Hololive SEED DESTINY─止まらない運命─   作:疲れた斬月

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『Blue journey』の1stライブを観て来ましたが、終盤まで基本的にしんみりとした雰囲気で動き、歌詞や朗読パートで所々シンやアスランとダブるなぁ…と思わせる内容がありました。

…シン君をこの世界にぶち込んでほんと良かった()

今回は飛ばされた3人のホロライブ世界珍道中です。


第19話「完成度が高いからって必ずしも未完成のものより優れてるとは限らない」

その時、4人の間には陰鬱な空気が流れていた。

 

「貴様ら…揃いも揃って俺を嵌めようとしているな…!」

 

「それがこの世界のルールなんですよ、乗り込んで来たのはそっちでしょ?」

 

「弱ければ死ぬ、強ければ生きる、それだけの話ですよ隊長」

 

「わりぃな、イザーク…」

 

 

 

 

「よっしゃ、スマッシュゲージMAX!」←クラウド、残機2

 

「シン、決めちゃって!」←ミュウツー、残機1

 

「貴様ぁぁぁぁ!元とは言えザフトの戦士たる者が数の暴力に頼りおって!!」←マリオ、残機1

 

「戦争なんて元々そんなもんだろ」←ドンキーコング、残機0

 

「素人の分際で煽りプレイなぞやらかした阿呆は黙っていろ!!」

 

…仲良くスマブラをしていた。

 

因みにシン、ルナマリアコンビとイザーク、ディアッカコンビのチーム戦である。

 

「チッ!何とかゲージの時間切れまで持ち堪えt」

 

「ほいっ」

 

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

逃げ回って時間を稼ぎ、逆転のチャンスを伺おうとしたマリオ(イザーク)の動きをミュウツー(ルナマリア)が金縛りで封じる。

 

「ルナ、ナイス!」

 

『スキガナカッタナ』

 

「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ…!!」

 

何処ぞのAUOの如く喚きながらコントローラーをガチャガチャと操作し、最後の切り札(超究武神覇斬)から逃れようとするが、無駄な足掻きである。

 

クラウド(シン)の剣撃の嵐によって連続で大ダメージを喰らい、最後の一発で遂に撃墜された。

 

「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「「いぇーい」」

 

仲良くハイタッチするシンとルナマリア。

 

その様子をジュースと菓子を載せたトレーを持ったアスランが眺めている。

 

「…かなりはっちゃけてるな、お前ら」

 

因みにアスランの両頬にはガーゼが貼られている(しっかり殴られた)。

 

「副長が煽りプレイかましてくれたお陰で勝つのが楽だったわ」

 

「ぷるー○はぶを参考にさせたのが間違いだったな…あの人上澄み中の上澄みなんで」

 

「マジかよ…面白ぇ戦い方するなって思ってたから真似したのによ」

 

「煽りプレイなぞできるのは実力があるヤツだけだ!それぐらいわからんか!!」

 

溜め息を吐いて落ち込むディアッカをイザークが罵倒する。

 

アスランは苦笑しながら4人の前にトレーを置く。

 

生き別れた嘗ての仲間達が、こうして仲良くゲームではしゃいでいる所を見ると微笑ましい気持ちになる。

 

「それよりシン、頼まれてた物ができたぞ」

 

「お、思ったより早かったですね」

 

アスランが取り出したのは、3台のスマホ。

 

「何それ?」

 

「異世界と通話できるスマホだよ。アスランと技術班の皆さんに頼んで作って貰ったんだ」

 

「まぁ、通話機能と…もう1つしか無いがな」

 

「もう1つ?」

 

首を傾げるルナマリアに、アスランはスマホを起動し、操作して画面にあるものを表示する。

 

「これ、次のライブのチケットじゃないですか!」

 

スマホの画面を見て思わず声を上げるシン。

 

画面には、次のホロライブのライブイベント、その電子チケットが表示されていた。

 

「A先輩に頼んでな、独自ルートで用意して貰ったんだ」

 

「いやAちゃん有能すぎだろ?もう1週間も無いぞ」

 

自社のスタッフ達の優秀さには何時も驚かされるな、とシンは内心舌を巻く。

 

実はこれを頼んだのは当のシン本人なのである。

 

かなりの無茶を言った自覚はあり、多分無理だろうなとは思っていたのだが…まさか本当に用意してくれるとは。

 

「こんなもの、本当に貰っちゃって良いの?」

 

「ああ、この世界を案内するにはやっぱり先輩達のライブは外せないからな。どうせならC.Eじゃ絶対に見られないもんを見せたいだろ?」

 

シンはそう言って悪戯っぽくウィンクしてみせる。

 

その動作に思わずドキッとしてしまうルナマリアだが、1つ気になった事があったのでそれを質問する事で辛うじて意識を切り替える。

 

「あれ、シンは出ないの?」

 

「ん?ああ、俺は基本別枠だからな。配信とかならしょっちゅう絡むけど、ライブは今までソロしかやってないよ。先輩達のライブは専ら観客席にいる」

 

仲間外れ感がする読者の皆様もいると思うが、【Shiny smily story】の中に1人だけ鈴村健一の声が混ざっていたらどう思うか、考えてみて欲しい。

 

凄まじい違和感を感じる事だろう。

 

そういう観点から、「入れてあげたいけど入れられない」状況が出来てしまっているのだ。

 

新プロジェクトが立ち上がったのは、この状況を打開する目的もある(本作の独自設定)。

 

―――――まぁ、俺が来てるって知れば先輩達は…。

 

出そうになった言葉を、シンは心の奥に仕舞い込んだ。

 

 

 

 

そして、ライブ当日。

 

近隣の商業施設で軽く時間を潰した後、4人はライブ会場に向かう。

 

会場は既に人でごった返しており、見事な寿司詰め状態だ。

 

「グゥレイトォ…こりゃすげぇ数だな」

 

「もっと早く来るべきだったか…?」

 

あまりの観客の多さに、思わず言葉を喪うイザークとディアッカ。

 

「あんた本当に凄いグループに入ってるのね」

 

「だろ?」

 

一方で、シンが現在所属しているホロライブプロダクションの凄まじさを認識するルナマリア。

 

かのラクス・クラインですら、これ程の人気は無かった。

 

「只今より開場します!チケットの番号順にお進み下さい!」

 

係員のアナウンスに従い、一行は人の波に入り込んで中へ入って行った。

 

 

 

 

 

観客席へやって来た一行。

 

辺りにはサイリウムやらファングッズやらで完全武装したファン達が集結している。

 

ステージの上のスクリーンには、沢山のファンやイラストレーターから寄せられたホロメン達のイラストが映し出されている。

 

「どれも個性的ね」

 

「とんでもねえ愛され具合だぜ、こりゃ」

 

ギャグに全振りしたイラスト、可愛らしさを強調したイラスト、強いメッセージ性を感じるイラスト…各種様々だ。

 

次に映し出されたイラストにシンは思わず苦笑する。

 

「こりゃまた、随分俺の心情を巧く再現したイラストだ事で」

 

肩に銃を担ぎ、瓦礫に凭れ掛かる様に座り込んで項垂れる、返り血塗れのシン。

 

太陽の光を背に、優しく微笑みながら手を差し出すそら。

 

そらが差し出した手にシンが己の手を伸ばす場面がそれぞれ描かれ、1つに纏められた、簡単な3コマの漫画形式のイラストが映っていた。

 

「…ほんとにこんな感じだったよ、ここに来たばっかりの俺」

 

イラストに描かれた、生気の抜けた虚ろな眼差しのシン。

 

長い間見る事の無かった、純粋な輝きを瞳に宿した隣にいるシン。

 

2人のシンを見比べて、ルナマリアは密かに呟く。

 

「…シンを救ってくれてありがとう、ホロライブの皆」

 

 

 

 

 

 

『会場の皆様、お待たせ致しました!間もなく開演です!』

 

会場の照明がゆっくりと暗転して行く。

 

『同じ未来を見ていたい…♪』

 

『あの夢手にしたい…♪』

 

そして、歌声が旋律に乗って響き渡る。

 

『それぞれ♪』

 

『違った♪』

 

『ココロで♪』

 

『走れGo♪』

 

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」

 

煌びやかな光がステージに立つアイドル達を照らし、会場のボルテージがいきなり最高潮に達する。

 

その余りの華々しさに、ルナマリア達は思わず息を呑む。

 

「すっごい…!」

 

「これが、ホロライブの真骨頂か…!」

 

「こっちまで気分がノッて来るぜ…!」

 

曲に合わせて舞い、歌うアイドル達。

 

それらが観客達の心を更に燃え上がらせ、その声援がアイドル達を更に輝かせる。

 

どちらが欠けても成立しない、まるで共生関係にある生き物の様な、儚くも強い眩しさがあった。

 

 

 

 

「皆〜!こんにちは〜!!」

 

「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!」」」」」

 

そらの挨拶に対するオーディエンスの返答が、まるで雷鳴の如く会場内に木霊する。

 

「今日は私達のライブに来てくれて…本当にありがとう!」

 

「全力で盛り上げて行くから、しっかりついて来てねー!」

 

「「「「「イェェェェェェーーーーーーイ!!」」」」」

 

AZKIとすいせいの挨拶が終わると、再びそらが静かに面持ちで告げる。

 

「そして…会場の皆さんに重大なお知らせがあります」

 

どよめく会場。

 

そらは大きく息を吸い込むと、一拍置いて大声で叫んだ。

 

「私達のライブに…シン・アスカ君が来てくれましたーーーーーーー!!」

 

そして、変装して観客席内に紛れていたシンをライトの照明が照らした。

 

観客達の視線が一気にシンに集中し、まるでレーシングカーのエンジンを全開で鳴らした様な、周囲の音が一切聞こえなくなる程の歓声が上がる。

 

シンは少し気恥ずかしそうに苦笑しつつ頭を掻き毟ると、変装を解きつつステージの上に登った。

 

「…俺、お忍びで来てたんですけど?」

 

「まぁ良いじゃん、シン君だけに(シン)打ち登場って事で」

 

「面白くないですよ」

 

holoX(6期生)の幹部【鷹嶺ルイ】の寒いギャグを至って冷静にスルーするシンに、観客席からどっと笑いが溢れ出す。

 

「しょうがないなぁ…飛び入りで歌っちゃいますけど良いよね?答えは聞かないけど!!」

 

「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!!!」」」」」

 

シンの呼び掛けに呼応し、観客達も歓声を上げる。

 

ステージの上で、シンは音楽に合わせて歌い、踊り、跳ぶ。

 

パフォーマンスの高さも然ることながら、それ以上に…

 

「シン…凄く楽しそう…」

 

嘗て見た事の無い程のシンの眩しい笑顔に、惹かれて行くルナマリアだった。

 

 

 

 

 

 

「…どうだった?ホロライブ(俺の仲間達)のライブは」

 

「ええ、ほんとに凄かった…!」

 

「グゥレイト…いや、パーフェクトだぜコイツは!」

 

「認めよう、実に素晴らしかった。これ程楽しい気分になったのは初めてかもしれん…あの宝鐘マリンとかいう女は意味がわからんかったがな」

 

「あ、あはは…」

 

イザークの言葉に思わず苦笑するシン。

 

マリンのクセが強すぎる楽曲は些か受け付けなかった様だ。

 

「まぁ、笑いを狙ったパフォーマンスとしてはかなりレベルは高いがな」

 

と、すかさず弁護を入れるイザーク。

 

因みにマリンが歌っている最中、ディアッカは終始ツボっており、ルナマリアは笑いを堪えるのに必死になっていた。

 

「だが…不思議なものだな。ラクス議長よりも遥かに輝かしい筈なのに…ホロライブはまだまだ進化を続ける、そんな気がする」

 

ぼそっと呟くイザーク。

 

ラクス・クラインは、歌手としてのパフォーマンスの全てが高い水準で、言ってしまえば完成された歌姫。

 

一方で、ホロライブの面々は各々の得意分野ではラクス・クラインを圧倒できるものを持つ分、苦手としている穴もあり、未完成と言える。

 

だが…未完成であるからこそ、己の苦手分野を埋める為に努力を積み重ねたり。

 

或いは、自分が苦手としている分野を逆に得意としている者達と力を合わせたり。

 

或いは、同じ分野を得意とする者と力を合わせて、それを何倍にも何十倍にも伸ばしたり。

 

別々の可能性を持つ仲間と組み合わせる事で、あらゆる姿へと変化し続ける。

 

故に、彼女達の成長は止まらない。

 

ラクス・クラインが余裕で霞んでしまう程の輝きを放ちながらも、何処までも進化し続ける。

 

それが彼女達だけが持つ力だった。

 

 

 

 

そして、それから1週間後。

 

「…本当に、良いんだな」

 

「ああ、世話になったな」

 

「お陰さんで良い休暇になったぜ」

 

機材の修復が完了し、3人がC.Eへと帰還する日を迎えた。

 

「ルナ…本当に帰るのか?」

 

「うん…正直、私もこの世界が凄く気に入ったけど…まだちょっと向こうの世界でやり残した事があってね。それに、私だけ帰らなかったら怪しまれるし」

 

「…そっか」

 

少し寂しい気持ちもあるが、それが彼女の判断なら…と、受け入れるシン。

 

そんなシンの気持ちを知ってか知らずか、ルナマリアはでも、と言葉を紡ぐ。

 

「それが終わったら、私もこの世界に引っ越すから。その時はこれで連絡するから、お出迎え宜しくね」

 

「わかったよ。じゃあ…"またな"」

 

「ええ、"またね"」

 

シンに背中を向けて機体に乗り込み、ハッチを閉めるルナマリア。

 

3人が各々の乗機を起動させたのを確認したアスランがパソコンを操作し、装置を起動させると、3機のMSの上空に穴が開く。

 

「イザーク・ジュール、グフ、出るぞ!」

 

「ディアッカ・エルスマン、ザク、行くぜ!」

 

グフ(イザーク)ザク(ディアッカ)が先行して穴の中へと飛び込んで行く。

 

「…ルナマリア・ホーク、インパルス、出るわよ!」

 

そして、少し間を置いてインパルス(ルナマリア)が穴の中へ飛び込み、それを確認したアスランが装置を操作して穴を閉じた。

 

 

 

 

 

『一緒に〜♪食べれ〜ばハッピー♪あ〜ふれ〜るね〜♪そんな時間が♪こんな笑顔が♪大♪好き♪し〜しわたクッキング〜♪っと』

 

『おい、あまりそれを向こうの世界で聴くなよ。異世界に行っていたなどと知られれば、それこそ面倒事になりかねん』

 

『へいへい、そういう事はその大音量で流れてる【いろはすてっぷ!】、止めてから言ったらどうだよ?』

 

『五月蝿い!向こうでは流石に自重するわッ!!』

 

やいのやいのとオープンチャンネルで騒ぐディアッカとイザーク。

 

コックピット内でディアッカは【ししわたクッキング】を、イザークは【いろはすてっぷ!】をそれぞれ大音量で流している。

 

2人は完全にホロライブのファンになってしまっている様だ。

 

「…」

 

『良かったのか?残らなくて』

 

「え?」

 

ふと、イザークから通信が入る。

 

『…アイツと一緒に生きたかったんじゃねぇのか?本当はさ』

 

イザークの言葉に補強するかの様にディアッカが続ける。

 

2人はルナマリアの本心を完全に見抜いていた。

 

―――――帰りたくない。

 

シンと一緒にいたい。

 

『どうせ貴様は退役を待つだけの身だ。残っても良かったんだぞ?』

 

「…良いんです、今の私がいてもシンに迷惑を掛けるだけですから」

 

自分の気持ちを伝えても、今のシンならばきっと受け入れてくれるだろう。

 

でも、やっぱり自分だけを見て欲しい気持ちを捨て切れずにいる。

 

そんな今の自分がいた所で、きっと迷惑になる。

 

今のシンの恋人達に嫉妬して、互いに嫌な思いをするだろう。

 

なら…この気持ちにケジメをつけるまでは、離れて暮らした方が互いの為だ。

 

『…そうか』

 

『取り敢えず、向こうに戻ってからの言い訳考えねぇとな…異世界にいました〜なんて、言える訳無ぇや』

 

そう話しながら、イザークとディアッカは段々と近付いて来る穴の向こうに広がる別の宇宙…元の世界(C.E)へ向けて機体を飛ばす。

 

―――――シン、待っててね。

 

必ずまた会いに行くから。

 

ルナマリアも心の中でそう呟き、スロットルレバーを前に倒して機体の速度を上げた。




SEED劇場版の広告を見ていると「○○が不幸な目に合うのが嫌だ」とコメントしている人を見ますが、劇場版の公開を望むという事は主要人物達の不幸を無意識に望んでいるという事だと気付いている人がはたして何人いるのか…

負債への当て付けもありますが、それ以上にシンが不幸な目に合うのが嫌でずっと反対してたのは僕です。
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