bleach世界に転生して修行して藍染とYHVHボコボコにした後ってする事なくね?   作:餡掛けペン

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此処どこや

突如、背中にとてつもない衝撃が走る。何処からか液体が体内に流れ込む様な感覚に襲われる。息をしようとえずくも空しく、次にもがこうとしたが体に力が入らない。体のあちこちが痛い。訳もわからず只耐えていると、体が何がを掻き分け、下に沈む感覚に気づく。まるで海に身を投げ、重力と水圧の成すがまま海底に沈みゆくようだ。

 

 一体何がどうなって…

 

 目にも力が入らず、しかし半開きになっていた事に気づくと辛うじて視界の端に入る光に集中した。

 

 すると映ったのは、横たわる景色とその地の上に立ってこちらに向けて何かを訴える女子高生。なんだ?何を言って…

 

 そう問いかけようとして開いた口から、何がが吹き出す。女子高生の顔が絶望に染まる。

 

 なんだ、これは…。

 

 そして僅かな視界すらも真っ赤に染まり使い物にならなくなる。集まった断片的な情報が、微かに最悪な状況を仄めかす。そして…思い出す。

 

 …そうだ。俺は確か…

 

 

 日没近くの帰り道。獅子村台蔵は仕事の疲れを持って自転車を漕いでいた。冷蔵庫の中に何かあったかな?夕ご飯何にしようかな?などと考えていると、進行方向の十字路の向こう側で信号待ちをする女子高生が見えた。黒髪ロングで胸は中々大きい、顔は…うーん、微妙に遠くて見えない…。

 

そんなアホなことを考えながら横断歩道の少し前まで来た。信号待ちのためにブレーキをしようとしたが、丁度よく信号が青になったのでそのまま進むのとにした。

 

 台蔵よりも向かい側の女子高生が先に道路に踏み出す。顔が先ほどよりも鮮明になる。

 

 …微妙だ。

 

 そんな失礼極まりないことを思うと同時に自転車の前輪が道路に乗り出す。彼は視界に動く影を見つけ、なんと無しにその全貌を捉えんと横を見ると同時に…

 

 大型トラックがクラクションを鳴らし、彼ら二人に突っ込んた。

 

「!!」

 

 信号が赤であるにもかかわらず、スピードを落とさずに突進してくる大型トラックに、音だけでなく目でも捉えた台蔵の方が女子高生よりも一瞬早く事態を飲み込むことができた。そして彼は思った。

 

すぐにブレーキを踏んで後ろに下がればまだ間に合う‼︎

 

 そうすればまだ間に合う。自転車を放り出して、走るでなく飛び込むようにして歩道に入る。危機に陥ることで極限までフル回転した頭が明確に描いた道筋。この通りにすればまだ間に合う。だから早く行動に移せ。ブレーキを踏め。そう、台蔵の本能が最大級の警鐘を鳴らした。…なのに、ブレーキに掛けた指は力を込めなかった。

 

 あの女子高生はどうなる?

 

 高速回転する頭の隅に溜まる雑念が、神経を通らんとする電気信号の妨げになっていた。

 

 この一瞬の葛藤に時間を割き、女子高生は音の正体に驚愕の表情を浮かべトラックと自転車は少し前に進んだ。

 

 進んでしまった。

 

 もう間に合わない。

 

 ええい、ままよ!

 

 台蔵はブレーキを踏まずに女子高生側へと自転車を横に倒すと慣性で前進し、更に走り勢いを加速させ、全体重を載せ女子高生にタックルをかました。そのまま女子高生と一緒に向かい側の歩道へと飛び込む算段だった。女子高生が勢いよく吹き飛び…

 

 

 …彼女は、辛うじて助かったわけ、か。

 

 タックル時の失速が大きかったのだろうか。彼女と自分にできた大きな隙間が、俺たちの結末をより明確なものにした。タックルではなく飛びつき腰に手を回そうもんなら、女子高生もまたそこら辺に転げ回ったことだろう。

 

 だからこれでいいのだ。これで…

 

 いいわけねえだろクソボケがッッ‼︎

 

 何なろう主人公みてぇなことかましてんだアホンダラ‼︎まじ死んじまうよこれどうしたらいやどうしようもねえよ身じろぎ一つできねえんだもんよ息も止まってるし救急車来るまで持たねえだろこれだって血こんなに漏らしてんだもんこれ絶対スマホで野次馬に取られてるよね見せもんじゃねぇぞ人の死に際なんてある意味性行為よりもデリケートな所業だぞこの世で一番エロいんだぞスパチャされたら俺に寄越せよ

 

 前進打撲、複雑骨折、出血多量。死に際も死に際、とうとう正常な判断ができなくなった太蔵。支離滅裂な思考がグルグルと回る。救急車は間に合わずとうとう御迎えがやってきた様だ。

 

 アァ^〜だんだん意識が遠のいていく〜…え?まじ死ぬのこれ?新作のゲームとかvtuberの追っかけとかbleachの千年決戦編のアニメ視聴とかおにゃのこと童卒パンパンとかまだ人生でやりたいことあったのに…これしかねぇのか…このまま死ぬんなら例に倣って転生とかしねぇかな…これだけなろう主人公の道に沿ってるんだから転生しないと詐欺だろ…ただの交通事故に期待してんだか…そう都合よく転生してチート貰って無双してハーレム作って豪遊生活とかあるわけ(

 

 自瀬の句を思い認める途中、五十嵐太蔵は唐突に息を引き取った。

 

 

暗闇。光も届かぬ漆黒の、それでいて心のそこまで凍てつくような冷たい、まるで深海の奥深く。気力が削がれ、何処か懐かしさを覚える虚無を植え付ける圧力に屈し、只々押されるがまま果てしなく沈んでいく。突如、激流に襲われる感覚に遭う。荒れ狂うでなく、誰かの意思があるかの様に一方向へ向けて自分の背中を押す。進めば進むほど意識と五感が明確になっていき、また暫くするとうっすらと一筋の光が目に映る。その光に向かって進めば何かが変わる。そんな予感があった。それはこの状況も自分の状態も、何もかもがはっきりしないことに対する不安を掻き消すものではなく、そこに向かえば全てが好転する、そんな希望のものだった。だんだん強くなるその光に、居ても立っても居られず手を伸ばす。すると突然光が弾けると共に、水中から放り出されたかの様な浮遊感に襲われ…

 

 

「…んぁっ?」

 

 目が覚める。倦怠感と湿気、高温に気づくと居心地を悪くし、それらを押し退ける様に飛び上がった。

 

「嫌な夢だったな…」

 

 悪環境の部屋から逃げるため、暖簾を掻き退け外に出た。

 

「ンーッ!」

 

 大きく伸びをすると、額に手をやり空を見上げた。

 

「いい天気だなぁ」

 

 はて、俺にこんな健康的な習慣があったかな?疑問に思いながら周りを見渡す。目に映ったのは一様にボロボロは服を着る人々。下敷きの上でうずくまる人や寝る人、棍棒を肩に掛け周りを威嚇するように闊歩する人、何かしらの店主。さまざまな行動を起こす人々だが、生産的な行動をとる人は少ない。次にボロボロな家屋。少し衝撃を与えれば最も簡単に倒壊しそうなほど簡素で低質なボロ屋の数々。逆にそれ以外見当たらない。次に整備されていない道。何かしらを盗んで逃げ回る子供に追いかけるおっさん。

 

「…何処だ此処はあああああぁぁぁ!!?!?!!!?!!?!?!」

 

 斯くして、獅子村大蔵の転生道は幕を開ける!!

 




主にpixivにて活動してます。オリジナル小説も書いてく予定です。評価よろしくお願いします!
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