ガンダムビルドブレイカーズ after ZERO   作:有音 響

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幕間の章〜!


エピソードα〜使命と絆の物語〜

これは、作られた命が人と共に過ごし、心を得て、自分の使命を果たすまでの、小さきガンプラの物語。

 

私の名前はアルファ。コアガンダムα。

これは、私が生まれ、使命を持つまでの話だ。

私には2人の創造主がいた。私はそれを[主]と呼んだ。

そして、その主は2人だけではない。もう1人忘れてはならない[主]が居る。

1人は、私を作り、共に戦った[主]

1人は、私に沢山のことを教えてくれた[主]

1人は、私を長い間大切にしてくれた[主]

彼等との出会いが、私を作ったのだ。

そして、そんな私の思い出を語らせてほしい。

 

それは、私が命を受ける前の事だ。

私は、とある棚の箱に詰められ、一つ一つの形のある物体として生まれた物だった。

ユリ「レイト君、私はこれがいいな!」

1人の人間が私の入っている箱に向かい声を出している。

ユリ「このガンプラ、小さくて可愛いし、アーマー?ってやつを付けると普通のガンダムみたいな大きさになるんだよ!」

冬白 優里(フユシロ ユリ)私の主になる人だ。彼女は私を見た時、隣に居る男に話しかけていた。

レイト「ほぇ〜。」

この気の抜けた声を漏らしている男は、有音 零斗(アリネ レイト)。私のもう1人の主になる人だ。

2人は話を続けていた。

ユリ「私、レイト君にはこのガンプラを作ってもらいたいな!」

レイト「え?俺が?」

ユリ「うん!」

レイト「しょ…しょうがないなぁ。」

ユリ「私も作るの手伝うからさ!大切にしようね!」

2人は私の入る箱と一緒にもう一つ箱を持ってきたようだ。

2人して、何かの上に私の入った箱を置いた。そして、私は初めて光というのを見た。眩しすぎるほどの光。

だが、私は、その光に暖かさを感じた。蛍光灯の光…それでも、私は今からきっと役に立つ事が来ると感じていた。

箱から取り出し、中に詰まっていた袋からランナーと呼ばれる私の一部がバラバラに固定された物をニッパーと呼ばれる硬い物質の物で一つ一つ丁寧に外していく。

レイト「ユリ、気をつけろよな。ニッパーで切っていい部分とダメな部分は間違えんなよ?」

ユリ「わ…わかってるもん!私だって、ちゃんとガンプラは作れるんだから!」

ガンプラ…?私はそれを自分の名前だと勘違いした。

そして、1時間…さらにもう1時間と時が流れる。

私の心臓である部分の胸のパーツを主が手に取った。

ユリ「綺麗な色〜。」

レイト「ほら、早く取り付けてやろうぜ?」

そして、私の胸にそのパーツが差し込まれた。私は、この瞬間生まれたのだと思った。しかし、コレだけでは無かったようだ。

ユリ「なんだか、顔が少し怖いなぁ…」

レイト「そ…そうかぁ?俺はシュッとしててかっこいいが…」

ユリ「一緒に買ったこの子の頭のパーツと取り替えていい?」

レイト「まぁ、別に構わねぇが…」

私の頭のパーツが変えられた。その時の主の声は、すごく満足してそうな声だった。

ユリ「うん!こっちのお顔の方が可愛い!」

レイト「お、おぉ…コレはコレで、悪くねぇな…。全然良い」

ユリ「でしょでしょ!」

レイト「あとは、コイツの名前だな。」

ユリ「この子の元のキットの名前がコアガンダムII、だっけ?」

レイト「あぁ。」

ユリ「コアガンダムにプラスアルファ…?」

レイト「…。コアガンダムα…。」

ユリ「ん?」

レイト「コイツの名前は、コアガンダムαだ。」

ユリ「うん!かっこいいし、可愛い名前!」

レイト「コレで、俺たちのガンプラは完成したな!」

ユリ「うん!よろしくね!α!」

コアガンダムα。私はその名前を受け、私は彼等に作り出された。

 

私は名前を付けてもらい、私を作りだしてから、毎日私の手入れをしてくれた。

しばらくしないうちに、彼等は私を持ち歩くようになり、一緒に行動する事になった

主のユリが好きだった桜の木、レイトから学んだ力の使い方

私はここから彼等からたくさんのことを学んでいくのだ。

それは、レイトが偶然居ない日のことだ。

何かの用事でナンバーズという仲間と一緒に過ごす場所に行けなかったそうだ。

その日、私はユリと共にいろんな場所を見てきた。

ユリ「ねぇ。α。私、君が完成してから毎日楽しいんだ!」

彼女は私を操縦し、仮想世界と呼ばれる世界の景色を見ていた。

ユリは私に話を続けた。

ユリ「αが居るから、いろんな世界、いろんな景色を見れて楽しいんだ。」

私にはこの時はまだ彼女が何を言っているのかわからなかった。

そこで、私は彼女に尋ねる事にした。

しかし、最初に話すという事を学ぶのは難しいものだった。

たくさんの言語があった。

彼等と同じ言語を理解する時間も必要になった。だが、私はゲームというものを通して、彼等と同じ言語を覚えることに成功した。日本語とは、実に難しいものだ。しかし、この言葉を覚えられなければ、私は彼等と話すことは出来なかっただろう。

私は、カタカナで彼女にメッセージを送った。

α【タノシイ、ナニ?】

それを見た彼女は驚く声を出していた。

ユリ「え?!α、私の言葉がわかるの!!」

私は続けて打ち込んだ。

α【ユリ、タノシイ、ワタシ、ワカラナイ】

ユリは教えてくれた。

ユリ「ん〜っと…楽しいって言うのは、なんだか、心が温かいっていう気持ちというか…なんだろう?嬉しい?えっと……。と、とにかく!私はαと一緒にこの世界を見て過ごすと、気持ちがあったかくなって、楽しくなるの!」

最初は難しかった。しかし、私は彼女の言葉を受けて、私は彼女と話せている事に楽しさ、嬉しさを感じていた。

私は、彼女に返した。

α【ワタシ、ユリ、ハナスノ、楽しい】

ユリは顔を真っ赤にしていた。この時の私にはよくわからない状況だった。

ユリ「私も、αと話すの楽しいよ。」

私は、彼女から言葉、感情を教えてもらった。

それからも彼女から色々な感情と言葉を教えてもらった。

ユリ「ねぇ、α!聞いて!レイト君ったら酷いんだよ!」

α【どうしたノ?ユリ。楽しい、デハナイね。】

ユリ「楽しくないというか…怒ってるんだ!」

α【オコッテル…?】

ユリ「そう!怒ってる!レイト君ったらさ、他の女の子にもモテるからって、私が居る前で他の女の子と話たり、手を繋いだりして…もう!許さないんだから!」

α【オコル、ユルサナイ、わからなイ。】

ユリ「あ、そっか…えっと…怒るって言うのは、今の私だったら…頭にくるというか…プンプン!って!えっと…あとはそう!なんか胸の奥から炎がグラグラ!って、燃える!って感じ!」

α【ユルサナイ。は、同ジ?】

ユリ「許さない…は、違うね。なんというか…相手が悪い事をしたから、怒ってて…うーん…なんて言えば良いんだろう。とにかく、怒るだけじゃ足りない時に《許さない!》って、気持ちになるんだ。」

α【ユリは、レイトを許さない。怒ってル?】

ユリ「そうそう!そんな感じ!だから、今はレイト君が謝るまで待ってるつもり。」

α【アヤマル。何?】

ユリ「えっと…相手が《ごめんなさい》って言う事かな。謝る事は大切な事だからね。」

ユリは私に謝るという事を教えた。

その数日後、

レイト「何日かぶりに操縦すっけど、やっぱ楽しいな!」

私はレイトが操縦している所にメッセージを送ったのだ。

α【レイト。ユリ、怒ってる。アヤマルまで、許さない。】

最初にコレをみたレイトは驚いていた。まさか私が彼等と同じ言語で話せるという事に。

レイト「え…。お前、言葉が通じてんのか…?」

私はメッセージをさらに飛ばすことにした。

α【ユリ、1人。寂しい。レイトを怒ってる。】

レイト「あ…あの時のか…。そうだよな…わかった。ユリが来たら謝るよ。」

レイトはそう言っていた。10分もしないうちにユリは私達の居る場所に来てくれた。

そして、来て早々、レイトはユリに言った。

レイト「あ…。ゆ、ユリ。その…ごめん!」

ユリ「え?レイト君が自分から謝ってくるなんて。」

レイト「い…いや…そ…それが…」

私の方に向いてレイトは言った。私に謝る様に言われたという事を。

ユリ「α…。そっか。αは良い子だねぇ〜!いつもならレイト君素直に謝ったりしないのに。」

レイト「べ…別にそんな悪い事ばっかしてねぇだろ!?」

ユリ「そんな事言って他の子と一緒に手を繋いだりしちゃってさ!」

レイト「あ…アレは…。ただ手を怪我してただけで…」

レイトとユリは言い合っていた。だが、私はそんな2人が【タノシイ】と思う気持ちをだんだんと理解し始めていた。

私はレイト達からたくさんの事を学んだ。

 

レイトは私を使い、様々な人達と闘った。時には負ける事もあった。

しかし、レイトは強い人間だった。

たとえ負けても、諦めたりせず、何度も努力をしていた。

そんな彼の戦いを私は常にインプットし、データに収めていた。彼の闘い方のクセも見えるようになった。

 

ユリは、私に心を教えてくれた。最初は全く理解のし難い事だったが、彼女達と話していくうち、少しずつ人間という者の感情を理解した。

そして、運命の日も少しずつ迫っていた…

 

それから数ヶ月が経つくらい日が過ぎた時のことだ。

私は、彼等から言葉、心を学んでいった。まだまだ知らない事はあるとはいえ、彼等の[楽しい]、[怒る]などの感情を知る事ができた。

そんなある日だ。最近のレイトは機械ばかりをいじっている。

ユリも最近はあまり顔を合わせたりしないのだ。

だが、そんな日が多く続くある日、ユリは私と一緒に仮想世界の海を見に行った。

ユリ「ついた。」

α【海、綺麗だ。なんだか、心地よい気持ちになる。】

ユリ「αも、だいぶ言葉が上手になってきたね。成長が早いなぁ。」

α【ユリが言葉を教えてくれたからだ。ありがとう。】

ユリ「α…。」

ユリは小さな言葉で言っていた。

ユリ「αが…私の本当の子供だったなら…」

あの時の私は、彼女の言葉が半分ほど聞き取れていなかった。

しかし、彼女はなんだかいつもとは違う様だった。

私は、まだ練習中の人の言葉を彼女に伝えてみる事にした。

α「ユリ。らしく無いな。いつものように、笑って。」

ユリは私の声を聞いた時、一瞬だけ驚いていた。

ユリ「α…もう喋れるようになったんだね…」

α【まだ、少ししか、話せない。】

私も実力が足りていなかった。あの言葉しか彼女に話せなかった。それ以降はメッセージだったが、ユリは表情に明るさが戻った。

ユリ「ありがとう。α。少しだけ元気になれたよ。」

ユリは私に笑顔を向けてくれた。

だが…そんな彼女との思い出は一瞬にして消え去る事になったのだ…

ユリと話した数日後の事だ…。

私はレイトのバックの中にしまわれていた。

そんな私をユリは見つけ、手に取った。

ユリ「α。お願い。少しだけ力を貸してほしいの。」

ユリは私に向かって言った。今はゲームの空間では無い。だから、メッセージを送りたくても送れなかった。

私の隣にしまわれたアーマーも一緒に取り、ガンプラバトルのフィールドの置かれた場所に連れて行った。

彼女達の世界では、体育館と呼ばれる場所にフィールドが設置されているようだ。

生徒A「へぇ〜。ちゃんと1人で来たんだ。ま、そりゃ1人で来るか逃げるかしかできないからな。変態さん。」

ユリ「お願い!私が勝ったらその写真を捨てて!」

生徒A「それはもちろんさ。約束だからね。でも、本当に勝てるのか?」

ユリ「私だって、ナンバーズのチームメイトよ!貴方1人くらい…!」

生徒A「誰が、[1人で]なんて言ったか?」

体育館の別の扉から2人の学生が入ってきた。

ユリ「そんな…っ!そんなの!卑怯じゃない!」

生徒A「卑怯?僕らがいつ決闘だなんて言ったかな?」

生徒B「俺らはお前にこの写真をばら撒かれたくなかったら、戦えと言っただけだ。別に[1対1]とも[決闘]とも言ってない。」

ユリ「……っ。」

ユリは私を握っていた。

その手が震えているのが、私にも伝わってくる…。

私は、ユリが私を使い闘った事はない…。

私が彼女を助けなければいけない。だが…

3対1では、全く歯が立たなかった…

闘いの終盤だ…

私は片腕を破壊されていた…

アーマーも使った。だが、ユリも1人で相手をするには限界があった…

力無く座っている私を相手の彼等は蹴り飛ばし、笑っていた。

ユリ「う…っ!」

ユリも苦しそうだった。

ユリ「こんな闘いになんの意味があるの…」

生徒A「意味?意味なんてない。ただ、お前らが気に食わないだけだよ。」

私はまた蹴り飛ばされた。

ユリ「気にいらない…それだけで…人の弱みを握るなんて…!」

生徒B「お前らみたいな奴らがいるから、俺たちは目立たないんだよ。あのナンバーズとかいうチームがあるから!お前らみたいなのがいるから俺らは比べられて格下だと見られんだよ!」

私は抵抗しようとした。だが…相手は3人だ。3人も対応する事は出来なかった…

ユリはそれでも闘おうとした。

私は…ユリが無理矢理闘う姿勢を見せていると理解した。私は彼女に声をかけて止めに入った。

α「ユリ。もうやめよう。こんな闘いに意味はない。君が苦しむだけだ。」

ユリ「α…。それでも、私はやらないといけない…」

α「嘘をつかないでくれ…!」

ユリ「でも…私は…勝たないと…みんなに…レイト君に…」

彼女は何かを隠していた…。私は、彼女が何を言っても引かないと理解した。

だから…私は、降参の花火を打ち上げた。

その光が相手にも目視されている。

ユリ「α…!何してるの!」

私はユリを止めたくて必死になって声を出した。

α「私にできるのはこれだけだ…。もうユリにこんな闘いをさせたくない…」

生徒A「へぇ〜。降参か。なら、もう手加減も要らないなぁっ!」

彼等は私を蹴り上げた。

私は、確かに降参を宣言したはずだった。だが…戦いとは無情なものだった…。

ユリは衝撃が体に伝わり、絶叫の様な声を出していた。

ユリ「きゃあっ…!」

地面に横たわる私の首を掴み、相手は言っていた。

生徒A「はぁ。結局、お前はただの弱虫だったな。そんなだから父親にもあんな恥ずかしい姿にされて、されるがままになるのさ。」

私は残った片腕で必死に手を離そうと抗った。

生徒A「へぇ?まだ抗うんだ。」

ユリ「α!もういいの!やめて!」

私は、彼女の言葉を聞かなかった。彼女はもう戦えない。だから、私が彼女を助けるしかない。必死に相手の腕を掴み、その手を振り解こうと力を入れていた。

しかし…

ジュッ…という音が私の胸を貫いた…。

その瞬間、私は力が抜けるように動けなくなった…

私は…あの瞬間負けたのだ…

 


次に意識を戻した頃には、目の前には目を真っ赤にしたレイトが居た。

暗い部屋の中に、レイトがいる。

私は、ユリがどうなったのか知らなかった。

次の日には、ユリは…もう帰らぬ人だった。

私は…初めて怒りというものの全てを理解した。

ユリはもう…2度と私に声をかけてくれない。話もできない…顔を見ることもできない…

私の胸の奥が焼ける様に熱くなっていく…

ユリが言っていた怒るという意味がこの瞬間わかったのだ…

数日後、私はユリを殺した人達と再び闘う事になった。

レイトも怒っていた。

私は、レイトに最善の選択を与え、私はスタンバイ状態から敵に狙撃ができる態勢を作った。

私に備えられた「リミテッドチェンジ」システム。この力を120%以上の力でレイトは発揮し、私は彼の怒りにも答えた。

相手は以前とは違う姿のガンプラを使っていた。

そのガンプラのアーマーは、のちに私が使うアーマーになるとは予想もしていなかったが。

決着がついた。だが、エンドコールは鳴らない。あの時と同じだ。私が降参しても、終わらなかったのと同じ事。

レイトはその怒りを相手に向けて何度も刃を突き刺していた。

だが、レイトは突然苦しみだした

レイト「ガハッ…」

レイトは血を吐き倒れた…

私は、レイトまで居なくなると感じていた。

私は必死だった。彼までなくしてしまったら、私は…

その時、私が抱く怒りが私に力を与えた。

画面は赤く染まっていた。だが、私にはそんな事は全く関係なかった。

相手のガンプラの腕を引きちぎり、構えていたライフルを取り上げた。

生徒A「な…なんで…なんで動いてるんだよ!」

相手はそれでも抗おうとしていた。まるで、あの時の私のように…

しかし、私はもう片方の腕で抑えつけた。

α「これは!私と!レイトの怒りだ!」

ビームを何発も打ちつけた。

そして、闘いは終わりを告げた…。

私は…ユリの仇を打った。だが…虚しかった…。

ユリはもう私に声をかけてはくれない…。この闘いに…なんの意味があるのか…わからなかった…。

 

数日した頃、レイトは無事に帰ってきた。

だが…レイトは悲しい顔をしたままだ…。

私は、レイトも同じ気持ちなのだと感じていた。あんな闘いをした所で、ユリは戻らないのだ…。

ただの復讐、虚しいだけの闘いだという事に…

レイトはナンバーズから抜け、1人になった。

 

1人になったレイト共に過ごす事1ヶ月が経ったころだ。

レイトはとある場所に私を操縦してその場所に向けてブーストをかけていた。

その場所はユリとの思い出のある桜の木だ。

この場所はGBNで再現され、発展前のガンプラバトルのフィールドからずっとデータとして残っている場所だ。

この場所は私とユリ、レイト、みんなの思い出の場所だ。

そこに、レイトは私を動かしてここに連れたのだ。

そして、レイトは私に言った。

レイト「なぁ、α。」

α【どうかしたかい?】

レイト「お前に、見せたいものがあるんだ。」

そう言って、とあるカーソルに合わせた。

私の身体の周りにホログラムから生み出されたアーマーが舞っていた。

そのアーマーは私に一つずつ取り付いた。

そのアーマーが装備された時に私は

α「このアーマーは…。っ!?」

私は、喋れるようになっていた。

あんなに言語を使う事に必死だった私が、すらすらと声を発していた。

レイトも驚いていた。

レイト「α、お前喋れたんだな。」

そんな事を言っていた。

さらに、私に装備されたアーマーから、私は力を感じていた。

だんだんと力が溢れてくるのが伝わってくるのだ。

α「力が溢れてくる…。」

レイト「このアーマーはナイトアーマー。多少の攻撃はびくともしねぇ鎧、極限まで突き詰めたスピードが特徴の俺達のアーマーだ。そして…」

レイトは次のカーソルを押し、とある武器を出した。

目の前には、刃が白い剣が目の前に現れた。まだ光を発さない白き剣…

レイト「その剣は、ユリが作って色をつけたものさ。だが…ユリがお前の今の姿も、その剣を持つ姿も見る事は無くなっちまったけどな…」

レイトが説明すると、私には不思議な感情が溢れてきた。

そして…ぱらぱらと雨が降り出した。

レイト「んぁ…?通り雨か…?」

空は少し曇りを見せ、雨が小さく降りしきる。

私はアーマーを装備したまま膝をついた。

ドスンッ…という音にびっくりするレイトは私に話しかける。

レイト「α、どうした。」

そして、メインカメラに砂嵐が流れるように映る。

レイト「砂嵐…。どうなってんだ。」

だが、レイトは理解した。私が原因だという事を。

レイト「α…お前。」

私は、この感情がわからなかった。

α「レイト…。私に…もっと早くこの力があれば…私は…ユリを…彼女を…。」

レイト「α…」

α「レイト、教えてくれ…。この感情がなんなのか…」

レイト「それは、悲しいって感情さ…」

α「カナシイ…」

レイト「あぁ…。誰かを亡くした時…もしもこうしていればと思った時に起きる感情さ…。」

α「そうか…コレが…悲しい。というものなのだな…。」

レイト「ユリはいつも楽しい姿しかお前に見せてなかったんだな…。」

私は、レイトの言葉が深く刺さった。

α「レイト…。もし、私がこの力をもっとはやくに手に入れていたら…、私はユリを助けられる事ができたのだろうか…」

レイト「………。必ず助けられるとは言い切れねぇよ…だが、お前は充分やってくれた。お前はユリの為に必死に頑張ってくれたんだ。俺は…それだけでいい。お前は何も背負わなくていいんだ。」

レイトは私に言ってくれた。

α「レイトよ…。」

レイト「ん?」

α「私は、君を何があっても守り抜く。これは…私が君にできる唯一の償い…」

レイト「…あぁ。頼りにしているぜ…。プラネッツナイト。」

私は、この名前を言われた時、不思議に思った。

α「プラネッツナイト…?」

レイト「あぁ。今のお前の名だ。このアーマーが完成した時に、ユリが付けるって言っていた名前さ。ギャラクシーナイトとか、色々あったけどよ、ユリが「プラネッツシステム」の発展型なら、この名前にしたい。ってな。」

α「そうか…。ユリが私にくれた最後の贈り物…。」

私は、立ち上がり、彼女が残した剣を手に取り、その剣を空に向けて掲げた。

α「亡き主、ユリよ。私は、この剣とこの力とともに約束しよう。必ず主を守り抜く事を。」

白い刃の剣から、暖かい光を放ち、降りしきる通り雨を打ち払った。

レイト「な…っ!なんだこの力…!」

空に浮かぶ雲も払い除け、桜の木の周りには晴天の光が私達を暖かく迎えた。

私の手元には、今まで無かった優しい光を灯し続ける剣があった。

レイト「約束の剣…」

α「レイト…?」

レイト「そいつの名前さ。」

レイトは私が持つ剣に名前を付けたのだ。

レイト「約束の剣。ユリと俺とαの…最後に結んだ約束が刻まれた剣だ。」

α「この剣は…きっと使う瞬間が訪れる。」

レイト「そりゃ来るさ。だが、この剣は俺達の想像以上に力を持っている。普段使いはなかなかできねぇな…。」

α「あぁ。私達のいる場所以外の天候が、大嵐になっている。コレを無闇に使うととんでもない事になるな…」

私は、剣を降ろし、レイトはその剣を元の場所に仕舞った。

 

だが、私のこの約束も…長くは続かなかった。

私は【約束の剣】を2回ほど振う事があった。

しかし、この場でその話をするつもりはない。

その剣を振るったのは、私達の力を証明する為、押し付けられた正義を跳ね返す為…逆転しない正義を証明する剣だ。

 

それから半年も経たない頃だ…

レイトは仮装世界で眺めの良い場所から私から降りて陽が沈むのを眺めていた。

準決勝を勝ち進み、その日の夜にレイトが言っていた。

レイト「もうすぐ決勝か…。」

α「楽しみなのか…?」

レイト「いいや。楽しみっちゃ楽しみだけどよ、俺は…コイツも一緒に優勝させたくてな。」

レイトは手元のカーソルを押した。そこから、私の前に剣が現れた。

私はその剣を手に取った。

α「約束の剣。彼女との約束が刻まれたこの剣を何故…」

レイト「俺が強くなった理由だからさ。」

α「強くなった?」

レイト「そうさ。俺はユリが居なくなって、自分の弱さを痛感した。だから、俺はもう同じ過ちを繰り返させない為に強くなった。」

α「レイト、君は充分強い。」

レイト「俺はまだまだ弱ぇよ。だから…その剣の力を借りて、優勝を取って、ユリに見せたいんだ。お前が居てくれたから強くなれたって証明をな。」

α「レイト…。」

レイト「ま、ヒカルやレイカと出会って、それだけが全てじゃないってわかったけどな。でも…俺は…お前とユリと一緒に勝ち取りたいんだ。」

レイトは私と、ユリも一緒に優勝したいと願望をこぼした。

レイトは少し寂しそうに落ちていく陽を見ていた。

レイト「もうこの世界も、陽が落ちちまうな。この景色も…ユリと一緒に見たかった。」

私は咄嗟に言葉が出た。

α「きっと見ているさ。私達の心の奥に彼女は生きている。きっと今も一緒に見ている。」

レイト「…そうだな。ユリはきっと俺達と同じ景色を見てるな。」

私は、剣を空に掲げた。

その瞬間…ビカァッ!っと光を放った。

α「え…あ…待って聞いてない…」

レイト「お前何してんだよ!」

α「ユリも同じ景色を見てるって言われてなんかつい…」

レイト「とりあえずわかった!わかったからその剣を降ろせ!このあたりだけ真っ昼間みたいになってんじゃねぇかよ!」

α「わ、わかった。」

そして、レイトの方に光を放ったままの約束の剣を向けて降ろした。

その時レイトは…

レイト「うわぁぁぁぁぁっ!目がっ!目がぁぁぁぁっ!」

どこかで聞いたことのある様なフレーズの声をあげていた。

 


その数日後…レイトも帰らぬ人となった。

私が彼と最後に声を交わしたのは、あの日の夕暮れだ…

レイトは、私を握ったまま私に最後にこう告げた。

レイト「α…響を守ってやってくれ…俺の最期の願い…だ…」

あの時のレイトの声の奥には、希望と私に対する信頼が籠っていた。

私は…医者の手によりレイトの手から離れた。

 

レイトも、ユリも居なくなった…。私は…

私は2人の主を無くした。

私はこの先どうなってしまうのか…だが、思い出した。

私にはレイトに託された願いがあったのだ。

医者から私はヒビキの手に渡った。

私の最後の主…。

 


最初の頃、彼はレイトが居なくなり元気すらなかった。

それでも、私の手入れだけは忘れなかった。毎日、彼は私を綺麗にしてくれたのだ。

こんな優しい彼に、私は温もりを感じていた。

そして…レイトに託された願いは、私の彼と交わした最後の約束なのだと痛感した。

 

ヒビキは私が守る。レイトを守れなかった分、私がヒビキを彼の代わりに守るのだ。

 

ヒビキはしばらくガンプラバトルに参加する事はなかった。

私は、彼に声をかける事ができなかった。一度でも乗ってくれたら、彼を励ますことができると願いながら、4年ほどの月日が経っていた。

彼は、ついに私を使う時が来たのだ。

彼の友人のイチカという者が彼をガンプラバトルに誘っていた。

4年ぶりの闘い…私は何故か胸が高鳴った。この日を待っていたかの様に。ヒビキと共に闘う事に喜ぶかの様に。

 

ヒビキはレイトに比べると、実力不足だった。だが、私はレイトから学んだ力があった。彼がピンチの時には私が力を貸し、彼を導いていた。

しかし、そんな私のエゴの様な補助も彼はだんだんと必要とはしなくなった。

彼は、確実に成長をしていた。私がレイトと共に戦ってきた時間を埋め合わせる様に成長した。

 


だが…彼の成長は一時的に止まってしまった。

まだまだ成長できるはずなのだ…だが…彼は最後まで成長できなかった。

ヒビキの胸には迷いがあった。

強くなる事、成長していく事への迷い…その時、私は理解したのだ。

彼には、守りたいものも、強くなりたいという理由もなかった。

 

…レイトには、明確な理由があった。

あの時、ユリを守る事ができなかった。だから誰も失わない為に必死に成長した。だが、この時の彼にも足りないものがあった。信じる心と、過去の呪縛…

そんな彼を鎖から解放したシャイニングゼロというチームが彼に背中を預けられる仲間、帰りを待つ者たちの信頼というものを気づかせてくれた。だから彼は仲間達の為にも強くなる事を選んだ。

 

ヒビキはレイトと同じ、いや…それ以上に強くなれる才能がある。

しかし、彼には彼以上に強い仲間が居る。彼の心の奥に、「みんな強いから大丈夫だろう」という安心があるのだろう…

安心はとても良いものだ。しかし…ただ仲間を信頼し過ぎて背中を預けすぎるのも良くない…。

彼を強くしてくれる人は…居ないのかもしれないな。

だが、きっと彼は強くなれる。いいや…強くなるのだ。

彼にはレイトよりも強い部分はある。

思いやる心、優しさがある。それは…主であるユリに匹敵するほどの大いなる優しさが。

私は、彼が成長していくのを望みながら、彼と共に闘う事を決意した。

レイトとの約束、それが私と彼を結ぶ最後の架け橋なのだから。

 

だが、私には少しだけ希望があった。レイトは近くに居ると直感していたのだ。

彼は、きっと近くで見てくれていると。

そんな時だ。

私はとある女の子の手に渡された。

彼女も私と同じタイプ、コアガンダムを使う者だった。

彼女の名は降霊 義之(ふれい きの)。

彼女が使うコアガンダムは相手に奪われてしまったそうだ。昔を思い出してしまう。私も私のアーマーを奪われた事があったのだから。

後に対峙したコアガンダム、ZEROと私は同じ作者の手で作られたものだと知ることになる。

そう…レイトはまだ近くに居たのだ。

私は、彼女と共に闘うことになった。彼女もまた、レイトにも及ばない。

それ以上に彼女はまだまだ慣れてもいない様な状態だ。

私はそんな彼女に違和感があった。レイトが居るような感覚が…

対戦相手のZEROを操縦するケイ、彼女には必死な様子を感じていた。

私は、彼女とともに闘っていたが、私はZEROに押し負けた。

機体性能の差など、本来ならば気にも留めない。だが、キノは操縦技術も高いとは言い難く、ケイの技量も高かった。

彼女は気絶し、私を操縦する者は居なくなった…。

だが、私も騎士としての誇りがある。例えヒビキでなくとも、守らなければと思った時だった。

 

誰も操縦していないはずのコントローラーが動いていた。

私はその一瞬で理解した。レイトだ。

間違いない。いや、間違えようがない。この動きはレイトのコントローラーを押し込むクセだ。

そして、声が聞こえた。

レイト「行くぞ…α。」

私の空耳ではない。彼が強くなると決めた時と同じ声が私に届いたのだ。

私は、彼と共にZEROと対峙した。

確かにZEROは私の基本性能を軽く上回っている。だが、ガンプラは、私は性能差が全てではない。

私には、ユリを、レイトを、ヒビキを信じる力がある。

そんな信頼や絆は技術や性能も関係ない!

その全てが私達にそれ以上の力を与えるのだ!

そして、私はケイとZEROをナイトアーマーの一閃で打ち倒し、その闘いは終わったのだ。

その時、私はレイトがまだ居たのだと確信した。

ナイトアーマーの使い方も、ヒビキと彼以外に知る者は居ない。レイトはここに居る。

私は、レイトが居る事を確信したその後もヒビキ達と共に闘っていた。

彼も少しだけ様子が違っていた。

前よりも少し強くなっている。きっと、あの時の対戦が彼の心を揺さぶったのだろう。

 


だが、そんなのもしばらくするとまた嵐となる。

数週間以上経過した頃だ。

私とレイトが最後に戦った因縁でもあり好敵手であるアキラが現れたのだ。

彼には、レイトの姿が見えていたのだという。

羨ましいものだ。私はレイトの姿が見えないというのに。

そして、彼はレイトに決闘を申し込んだ。

その決闘を聞いたヒビキは、私をキノに渡したのだ。

どうして私を渡したのか…

だが、この女の子はレイトが見えていて、レイトと過ごしていると言うのだ。

彼女と居れば、私はレイトともう一度闘う事ができるのだと喜んでしまった。

 

運命の日、私はキノの手からヒビキの元へ戻された。どうやら、ヒビキが闘うらしい。

スタンバイしている時、彼は言っていた。

レイト「この感覚…本当に生きている時のようだ…」

私は間違いなくレイトの声と確信した。彼は今、私ともう一度闘うのだ。

姿はヒビキだが、私にはわかる。レイトの手の握り方のクセ、ちょっと変な口調が私の疑惑を確信に変えた。私は咄嗟にレイトに声をかけていた。

α「君ともう一度闘える事を光栄に思う。」

レイト「あぁ。俺もだ…」

そして、私はスタンバイモードに入る中で、彼に小さく尋ねた。

ロックされている剣のマークのカーソル

α「レイト。この剣は使わないのか…?」

ロックされたカーソルが点滅する。

レイトは言っていた。

レイト「あぁ。コイツは男と男の勝負には使わねぇよ。それに…この闘いはユリにも見届けて欲しいんだ。俺の最後の試合だからな…悔いを残さず戦いてぇんだ。」

α「そうか…。コレが最後なのだな…」

レイト「ヒビキも、お前のおかげで強くなってるみてぇだしな。ま、俺に比べりゃまだまだだがよw」

彼は私のおかげでヒビキが強くなっていると言っていた。

彼は…あの日からずっと私達を見ていたのだな…。

そして…レイトと私の最後の戦いが始まった。

sin・スサノオとアキラ、彼らは四年前と比べて遥かに成長していた。

だが、レイトも負けてはいなかった。レイトの強さはあの時と変わらないはずだ…だが、レイトは強くなっていた。いや…強くなどなっていない。レイトは私を信頼していた。そして、私も彼を信頼していた。信頼しているからこそ、彼は生きていた時以上の力を発揮していたのだ。

戦いはどんどん加速していく…私もスサノオも傷ついていく。

ついにエネルギーも限界まで迫っていた。お互いに、コレが最後の一撃だろうと気付いているはずだ。

最後の一閃に全ての力を込め、差し違えた。

私の左腕は差し違えて切り落とされてしまった…sin・スサノオの脇腹にも差し違えた時にダメージを負わせる事ができた。そして、私はエネルギーを少しだけ残していた。

その残った力で私は膝をつくのを耐えていた。倒れない為…レイトの最後の戦いに恥をかかせない為に…

アキラ「私も、その精神に応えて、潔く負けを認めよう。」

スサノオは自分の胸に短刀を突きつけ、自ら対戦の舞台から降りた。

私は、レイトの最後の戦いに花を贈る事ができた。私とレイトの戦いはコレで本当に終わったのだ。

レイト…今までありがとう。

私はコレからヒビキと共に君の足跡を進んでゆくのだ。

 


だが…私の旅路は長くはなかった。

私はヒビキと共にすること数週間の頃だ。

私は、彼と共に少し旧式のガンプラバトルのフィールドに立っていた。

少しばかり懐かしさを感じる…ユリとレイトと共に過ごしていた思い出も蘇る…

森林ステージがベースに立ち上がる。

ヒビキ「ヒビキ、コアガンダムα。出ます!」

旧型のベースとは思えないほど綺麗な世界が広がる。

ヒビキ「こんなに美しい世界があったなんて…」

響が見惚れていると、突然目的地のピンがマップに刺された。

マップに私はピンを刺し、ヒビキを誘導した。

そして、私はヒビキにメッセージを送りつけた。

コレもまた懐かしかった。初めてユリに話しかけた時を思い出す。

『ここは君の兄、レイトの好きな場所だ。彼は言っていた。「この景色を弟とみれたらな。」と。』

ヒビキ「兄さんの好きな場所…」

ヒビキはそのメッセージを見て言っていた。

ヒビキはシステムからナイトアーマーを呼び出し、私に装備した。

私はコレで話せる様になった。レイトがこのアーマーを私に装備させた時と同じだ。

???『やはり君も、私の声が聞こえるようだな。』

ヒビキ「え!?」

ヒビキは私の声を聞いた時、困惑していた。

それもそうだ。ガンプラが話しかけるなんて普通ならありえない事だからだ。

私はついに彼と言葉を交わす事ができた。

4年もの間待ち続けた期待がやっと叶ったのだ。

それから数日後の事…

そんな私達の前に、レイトに因縁を持つ相手が現れたのだ…。

アスカとヴェンデッタ…

レイトが初めて公の場で【約束の剣】を振るった相手だ。

レイトが人を信じる力、愛する力、それを彼に証明する為に振るった相手だ。

私ですら見てわかる。彼らは力に囚われ、力を欲するがまま戦いをやめていない事に…

だが…彼らは力を求め続けた結果、レイトとは真逆の道で力だけを追い求めていた。

そして、彼らは私を見て、ヒビキに決闘を申し込んだ。

ガンプラデュエル…私達ガンプラがゲームと同じ様に身体にダメージが蓄積される本当の闘いだ…。

だが、このシステムは廃れたはずだったのだ。

ガンプラを大切に思う人たちの声を受け、このシステムの機械は全て撤収されたはずだ。だが、今私達の前にあるバトルベースはガンプラデュエルのものだ。私もかすり傷程度では済まない…。

だが、そんなことも彼らには関係のない事のようだった。

闘いが始まった。ヒビキは他のアーマーを柔軟に使い対応した。しかし…

アスカ「早くプラネッツナイトになれ。それ以外の手段は与えん。」

彼らは操縦者がレイトでもヒビキでも関係なかった…。私が目的なのだから。

アスカはきっと、私を記憶に焼き付けていたのだろう。レイトを記憶にも残していない…。いや、彼にとってレイトは関係ないのかもしれない。

目の前で対峙していたのは私の姿のみ。だから私であれば操縦者が誰でも関係なかった。なんというエゴの塊なのだろう…

私は、ヒビキと共に彼らに挑んだ。

だが…ヒビキの技量でも、私のデータでも彼らを討つ事はできなかった…

アスカはヴェンデッタを戦闘のマシーンとしか見ていない。強ければなんでもよかったのだろう…

私はガンプラだからわかる。アスカのガンプラは泣いていた。

私にはその姿を見ているのすら耐えられなかった…

レイトと私はずっと闘いをともにしてきた。そんなレイトも私を大切にしていた。私が悲しいという感情を知った時、彼は私に寄り添ってくれた…。

ユリもそうさ。彼女は戦う事が苦手だった。しかし、彼女は私に心と優しさを分け与えてくれた。

ヒビキもそうだ。彼は私の手入れを欠かさなかった。私と共にレイトの背中を追いかけ、今も努力している。だから私は彼と共に今を歩いている。

アスカからはそんな心境すら見て取れない…

 

こんな相手と闘う意味などあるのだろうか…

 

だが…アスカには意味があった。私は憎き仇…彼は私を討つまで何度でも立ち向かってくる。

ヒビキ「僕は…兄さんのようにはなれない…」

ヒビキはその絶望的な力の差に手も声も震えていた。

 

 

私の最後の使命は…ヒビキを守ること…。

 

 

私は…ユリを助けられず、レイトとの優勝の夢も、約束も果たせなかった…

 

 

私はヒビキを…彼を守ってくれと託された…

 

私は…

 

私は…

 

私の名は…プラネッツナイト。

そうだ…。私はレイトからヒビキを守るという使命を託されたのだ。

私が諦めてしまえば、同じ事の繰り返しだ。

今度は…今度こそは…主を守り抜いてみせる。

 

私は彼に声をかけた。

α『諦めるな。君の兄は…レイトはどんな時も諦めなかった。』

α『君が彼の弟ならば…同じ血を引く者ならば!まだ立ち上がれるはずだ!』

私も満身創痍だ。身体中にヒビが入り、アーマーも形を保っているのがやったというほど…

それでも、私には立たなければならない理由があった。

ヒビキを最後まで守る…

それまで、私は膝をつく事は許されない。

たとえ…もう2度と修復できなくなろうと…私は、私に与えられた最後の使命を果たす為なら!

レイト、ユリに手向ける花となるのなら!

 

ヒビキも私の言葉で立ち上がった。

やはり彼は強い…。いつか、レイトを追い抜いてしまうほど…

私達はヴェンデッタに抗った。

誰が見ても動いてる事が奇跡というほど姿だ。

私とヒビキの諦めない姿を立ち寄った人々が私達に視線を向けている。

私達へそこらじゅうから声援が届く。

たとえどれだけボロボロになろうとも…

 

ヒビキ「我が勇気の元に、その全てを賭ける!!必殺!プラネッツブレイヴ!」

アスカ「砕け散れ!!ヴェンデッタアサシネイション!!」

 

私達は最後の一閃を放った。

私は身体中もう限界だった…今にも腕はバラバラになりそうなほど…

だが…ヒビキは諦めていなかった。

ヒビキ「うぉぉぉぉぉぉぉっ!」

ほんの一瞬だった。

彼から、レイトの面影と、レイトと同じ力が私に最後の力を与えてくれた。

その強さが、成長が私の希望となり、ヴェンデッタを貫いた。

私は、ヒビキは本当に強くなってくれたと心から理解した。

私はそれだけで嬉しかった。ヒビキはレイトを必ず越えられると信じていた。今、この瞬間それが叶った…

そして、私は背後からテイルブレードに貫かれた…

私は最後の最後で気を許してしまった…。

私の腹部には、貫いたテイルブレードが残っていた…

この破損率では…私はもう…

私は…最後の最後でレイトとの約束を果たせずに終わってしまった…

ヒビキを守る事が私の使命のはずなのに…私は最後まで彼を守りきる事ができないまま…

私は、残る力で音声データに最後のメッセージを残した…

α『主…いや、レイトよ。私は…君との最後の約束を守りきれなかった…。だが…彼は…ヒビキは君の思うより…それ以上にずっと強くなってくれた。彼は…私の…私達の誇りだ。』

このメッセージが彼に…ヒビキに…レイトに届くか…わからない…

だが…私は…私は…

ホログラムのアーマーと誇と刻まれた剣は砂の様にデータと共に消えてゆく…

 


ヒビキは対戦が終わると、私を優しく掬い上げる様に手に取った。

ヒビキ「ごめん…ごめんね…α…」

私を見て、彼は泣いていた…。

私は…もう修復は不可能なほどの状態となっていた…

これは…君のせいではないのだ…

それでも…彼は涙を流すのをやめなかった。

私が、レイトと…ユリの大切な形見だからなのだろう…

彼はユリにも負けないほどの大いなる優しさがあった…

そして…彼はレイトにも匹敵するほど強くなった。

私にはそれだけで充分だ…もう…それだけで…

α『これで…いいのさ。今の君に…もう私は必要無い…』

彼には…たくさんの友達、仲間がいる…私が居なくても君は…強くなってくれると信じている…

薄れていく意識の中で…私は1つの光を見た。

彼は、私の…レイト達の意思を継ぎ、この先もまだ強くなっていく未来が…

そうか…。私の役目はもう終わったのだ。

少し、寂しくなってしまうな…だが…これでいい。

私はやっと君の元へ行けるのだな…我が主…ユリ…レイト…。

 


そして…

私はAIのデータから記憶を再構築され、今ここにいる。

この記憶も、身体も全て偽り…だが、それでも良いのだ。

今、私の前にはあの日から更に強くなっているヒビキが私の前にいる。それだけで充分だ。

私は、成長した彼と剣を交える事ができるのだ。

α「ヒビキ…いや…主よ。今の君の力を見せてもらおう。」




いかがかな⭐︎
αは壮絶な旅路を歩んできました。
自分を作った主、レイト、ユリと過ごし、人間の感情というものを知ってゆく中で、自分も成長していきました。
本来知る事もなかった感情を知る事で、最後に託されたヒビキと共に長い間を過ごし、レイト亡き後も支え続けていました。
ヒビキと最後に戦った時、最後までレイトから受けた使命を守ろうとする姿はまさに騎士と呼ばれるにふさわしいものでしたね。

次は話を戻し、ストーリーに戻ります。
αはレイトとの戦闘から知識を得ている為、とてつもない強さを誇ってます。
まだまだ迷いのある響が彼に勝つ事ができるのでしょうか?
それとも…
次回をお楽しみに!
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