員「コロニーの目標は、地球!座標はアジア圏全域です!レジスタンスの拠点が完全に被害規模内です!」

司令官「な…なんという事だ…マスダイバーめ…そこまで…他の出撃可能な機体を向かわせろ!」

隊員「無理です!キノさん達以外のモビルスーツは全て地上です!今からこちらに転送するには時間が必要です!」

司令官「つまり…地球の存亡は、彼ら2人に託されたと言うわけか…。」

 

ZERO「キノ!脱出しよう!」

ZEROは呼びかけるように言った。

キノ「レントさんも脱出しましょう!」

レント「わかりました。僕はユキヤのガンダムがあるから、それに乗って行きます!」

キノもZEROに乗り込むと、二機は出入り口までブースター全開で駆け抜ける。

入り口で闘っていたシロウの元にキノから通信が入った。

キノ「シロウさん!」

シロウ「キノ君!無事という事は、作戦は成功したんだな!よくやった!」

ZERO「そんな悠長な事を言ってる場合じゃないんだよ!」

シロウ「え…?どういう事だ?」

シロウは片手間に最後の一機を捻り潰す。

そして、シロウは次に思いもしない言葉に驚愕するのだった。

キノ「シロウさん、今からこの第三コロニーは、地球に墜落します。」

シロウ「なんだって!」

司令部から連絡が届く。

司令官「キノ君!わかっていると思うが、コロニーが墜落しようとしている。早く離れるんだ!」

キノ「ダメです!ここで止めないと地球に甚大な被害が…」

司令官「大丈夫だ。シロウ君、君の最終兵器がもうすぐそちらに届く。それに全てを賭ける。」

シロウ「そうか!アレなら、コイツをどうにかできるかもしれない!」

そう言うと、シロウ達の前にヴィーナスアーマーが目視可能な所まで接近していた。アーマーの上部には、見たことのない大きなものを担がされていた。

シロウ達の前にアーマーが止まると、その大きなものを見て不思議そうにしていた。

キノ「シロウさん、コレって…」

シロウ「あぁ。俺の最終兵器。ゴルディオンハンマーだ。」

しかし、ハンマーだけが輸送されてきたのを見るに、まだ完成していないようだ…。

シロウ「まだコイツはプロトタイプだ。だが、このコロニーを止めるにはもうコイツしかない!」

キノ「シロウさん、お願いします。地球を守ってください。」

シロウ「…!あぁ!」

シロウのガオファイガーはハンマーを握り、コロニーの前面に向かい始めた。さらに司令官がそれを見ながら言葉を放つ。

司令官「プロトゴルディオンハンマー、発動承認!」

両手でハンマーを握り、叫びながらコロニーの全体を回りながら叫ぶ!

シロウ「行くぜ!ゴルディオンハンマァァァァッ!」

ハンマーが黄金に輝きを放ち始めた。そのハンマーをコロニーの居住区エリアに打ち付けた!

打ち付けた所から円を描くようにぐるりと回り出した。

シロウ「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおっ!」

光の軌跡を作り、コロニーが2つに分かれたのだ。

コロニーの後ろ側は、前面が無くなった事で、墜落のルートから外れる。

さらにコロニー内部から奥へ向かい、更にハンマーを打ち付けた!

しかし、ここで異常が起きた。

ガオファイガーの腕部が両方ともハンマーの力の影響により、甚大なダメージを負っていた。

シロウ「あと…あと少しだけ耐えてくれ…!」

もう少しでメインエンジンルームを光に変えられるというその瞬間だった…

ガオファイガーの腕部は限界を迎え、完全に砕けたってしまった。

腕から煙を放ち、ハンマーは輝きを失った…。

シロウ「ぐわぁぁぁぁっ!」

腕部の爆発により、ハンマーは宇宙空間に飛んでいく…

ガオファイガーのアーマーの耐久値も腕部、肩部は完全に限界にまで進んでしまっていた。完全にショートしたガオファイガーは腕を失い、宇宙に投げ出されてしまった。

キノ「シロウさん!」

ブラックZEROが駆け寄る。

シロウ「…ごめん。俺は、勇者にはなれなかった…」

キノ「シロウさんは、勇者ですよ。ここまで頑張ってくれたんですから。」

コロニーは2つになった事で、被害は少なくはなった。2つになった事で、地球に落ちる座標も切り替わった。しかし…地球に落ちるという事は変わらない…。

そして、ハンマーは宇宙空間に飛ばされ、どこにあるかもわからない…万事休すだ…。

 

 

キノ「打つ手無し…か。」

そう呟いた瞬間、ブラックZEROのコクピットハッチが開いた。

キノ「ZERO?どうしたの?」

ZERO「キノ。降りて。」

ZEROは突然、コクピットから降りるように言ってきた。

キノ「へ…?」

キノは完全に困惑を隠しきれない。

キノ「待ってよZERO。突然何を言って…」

ZERO「キノが居たら、邪魔だから。」

キノ「ZERO…まさか。」

ZERO「思ってる通りだよ。俺があのコロニーの墜落を止める。」

キノ「無茶を言わないで!そんな事をしたらZEROだって…」

ZERO「そんなの、100も承知だよ。」

キノ「じゃあ…なんで…」

ZERO「桜の木。」

キノ「え…?」

ZERO「主、レイトが言ってたでしょ。大切な人との思い出の桜の木。あの桜の木を守る為だよ。」

キノ「そんな…ダメだよ。そんな事すればZEROだって無事じゃ…」

ZERO「キノ…。もしかしたらお別れになるかもね。楽しかったよ。」

ブラックZEROのコクピットから座席が突然飛び出した。

キノは承諾もなしにコクピットから投げ出されてしまった…。

キノ「待って!ZERO!」

ZERO「ありがとう。大切な主…キノ。」

ブラックZEROはブースターを最大出力にして、コロニーに向かい飛んでゆく…。

近くで見ていたシロウも動こうとしていた。

シロウ「俺もいくしかない…!」

しかし、腕がない状態では、止めようがない…。

だが、ヴィーナスアーマーには、専用の腕があったのだ。

シロウ「キノ君、このアーマーの腕を借りていくぞ!」

そう言うと、腕パーツのみ換装をしてブラックZEROの居る方へと飛んでいくのだった…。

宇宙空間に投げ出されたキノは…

キノ「僕は…また1人になってしまうんですか…。レイトさん…ZEROを守って…。」

 

 

大気圏にて…

ブラックZEROがコロニーの前に立ち塞がる。

ZERO「これ以上先には行かせないよ!」

ブラックZEROがコロニーに手をつき、自身のブースターを稼働させた。

ZERO「止まれぇぇ…」

ブラックZERO一機では、力が足りない…

しかし、そこにシロウのコアガンダムが合流する。

腕部が完全に破壊しており、腕部、肩部はヴィートルーに換装していた。

シロウ「おまえだけいい所見せるなんてズルいだろう?」

ZERO「さっきまでに充分いい所見せてたくせに〜」

シロウ「こっちの方が、もっとずっと見せ所だろ?」

更にもう一機コロニーに手を付けに来た。

シロウ「君は、キノ君と一緒に出てきた…」

レント「レントです!元はと言えば僕の責任です!こうなってしまったからには、僕も!」

半壊以上のコロニーを止める為に3機のガンダムが力を合わせた。

だが、それでも止めるには至らない…

ZERO「く…。全然止まらない…!」

シロウ「諦めるな!こんな所で諦めたら勇者にはなれないぞ!」

レント「止まれ…止まってくれ…!」

コロニーはスピードを保ったまま、大気圏の中に入ってゆく…

3機も大気圏の熱の中に入っていた…

レントの機体からはそこらじゅうからアラートがなっている…

シロウのコアガンダムは先の戦闘もあり、ステルスガオーのエネルギーが切れ始め、完全に限界を迎えようとしていた…

ブラックZEROも身体中に熱を浴び、アーマーもショートしてしまいそうなほど燃えている…それでも、諦めようとはしなかった。

シロウ「俺は…!諦めない!機体の限界だろうと…!地球には落とさせない…!」

レント「止まってくれ…!この世界には、親友との思い出が残っているんだ!頼むから止まってくれぇ!」

ZERO「俺は…あんな悲しいキノの顔をもう見たくない!レイトとの大切な思い出まで失いたくない…!だから…止まれぇぇぇっ!」

ZEROも身体中限界だった。アーマーは熱を帯び、身体中から煙を発している…それでも諦めなかった。

 

 

…そして…奇跡が起きた。

青い光が3機のガンダムを包み込む…

シロウ「これは…いったい?」

青い光は大気圏の熱の完全に消し、コロニーさえも止めてしまったのだ。

そして、光はブラックZEROの肩を叩いた。

ZERO「…!!」

青い光は具現化し、剣と盾を構えた。盾を前に構え、剣にエネルギーを込めていく。

その構えた姿はいつか見た騎士の様に。

光は、盾を構えたままコロニーに向かい突撃し、剣先をコロニーへと突き刺すと、凄まじい光がコロニーを貫いていく…。

コロニーに一筋の光が通ると、光を中心として、コロニーが少しずつ崩れていった…

青い光の具現化した姿は、ブラックZEROに振り向く。

ZERO「…ありがとう。兄上。」

ZEROがそう呟くと、青い光は少しずつ形を崩し、消えていった…。

 

司令部内では

隊員「目標のコロニー、完全にロスト!地球への被害率…0%です!」

司令部内は湧き上がった。

やったー!と言い、抱き合う人達、涙を流して、地球を守り抜いた人達、そして…司令官も首を縦に振っていた。

司令官「よくやった。2人とも。これで…GBNは、また今までの様に平穏な世界になるだろう…。」

 

宇宙に投げ出されたキノは…

キノ「コロニーが消えていく…。あの光は…いったい…」

青い光がキノの周りを包む様に流れてきた。

その光は、青い一筋の線を作る。

その線の先には…

ZERO「おーい!キノ〜!」

ブラックZEROがキノに向かって手を振っていた。

身体中ボロボロで、横からシロウのコアガンダムに支えられながら、キノの元へ戻ってきた。

キノ「ZERO…。」

ZEROはちょっとだけ楽しげに言った。

ZERO「えへへ…。帰ってきちゃった!」

そう言いながら、キノを掬い上げるように、手の上に乗せた。

そして…キノは涙ぐみながら、言った。

キノ「おかえり…。ZERO。」

キノとZEROは地球を背景に、涙の再会をしてこの闘いに幕を閉じた…。

 

 

後日…

レジスタンス拠点、桜の木の下にて

キノ「まさか金曜の夜にここに集合なんて聞いてないですよ…」

シロウ「仕方ないだろう?俺も忙しいし、司令官も多忙だからこの日しか会わなかったんだから。」

ZERO「で、なんで俺もここに居るわけ?」

コアG「僕もどうして…?」

ZERO「うわ。君、喋れたの?」

コアG「うん。喋るの恥ずかしくて…えへへ…。」

ZERO「意外と乙女だねぇ。」

レント「あ…あの!」

キノ「レントさん!君も来ていたんですね。」

レント「僕も、呼ばれていたので…。あ!ちゃんとデバイスからのアクセスですよ!」

キノ「大丈夫ですよ。君はもうあんな事はしないってわかってますから。」

レントとも合流し、揃った所でシロウが声をかける。

シロウ「さぁ、そろそろ表彰式が始まるぞ。」

 

表彰式では、2人に特別な賞与が与えられた。

キャプテン・ジオン「2人の勇気ある行動により、GBNの安全を無事に取り戻す事ができた。また、君たちが居なければここまで早く解決しなかっただろう。2人に大きな拍手を。」

パチパチパチパチ…!

キャプテン・ジオン「そして、2人には私からプレゼントだ!キャプテン・ジオンのGBN専用特別ステッカーだ!コレを付ければ、機体の特別感が増すぞ!ぜひとも使ってくれたまえ!」

キノ「あはは…。ありがとうございます。」

シロウ「ありがたく受け取っておくよ。」

キャプテン・ジオン「そうだ。コレを忘れていたね。君たちの勇気を称えて、特別ないバッチと、君たちの好きなガンプラを5つまで買えるカタログチケットだ。このチケットはまた後々君たちの住所に郵送しておくよ。」

キノ「すごい良いチケットもらえましたね。」

シロウ「そうだな。5つなんてなかなかできない大人買いだ。」

キャプテン・ジオン「それから、副司令官のロンメル大佐から君たちに、GBNの拠点、ハウスチケットだ!大佐からは[君たちの報酬には少し足らないかもしれないが、受け取って欲しい。]との事だ。」

キノ「GBNで家に住めるなんて。」

シロウ「部活の仲間達も呼んでのんびりするのも良いんじゃないか?」

キノ「あの人達はきっとGBNでも同じ様な生活ですよ。」

シロウ「はははwそれもそうだな。」

キャプテン・ジオン「それでは改めて、勇気ある2人に拍手を!」

パチパチパチパチ…!

 

そうして、表彰式は終わりを迎えた…。

チサキさんは、あの後GBNプレイヤーである警察の調査の下、捜索が行われ、2日後に逮捕された。

重たい罪にはならず、ネットハッキングなどで少しの間拘留される事になったそうだ。

そして…レントさんは…

キャプテン・ジオン「レント君。君は、自分の犯した罪をわかっているかね…?」

レント「はい…。よくわかっております…。僕のした罪は許されるものではないです。この後警察に出頭しようかなと…」

キャプテン・ジオン「その必要はない。」

レント「え…?」

キャプテン・ジオン「彼女からの提案で、君の罪は咎めないで欲しいと言われてね。」

レント「キノさんが…?」

キノ「はい。貴方が罪を被っても、親友のユキヤさんを追い詰めた人達は罪に問われずに過ごしている。そんな事、許されて良いはずがありませんから。あなたが裁かれるには、ユキヤさんを追い詰めた人達を探してから裁く。そうしないと、不平等ですから。」

レント「キノさん…ありがとう。」

キノ「そういうわけですから、司令官、彼の罪状は…?」

キャプテン・ジオン「うむ。その人達が見つかるまでの間は保留。そして、君が罪をしっかりと反省したなら、罪に問わない。いわゆる、執行猶予というものだよ。猶予期間中は同じ事は繰り返さないように。キャプテンとの約束だ。」

レント「約束します!」

そうして、レントは罪を咎められず、GBNのプレイヤーとして、元に戻る事ができた。

シロウ「しっかし…君のアバターは本当にレイトにそっくりだな…。」

レント「えへへ…。レイトさんは僕の憧れで…。名前は偶然1文字互いだったのもあって、頑張って本人みたいに見える様に頑張りました。」

シロウ「どおりでキノ君がうっとりして見ていた訳だ。」

キノ「え…!ちょ…!ちょっと!何言ってるんですか!?」

シロウ「え?レイトのこと好きじゃないのか?」

キノ「いや…レイトさんは好きですけど…レントさんを意識してたんじゃなくて…えっと…」

レント「楽しい人ですね。」

キノは顔を真っ赤にしてシロウを睨んだ。

 

そうして…

 

キノ「レントさんは、コレからどうするつもりですか?」

レント「僕は、この世界をもっと見て回ろうと思ってるよ。」

キノ「旅に出るんですか?」

レント「そうだね。親友との思い出の場所を巡って、落ち着いたら戻ってくるよ。」

キノ「そっか。帰ってきたら今度は仲間として、迎え入れますから。」

レント「うん。その時は歓迎して欲しい。」

そうして、キノが手を差し出すと、レントも手を出し、強く握り合った。

キノはレントと別れ、レントは新しい一歩を踏み出していった。

 

GBNの世界の夕陽が落ちてゆく…

キノはZEROの肩に乗りながら、話しかける。

キノ「ZERO。」

ZERO「ん〜?」

キノ「ZEROがコロニーを止めたあの日、青い光がZEROの所まで導いてくれていたんだ。」

ZERO「へぇ〜。あの光、そんな事まで。」

キノ「ん?ZEROも見たの?」

ZERO「見たよ。」

キノ「へぇ〜。」

ZERO「俺がコロニーを止めていた時に、その光が俺達を包んでね、コロニーを光にして消したんだよね。」

キノ「えぇ〜。アレ、ZEROじゃなかったんだ。」

ZERO「まぁ、似た様なものだよ。」

キノ「似たような…?」

ZERO「だって、あの青い光、プラネッツナイトだったからさ。」

キノ「レイトさんは!?」

ZERO「そこまではわからないけど…きっと、あの地球の思い出の場所を守りたかったんだと思うよ。」

キノ「そっか…。やっぱり、レイトさんが助けてくれたんだね…。」

ZERO「そうだね。俺達はなんだかんだ言って、主人、レイトが居ないとダメなんだよ。」

キノ「また会うって約束…信じてる?」

ZERO「もちろん!俺も会いたいよ!レイトにも兄上にも!」

キノ「会えたら、ヒビキさんも喜ぶね。」

ZERO「だね!それに!俺達も強くなった所見せられるし!」

キノ「なんだか、楽しそうだね?」

ZERO「楽しくもなるよ!」

キノ「きっと…約束は守ってくれる…そうだよね?」

ZERO「守ってくれるよ。必ずね。」

落ちていく夕陽を見ながら、キノとZEROは自分たちの思いを話し合った。

そして…日が沈みきった頃…

シロウ「キノ君、そろそろ帰ろう。きっと湯の森はもうだいぶ暗くなってるはずだ。」

キノ「わかりました。今行きますよ。」

キノは、帰り際に桜の木を見て言った。

キノ「約束ですよ。レイトさん…。」

サクラの気が優しく風に吹かれ、さくらの花が舞う。

???「必ず、守らせるから。」

キノ「え…?」

キノは何か、聞き覚えのある声が聞こえた気がした…

どこか懐かしく…優しい人の声…

キノ「気のせい…かな。」

 

そうして…GBNの桜の木には、それを守る黒い騎士の話と、その木に宿る優しい妖精がいるという事を…

 

だが、平穏だけで全てが丸く収まる事は無かった…

この出来事がGBNの世界と他の世界にまでも影響を及ぼすとは誰も考えもしてないということに…

 

〜つづく〜




いかがでしたでしょうか。
あ〜!君!読み疲れてすっ飛ばしたなぁ!
まぁ、良いでしょう。
今回の話には、前回からの話もおり混ぜながら、しっかりとしたストーリーになった?つもりのはずなんだよ…
今回の話で最も重要な人間は、零斗さんです。ん?なぜ居ないはずの彼がキーに?ちゃんと読めや()
今回のストーリーでは、零斗を遠目から見た姿を強調しております。
今までの物語では、本家の本編でも家族や仲間、親しい人達から見た視点での零斗という人物が強く出ていましたが、
今回は零斗が知らない人、零斗とい人物に憧れる人を描く事で、近い視点と遠い視点で、キャラの見方が変わるというのを表現しました。
この時のキノちゃんの心境はとても苦しい思いもしてたのではないでしょうか?(心なきクソ著者)
今回は戦闘シーンはあっさりとさせておきながら、人の心境に強めに語っている話だったので、少しストーリーが読み難いと思われたなら申し訳ないね…
戦闘描写って難しいんですよ…
まぁ、まずはこちらでのストーリーは現状ここで完結です。次回もありますが、本編に繋がる1番重要なキーパーソンはギリギリ回収しきれたはずなので、まぁOKという事で()
次回(があれば)もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。