bleach世界に転生して修行して藍染とYHVHボコボコにした後ってする事なくね? 作:餡掛けペン
「待てやオラアアっ!!」
「こんのクソガキがぁ!どつき回したるわァ!」
「ぬおおおおぉぉぉぉ!!!」
俺は今、幕末版ヒャッハー連中から死ぬ気で逃走を図っている。鉈を持ったハゲチャビンに刀を腰に刺すチョンマゲ、死神の鎌の様な武器を持った痩せ細った浮浪者。いや、全員浮浪者か。足を止めれば確実にミンチだろう。なぜこんな目に遭っているのか。これには深い事情がある。
────────────────────────────
此処はどこか。何故自分はこんな所にいるのか。誘拐?よく見れば周囲の人と同じような服装を自分もしている。誰かに着替えさせられたのだろうか。今は何時だ?今日も仕事があるので、早く帰りたいのだが。こう言う時は警察か?
こう言う時も仕事の事を考えるのは人の性だろうか。俺はグルグルと頭を回転させ、一つの結論に行き着いた。
そうだ。人に聞こう!
現地の人に聞けば警察所への道筋くらい教えてもらえるだろう。あるいはこの訳ワカメな状況に陥ってる自分に情けをかけて食事の提供や車での運搬をしてくれるかもしれない。古今東西、人は有事の際はこうやって助け合って人間という種は生きながらえて来たのだから。ってよく飲みにいく酒場の常連が金足りねえ時に小銭せびる時いつもそう言ってたから間違いねェ!よし聞こう!
いきなり右も左も分からない状況に陥り、眠気は吹っ飛んでも混乱は消えなかったようで。
「こんにちはぁ!いい天気ですね!!ちょっと道を尋ねたいんですけ、ど…」
鉈なり刀なり棍棒なりを持った浮浪者に話しかけるという無謀を冒したのである。
「…ナンダァ?テメェ…」
「え?いや、その…アハハ」
「アハハじゃ無ェ!舐めてんのかグルアァっ‼︎」
「細切れにしてやラァ!そこ動くなぁ!」
「テメェの肝焼いて食ってやるァ‼︎」
「ヒイイイィィィィ!!??!!?!」
そうすれば当然こうなる。
────────────────────────────
いやこうはならんだろおおおぉぉぉ
!!何で!?俺話しかけただけじゃん!愛想笑いしただけじゃん!それでこんな殺意剥き出しで殺しにかかってくるとか誰も想像できねえだろ!っていうか一人肝を食うって言ってたぞ!わかったここら辺の連中はカニバリズムの一族で俺を誘拐して食糧にしようとしてるんだ!きっとそうだ!このクソッタレめが!っていうか鉈とか刀とか色々こさえて徘徊してたもんな!最初から危ないやつだって自己主張してたもんな!そりゃ話しかければ武器の一つ振って襲って来るよな!絡んじゃいけねえ連中だって見りゃ分かるのに何で話しかけた俺のバカ!
「待てやオラァッ‼︎」
「スイマセン!スイマセン!許してつかぁさああああい!!!」
___
その後、何とか人喰い連中を撒いたはいいが、安全地帯や情報を求め歩き出すと、今度はメンチを切られただの肩がぶつかっただので、いく先々で殺され掛ける。俺まず見てないし肩もぶつかりようがない程距離あったのに。あんまりだ。夜はそこらへんで地べたに横になってる連中に混ざって寝た。朝になって歩き出せば即鬼ごっこ、夜は野宿を繰り返した。そんなこんなで早3日。今日も今日とて追いかけられている途中である。
「フッ!フッ!フッ!フッ!」
だが、3日も同じ事を繰り返すと流石に慣れてくる。3日間も奴らから逃げ果せた実績も相まって、今や陸上走者並の走り(気分だけ)を見せる程だ。回を重ねるごとに足が早くなると、自然と奴らも追い付かねえと諦めるタイミングも早くなり、今は歩きながら考える時間が増え、余裕が出来た。そして奴らの回避方法も見つけた。出来るだけ端を歩き、背中を丸め、顔を地面に向けるのだ。あまりやりすぎると逆に目立って刺激してしまうので程よく、だ。気が立ってる奴が向かい側からやって来れば、そこらの角を曲がり、蹲ってる連中に混ざることで難を逃れる。この二つの方法を編み出し実行に移すと、何と絡まれ率が明らかに減った。こんな短期間で神業を編み出す俺は天才だと思った。移動中にあまりにもタイミング悪く遭遇した場合だけ追いかけられるが、体感日に2回といったペースであり、俺の移動は随分と楽になった。
運が良ければ今日はこれがラストかなっ!
今行く道の突き当たりを右に曲がり、すぐの角を左に曲がり、しばらく走ってから後ろを見ると…
「へっ、どんなもんだ!」
奴らは諦めたようだ。息を整えながら道なりに真っ直ぐ進む。
さてこの三日間、考えたのは浮浪者共の回避方法だけではない。この先どうすればいいか。方針もバッチリ考えてある。それは「会話ができる奴にあうまでひたすら一方向に向かう」だ。
まずこの地に留まるのは論外。無法地帯が過ぎる。人の居ない家屋に数軒忍び込んで電話を探してみたものの、ここら一体の時代感に習って電子機器も皆無らしい。今どきスマホも持ってねえとかこいつら田舎もんだな。…なのでまずはこの世紀末張りに無法地帯な場所から逃げる事を念頭に置いてこの方針を立てた。
周りにアンテナを張り巡らせ、慎重に歩を進める。
…正直言って、俺はタイムスリップでもしたのではないかとバカ真面目に考えている。ここに来る前の最後の記憶。なろう主人公張りの死に方をした。あれがマジで、それがキッカケでタイムスリップをした。馬鹿らしいとは思いつつも、自分の中で有力な説になっている。あるいは節度のないテレビ局か何かが、許可なく一般人の俺を誘拐し、眠ってる俺に電波か何か送り、死んだ夢を見せ、この広大な地に幕末張りの家屋や人をセットし、俺を放り込んで起きた俺の反応を収録してる。そんな壮大なドッキリと言われた方がまだ現実味があるか?あるいはこの世界こそがVRで今もなおヘッドギアを装着…
「おい」
!!?!?!??!?!?!!!?!
なんだこのオッサンは!?どっから現れた!?
「な、何だよ。やろうってのかオッサン」
相手になってやるぜ。どっちの足が先に悲鳴を上げるかな?よいドン‼︎(食い気味
「79地区の連中が何しにやって来た。こっちは74地区だぞ。さっさと自分の山に帰りな」
…へ?
「ち、地区、とは?」
「…なんだ新参者か。まぁ、草鹿に行き着く様な奴だ。どうせ生前にロクな行いをしてこなかったんだろうな。そのままUターンして帰るといい。この先はお前さんらには荷が重過ぎる。」
「…た」
「?」
「助かったああああぁぁッ‼︎」
「フンッ!」
「ゴケッ⁉︎」
…な、
「何すんだよいきなり、オッサン!」
「何するんだはコッチのセリフだ!いきなり襲いかかって来やがって!やる気かグラァッ⁉︎」
「お、襲ってねえよ!俺に中年のオッサンなんかを抱く趣味は無ェ!人聞きの悪いこと言わねえでくれよ!」
「嘘つけぇ!テメェの目は明らかに俺の穴を狙ってやがった!今まで何人もの中年を襲ってきた歴戦の獣のソレだ!正体を表せ!」
「あるえええぇぇ!?ちょこっとボケたら思いの外乗ってきて混沌と化したぁ!?」
た、ただモンじゃねえなこのオッサンッ…‼︎
「って、そうじゃ無くてさ!助けてくれよオッサン!アッチの方は武器持ったオッサンが何かと俺を狙って来てよぉ。毎日死ぬ思いだったんだ!どうか一晩だけでも止めて来れねえかな?」
「俺はお前を襲ってねえ!人聞きのワリィ事言ってんじゃねえよ!」
「あああああああオッサン違いいいい!!」
俺が最初にボケ入れたせいで話が進まねえ!?
「そ、そうじゃなくてだな、アッチにいる浮浪者共に毎日襲われててな、アッチじゃまともにコミュニケーション図れなくてだな、ここら辺に来てから初めて会ったマトモな人ってのがオッサンな訳だよ。どうか真面目に聞いて来れねえかな?」
「毎日穴を遊ばれてたのか…アッチの連中は今がそれがブームなのか?そりゃ災難だったな。」
「もうソレでいいから」
いや俺がその流れにしたのが悪いんだけどな。このオッサンにボケかましてスイッチ押すのは辞めとこう。
「それで、如何にかして家に帰りたいんだけどよ。今日はもう遅いからさ、泊めて欲しいなとか思ってるんだけど。」
やべえ、さっきの流れで真面目な頼み方が出来ねえ。これは断られるか?
「いいぞ」
断られなかった。よかった。
「どうやら悪い奴じゃ無さそうだからな。泊めてやる。だが自分のボケで始まった流れを萎えて無理矢理止めたのは頂けねえ。だから一晩だけだ。その間に此処のことも説明してやる。生きていける様にな。朝になったらとっとと出てけよ。」
そう言ってオッサンは背を向け歩き出した。そんなにボケ倒したかったのかこのオッサン。まぁ泊めてくれるって言ってんだから有難くお邪魔しようか。
「あ、ありがとうなオッサン。ついでに電話とか貸してもらえねえかな。仕事先に詫び入れたくてさ。それと…」
「お前、コッチに来てから何日経ってる?」
「…」
三日間と少し。この時間、野宿時以外はずっと彷徨い続けた。
「その様子だともう勘づいてるとは思うが、ハッキリさせないままじゃいけねえからな。…だから」
オッサンは足を止め、体ごと振り替える。
「ハッキリ言っとく。お前はもう死んでいる」
そう言って、オッサンはまた背を向け歩き出す。
…分かってるよ。さっきまで考えてたタイムスリップだとかテレビがどうとか、それがバカ真面目な現実逃避だって。女子高生を助けてトラックに轢かれて、そんなカッコ良く死んだ記憶が本物だってことぐらい。俺はこの三日間と少し、現実逃避に必死だったんだ。
「…なぁオッサン。生前はケ○シロウって名前だったりしない?」
「いや、俺はコッチに来てからの…このソウルソサエティに来てからの記憶しか無い。」
「…へ?」
ソウル ソサエ ティ?何それ美味しいの?
「ソウルソサエティ、それがこの死後の世界の名前さ。お前こっちに来てから飲まず食わずだったりしねえか?」
あ。
「気づかなかったんだろう?本来は習慣だったり食欲だったりが食を思い出すトリガーな訳だが、肉体が無くなって習慣が極薄になり、魂だけになった体は食欲が湧かねえ。故に食そのものが指摘されるまで忘却されてた訳だ。」
…じゃあ、マジなの?
「あるいは霊力っつーものを身に付けると話は違ってくるんだがな」
マジなのか…っ!?
「まぁそれでも喉は渇くんだ。肉体がある時よりはマシだと思うが。お前はさんもどうせ盗みか何かやって喉を潤してたんだろ?」
「いや、コッチに来てから何にも飲んでない。気づいたら喉カラカラだわ。」
「(乾いた喉から出る声じゃねえと思うが…)」
「そんなことよりオッサン。夜になると遠くからバケモンの呻き声見たいの聞こえるんだが」
これは嘘だ。とある確信を持つ為の。
「ああ、そいつは虚だな。俺たちと同じ霊体だが、そいつらは…」
その後もオッサンの説明は続いていたが全く耳に入ってこなかった。たった一つの事実のみが頭の中を支配していた。
BLEACHの世界に転生したってことなのか…ッ⁉︎
斬魄刀、鬼道、始解、卍解。これらが自在に操れる世界に転生した。あの世に来たのに転生とはこれ如何に。ともかくその事実に俺は打ち震えた。その場で狂喜乱舞したい。そんな衝動に駆られた。が…
「あれ…」
「おっと…」
オッサンは躓く俺に気づくと直ぐに振り返り、俺の身を抱きとめた。そのまま背中に俺を乗せた。
「相当無理してたんだろう。今は俺の背中で休むといい。」
「オッサン…(トゥンク♡)」
いやトゥンク♡じゃなくて。そんなに疲れてた自覚はないんだがな。まぁオッサンに会うまでめちゃくちゃ緊迫した状況が続いてたし、こういう事もあるか。大人しく休ませ…
「…オッサン。俺、腹も減らないし喉も乾かないんだけど。」
「あ?そうだな。さっきも言ったが霊体はみんなそうなんだよ。霊力持ちをを除いてな」
「…」
う、うそだろ…っ
霊力が無ェ‼︎