ガンダムビルドブレイカーズ after ZERO 作:有音 響
ネタバレは避けますが、多分人によっては嫌なシーンも多いので、多少なりの受け入れはよろしくお願い致します。
まぁ、ワターシ半分くらい人の心無くなり始めてるんで、別にもう今更やろ()
第17話 閉ざされし英雄譚〜無形のZEROと呼ばれるまで〜
前回までのあらすじ
零斗の残したアーマーには秘密が隠されていた。
それは、コアガンダムZEROの中に眠りしブラックボックス、ZEROモードのシステム安定化を施し、それまでの全てを覆す代物のアーマーだった。
零斗は多くの物を残していったが、その残した物はたくさんの人達に影響を与えていた。
その栄光を見てきた者たち、陰で必死になって抗っていたことを知る者たち…
そして…その全てを知る人もまたそこにいたのである…
湯ノ森の一角にある少し広めの個人経営店がある。
電之商店、そこには、あらゆる物が置かれている。
ガンプラに限らず、食材から雑貨、日用品までありとあらゆる物を揃えている。
アマリ「いらっしゃいませ〜。」
この話の鍵を握るのが彼女だということをまだ知る由もない…
GBNでの出来事があった1週間ほど経った頃だ。
学生生活を以前と変わらず過ごしていた義之へデバイスを経由してとある人から連絡が届いた。
レントから、連絡が届いたのだ。
キノ「レントさん…?」
不意にスマホのメッセージに入った名前を見て少し驚いたような声が漏れた。
レント【近いうちに会って話しませんか?】というメッセージだった。
キノ「どうして僕になんだろう?」
ZERO「もしかして、キノの事が好きなのかもしれないよ?」
コイツはコアガンダムZERO。零斗が消えてそれ以降、義之はガンプラの声が聞こえるようになった。今では唯一の相棒であり、零斗が残した物の一つでもある。
キノ「まさか。僕には好きな人がいるんだからそんな事ないよ。」
しかし、何故レントがリアルで会おうと思うのか、義之は不思議でならなかった。彼はGBNを旅しているはずだ。突然こんな事を言うのには、何か理由があるのかもしれない。そう思い、メッセージを返した。
キノ【何故会う必要があるのか教えてほしいです。】そうメッセージを返すと、数分後にメッセージが返ってきた。
レント【レイトさんのことについて、詳しく知りたいんです。】
返ってきたメールを見ると、少しだけ考える様な仕草を取る…
それを見てZEROは言う
ZERO「どうしたの?急にお腹でも下した?」
義之はムッとした顔をして、
キノ「違うよ。考えてるんだよ。」
義之は【分かりました。駅で落ち合いましょう。】とメールに打ち込み、相手に返した。
ZERO「いいの?本当にこんな事して。」
キノ「大丈夫だよ。レントさんはそんなやましい事はしないさ。」
と、少しだけ自信有り気に言うのだった。
当日(土曜日)の朝…
義之が駅のホームの休憩エリアに居ると、1人の男性が歩み寄ってくる。
そして、突然声をかけてきたのだ。
???「あ…あの…!」
義之は相手の方へ顔を向ける。その瞬間、相手が誰か察したのだ。
キノ「貴方が、レントさん。ですね?」
GBNとは違う姿だ。
零斗には似つかないほど髪の毛は赤みの強い茶髪で、身長は義之よりも少しだけ高め、しかし瞳は青く透き通った色をしている。
手には菓子の袋を下げ、少し小さめのリュックを背負っていた。
レント「そ…そうです!一ノ瀬 蓮人(いちのせ れんと)と言います!」
キノ「はじめまして。降霊 義之です。よろしく。」
そう言い、2人が挨拶すると、義之の背中から声が届く。
シロウ「どうやら、お相手さんは無事に来たみたいだな。」
ヒビキ「彼がキノさんが言っていた方ですね?」
その声は、ヒビキとシロウの2人だった。
数日前…
義之は2人に相談をしていた。
シロウ「え?俺たちにもついて来てほしい?」
キノ「はい。もし何かあった時の為ですよ。」
シロウ「別にそれは構わないんだが…」
隣をチラッと見ながら言う
シロウ「なんで、ヒビキ君も一緒なんだ?」
ヒビキ「確かに、僕は別に居なくてもいい気がするんですけど…」
キノ「あなたには、他にやってもらう事がありますから。」
そう言われ、2人は呼ばれていたのである。
レント「えっと…お二人は…」
キノ「僕から紹介するよ。そちらの高身長の方はシロウさん。以前、僕と一緒に闘ってくれた方です。」
そういうと、四郎はガンプラホルダーから一つのガンプラを見せつけた。
それをみた蓮人は驚愕の声で言った
レント「あ…あの時のガオファイガー…!」
シロウ「この前ぶりだな。元気にしていたか?」
レント「は…はい!アレからずっと元気にしてました!」
そして、次に手を向けて義之は言う。
キノ「こっちの彼は、零斗さんの弟の響さん。」
レント「…っ!あ…貴方がレイトさんの弟さんの…!」
ヒビキ「はじめまして。僕はヒビキ。君の事はキノさん達から少し聞いてるよ。よろしくね。」
響が手を出すと、蓮人は嬉しそうに手を掴む。
レント「ぼ…僕、貴方のお兄さん、レイトさんの大ファンで…!その…えっと…」
ヒビキ「だ、大丈夫だよ。そんなに興奮しなくても。時間はたくさんあるから。」
響は少しだけ困りながら言った。
そうして、彼らが集まり最初に向かったのは、少しのんびりとできる公園に立ち寄った。
公園のベンチに響、義之、蓮人の順に並び、四郎は3人の向かいに立ちながら話をしていた。
シロウ「ところで、君は何故キノ君に会おうって思ったんだい?」
レント「それは…」
シロウ「まさか、やましい事を考えていたんじゃないだろうね?」
四郎が少しだけ威圧する様に言うと、蓮人は答えた。
レント「………。零斗さんの事を知りたいからです。」
シロウ「え…?」
きょとんとしたような声が漏れ出す。
レント「僕は、彼に憧れてガンプラも、ガンプラバトルにも本気になって取り組んでました。僕の亡き友人もそうです。湯ノ森シャイニングゼロの人達の活躍を見て、僕らは憧れを持ち、彼らの様に強くなりたいと思ってました。」
シロウ「ま…待ってくれ。じゃあ、なんでキノ君に…」
レント「連絡を取れる手段を持つのがキノさんしかいなかったので…。」
四郎は少し間の抜けたため息をついた。
シロウ「そ…そうだったのか。」
ヒビキ「それで、どうしてシャイニングゼロや兄さんに憧れていたんですか?」
と、響が口をはさむと
レント「彼らの戦いは、とてもかっこよくて、それだけじゃなくて、彼らは天賦の才があると思えるほど、強くて僕たちの中では遠い存在という人達に見えていたんです。ですが…」
蓮人が少しだけ重い表情を作り言った。
レント「でも、そんな事はなかったんです…。キノさんが教えてくれました。無形のZERO…いえ、レイトさんは本当はすごく弱い人だったと。」
その言葉を受けた響は少しだけ悲しい顔を見せる。
しかし、向き直ると、何かを決心したような顔をした。
ヒビキ「レントさん。」
レント「は…はい。」
ヒビキ「兄さんの事、もっと知りたいんですよね。」
レント「もちろんです…!レイトさんの事、僕はもっと知りたい!」
響はその言葉を受け、一つの場所を提案するのだった。
ヒビキ「みんな、電之商店に行くよ。」
キノ、シロウ「え…?」
シロウ「な…何故、電之商店なんだ?君の家やお墓を見せた方がずっと…」
響は首を振る。
ヒビキ「あのお店には、僕たちの見てない世界の兄さんの姿を知ってる人が居るんです。」
義之は少しだけ不安を覚えながらも、響の言葉には嘘がない事を悟った。そして…
キノ「分かりました。行きましょう。電之商店へ」
4人は公園を離れ、徒歩15分の所に佇む電之商店に向かった。
お店には、昼間の客が退店していく姿が散見された。
どうやら、お昼の忙しいピークを超えた時間だったみたいだ。
電之商店へ入ると、爽やかで明るい雰囲気のお姉さんの声が弾む様に聞こえてきた。
アマリ「いらっしゃいませぇ〜。」
量の減った陳列中の食材を少しずつ丁寧に増やしている天理さんがお店の中で汗を少し滴らせながら声をかける。
アマリ「あら。ヒビキ君に、キノちゃん!2人が一緒に来るなんて珍しい!ん?その後ろの方は…?」
響はなんの躊躇もなく天理さんに向けて言った。
ヒビキ「アマリさん!」
アマリ「ふぇ…?」
ヒビキ「兄さんの…いえ、シャイニングゼロのレイトさんの事について、知っている事を全て話してもらえませんか?」
響の言葉の気迫に押され、天理は少しだけ驚く表情をする。
しかし、その表情はすぐに崩れ、少しだけ胸を抑えながら言うのだった。
アマリ「そっかぁ…もう、言わなくちゃいけないのね…。」
響や一同も返ってきた言葉に驚きを隠せない。
そして…
アマリ「いいわよ。貴方達には、伝えなければいけない事だもの。彼の…いいえ。レイト君の全て…。お姉さん、こんな辛い話、したくないんだけどねぇ…ヒビキ君達、知ってる事を言うまで帰らない〜って顔してるから。」
ヒビキ「本当ですか!」
アマリ「えぇ。でも、2つ条件があるわよ。」
ヒビキ「条件…ですか?」
アマリ「そう。一つ目は、彼の真実を知っても決して目を背けない事。二つ目は、貴方達が傷つく事を覚悟したうえで聞く事。この二つよ。」
ヒビキ「僕たちが…傷つく事…ですか。」
アマリ「えぇ。彼には…口止めされてた事も多くはないの。だから、それを聞く勇気があるのか。ね?」
全員、目を見合う。
お互いにこの話をどんな形であれ受け止めるという事を目で言っている様だった。
ヒビキ「みんな、覚悟はできています。」
天理は全員の目を見ていく…その目には嘘のない光が灯っていた。
最後に響の目を見て、笑顔を作りながら言った。
アマリ「その目に嘘はないみたいね。ヒビキ君、お兄さんと同じ様な力を感じるわぁ。本当、強くなったのね。」
響は後退りして、顔を真っ赤に晴らせた。
アマリ「そういう所も、お兄さんそっくりねぇ。」
そう言いながら、仕事を終えて天理は立ち上がると、4人に向けて言う。
アマリ「それじゃ、レイト君のお話をしよっかな。でも、まずはお着替えさせてほしいな。お姉さん、少し汗ばんじゃって…。それと、ヒビキ君は、写真があるなら、それも用意してほしいな。」
そう言って、店の奥に天理さんが戻り、その間に4人は少し大きな丸テーブルのある席に椅子を5脚用意し、全員着席して天理が戻るのを待った。
天理が戻って来ると、少し深呼吸をして言うのだった。
それは…
アリネ レイトくんにまつわる、全ての真相よ。
彼がまだ…無形のZEROと呼ばれるよりも、もっと前の…
始まりは優里ちゃんと当時仲良しだった友人達と立ち上げたチームにいたのよ。
虹のナンバーズ…
仲間達は名字、本名に色、番号に関係するものの、いずれかが入っていた。
アリネ レイト(有音 零斗)中2(※当時の学年)
フユシロ ユリ(冬白 優里)中2
イワモト シュウゴ(岩本 秀伍)中2
ナツノハ ミツキ(夏葉 美月)中2
ツクモヤ ヒロ(九十九谷 大)中1
オトナシ アカネ(音無 茜)中3
アカツキ ハジメ(暁月 一)中2
ヨツバ ミドリ(四葉 緑)中2
カワナミ ハルヤ(川波 原八)中1
ナナセ ショウ(七瀬 翔)中3
の10人が所属しているチームだ。
チームには、色の名前のみの者には、誰も割り振られていない番号を与えられた。ユリとアカネには割り振られてない番号を与えてもらっている。
番号順にすると…
1.ハジメ、2.ユリ、3.ミツキ、
4.ミドリ、5.シュウゴ、6.アカネ、
7.ショウ、8.ハルヤ、9.ヒロ
そして…0.レイト
リーダーを担当していたのはシュウゴ。
仲間達には、与えられたナンバーのコードネームが与えられた。レイトはコードネーム、ゼロの名前を。
全員にそれぞれ得意な戦場、地形、戦術スタイルを持っていた。しかしそれとは逸脱している者が居た。零斗だけはどの戦況においても、足を引っ張る事なく、全員を引き連れてガンプラバトルを行っていたのだ。
レイトはシュウゴからも「リーダーはお前が適任だ。」と言われ続けている。しかし、「リーダーなんてそんな責任の重たい物、俺には無理だ。」と断っている。
しかし、みんなレイトの性格を知っている。あんな事を言っていても、責任感が強く、誰よりも頼りになる。だからこそレイトがリーダーをやる事が理想だった。
この生活が続いてさえいれば…
彼等の生活が狂ってしまったのは、たったひとつの出来事だった…
彼等は、中学部大会が控えてる時の事だ。
ユリとレイトはコアガンダムαを作って少しした頃…
レイトは、特殊なアーマーを使っていた。
形は完成したアーマー。まるで騎士のような姿のアーマーだ。
しかし、そのアーマーをガンプラバトルのデータ内に納めようとしていた。ガンプラバトルには、サブウェポンを2つまでストックしておくシステムがある。しかし、コアガンダムのアーマーは持参して持って行かないと全て扱う事はできない。持参可能なアーマーもイベント等では限られ、元から装備して持っていくのを含めてもそこまで多く所持する事はできない。
その為、サブウェポンをストックできるシステムを利用し、データ内にアーマーのみをストックさせ、装備可能になるようにシステムをいじっていたのだ。
システムを書き換えてない場合、違法に扱われない。その為、できる範囲内での方法でアーマーをデータ内へ埋め込んだのだ。代わりに、アーマーには制約が加えられた。
特殊な使用コードと、サブウェポンの枠を大型装備の枠として扱われる様にシステムに備える事ができたのだ。
しかし、サブウェポンを装備不可というのが制約になった。しかし、システム内にコードを知る者はシステムを穴を通して使う事ができる裏技もある。その為、使用コードが埋め込まれた。
アマリは4人を店の奥へ連れていくと、部屋を見せた。現在は停止してる一つだけバージョンが古いガンプラバトル用のステージが用意されていた。
更にその奥の方には藍色の布に覆われた棚があった。
アマリ「レイト君は、毎日この場所でデータを入れ込む為に時間を使っていたの。他のお客さんの目につくから、毎日ここに連れて1〜2時間、データを埋め込む為に貸してあげてたのよ。」
そう言って、奥の藍色の布を手に持ち、布を外すと…
データ移行に使われたアーマーを装備させているコアガンダムが置かれていた。
アマリ「そしてこれは、レイト君がデータを埋め込んでいたアーマーよ。」
ヒビキはそのアーマーを見て、驚愕を隠せない表情をしている。
ヒビキ「ナイトアーマーが…こんな所に…」
アマリ「彼は、このアーマーを託してきたのよ。」
その言葉に全員驚く。
キノ「あの、何故アーマーをアマリさんに?」
アマリ「レイト君が言ってたのよ。いつか彼の事を知る貴方達の為。そして…このアーマーを悪用されない為よ。」
キノ「悪用…?」
アマリ「えぇ。このアーマーは全ての人が使う事ができるのよ。でも、このアーマーだけを盗まれた事があったの。その時に一度だけ悪用されたのよ。だから、彼は私にこのアーマーそのものを委ねたのよ。」
キノ「では、何故あんな所に…」
アマリ「ただ、アーマーだけで置いておくには可哀想だから、展示用のコアガンダムに装備させて、ここに飾って置いたのよ。何年もの間…ね。」
その言葉にはとても辛く悲しい声色が含まれていた。
さらにその奥に目を向けた義之は、立てかけられている刃の白い剣を目にした。
一度も目にした事のない、零斗の使っている剣とほぼ同じ形の剣…
しかし、白い刃に覆われており、光を浴びると暖かい色で輝いていた。
キノ「あの白い剣は…」
天理は答えた。
アマリ「【約束の剣】。彼にしか使えない唯一無二の剣よ。彼が使っている情報と2回までしかないものよ。」
響も初めて見る剣だった。零斗から一度も聞かされてない剣だ。
武器について天理は語る。
アマリ「あなた達も知っている方の剣は【勇気の剣】。彼の強さの象徴とも言える剣よ。この剣を握る者に、諦めない心と立ち向かう勇気を与えてくれる。
それから、この剣は4本あって、その全てに異なる勇気の力が刻まれてるわ。《断罪》《誇》《守護》《絆》がそれぞれに刻まれているわ。彼が特に使うのが《絆》の【勇気の剣】よ。」
次に隣に立てかけられた盾について語った。
アマリ「それは【誓いの盾】。これには、レイト君とユリちゃんの作った、コアガンダムαが主人達を守る為に渡された盾。その盾を握る者に、主君への深い忠誠と命をかけて守りぬくという誓い、恐れない心を与えてくれるわ。」
最後に白い刃の剣について語った。
アマリ「そしてこれは…ユリちゃんの作った剣。ユリちゃんが使う事はできないまま終わったけど、レイト君は彼女との終わらない約束を果たす為にこの剣に【約束の剣】と刻んだのよ。そして…その剣にはもう一つの名前がある。勝利をもたらす女神の剣。それがこの剣に隠されたレイト君の最後の切り札。その剣から放たれる一撃は相手を花へと昇華させる。握った者には、深き永遠の愛、純白の勝利をもたらす。でも、コレはレイト君にしか使えない代物なんだけどね…。」
アマリ「それから…彼はこれを盗まれない為に私に託したのよ。アーマー一式と共にね。そして、ここに保管していたの。」
響は尋ねた。
ヒビキ「盗まれるような事が…過去にあったのですか?」
天理は元の席に戻り、悲しそうに更に言葉を続けた。
この話には、優里との記憶も関係している。
零斗がアーマーのデータを入れる事に成功した時の事だ…。
レイト「やった…!これで…!」
そう言いながら、電之商店を後にし、チームで使っている小さな小屋へ向かった。
レイト「ユリ!」
小屋に向かうと、仲間が集まっているが、優里の姿がない。
レイト「ユリ?居ないのか?」
シュウゴ「ゼロ。良い加減コードネームで呼んでくれよ…。お前らの関係はもう知っているとはいえ、ここでのルールなんだからさ。」
レイト「そ…そうだな。すまん。それでユリはここに来たのか?」
シュウゴはため息混じりにやれやれと言った表情を作る
シュウゴ「俺は特に見てないな。」
ミドリ「私も今日は見てないね…」
アカネ「ユリなら、さっき父親と一緒に帰ってる所を見たわよ。」
レイト「親と?何かあったって事か…?」
アカネ「わからない。でも、あんまり良い表情じゃなかったわね。」
レイト「親戚が亡くなったとかかもな…また学校にきた時に聞いてみるか。」
ヒロ「全く。ゼロも本当に心配性ですね。彼女の事になるといつもコレだからな。」
レイト「うるせぇ!アイツは特別だ!」
ヒロ「そんな事言って、俺のじいちゃん死んだ時だって、慰めてくれたじゃん。結局ゼロは優し過ぎだよ。」
シュウゴ「そうだな。ゼロはいっつも俺たちがピンチの時に助けてくれるしな。」
レイト「俺は別に便利屋じゃねぇからな!」
シュウゴ「はいはいwそんな事思ってないから、ムキになるなよ。」
そうして、その日はユリの心配をしつつも、何もないと思い、レイトも仲間も何事もなく解散し、その日を終えた…
その頃、ユリは…
ユリは父親と帰宅すると、リビングに入った途端、父親が突然押し倒してきた…
その目を見た時、ユリは家族の目から、男の眼だと確信し恐怖を覚えた…
そして、父親はユリの両腕を掴み抵抗できないようにしたのだ…
ユリ「やぁっ!お父さん!やめて!」
ユリの父「ユリ…許してくれ…。」
ユリ「いや…!お願い!こんな事やめて…!」
ユリの父「お前もいけないんだぞ…。母さんにそっくりに成長するから!」
ユリは必死に抵抗した。しかし、相手は大人の男だ。
どんなに抗おうとしても、力では勝てなかった…。
馬乗りになった父親はユリの制服の胸ぐらを掴み、両方向にひん剥く。
制服がブチブチと音を立てて壊れ、破られていく…
ユリ「父さん…。もうやめて…お願い…。」
さらに父親はエスカレートしていく。
今度はスカートを捲り、スカートの下に手を出す。
ユリは必死になって足をジタバタさせるが、全く反応は変わらなかった。
ユリの父「ユリ…。お前は、お父さんの事、大好きだろ?大好きなら、お父さんの愛も受け止めてくれ…。」
父親は、ズボンを下ろした。その姿を見てユリは恐怖する。どうにかして逃げ出そうと、最後まで必死の抵抗をやめなかった。
だが、大人の力に全く意味をなさない…
ユリの抵抗は体力を奪い、次第に力が無くなっていく…
そしてついに一線を越える事となってしまった…
事を終えたその後…
ユリの目は虚な状態となっていた…。
ユリ「レイト君…。私…私…」
次の日…
朝、零斗は教室に向かうと、自分の席ではなく、優里の居る席に向かう。
レイト「ユ〜リっ!」
ユリの前に立ちながら、少しだけ調子よさそうに言った。
ユリ「レ、レイト君、おはよう。」
レイト「おはよう。昨日、早く帰ったみたいだけどよ、大丈夫か?」
ユリ「え…?」
レイト「アカネが言ってたぞ。お前が親父と一緒に帰ってるところを見たってよ。」
ユリ「え…あ…そ、そっか。見られてたんだ…。」
零斗はその様子を見て、少しだけ不安を覚えた。
レイト「なぁ、ユリ」
ユリ「な…なに?」
レイト「本当に大丈夫か?なんか、いつものユリっぽくねぇっていうか…」
ユリ「な…何言ってるのよ。私はいつもと変わらないよ。」
レイト「本当か…?」
零斗は優里を睨む様に見つめる。
ユリ「もう…。レイト君ったら。心配性なんだから。」
レイト「な…!お、お前までそんな事言うのかよ!」
ユリ「だって、レイト君って心配になるとしつこいんだもん。」
レイト「ちょ…ちょっとくらいいいだろ!お前が好きだから…少しくらい心配の一つや二つくらい…」
この時の優里は零斗に嘘をついていた…。
自分の好きな人を傷つけたくないが為に…
だが、それが彼等の全てを崩す事になるとは思いもしなかった…
数日後…
零斗が学校生活を送っていると、すれ違う人達に可哀想と言わんばかりの視線を受けていた。
零斗もその視線に違和感があった。
レイト(なんだか、今日はやけに見られるな…)
そして放課後の事だ…
ナンバーズでの活動の為、バッグの中に入れていたコアガンダムαを取り出そうとしていた。しかし…
レイト「あれ…?」
コアガンダムαが見当たらないのだった。
いつも通りなら、ホルダーケースにちゃんとしまってあるはずだった。
そして、気分で持ち込んできたアーマーも2つほどなかったのだ…
バッグの中から出てきたのは、マーズアーマーのみ。
零斗は不自然な事に目を疑った…
謎が拭えないまま、零斗はチームの小屋へと向かう。
そこでさらに不自然な事が起きていたなんて思わなかった。
零斗は前の日に優里に見せるつもりでいたナイトアーマーを用意していたはずだった。しかし、アーマーラックのみ残されて、肝心のアーマーだけが跡形も無く消えていた…
零斗は何が起きているのか理解できなかった。
シュウゴ「レイト!」
シュウゴが焦った様な声で零斗の方へ向かい、走ってきた。
レイト「おいおい。お前がここではコードネームで呼べって言ってたくせに…」
シュウゴ「それどころじゃないんだ!ユリちゃんが!」
レイト「え?ユリがどうしたってんだ?それより、αが無くて…」
シュウゴはとても焦った様な口ぶりで零斗の言葉を遮って言った。
シュウゴ「ユリちゃんが、3vs1で…コアガンダムで戦ってるんだよ!」
レイト「な…っ!?」
全ての辻褄が合った。コアガンダムαが消えた理由もアーマーが不自然にある理由も…
零斗はシュウゴに問い詰めた。
レイト「どこだ!どこにいるんだ!」
シュウゴ「体育館!体育館の方で戦ってるから、お前に早く伝えようと思って…」
零斗はシュウゴを押し除けて学校の方へと走り抜けていく…
シュウゴ「待て…レイト!」
零斗にはその言葉すら聞こえてなかった。
全力で学校の体育館へ向かい走っていく…
ミツキ「あ、レイト、今日練習に…」
ハジメ「レイト〜。聞いてくれよ。今度の対戦…あれ?」
すれ違うナンバーズの仲間達の言葉さえも無視して走り抜けていく。
その後ろを息を荒らしながら追いかけていくシュウゴが居た。
ミツキ「リーダー。今日のレイト、なんだか少し様子がおかしいけど…」
ハジメ「あぁ。なんだか、ゼロらしくないっていうか…」
息を荒らしながら、シュウゴは答える。
シュウゴ「それどころじゃないんだ。ユリちゃんが…今、1人で…」
零斗は全力で走っていく…
何故ここまで走っていくのか、理由は簡単だった。
優里は基本的にチームの作戦立て、相手のチームの情報を伝えてくれる精神的な主柱を担っていた。彼女自体は前線には出ず、戦闘も得意ではない。
だが、サポートは零斗の後ろで戦いを見ていたからこそ、何かできる事を探していた優里にとって1番の役目だったのだ。
しかし、そんな優里が1vs3の戦いをさせられるなんてあまりにも無謀な事である。
ナンバーズは全員、学年ガンプラ技術力試験、戦闘力試験で30位以内に入るほど純粋にガンプラを愛する人達が集まっていた。
全員、技術試験では優里も含めて30位に入れる。しかし、戦闘力試験は優里は120人中55位、あまり戦闘は得意じゃないというのが明確だった。
そして、零斗が体育館に駆けつけた頃には、決着がついていた…。
完全な敗北…人数でも、能力でも勝てるはずのない試合に最悪な弱みを握られて、付き合わされていた…そして、優里に試合を仕掛けた相手は言うのだった…
生徒A「な〜んだ!弱いじゃんか!この泣き虫の変態!」
ユリ「グスッ…」
優里が泣いてるのを見て駆けつけた零斗は言った。
レイト「やめろ!こいつが何をしたって言うんだ!」
生徒B「そいつの事知らないのかぁ?そいつ、父親に寝取られたって噂だぜぇ?」
零斗はその言葉に一瞬の動揺をした。最近の優里の様子がおかしい事に違和感があった。しかし、零斗は相手にかみつく。
レイト「根も葉もない嘘をつくんじゃねぇ!そうだろ?ユリ?」
ユリ「………。」
何も言わない事に、噂が真実だという事を突きつけられ、零斗はそれでも嘘だと思いたく、優里の言葉を待った。
レイト「嘘って言ってくれよ…?」
ユリ「…ごめんなさい…レイト君…。」
優里は何も言わず駆けて行った。
零斗は一瞬脳が停止したかの様に動けなかった…
そして、意識を戻すと優里は遠くに走り出しているのを見た。
零斗はコアガンダムαが置き去りになってるのを見て、回収し、優里の跡を追おうとした。
生徒A「あんな女のどこに引かれたのかな。最低な女なのに。」
零斗は一瞬で頭に血が上り相手に言葉を吐く。
レイト「同じ事を言ってみろ。ここでお前を殺してやっから!」
その言葉には、いつもの優しさのある零斗は居なかった。完全に見下すかの様な…もっと残酷で、人を殺す事に躊躇いのない言葉を吐き捨てた。
相手はその言葉に気押されて、尻もちをつく。
そして、零斗は優里の後を追いに行った。
体育館にシュウゴ達ナンバーズが来た頃には、零斗の姿はなかった。
そして、ミツキが体育館に設置されたバトルフィールドに目を向けると、そのまま置いていかれたアーマーを目にした。
ミツキ「貴方達がユリちゃんに対戦を申し込んだ人達ね!」
生徒A「…お…おい。ナンバーズが3人揃ってるってまずいんじゃないか…?」
生徒C「これ、俺ら連戦なんすか?」
シュウゴ「ミツキ、君はゼロ達を追ってくれ。」
ミツキ「でも、2人じゃ…」
シュウゴ「俺らの仲間を傷つけた奴らをこのままにしておく訳にはいかないだろう?ハジメ、一緒にコイツらしばくの手伝ってくれるよね?」
ハジメ「もちろんっすよ。リーダー。」
ハジメは腕をボキボキと鳴らしながら言う。
シュウゴ「そういう訳だ。ミツキ、レイト達を頼んだ。」
2人を残して、ミツキは零斗を追いかけていくのだった…
零斗は必死になって優里の後を追っていくと、
廃墟同然となった30メートルほどある建物に目を向けた。
その建物を見て言葉が漏れ出る…
レイト「う…嘘だろ…ゆ…ユリ!」
その中を走っていく優里をさらに追いかけてゆく…
最上階の扉の先を見ると、優里はゆっくりと前へと一歩ずつ歩いていく姿が…
ユリ「……」
レイト「はぁ…はぁ…ユリ!」
零斗は優里の背中に向かい、言葉を投げた。
優里も一瞬、動きを止めて零斗の方へ振り向く。
零斗は息を荒くして、優里の元へ駆けつけたという事がわかるほど、息を切らしていた。
優里は悲しそうに言葉を告げた…
ユリ「レイト君…ごめんね…」
レイト「お前は何も悪くない!だから…っ!」
ユリ「もう…レイト君のお嫁さんにはなれないの…」
レイト「な…何言ってるんだよ!俺はそんなの気にしてなんか!」
ユリ「私は…!レイト君が…レイトが好きだから…」
レイト「なら!好きなら、それだけでいい!俺も優里が好きだから!…だから!」
ユリ「私のお腹に…お父さんと私の子がいるんだよ…」
レイト「な……っ!」
ユリ「私…お父さんに妊娠させられたの…嫌だよね…親子でこんな事をして…」
レイト「そんなの…俺には関係ない!」
ユリ「私には関係あるの!」
零斗はその言葉に一瞬だけ固まった。
ユリ「私は…キスも…初めても…全部レイトに最初になって欲しかった!でも…もうそれすら叶わない…」
零斗はこの時、なんと答えるべきか答えが見つからなかった…
好きな彼女の言葉を受けて、その想いを家族に踏み躙られた事に深い絶望と悲しみのこもった言葉だけが自分を貫いていく…
ユリ「レイト君…私を幼馴染としてずっと仲良くしてくれて、ありがとう。」
レイト「ま…待ってくれよ…。そんな…二度と会わないみたいな言葉…」
ユリ「私、レイト君と過ごしてて本当に楽しかったよ。」
優里は涙を流しながら零斗に向かって言葉を告げた。
レイト「なら、この先も…一緒に思い出を…」
優里は首を振り、涙でぐちゃぐちゃになった顔から笑顔を作って最後の言葉告げた。
ユリ「ごめんね…レイト君の事、一生忘れないから…」
レイト「ユリっ!」
零斗は優里の元へ走り、必死になって右手を伸ばした。届いて欲しくて、必死になって手を伸ばしていた。
しかし…遅かった…
優里は背中から落ちていった…。
ビシャッ!
優里の身体は地面に叩きつけられ、身体中の骨が砕け、血が飛び散るような音がした。
その音を聴き、上がってきた階段を降り、倒れ込んだ優里の元へ必死になり駆けつける。
レイト「ユリ…!!まだ…希望は…希望は…っ!」
完全に遅かった…
あの高さから落ちた勢いもすさまじいものだった。
優里の白い制服は背中から真っ赤に染まり、頭からは真っ赤な血が周囲に池を作るかの様に広がっていた…
彼女は地面に身体を広げて倒れていた。片足はあり得ない方向に曲がり、目を瞑ったまま動かない…
ピチャ…ピチャ…と音を立てながら血溜まりを踏み、零斗はすぐそばまで歩み寄った。
零斗はこの光景を受け入れられなかった…
ビチャッ!という音を立て、膝から崩れ落ちる様にその場に座り込んだ。
レイト「ユリ…。嘘…だよな…?ドッキリ…なんだよな…」
零斗は涙が溢れてきていた。
そこへ、零斗の後を追っていたミツキが零斗に追いつき、その光景に目を向けた。
零斗はミツキの方へ目を向けると、一言つぶやいた。
レイト「ミツキ…これ、夢だよな…?これは何かの悪い夢…そうだよな…?」
ミツキは絶句した。こんな零斗を一度も見た事が無かったからだ…。
ミツキは零斗を正気に戻す為に辛い言葉を告げた。
ミツキ「レイト…これは、夢じゃないよ…ユリは…もう死んで…」
レイト「死んでなんかいねぇ!だって…ユリは…さっきまで…」
零斗は血溜まりから、優里の身体を起こす。しかし、優里の遺体は力無くぐったりとして動かなかった…
レイト「ユリ…そんな冗談やめてくれよ…」
零斗は優里の手を掴んだ。その時、零斗は言いようのない現在を突きつけられた…。
冷たかった…人の体温と思えないほど、冷たくて身体から、肌の色が褪せていた…。
零斗は受け入れるしかない現実を目にする事になった。
血溜まりの上で、ピクリとも動かない彼女を抱き抱えながら、堪えていた感情が抑えきれず、爆発した…
レイト「あ…あぁ…そんな…そんな…っ!
うわぁぁぁぁぁっ!」
ミツキは、零斗の姿をただ見てるだけしかできなかった…そして、完全にどうしようもない零斗を横目にして救急車を呼んだ…
20分後…ナンバーズ達はミツキの連絡により、全員駆けつけると、悲惨な状況を目にするしかなかった…
近隣の人達が集まり、野次を作っている所、救急隊員が布を被せて遺体を連れていく所…そして…真っ赤な血の池の上に、零斗が膝をついている所を…
シュウゴ「レイト…。」
シュウゴは零斗の元へ駆け寄った。しかし、零斗は何も答えなかった…
零斗の顔を覗くと、目の奥の瞳には、何も光が無く、虚と化していたのだ…
目の前で死んだ彼女の事を思えば、そうなるのも当然だ…しかし、零斗はそれを受け入れることすらできないほど、完全に精神をやられていた…
シュウゴ「ゼロ、帰ろう。俺たちの家に。」
レイト「ツーは…ユリはどうすんだよ…」
シュウゴ「ユリちゃんは…ナンバーズ02は…今日をもって、活動を終了…。」
零斗はシュウゴの胸ぐらを掴んだ。その手は真っ赤な血で染まり、シュウゴの服まで真っ赤に染めていった…
レイト「んなの…あんまりだろ…!」
シュウゴ「落ち着け…!俺たちだって…こんな事言いたくはない…。大切な仲間が死んだんだ…。ただで許す訳ないだろ!」
レイト「んなもんわかってんだよ!だが…ユリは…そんなのを望んじゃいねぇよ…」
シュウゴ「じゃあ!このままユリちゃんを追い込んだ奴らを野放しにするって事か!」
レイト「てめぇにユリの何がわかんだ!」
2人は掴み合い、エスカレートしていく…
アカネ「2人とも落ち着いて!」
2人を止める為、ヒロとハルヤが2人を引き離そうとした。
そして、ナンバーズの仲間は言った。
ヒロ「レイトさんの気持ちは、俺たちだって痛いほどわかる。キャップだって、レイトさんとは長いから、余計にユリさんに対する想いの強さもわかってるはずです!」
レイト「離せヒロ!コイツをぶん殴らなきゃ気がおさまらねぇ!」
ハルヤ「リーダーも熱くなり過ぎだって!」
シュウゴ「俺はいたって冷静だ!」
ため息をつきながら、2人の間にショウが割って入る。
ショウ「ここで争っていたって、解決しませんよ。まずは、落ち着ける場所にいきましょう。」
そして、ナンバーズ達は、拠点として使っている小屋に全員で帰っていった…
拠点に戻ると、零斗は1人泣きじゃくっていた…
誰も彼の泣く声を止める者はいなかった。
彼の悲しみを思えば、誰も止めようと思えないからだ…
零斗が泣き止むまで、全員その場に残り、全員で零斗を連れて家に送った。
そして…学校では、優里の死亡した話が上がったことで、3日間、土日まで含めて五日間の休校となった…
優里の葬式は次の日に行われた…
零斗達ナンバーズは全員参列した。優里の仲のいい友達もみんな、彼女の葬式に並ぶ。
優里の死は、たくさんの友人達に悲しみを与えた…しかし、それだけに止まることは無かった。
零斗はもっと深い悲しみと怒りを胸の奥に抑え込んでいた。
彼女と一緒に作ったコアガンダムα、GBNや、外で見た景色の思い出、その一つ一つが零斗の記憶に焼きついている…
その怒りを…悲しみを…どこへもぶつけることもできず、ひたすら抑え込んでいた。
葬式を終えると、優里の眠る棺に向かい歩く人が居た。
優里の父親だ…
ナンバーズの仲間達は優里の父が何をしたのか全て知っていた…
あの父親の姿を見ても、憎悪しか湧かなかった。
その姿すら、嘘のように見えてしまうほどに…
ユリの父「ユリ…どうしてこんな事に…」
棺の前で無く男の側に、零斗は歩み寄る。
シュウゴ「おい。レイト、寄せ…。」
シュウゴは零斗の肩を掴んだ。しかし、その手はあっさり振り払われ、男のすぐ側まで歩く。
そして零斗は口を出した。
レイト「アンタのせいだ…」
ユリの父「君は…ユリの。」
そう男が言った途端、零斗は右手で男の服の胸ぐらを掴み、冷たい声を吐き出す。
レイト「アンタが優里を殺したんだ…!アンタがユリにあんな事をしなければ…」
ユリの父「………。あれは…出来心だったんだ。」
その言葉に、限界だった理性が飛ぶほどの怒りを覚えた。
ついに零斗は左手を強く握りしめ、振り翳そうとする
その姿にシュウゴが止めに行こうとした
レイト「何が出来心だ!アンタのせいでユリは…っ!」
殴りかかる瞬間だった…
後ろから、小さくも暖かい手がその上がった手を掴んでいた。
その手は、シュウゴではない…響の手だった…。
レイト「ヒビキ…その手を離せ…。俺は…コイツを…」
彼は、よく一緒に過ごす優里と零斗の姿を見てきた。
だけど、それ故にその怒りを止めに入った…
そして兄に向けて言った…
ヒビキ「兄ちゃん、ダメだよ。そんな事したらユリお姉ちゃんが悲しむよ。」
零斗はその言葉で腕を降ろし、掴んでいた腕も離した…
強く握りしめている左手からは、血が流れていた…
会場の床に拳の間からポタリ…ポタリ…と滴る血を見て仲間達は、彼の怒りの強さを思い知らされた。
零斗はその腕から流れる血を…握る拳の痛みすら感じないほど怒りに満ちていたのだと…
葬式から数日…零斗は部屋から出なかった…
そして、零斗の身体にも少しだけ異変が見受けられた。髪の毛の一部が脱色していた。右の前髪が髪の毛全体の1割ほど、白く脱色していた。
その髪の毛の色が抜け落ちた事が、彼の状態の深刻さを物語っていた。
大切な人を亡くした…たったそれだけの事かもしれないが、今までずっと一緒に居た友達が突然居なくなる悲しみを耐えられるはずがなかった…
葬式では、弟が止めなかったのなら、真っ直ぐに優里の父親を殴っていたと思うほど、優里を追い詰めた人達を恨んでいた…
零斗は、立ち直ろうと気晴らしに1人買い物へ向かった…
電之商店へ向かうと、学校が休みのせいか、人気が少し多かった…。
あの場所にはガンプラバトル可能なスペースも用意されている。その為、学校でできない生徒がここに流れ着いてるようだった。
零斗が店に入ると、なんだか少し異様な雰囲気を感じ取った。
そして、零斗を目視した生徒が声をかけてきた。
生徒A「よぉ。ナンバーズ最強のゼロさん。」
零斗は何も言葉を返さない…
それを不服に思った生徒はガンプラホルダーから一つのガンプラを取り出した。零斗は目を疑った…
生徒A「この前、偶然あんたらの部屋に入ったら、こんなの落ちててさぁ。不用心に置いてるもんだから、つい〜」
零斗は怒りを露わにした。
レイト「てめぇ…俺に喧嘩売るつもりか?」
生徒A「喧嘩?あんなヤリ◯ンの女1人に、あんなにみっともなく泣いてる奴に喧嘩なんてなぁ?w」
完全に吹っ切れそうになった…零斗は自分をバカにされても、多少は耐えられる。しかし、優里を侮辱された事が許せなかったのだ。
レイト「取り消せ…」
生徒A「は?」
レイト「お前のその喧嘩、買うから、俺が勝ったらさっきの言葉を取り消せって言ってんだよ。」
生徒A「なら、俺たちは3人チームでやる。お前は1人で俺らを相手にできるなら。な。」
あまりにも無法な試合だ…
こんなのに構う必要はないはずだ…しかし…
レイト「泣くのは、どっちだろうな…」
そして…
各プレイヤーは天理さんのジャッジの元で決闘することになった。
相手のエースは皮肉にもコアガンダムにナイトアーマーを装備させている。追従する2機は狙撃用のスナイパーライフル、ロングレンジの滑空砲を装備している。
だが、開始数秒からプレイヤーは1人終了した…
零斗は自分の持っている装備をフル活用し、零斗はスターティングハッチの中からもう狙撃態勢を整え、相手一機に狙いを完全に定めていた。
スナイパーライフル機は一瞬でゲームアウトになり、残った2人は同様する…
生徒C「こ…これ、だいぶまずいんじゃないんすか?」
生徒A「一旦バラバラに動くぞ!」
そして、エースから離した所で、ジュピターヴのライフルビットが地雷の様に反応を示し、ものすごい速さで追従するもう一機を穴だらけにしたのだ…仲間が20秒と経たずに2機退場したことにより、生徒Aは動揺していた…
生徒A「これが…ナンバーズ最強のゼロの力…」
レイト「これで1対1…だな。」
生徒はナイトアーマーが装備している剣を振り回し近寄ってゆくが、コアガンダムαはそれを華麗に避けると、相手に蹴りを加える。
レイト「リミテッドチェンジ…α+」
αの中の演算機能を使い、次のリミテッドチェンジ先を数例挙げては、それを零斗が瞬時に選択し、相手に攻撃を仕掛ける技だ。
相手に攻撃を繰り返すたびに姿が少しずつ切り替わっていく…
ナイトアーマーの装備ですら全く適応できないほどの速度でどんどん手数を増やしてゆく…
ナイトアーマーの適応力は高く、通常であればこれも見切れるほどだ。しかし、今それを使っている人物は騎士道なんかすら持たない紛い者だ。最大の力を発揮すらできず、追い詰められていく。
ついには何度も殴りつけられ、メインカメラを破壊された。そして、レイトは最後にマーズアーマーの大剣を振りかざしながら相手に突きつけた。
レイト「ユリの痛みは…こんなもんじゃねぇんだよ!」
相手のガンプラに何度も刃を突き刺すことを繰り返した。
何度も何度も何度も…
その時の零斗は本当に零斗とは別人と思うほど、変わっていた…
悪魔に取り憑かれたかというほど、残酷で残虐な試合を行っていた…
天理はそんな零斗の姿に恐怖を覚え、対戦の強制終了を始めようとしていた。
相手のガンプラのコクピットは跡形も無くなるまで続けても、それでも止めはしなかった…
そして、異変が起きた…
零斗は突然苦しみだした…
レイト「ガハッ…」
血を吐きながら零斗は戦闘中に倒れ込んだ…
それと同時にコアガンダムαも動きを止めた。
天理が対戦を強制終了させようとした時だった…
相手のガンプラは、残骸の様な状態で動こうとする。そして、動かない零斗のガンプラにサブウェポンのライフルを構えた。
その時だ…コアガンダムαの目が光を取り戻す。
零斗の操縦無しに、コアガンダムαが動き出し、相手の構えた銃を腕ごと引きちぎった。
ブチブチという音とともに、引きちぎった腕を捨てると、もう片方の腕を抑えつける。
生徒も勝手に動くガンプラを前に困惑する。
生徒A「な…なんで…なんで動いてるんだよ…!」
コアガンダムαのカメラは赤く光を漏らすと、相手に銃を構えて連続で5発打ち込んだ。
まるで…その姿は零斗の怒りを表すかの様に、血の涙を流しながら…
天理は零斗の肩を担ぎ、救急車の手配をする…
生徒はその間も声をあげる。
生徒A「こ…こんなの!インチキだ!違法だ!不平等だ!」
天理はとても辛辣な言葉で返した。
アマリ「いいえ。貴方達は人のものを盗み、奪って、さらには多勢に無勢な事を利用し、それを力だと振りかざした。そんな人達に勝利を与えるほどこの街は腐ってないのよ。」と言い聞かせた。
そして、アマリは生徒の持つガンプラを取り上げ、零斗の盗まれたアーマーを全て回収したのである…
データの中のコアガンダムαが天理の方へ目を向けると、お互いに目があっていた。
その光からは、ありがとうと言う様な暖かい色の光を向けていた…。
アマリ「あの時、レイト君は突然倒れちゃったんだけど、レイト君のガンプラは、勝手に動いていたのよ。まるで、主人を守るかの様に、悲しい涙を流して…ね…」
ヒビキ「そっか…αは、この時から…」
響の言葉に天理は驚く様な声を漏らす
アマリ「あら?ヒビキ君も同じことがあったの?」
ヒビキ「はい。僕が、勝ち目がないと思い諦めた時、操縦すらしてないのに、突然αが相手の攻撃を受け止めていたんです。そして…僕に話しかけてきました。「まだ、諦めたらいけない。」って。」
天理はその事に一瞬驚く仕草を取るも、少しだけ嬉しそうに見せた。
アマリ「彼のガンプラには、人々の想いが詰まってるから、その想いに答えたかったのかもね。」
ヒビキ「でも、その時の戦いで、修復できないほど壊れてしまったので…もう…」
蓮斗が口を挟んだ。
レント「壊れたって…どうして…」
天理がその言葉を遮った。
アマリ「いいのよ。そんな事は聞かなくて。彼は…自分の使命を果たしたのよ。大切にしてきた主を守る為にね…」
四郎もさらに口を挟む。
シロウ「彼は…いや、レイト君達は、その思いを未来に託していったのさ。ずっとこの先も、ガンプラとともに歩む事を願って…。」
天理は一つ提案をした。
アマリ「そうだ!ヒビキ君、あの飾っているコアガンダムと、お兄さんの作ったアーマーを使ってみない?」
響は首を振る
ヒビキ「もう…αは居ないから、僕が持っていても、宝の持ち腐れです。」
アマリ「そうじゃなくて、せっかくなら、あのアーマーを使って戦ってる所を見せて欲しいのよ。」
ヒビキ「ですが…対戦相手は…」
アマリ「大丈夫よ。そこはお姉さんに任せて。」
そう言って、デバイスを見せてきた。
さらに、途中で止まっていた零斗の話をし始めた。
救急車で運ばれていった零斗は、天理が一緒に搬送先までついていくことになった。店は、人が多かった為、近所のママさんに店番を任せていた。
零斗はいくつかの管に繋がれ、状態もそこまで良いものではないと言わんばかりにベッドによこたわっていた。
零斗が倒れて数時間、医者に天理は呼ばれていた。
医師「貴方は、彼の親御さんで?」
アマリ「いえ、ただの知り合いです。」
医師「そうですか。では、彼の親にこれを渡していただけますかな?」
と、言われ診断表を渡された。
医師はとても不服そうな言葉を連ねる…
医師「彼の心臓には、とてつもない負担がかかっている。このままこの負担が彼に掛り続ければ、良くても一年半、頑張っても一年が限界かもしれませんな…。この心臓の負担の掛り具合は、ここ最近で突然悪化しているみたいですな…。」
天理にはその言葉に覚えがあった。最近、零斗の周りでは世界は狂いだしたかの様に変わっていた。
その中で彼は無理をし続けていた。元気なフリをして…
医師の言う言葉は明確であり、確実な答えだ…
優里が亡くなった事、彼女の父親との事、引き金になった出来事、全てが零斗の身の回りでの出来事だ…
医師の言葉に何も言えずに、零斗の眠る病室に入った。
アマリ「私、この事実をどうしたら…」
零斗はベッドに横たわっている。彼の目はゆっくりと開くと、白い天井が広がる。
レイト「あ…あれ…俺…」
アマリ「レイト君、目覚めたのね。」
レイト「あ…アマリさん。俺…なんでこんな所に…」
零斗はここまでの記憶がない。何故自分がこんな場所にいるのかわからない様だ。
アマリ「レイト君、急に倒れちゃって、心配したのよ。」
天理は言い出せなかった…。零斗に残された時間が多くないことを。
レイト「アマリさん、何か隠してるだろ…」
アマリ「え…?」
天理は零斗の突然の言葉に固まってしまった。
アマリ「な…なんでそう思うの…?」
レイト「悲しそうな顔をするから…」
天理は顔に全て出ていたなんて思いもしなかったのだ…
レイト「アマリさん…全部教えてください。俺はもう…辛い顔を見たくないんです…。」
天理はその言葉に酷く同情する想いがあった。
零斗の周りで起きている出来事は彼を精神的に、身体的に蝕んでいるのは確実なものだった…。
天理は涙を流しながら答えた。
アマリ「レイト君…この先無理をし続ければ、貴方は長く持たないのよ…」
零斗はその言葉を受けて、天理に言葉を返した。
レイト「アマリさん…この事は、両親以外には言わないでいて欲しい」
アマリ「な…っ!レイト君、貴方何を言って…」
レイト「変な事を言っているのはわかっています…。だけど…俺は…」
零斗は言葉に詰まりながらも、答えた。
レイト「俺は…もう誰にも悲しい想いをさせたくない…」
アマリ「だとしても…兄弟にくらい言うべきよ!」
天理は反論した。その先に最悪の未来を考えて、声を上げた。
レイト「…それでもです…。」
天理は絶句した…しかし、天理はその言葉を受け入れた。
アマリ「わかったわ…。貴方の状態は、両親以外には言わないと約束する。」
天理は涙をこぼしながら零斗の身体を抱きしめた。
レイト「あ…アマリさん、な、何してるんですか…っ!」
アマリ「私が君のその症状を引き受けたい…。私だって辛いのよ…。」
天理は零斗の状況を知っているが故に、彼の不幸を全て引き受けて助けたいと思うほど、彼を悲劇から引き離したかった…
レイト「…もう泣かないでくださいよ。俺は大丈夫ですから。」
天理はその言葉を受けても涙をこぼしていた。
零斗はずっと強がっていた…優里がいなくなってから…ずっと、強くあろうと見せつけていた。しかし…本当は弱い人間だった。無理など通り越して限界を迎えている。
それでも…彼は…抗おうと必死に足掻き続けている。
零斗はその日は一日中病院生活を送った。
次の日、退院して最後の休日を過ごして、学校生活にまた戻っていった。
零斗は学校へ行くと、以前と比べて静かだった…
零斗に対する同情や、彼女の件を知る者達からの視線が強かった…
そして、担任が近づいてきて[ちょっと来てくれ。]と、校長室の方まで呼び出された。
優里を追い詰めた3人が前に居た。
彼らの行いは、カメラが写していたのだ…
体育館内には、何かあった時の為に防犯カメラが3台ほど付いていた。そのカメラには、何かを見せつけるそぶりが映されていた。
その生徒に先生達が問い詰めた。
生徒にその見せている物を提出するように言われ、スマホから1枚の写真を映して見せる。
その時、ハッキリした…
優里が無理矢理犯されてる写真だった…
なぜこんな物を撮ったのかわからない…しかし、悪意ある事に使われると確信があった。
零斗はその写真に映る優里の辛く悲しい顔を目にし、完全に吹っ切れた。
零斗はその生徒の胸ぐらを掴み言い出す。
レイト「なんで…なんで助けなかったんだ!お前が助けていれば、ユリは死ぬ事はなかった!なんでこんな写真を撮ったんだ!コレを使ってユリを脅して…!」
手を出そうとしてしまい、担任が零斗の腕を掴み相手の生徒から切り離した。
レイト「離せよ…!離せ!」
零斗は担任と共に部屋から出されていく…
そして、校長は残った生徒達に大きな決断を下した。
校長「君達の行った行為は、道理に反する事だ。君達には停学、それから転校の処分を取る。」
そして、その生徒達は校長室から出ていくと、零斗と担任は部屋にもう一度入っていった。
零斗は校長から、告げられた。
校長「大変だった事は知っている。君はよく頑張ったよ…。彼女のために必死になって止めようとしてくれた。それだけ充分頑張ったよ。」
零斗は小さく言葉を漏らした…
レイト「それだけですか…」
校長「え…?」
レイト「たったそれだけですか…ユリは…もう帰って来ないんですよ…」
校長は言葉に詰まった…
校長「軽率だったね…申し訳ない。君はもうしばらく休んでなさい…」
そう言って、零斗にさらに1週間特別に休学する様に言われた。
担任と共に教室へ戻り、零斗はバックを担いで教室を出ていく。
その背中は…とても虚しさがあった…
一人寂しく廊下を歩いてゆく姿は重く、辛い印象を受ける。
そんな零斗が靴を履いている所に声をかけられた。
シュウゴ「レイト!」
レイト「……。」
シュウゴ「レイト…いや、ゼロ。」
レイト「俺はもう、ゼロじゃねぇよ。」
シュウゴ「何言ってるんだよ…お前…。まだ…」
レイト「俺は、ナンバーズを抜ける。」
シュウゴ「お前!どうするんだよ!俺達のチームはお前がいないと…」
レイト「俺が居なくても、お前らならやっていけるだろ。」
シュウゴ「ゼロ…お前…。」
レイト「俺は…レイトだ。ゼロという名は…もう捨てた。」
冬空を零斗は少しずつ歩いてゆく…
シュウゴはそれ以上止められなかった…
その間も、零斗は1人でガンプラバトルを続けていた。
強くなる為だけではない。二度と誰も失わない為、届かなかった手を今度は離さない為に…。
しかし、零斗の中での矛盾もあったのだ。
今の自分の背中を任せる事ができる人は居ない。誰かに背中を預ける事ができてこその守る力だと…。
零斗は数多の対戦を続け、いくつものアーマーを使いこなし、敵を翻弄する様な戦いを見せていた。
零斗はその形に捉われない戦い方を恐れられる様になった。
その間もナイトアーマーは一度も使う事は無かった。
零斗は虹のナンバーズを抜けた後も、その名前を知られていた為、ゼロと呼ばれる事があった。しかし、小学部でとある噂が広がっていた。
零の戦女神《ヴァルキリー・ゼロ》、彼女の噂が立つと、零斗の名前は別の呼ばれ方をした。無形のZERO…と。
ヒビキ「そうか…レイカさんの名前が上がり始めたのは、この時だったんだね…」
アマリ「えぇ。彼が、チームを離れてそんなに立たない頃に、レイカが出てきた。そこから、2人のゼロが存在していたのよ。でも、レイト君はその当時はその名を捨てた。だから、関係のないものだと思ってたんだけどね…」
シロウ「なんだか、含みのある言い方をするじゃないか。何か他にも理由があるのか?」
アマリ「いいえ。この話には、ここから深く関係してくるのよ。ヒビキ君と、市長、それから…シャイニングゼロが…」
それから数ヶ月後…春になり、零斗は中3になっていた。
桜を見ながら、悲しそうな顔をして小さく呟いていたのだ…
レイト「ユリ…。お前と…もう一度あの桜の木を見たかった…」
そう呟いていた。
零斗が中3になり数ヶ月過ぎた頃の事だ。
少し暑くなり始めた頃、零斗は木陰のあるベンチによこたわってその場を独占し、空を見上げていた。
その時にいつもつぶやく事があった。
レイト「ユリは、この空のどこかを飛んでるんかな…」
ここは、彼の特等席。優里が居なくなって以降、彼は自分の拠り所を探していた。その場所にここを選んでいた。
夏場は心地いい風が吹き、
秋にはベンチに真っ赤な絨毯を作り、
冬は真っ白な銀世界を映し出した。
そして…春には、桜が満開となり、この場所を桜色の海に染めていた。
そんな彼の特等席は、基本的に誰も来ない。彼の事を思い誰も立ち寄らない様にしていた。
しかし、珍しく来客が訪れる。
その来客は木に寄りたちながら、零斗に話しかけた。
シュウゴ「やっぱ、ここに居たんだな。ゼロ。」
零斗は相手を確認すると、鼻で笑い言った。
レイト「だから…その名前はよせって。もう俺はゼロじゃねぇって。」
シュウゴは、零斗が脱退してからもずっと彼を呼び戻そうとしていた。彼との付き合いは長く、元々創立したメンバーである。その為、零斗に帰る場所を残しているのだ。しかし、零斗もなかなかの頑固者な為、なかなか戻る意思を示さないのだ。
だから、たまに零斗の様子を見に来ては、声をかけている。
しかし、ここに来るのは初めてだ。どういう風の吹き回しで来たのだろうか…
そうしていると、シュウゴは話し始める
シュウゴ「お前、知らないのか?自分の新しい通り名を。」
零斗は一瞬頭の上にハテナが2つほど浮かび上がった。
レイト「新しい通り名?」
シュウゴ「あぁ。今のお前の通り名だよ。」
レイト「別に大した実績残してねぇよ。」
シュウゴ「嘘つけ。2月の中学部学年大会で個人の部優勝かっさらって置いて実績残してないは嘘松過ぎだ。」
零斗は少し自慢気に言う
レイト「まぁ、俺はアレでも本気じゃねぇけどな。」
シュウゴ「嘘こけ。最後なんか満身創痍だっただろあんなのw」
レイト「まだ誰にも使ってねぇアーマーがあんだよ。アレさえあればもう一周いけるわ。」
シュウゴは聞いた。
シュウゴ「そのアーマーって、ユリちゃんに見せるつもりだったってやつか?」
レイト「あぁ。アイツには、見せる事できなかったけどな…」
そして、スマホに挟んでいるものを取り出す。そこには、2人の男女が仲良さそうにこちらを向いて写真に写っていた。
レイト「ユリに見せてやりたかった。」
零斗は寝そべったまま、空に向けて写真を高く掲げた。
シュウゴ「ユリちゃん、今のだらしないお前を見たらなんて言うんだろうなw」
レイト「元々俺はこういうやつだぞ。」
シュウゴ「なんだよ。彼女いる間だけ真面目なフリしてたってか?」
レイト「まぁな。テメェらに比べりゃモテっからさ。」
シュウゴ「お前、ここ何ヶ月も誰ともつるんでないのに、そんな事よく言えたな。」
レイト「その正論ぶちかますのやめろよな…」
シュウゴ「ぐうたらしてるお前が悪い。そんなので赤点回避できるのか?」
2人はそうぼやきながら話をしていると、ナンバーズに居た仲間達が集まってこちらにやってきた。
アカネ、ショウは高校へ先に上がり、五人のナンバーズが集まる。
ヒロ「キャップ!ここに居たんですね!」
ミツキ「レイトったら、またここでごろごろしてるのね。」
ハジメ「レイト、久しぶり〜。元気にしてた?俺らは変わらず活動してるっすよ。」
ミドリ「レイト!クラスにいつも居ないと思ったらここで油売ってたのね!」
突然ミドリが怒りだした。
今、零斗と同じクラスにいるミドリは生徒会にも所属しているのだ。ちなみに、現在同じクラスに居るのは、ミドリとミツキ。
ハジメとシュウゴは別のクラスな為、なかなか会う事が少ないのだ。
そして、ヒロとハルヤは学年が一つ違うが、お互い同じクラスにいるのだ。
レイト「げっ…ミドリ副会長。」
ミドリ「全く…。レイトだけいっつも課題を机の上に置きっぱなしにして昼休みに消えるんだから、困ったものよ!」
レイト「別に問題ねぇだろ…課題は全部やってんだからよ…」
ミドリ「クラスでの役割は全くの疎かなのに、課題だけはしっかり終わらせてるから手を焼くのよ…」
零斗が隣で叱られている中、合流した仲間達は何かを話し始めた。
ハルヤ「リーダーもレイトさんの所に来てたって事は、アレに誘うつもりで来てるんですよね?」
シュウゴ「あぁ。そのつもりで来たんだが、零斗とつい話し込んで忘れていたな…」
ハルヤの言葉に違和感を覚えた。
レイト「ハルヤ。アレって、なんだよ?」
ハルヤ「レイト先輩なら、食いつくと思ってましたよ。コレコレ!」
ハルヤは上に掲げながら出したのは、少し薄めのピンク色の本だった。
言うまでもない。それは男子学生のロマンとも言える本だ。
零斗はしっかりと指摘した。
レイト「お前、それここで出したらダメなんじゃねぇか…?」
ハルヤ「ん?え?」
ハルヤが手の先の方へ目線を向けると…
ハルヤ「ど…どわぁぁぁっ!間違えた!」
そこにミドリが颯爽と取り上げた。
ミドリ「はい。回収回収…」
ハルヤ「あぁっ!待ってよ!それ俺の貯金から出した1500円はするエ◯本…」
ミドリ「こんなもの学校に持ってくるのが悪いんでしょ…」
レイト「あはは…大変だな…」
そして、ハルヤがダメダメなのを目にし、シュウゴに向き直って聞いた。
レイト「なぁ、シュウ。ハルヤの言うアレってなんのことだよ?」
シュウゴは待ってましたと言わんばかりに答えた。
シュウゴ「あぁ。ゲリラバトルが行われるんだよ。湯ノ森にいる参加者全員で。」
レイト「ん?ゲリラバトルなんて、ちょくちょく開催されてるじゃねぇか。」
シュウゴ「それが、今回は年齢やルールがないのさ!俺達の学校以外からの強豪や、今噂の零の戦女神《ヴァルキリー・ゼロ》も出るらしいし。」
レイト「零の戦女神《ヴァルキリー・ゼロ》?」
シュウゴ「お前…知らなかったのか?小学生にして、天才ファイターって噂の子が出るのさ。しかも、全国大会でトップ8まで上がった相手に全く苦戦する事なく勝ったって話もあるんだよ。」
レイト「持ち上げ過ぎじゃねぇか?」
シュウゴ「実際に映像もあるんだって!お前も今回のバトル、参加するよな!」
レイト「…。考えとくよ。」
その言葉にハルヤが口を挟んだ。
ハルヤ「でも、無形のZEROが参加するってなったら、イベント盛り上がるんだろうけどなぁ…?」
零斗は一瞬動きを止めた。
レイト「無形のZERO…?」
シュウゴ「今のお前の通り名だよ。ゼロ。」
レイト「いやいや。俺そんなの知らねぇけど…」
ミツキ「自分では知らないだけで、今の貴方はこの通り名で流れてるのよ。私だって、最初に聞かれた時びっくりしたもの。」
レイト「俺、今…そんな名前で通ってんのかよ…」
シュウゴ「ちなみに、俺達は全員参加するぜ。」
零斗は引くに引けなくなっていた。
シュウゴ「お前はどうするんだ?ゼロ。ここまで来てもまだ悩むか?」
零斗は少しだけため息をつきながら言った。
レイト「仕方ねぇな…」
ナンバーズ全員「やった!」
レイト「お前らも下手な成績で終わったりすんなよ。」
シュウゴ「もちろんだ!」
ハジメ「俺も負けられないっすね〜。」
ミツキ「私だって、強くなってるんだから。」
ミドリ「レイトが居なくなってから沢山努力したのよ。」
ヒロ「レイトさん相手でも、負けられない!」
ハルヤ「それよりミドリ先輩…エ◯本返してくれない?」
彼らの瞳はしっかりと輝いていた。
ゲリラバトル前日…
零斗は不安を拭えなかった。彼はまだ引きずっていたのだ…
レイト「つい、あの時は流れ的に断れなくて受けてしまったが…どうしたらいいんだ…」
椅子に座り、零斗は考え込んでいた。
部屋にコンコンとノック音が流れる。
入ってきたのは響だった。
ヒビキ「兄さん。」
レイト「ヒビキか。どうしたんだ?」
ヒビキ「明日、僕の友達がバトルに出るんだ。」
レイト「へぇ。お前も出るのか?」
ヒビキ「僕はまだ自分のガンプラがないからできないよ。」
レイト「なら…俺のガンプラを使うか?」
零斗は、まだ悩んでいたのだ。
あんなふうに答えたが、結局踏ん切りはつかない。
そこで響がガンプラを使えば、自分は出なくてもいいかもしれないという事を思いつく。しかし…
ヒビキ「僕は、兄さんの闘ってる所を見たいな。カッコいい兄さんの姿を見てると、すごく安心するから。」
零斗はその言葉に背中を押されたような気がした。
レイト「そっか…わかった。お前にそんな言われちゃ、出ない訳にはいかねぇな…。」
ヒビキ「兄さん、明日のゲリラバトルに出るの!?」
レイト「あぁ。」
ヒビキ「頑張ってね!兄さん!」
響の純粋な声援は、零斗の不安を打ち払った。そして…ついにゲリラバトル当日になった…
ゲリラバトル当日…零斗は開始から6連戦行った。
最後の6戦目には噂の流れていた《零の戦女神》とぶつかった。
零斗はこれまでずっと封じていたナイトアーマーを持ち込むも、後一歩届かず、敗北した。
成績は5勝1敗。2位とは戦績こそ同じだが、勝ち残り形式の為、3、4位で確定した。
そして3位決定戦が最後に行われた。
その対戦はたくさんの人達が見守っていた。
その戦いは、ナンバーズの人達も見ていたのだ。
シュウゴが遅れて3位決定戦の対戦会場に訪れる。
シュウゴ「これが最後の対戦か?」
ミツキ「えぇ。レイト、3位決定戦で今戦ってるわ。」
シュウゴ「流石だな…。やっぱりゼロは俺達とは違うな。」
ミツキ「えぇ。私たちみんなベスト8まで残りきれなかったから…」
ハルヤ「まぁ、レイト先輩は準決勝であの《零の戦女神》に当たって、ほぼ互角の対戦だったみたいだけど、最後は押し切られて負けるなんて、本当惜しかったな…」
ミドリ「でも、レイトの強さは証明されたのよ。私たちよりもずっと彼は遠い所にいるって証明がね。」
そこに、ハジメが割り込んで言葉を挟む。
ハジメ「そういえば、今のレイトの対戦相手って、誰なんすかね?あそこまで強いなら、少しくらい名前が知れててもおかしくないはずなんすけど…」
ヒロ「対戦相手の名前はヒジマ・アスカ。僕とハルヤより一つ下の学生みたいだね。チームなどの所属は無し…。大会での結果もない…。」
シュウゴ「結果を持たなくてここまで上がるなら、相当な天才じゃないか。」
ヒロ「キャップ、それが…相手の方、なんだか変な感じがするんです…」
シュウゴ「どういうことだ?」
ヒロ「いや…なんだか、力を振ってるだけにしか見えなくて…」
シュウゴ「それは…薄々気付いてるだろう。アイツなら、尚の事な…」
零斗は3位決定戦で目の前で戦っていた。
相手の力強い攻撃を目に、鮮やかに避けている。
相手のガンプラは高いスピードと攻撃を活かしたガンプラだ。しかし、そのガンプラに少し違和感を覚えた。
力任せになりふり構わず攻撃を行い、せっかくのスピードを死なせているのだ。
零斗はナイトアーマーを装備し、[ガンダムプラネッツナイト]の姿で対応するも、全く試合にすらならない。むしろ、零斗が攻撃をせずに、ずっと避けているのだ。
と、そんな対戦をしていると外野から野次が飛ぶ。
出場者A「おい!なんで避けてばかりなんだ!真面目にやれ!」
出場者B「お前、さっきの対戦で負けたから怖くなったのか!」
出場者C「俺達だって真面目に戦ってんだ!戦う気が無いなら降りろ!」
沢山の野次が飛び交う。しかし、零斗にはその声すら届いていないのだろう…
野次は更に大きくなる。
そして、シュウゴが立ち上がった。
シュウゴ「お前ら!ただ見てるだけしかできないのに、文句ばかり言いやがって!いい加減にしろよ!」
出場者A「なんだよお前!あの逃げ腰の仲間か!」
シュウゴ「俺は、アイツの…レイトの友達だ!」
出場者B「友達がバカにされてるのに対するヒーロー気取りか?」
出場者C「なんだよ。お前も逃げるだけ逃げて勝ち上がったのかぁ?」
シュウゴ「俺は!レイトの努力を知ってるんだよ!お前らみたいに口だけの野郎とは違う!お前らなんか、レイトにまとめて相手になっても勝ちはしない!」
出場者A「なぁ、にいちゃん。俺達に喧嘩売ってるって事分かってるのか?」
ミドリは止めに入った。
ミドリ「シュウ、やめなって。ごめんなさいね。うちのリーダーが…」
そこへミツキが割って入る。
ミツキ「シュウの言う通りよ。」
ミドリ「み、ミツキ…!」
ミツキ「レイト君は、貴方達とは違うのよ。必死に努力をしてきたの。口出ししたいなら、彼に勝ってから言いなさい!」
そこへ、更に声がかかった。
???「彼女の言う通りだ。」
カツカツ…と音を立てながらこちらに歩いてくる男
???「あんたらに口出しする権利はないよ。そんなに口出ししたいのなら、他の対戦を見れば良いだけさ。」
ミツキは近寄ってくる男性に声をかける。
ミツキ「あ…あなたは、確か…2位のヒカルさん…?」
その男の正体はタカミヤ・ヒカル。その名前は各地で広まっているほどの有名ファイターだ。
ヒカル「君たちは、彼の強さを良く知っているみたいだね。」
ヒカルはシュウゴ達に聞くと、
シュウゴ「は、はい。俺達の仲間なんです。今は[元]なんですけど…」
ヒカル「へぇ〜。彼のお仲間さんか。そりゃあ仲間を信じたいという気持ち、良くわかるよ。」
ヒカルはナンバーズ達の隣の席に座る。
ヒカル「それで、野次を飛ばしていた君たちは、なんなんだい?」
出場者A「え…それは…」
ヒカル「彼の戦いに文句を付けるくらいだ。きっとさぞ強いんだろうね。俺と手合わせするかい?」
野次を飛ばす出場者達は、顔色を変えていく…そして…
出場者達「し…失礼いたしました!もう文句は言いません!」
ヒカルは怖い笑みを浮かべた。
シュウゴ「あの…ありがとうございます。」
ヒカル「気にしないでくれ。俺も彼に興味があってね。」
シュウゴ「レイトに…ですか?」
ヒカル「あぁ。無形のZEROと呼ばれる彼の強さに…ね。」
ヒロ「レイト先輩は、ただ強いだけじゃないですよ。」
ヒカル「へぇ。どんな強さを持っているんだい?」
ナンバーズは全員顔を見合って、こう言った。
ナンバーズ「誰かを守る為の強さです。」
そう言って、全員対戦画面へ向き合った。
零斗は目の前の敵に何もせずただただ回避を続けていた。
プラネッツナイトの適応力ではない。そもそもそれ以前の問題だった。相手のガンプラ、ガンダム・ヴェンデッタは攻撃の手を緩めない。
レイト「…。」
アスカ「何故避けてばかりなんだ!何故攻撃をしない!」
レイト「……。」
アスカは攻撃を続けながら、更に続ける。
アスカ「答えろ!」
零斗はついに動きを止めた。
そして…持っていた剣を大地に突き刺した。
突き刺すと、剣がホログラム状になり、目の前から消えていく…
アスカは更に逆上した。
アスカ「どう言うつもりだ!何故武器を捨てた!」
零斗はつぶやく様に答えた。
レイト「今のアンタじゃ、俺には勝てねぇよ。」
アスカ「ふざけるな!まだ一度も攻撃すらしてないってのに、何故そんな事がわかる!」
レイト「なら、俺を倒してみろ。」
零斗は右腕で挑発を促した。
アスカは更に怒りだし、ヴェンデッタを加速させ、プラネッツナイトの目の前でメイスを振り下ろした。その瞬間だった…
メイスは盾で軽く流され、右腕で軽く機体ごと突き飛ばされた。
背中からガリガリ…と音を立てて機体が地面にぶつかる。
アスカ「な…なんなんだよ…今の…」
会場の雰囲気もさきほどとは変わり、静寂に包まれる…
零斗はため息混じり言った。
レイト「だから言ったろ。お前は俺には勝てねぇって。」
ヴェンデッタを立ち上がらせ、アスカは唸る。
アスカ「たった一度くらいで何が…!」
レイト「なら、俺はこの戦いから降りる。」
そう言って、零斗はプラネッツナイトを使い、相手に背中を向け、知らぬ方へ歩いていく…
アスカ「逃げるな!」
ヴェンデッタはすかさず背中を捉えて殴りかかろうとした。
しかし…
左手のシールドを使い、相手の攻撃を受け止め、更にそこから強烈な蹴りをお見舞いした。
ガシャァァァァンッという音と同時にヴェンデッタは横に倒れる。
アスカ「なんでだよ…なんで…こんな…」
零斗は悲しそうに言った。
レイト「俺も、アンタみたいな時があったからさ。」
アスカ「何…?」
レイト「俺も、強くなる為に力を求めた。だが、力だけじゃ守りたいものも守れねぇ…。本当に必要なのは…力じゃねぇ。友を、仲間を信じる事だ。」
ヴェンデッタは立ち上がる。
アスカ「お前に…俺の何がわかる…!」
レイト「さぁな。俺はお前じゃねぇから全部分かってたまるか。」
ヴェンデッタは零斗の言葉を聞くと、狂った様に飛び上がる。
アスカ「俺は…!俺は強くなければ…強くないといけないんだよぉ!」
ヴェンデッタは更に襲い掛かる。
零斗はシールドを相手に向い投げつける。
投げたシールドはメイスに弾かれた。だが、ヴェンデッタの目の前にはプラネッツナイトの姿すらなかった…
そして、プラネッツナイトはヴェンデッタの背後を取っていた。背後からテイルブレードと右腕を捕まれ、動けない状態となる。
アスカは操縦桿を一心不乱に動かすが、ヴェンデッタは言うことを聞かない。
アスカ「くそ…っ!クソっ!」
零斗は言った。
レイト「強さは、力だけじゃない。誰かを守る強さ…仲間を信じる強さ…そして…誰かを愛する強さだ。」
アスカ「何が愛する強さだ!自分が恋人が居るって自慢のつもりか!」
レイト「彼女はもう死んだ…。俺が…俺が弱かったから。だから俺は…もう2度と同じ過ちを繰り返さない!それが俺の強さだ!」
アスカ「とんだ戯言をっ…!」
ヴェンデッタが更に足掻き、抑えが効かなくなり、プラネッツナイトは相手を解放し、距離を取った。
レイト「なぁ…α。俺の強さは間違ってんのかな…」
αの声が零斗に届く。
α「私は、間違ってないと思う。私は君を信じている。だから、君は私を信じてくれている。そして…ユリも同じだ。彼女は私を愛してくれた。だから、私も彼女の愛に答えた。君もそうさ。それ以上でも、それ以下でもない。それが私の答えだ。」
ヴェンデッタは立ち上がると、プラネッツナイトとは逆方向に引き下がる。
態勢を立て直すつもりのようだ。
暖かい声に押された零斗は、ホログラムから剣を生成し、手に取る。
鈍い鉄の色を光らせる剣、勇気の剣【ブレイバーズソード】を右手に取ると、左手にもホログラムから剣が生成されていた。同じ様な鈍い光を光らせるが、剣の刃先は白く輝いている。約束の剣【プロミスソード】
その剣は、零斗が作った剣と、もう一つは優里が残した剣だった。
優里が生きていた頃、ナイトアーマーを作りながら優里が剣に色を付けていた。
ユリ「ねぇねぇ!こんな色の剣も良いでしょ?」
レイト「なんで刃先が白色なんだ?普通なら銀色だろ?」
ユリ「白い剣も悪くないでしょう?私達のガンプラなんだから。」
レイト「まぁ、それはそうだけどよ…。」
ユリ「じゃあ、これで決まりだね!絶対に完成させようね!」
そんな思い出が…
優里が生きている間に本体を見せる事はできなかった。
しかし…彼女との約束は今でも続いている。
だから、その剣には【約束の剣】と名を付けた。
零斗以外には誰にも手に取る事もできない唯一無二の輝く剣…
その剣を握った時、零斗とコアガンダムαにはその記憶が流れていく…。
優里の名前は、白百合と掛け合わされた名前だ。
その花言葉には、無邪気さや純潔、愛の告白という意味がある。
その剣にはそんな白い花のような可憐な光を纏っている。
そして、勇気と約束を誓った2つの剣を纏い、プラネッツナイトは剣を構える。
アスカは剣を手にしたプラネッツナイトを見て、ヴェンデッタの目を光らせる。
アスカ「やっと戦う気になったか!騎士よ!」
ヴェンデッタは走り出し、零斗を、プラネッツナイトを標的にする。
ガスガスと音をたてながら砂を蹴り飛ばしながら走ってくる…
レイト「α、俺に合わせれるか。」
α「いいや。むしろ、君が私に合わせる方さ。」
零斗はそう話ながら、敵を迎え撃つ。ホバーで動き、足を浮かせながら、相手に近づいてゆく!
ヴェンデッタがメイスをまっすぐ突き出す。しかしその攻撃をS字を地面に描く様に鮮やかに避け、勇気の剣で斬りつける。
しかし、その攻撃はテイルブレードが受け止めた。
ギィィィィィンッという鈍い音とともに、真空波が漂う!
その一瞬をつき、ヴェンデッタがメイスを切り返した。
だが、その姿はもういなかった。メイスの上に乗って、剣を構えていた。
アスカ「な…なんなんだお前は!」
αがメイスの上から高らかに言った。
α「我が名は、ガンダム・プラネッツナイト!この宇宙(そら)と惑星(ほし)に生まれし主より命を受けし誇り高き騎士だ!」
メイスを投げ捨て、サブウェポンのビームトンファーを装備した。
トンファーを振り回し、こちらに距離を詰めてゆく…
零斗はその攻撃を全て見切った。
そして…ガキィィィィンッ!という音ともに、トンファーが空を舞っていた。
白い刃先の【約束の剣】がトンファーを吹き飛ばしていた。
アスカ「な…なんでだ…なんでなんだ…!」
更にテイルブレードで応戦しようとする。しかし、鉄色の【勇気の剣】がその攻撃を受け止め、プラネッツナイトは回転する様に空を舞い、ワイヤーを切り裂いた。
そして、相手の目の前でぐるりと旋回しながら目の前に接近する。【勇気の剣】を縦に振りかざす!
ザシュッという鈍い音が響くと、【約束の剣】で斜め下から上へ切り返す。
相手は態勢を大きく崩し、後ろによろよろとのけぞる。
しかし、それでも諦めてはないようだった。
武器を失い、ヴェンデッタは腕を使いプラネッツナイトに掴みかかる!
だが、目の前で輝く白い刀刃が目の前に見える世界を覆い尽くした。
プラネッツナイトは剣をクロス状に構えた。
零斗は剣を構え言った。
レイト「これで…終わらせる!」
α「あぁ!」
【約束の剣】が更に光を増す。
光が集約し、真っ白な世界を打ち払った。
真っ白な世界から解放されたヴェンデッタは、まばゆい光を前にする。
アスカ「ま…まだ…俺は…!」
零斗とコアガンダムαは息を合わせて言った。
レイト「これが!勇気と!」
α「信じる心!そして!」
レイト、α「愛と約束の必殺技!」
プラネッツナイトはヴェンデッタに向いまっすぐ突き進んでゆく!
レイト「誓いの白き十字架【ホワイトウェディング】!」
そして、ヴェンデッタを十字状に斬りつけた。
αが剣を振り、最後の言葉をきる。
α「その身に刻め…。我らの祝福の誓いを。」
ヴェンデッタは切り裂かれた所から白い花びらに変わり、身体が消えてゆく…
白い刀刃の【約束の剣】も花びらとなり、その剣は形を消した…。
そして…零斗は言ったのだった…
レイト「アスカ。アンタは確かに強い。だけどアンタはその強さを振り回してるだけだ。ただ強いだけじゃ、何も得る事も守る事もできねぇのさ…。そして、ガンプラはただの道具じゃねぇ。それがアンタの…いや、俺達への敗因だ。」
アスカ「クソ…クソォぉぉぉっ!畜生…畜生…!」
零斗の言葉をアスカはどれほど聞いているのかわからない…。
だが、零斗の胸には、信じてくれる仲間達、大切な愛機であり、自分を守りし盾であり、剣となったコアガンダムα、そして…優里との約束が勝利へ導いたと確信していた。
儚く空に舞ってゆく白い花びらを見て、プラネッツナイトは戦場に背を向け、歩いて行く…それとともにフィールドも消えていき、零斗はその戦いに幕を閉じた…
零斗の側には、ナンバーズの仲間達が駆け寄ってきた。
零斗が視線を向けた時、背中からシュウゴが抱きついてきた。
シュウゴ「ゼロ!お前!やったな!やってくれたな!」
レイト「な…シュウ!な…なんだよ急に!」
シュウゴ「俺達、お前の戦いを見てたんだからな!ユリちゃんとのガンプラ、本当に完成したんだな!」
ミツキ「レイトくん…、ユリとの約束の剣、かっこよかったよ。」
続々とナンバーズの仲間が寄ってくる。
一度は抜けたはずの自分の周りには慕ってくれる仲間達がいた。
彼等は零斗を信じていた。そして、零斗も彼等を信頼していた。
その姿を見て、コアガンダムαは少しだけ微笑んでいる様な気がした。
それから数日後…零斗は市長に呼び出されたのだ。
それが、零斗の全てを突き動かすのだった。
市長の下、響を連れて呼び出された。
その言葉には、不思議なことを告げられたのだ。
アルマ「さて、ここに君たち三人を集めた理由だが、突然だが君たちにはチームになってもらう。」
突然の事だった。
だが、自分が代表選手となって戦えることに嬉しさもあった。
その場では呼ばれた人たちとは言葉を合わせていた。
しかし…
零斗はそれから数時間後にチームとして選ばれた人達を呼び出した。
ヒカルとレイカ、彼等を公園に呼び出し、たずねた。
レイト「アンタ達は、今どう思ってるんだ?」
ヒカル「どうって、何がだ?」
レイト「チームとして選ばれた事に対してさ…。」
レイカ「そんなの、嬉しいに決まってるでしょ!」
ヒカル「俺もレイカの言葉に賛同だな。だが、何故そんな事を聞くんだ?」
零斗は少しうつむきながら言う。
レイト「俺も嬉しいさ…。けどよ…俺には不安があんのさ…」
レイカはきょとんとした様な表情をして言った。
レイカ「不安?私達みんな、強いんだから、別に不安なんてないでしょ?」
ヒカル「その通りだ。不安に思う事はない。胸を張ってりゃいい。」
レイト「……。」
レイカ「レイトさん…?」
レイカは何も言わない零斗に心配をする。
そして…零斗は言った。
レイト「俺には…大切な人が居た。俺はその子を守る事も…助ける事もできなかった…。だから、俺はチームを抜け、1人で闘っていた。」
レイカ「でも、それって過去の事でしょう?今は別に1人じゃなくても…」
レイト「怖いのさ…」
レイカ「へ…?」
レイト「俺は、また仲間を守る事ができないと思うと…怖いんだよ…あの日の彼女の…ユリの悲しい顔を思い出して…」
ヒカル「レイト。」
零斗が顔を向けると、目の前に来たヒカルが思いっきり顔を殴った。
レイト「ぐふっ…」
レイカ「ヒカルさん!何してるんですか!」
ヒカルは零斗の胸ぐらを掴む。
ヒカル「レイト。お前は何故1人で守ろうとするんだ!お前は、自分だけが犠牲にでもなるつもりか!」
レイト「じゃあ、どうしろってんだよ…。」
ヒカルは言った。
ヒカル「俺達にお前の背中を預けてくれ。」
レイト「…っ!」
ヒカル「俺も、お前とレイカに俺の背中を預ける。」
レイト「そんな事して…後悔しねぇのか…。俺は…一度はその背中を守れなかった奴だぞ…。」
ヒカル「それでもだ。お前には、俺の背中を任せられるほどの強さと、信頼がある。お前の元居た仲間達からも聞いた。ただの強さだけではなく守る為の強さがあると。お前を信頼をしている。ってな。」
レイカ「そうだよ!私が零斗の背中を守るから!零斗も胸を張って私達を守ってよ。」
零斗はようやく理解した。仲間達があんなに戻って来いと言っていたのは、零斗に守ってもらうためではない。彼等が零斗を守る為…そして、零斗の安心すべき帰る場所だと。その彼等も彼の帰りを待っている。
零斗は言った。
レイト「お前達に俺の背中を預けていいのか…?」
ヒカル「あぁ。任せてくれ。」
レイカ「うん!」
零斗は少し鼻で笑うと、こう言った。
レイト「俺の背中は2人に預ける。そして…お前らの背中は俺が預かった。騎士として…いいや…仲間として。」
3人は互いに目を合わせた。
そして、レイカが手を前に出した。
ヒカル「レイカ、どうしたんだ?」
零斗もきょとんとした顔でレイカを見ている。
レイカ「ほら!みんなこっちで輪になって!」
二人はレイカの回りに来て、輪の形になる様に距離を取ると、レイカがもう一度手をグーの形にして前にだす。
レイカ「これは、私達が今からチーム[シャイニングゼロ]としての証!」
ヒカルは少し笑いながら、手を前にだす。
ヒカル「そうだな。俺たちは今から、本当の意味でチームとなったな!」
零斗も続いて手を前に出す。
レイト「アンタ達みたいな奴らと仲間になれるなんて光栄だな。よろしく頼む。」
3人は出した拳を互いに近づけ、仲間としての証、誓いを立てた。
全員、良い顔をしている。1人だけ少し血を流しているが()
そして…零斗はレイカ達と別れてすぐにナンバーズが使っている小屋に向かった。
この場所に来るのは数ヶ月ぶり以上の零斗の来訪に、揃っている仲間達は驚愕の表情を表した。
そして、いつも零斗が座っていた席は空いていた。
皆が彼の帰りを待っていたという事の現れだった。
扉が突然ガラリと音を立てて、開く
シュウゴ「レイト…!?なんで、お前…」
レイト「い…いや…なんつうか…一つだけみんなに伝えたくてな…。」
ナンバーズは全員静かになった。そこに零斗が言った。
レイト「みんな、俺はまた必ずここに戻ってくる。今は事情があってすぐに戻れねぇけど…、約束する。俺は、またみんなとガンプラバトルがやりてぇんだ!」
全員が鎮まり帰る中に、シュウゴが零斗の前へ歩み、口を開いた。
シュウゴ「いつでも…戻って来い!俺もレイトと…ゼロとまた一緒にバトルしたいから!」
そして、零斗とシュウゴは互いに強い握手をした。
それは、お互いに信頼しているからこその強い約束の印だ。
シュウゴ「ところで、お前なんで血を流してんの?」
ミツキ「あ…本当だ!救急箱!ほらレイト!そこに座って!」
ミドリ「あ!こら!あんた、レイトの事が好きだからって、それはダメよ!」
ミツキ「な…何よ!私だってレイトの事ずっと好きだったんだから、少しくらい良いじゃない!」
レイト「お…お前急にそんなカミングアウトされたってな…いっっってて!」
口元の傷口にミツキが消毒液を吹きかけると、零斗はすごい痛がっていた。
ミツキ「こら!動いちゃダメだってば!」
レイト「お…お前もう少し優しくしてくれって!本気で殴られて結構痛いんだよ…あぁっ!いてぇって!」
ミツキが零斗の腕をがっしりと掴み、零斗の逃げ場をなくさせている。
ミドリは零斗からミツキを引き離そうとするも、彼女の腕力の強さに驚き全く離れない。それを見ている男子達は…
ハジメ「あ〜あ。またやってんな。」
ヒロ「本当ですね…。何故かいつも女の子達にベタベタされちゃって…ユリさんの居た時だって、いつもこんなだったですし。」
ハルヤ「レイト先輩ばっかズル〜い!俺もモテた〜い!」
ヒロ「いや…どう見てもレイトさんが1番迷惑かかってるから…」
シュウゴ「やれやれ…」
レイト「お前ら少しくらい助けてくれよ!」
シュウゴ「帰ってきたら助けてやるから。」
レイト「シュウ!お前…!」
ミツキ「こら!レイト動かないで!」
シューッ…
レイト「ギエェェェェエッ!!」
次の日、零斗は天理に呼び出された。
レイト「突然なんですか?アマリさん。」
元気な姿を見せる零斗を見て、天理は駆け寄った、
アマリ「レイト君!身体の具合は!無茶な事してない?」
レイト「だ…大丈夫ですよ。ゲリラバトルの日は確かに少しきつかったですけど…ギリギリなんとかなりました。」
天理は安堵のため息をつく。そして、零斗を優しく抱きしめた。
アマリ「良かった…。本当に…」
レイト「な…なんですか急に…!?」
アマリ「貴方の心配をしているのよ。心臓に負荷をかけるといつどうなってもおかしくないんだから!」
レイト「アマリさん…大丈夫ですよ。俺は。」
そう言って胸を張った。天理の胸に比べると全然平たいが、それでも、がっしりとした胸だ。
その後、零斗は思い出したかのように箱を手渡した。
その箱には、零斗の大切なプラネッツナイトのアーマー一式と、【勇気の剣】、【約束の剣】、【誓いの盾】が入っていた。
零斗の強さと勇気、優里の愛と約束、αの使命と誓いその全てを渡してきたのだ。
アマリ「レイト君!なんでこれを…これは貴方の!」
レイト「このデータは全て転送済みですから。だから…アマリさんに持っていて欲しいんです。」
アマリ「そんな…!私なんかより、弟君やナンバーズの人達に預けた方が…」
レイト「アマリさんにだから、預けられるんです。また、コレが盗まれない為…そして…いつか俺のことを知るかもしれない弟や友達、大切な人達の為に。」
天理は考えた。
アマリ「レイト君、こんな大きな責務を私なんかに頼んでいいの?」
レイト「はい!」
アマリ「…。わかったわ。それまで大事に持っておくわね。」
そして、零斗は天理にナイトアーマーを託し、帰路についた。
その背中にはなんの曇りも無かった。
あんなに背負っていた彼からは、全くと言って良いほど。
そこから彼の栄光は始まった。
そして…それから半年後に彼は心臓の病に倒れ、この世を去った。
だが、彼の亡き後もその道を歩む者がいる。
彼の付けてきた足跡は無駄ではないのだ。その足跡を辿り、彼の見れなかった先を続く者達が道を広げ、足跡の先を作ってゆく…
そう…彼の栄光は終わらない…。その道はどこまでも続く…彼の意思と共に…
コレが、有音 零斗の真実。
彼の過去と、彼が無形のZEROに至るまでの物語。
その英雄譚は、簡単なものではなかった。
数々の苦難、出会いと別れ、そして彼の呪いとも言える病との闘い。
その全て…
そして、彼の英雄譚は終わってはない。
義之という女の子と、その仲間達、それが彼の新しい歴史の1ページになっているという事を。
アマリ「ごめんね。話してたら、長くなりすぎちゃったわね。」
天理の話を全て聞き終えた蓮斗は涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら言った。
レント「レイトざぁんは、ほんどうにずごいひどだっだでずねぇぇ…!」
アマリ「あらあら。そんなに泣かないの。男の子でしょ。」
ティッシュとハンカチを取り出して、蓮斗を宥める。
そこに、義之は声を発した。
キノ「レイトさんは、何故僕に全て教えてくれなかったんでしょう…。こんな話、言ってくれても良かったはずです。」
アマリ「まぁ…彼、ツンデレだし、自分のことをあんまり高らかに語ったりする人じゃないから。でも、私はそんな自分を着飾らないレイト君は好きよ。」
キノ「な…っ!僕への当てつけですか!僕だってレイトさん大好きなんですから!」
アマリ「あらあら。勘違いさせちゃったわね。私は、あなた達の恋愛には入らないわよ。ただ、彼を友達として好きだって事よ。」
キノ「うぅ…。僕だってレイトさんを友達として!いいえ!友達以上に大好きなんですから!」
アマリ「ふふ。こんな事聞いたらユリちゃんも妬いちゃうね。こんなにモテモテの彼氏がいるなんて。」
女子トークを繰り広げる中、響は少しうつむいている。
シロウ「どうしたんだ。そんな顔をして、」
ヒビキ「いえ…僕は、兄さんの事を知ったつもりになってたんだなって…。」
四郎は響の頭をポンと撫でる。
シロウ「レイトは君を不安にさせない為だったんじゃないかな。俺は、レイトじゃないから実際の所はわからないが、きっと、彼は強い姿だけを見て欲しかった。そんな気がする。」
響は少しだけ笑みを浮かべて返した。
ヒビキ「そうですね。兄さんは、そういう人でした。きっと、僕の前では立派な兄を演じたかったんですね。」
響は天理に聞いて良かったと心の底から肯定した。
アマリ「さて、じゃあここから、やっちゃいましょうか!」
そういうと、天理はバトルフィールドの電源を付ける。
対戦する感じのない一同はびっくりしている。
キノ「アマリさん、今から闘うんですか?」
アマリ「えぇ。そうよ。みんなには戦ってもらうわ。」
キノ「僕らで…ですか?」
その瞬間、天理は不敵な笑みを浮かべた。
アマリ「キノちゃん、ヒビキ君、デバイスを貸して。」
2人「え…?」
キノ「僕たちのデバイスを使うって…」
ヒビキ「アマリさん、今から何を…」
天理は続ける。
アマリ「言ったでしょ。戦ってもらうって。でも、戦うのは、貴方達同士でじゃないわ。」
一同は皆驚く。
アマリ「貴方達は今から、レイト君と戦うのよ。」
一瞬の静寂…その後、全員は顔を見合って言った。
一同「えぇ〜〜〜〜っ!?」
〜つづく〜
如何でしたでしょうか?
英雄譚とも呼ぶべき彼の辿ってきた足跡
さらに隠された真実、それとともに誰にも姿を見せずに封じられたアーマーと、【約束の剣】
そして、知られざる戦いと仲間との絆。
守る事のできなかった大切な人との約束、届かない手を次は必ず掴む為…孤独に立ち向かう傷だらけの騎士
しかし、その真の強さには絆が常に彼に力を与えてました。
信頼する人たちとの絆、彼の帰るべき場所で待ってくれる者達
そんな彼と次回は戦う事になります。
闇を打ち払い、絆を信じる彼の全盛期の強さはどれほどの物なのでしょうか。
次回にお楽しみください。
アキラとの闘いでさえ、封じていた力が明かされた。
アマリからの提案により、彼等に圧倒的な壁がたちはだかる。
始まりのαと、終わりのZの直接対決
その闘いからレイトの真の実力が明かされる事となる。
次回「記憶への挑戦!」
色褪せぬ伝説が目を覚ます