Hololive SEED DESTINY─止まらない運命─   作:疲れた斬月

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以前無期限休止と発表しましたが、活動報告でお話した通り、メルちゃんを救うストーリーを考えている方が幾らか気が紛れるので書こうと思います。

振り回してしまって申し訳ありません。

本作では彼女に新しい活躍の舞台を設けます。

僕なりの救済措置のつもりですが、結局の所は僕の世界で彼女を救う事で僕自身が救われたいだけの趣味全開の駄文なので、どうぞ自己満足なりご都合主義なりと嗤って下さって結構です。

それでも良いという方は、どうか彼女の新しい物語を見届けて下さい。

それではどうぞ。

因みにここからシンには一旦主人公を外れて貰い、メルちゃん視点の長編ストーリーが暫く続きます。

最推しなので力が入ってしまう事をどうかご了承下さい。


Episode of Mel〜Re:start〜
第22話「終わりの後には、新しい始まりがある」


メルがホロライブを退所してから、早1ヶ月。

 

シン、そら、ちょこ、ノエルはメルと共にホロライブハウスを出て、近郊に一軒家を構えてそこで暮らす事にした。

 

メルがホロライブハウスの居住権を失った為、シン達も彼女を支える為に引っ越したのである。

 

過ちを犯した原因が彼女自身を取り巻く環境下で起きた不幸や災難の数々による精神的疲弊だった為に、彼女を1人にするのは余りにも危険すぎると判断した為だ。

 

気が付くと首を吊ろうとしていたり、上の空な状態で手首に剃刀を当てていたりと、本人も無自覚なまま自らを傷つけそうになったり、死のうとしていたりしていた事も何度もある程だったのだ。

 

「…ごちそうさま」

 

「メル様、もう良いの?」

 

「うん…ごめんね、こんなに残しちゃって…」

 

「…気にしないで。無理矢理食べる方が身体に悪いから」

 

食事の半分以上が残っている皿を置いて席を立ち、ちょこに謝罪して部屋へと戻って行くメル。

 

あの件以来、メルは完全に活力を失った抜け殻になっていた。

 

胃袋の中へ無理矢理かき込む様な食事と、義務的な入浴と排泄の時以外はずっと部屋に閉じ籠りっきりの日々。

 

顔からは精気が抜け落ち、可愛らしかった声はざらざらで、やつれて体重も減ってしまっている。

 

美しい金色の瞳からは光が消え、生者であるにも関わらず纏う雰囲気はまるで亡霊の様。

 

他のホロメン達が心配して見舞いに来ても「合わせる顔が無い」の一点張りで徹底的に拒絶し続けていた。

 

「メルちゃん、大丈夫かな…」

 

「あんな事があったんだ…また元気になるまではかなり時間が必要になる筈ですよ」

 

不安げなそらに対し、シンは仕方無いという風に受け入れる。

 

だが、苦渋に満ちた表情を浮かべているのは変わらない。

 

「何とかホロライブに戻してあげられりゃええんやけど…」

 

「…契約解除はメル先輩が自分で申し出た事だ。なら、もう…俺達に一体、何ができるって言うんです?」

 

口ではそう言うものの、だからと言ってこのままではメルが永遠に塞ぎ込んだままなのは変わらないのも事実だった。

 

何か彼女を再起させる切っ掛けがあれば…と一同は俯く。

 

…その切っ掛けが、間もなく訪れる事も知らずに。

 

 

 

 

 

「…メル先輩?入りますよ」

 

ドアをノックして、メルの部屋へと入るシン。

 

ベッドの上で仰向けに倒れ込んでいたメルの顔が此方を向く。

 

「シン君…」

 

「…大丈夫ですか?」

 

「うん…大丈夫」

 

上体を起こしてベッドに腰掛けるメルの隣に、シンも腰を下ろす。

 

「…すいません、メル先輩が辛い思いしてる事にもっと早く気付ければ…こんな事には…」

 

「…シン君は気にしないで…事情とやった事は別だし。動機があるからって…泥棒や人殺しが許される訳じゃないでしょ…?」

 

的を射てはいるものの、自分の過ちを凶悪犯罪と同列に扱う様なメルの言い方に思わず叫びたい気持ちになるが、努めてそれを抑える。

 

「…メル先輩は、これからどうしたいんです?」

 

「…ごめん、わかんないや。またかぷ民の皆の前に顔を出したいなとは思うけど…もうできないし、それに…」

 

一拍置いて言葉を紡ぐメル。

 

その手が微かに震えている事にシンは気付いた。

 

「皆も…メルになんか、会いたくないよね…」

 

「っ、そんな事無い!皆、メル先輩がいなくなるのを悲しんでた!」

 

「ありがとう、でも…これはメルが背負わなきゃいけない事だから。もうアイドルには戻れないし…戻らない…」

 

哀しげな表情だが、その瞳には強い意思が感じ取れた。

 

彼女は、決めたのだ。

 

己の過ちを、決して消えぬ十字架として背負い続ける事を。

 

だが…

 

「…メル先輩、言いましたよね?俺も一緒に背負うって」

 

「でも…」

 

「でももクソもあるか!確かに、犯した過ちはそいつ自身が背負うしか無い。だけど…その重さに押し潰されたら、それ以上背負い続ける事だってできやしないんだ!!」

 

嘗ての自分と同じだ。

 

自分の過ちを過剰に重く受け止め、潰されるまで背負い続けようとしている。

 

だが、それは何の償いにもならない。

 

「でも…あんな事しちゃった以上、もうどのみちアイドルなんかやれないよ…」

 

「なら新しい場所を見付ければ良い!今までと違った形になるけど、それでもメル先輩を応援してくれた皆にもまた会えるかもしれない!だから…諦めちゃダメだ!!」

 

「じゃあ…どうすれば良いの…?」

 

そう聞かれて、シンも思わず言い淀む。

 

本当はメル自身が探すべきなのだろうが、今の彼女には重荷が過ぎるだろう。

 

「…待ってて下さい、探してみます!」

 

そう言って部屋を飛び出すシン。

 

「シン君…」

 

その背中を、メルはただ見送る事しかできなかった。

 

 

 

 

 

「…くそっ!何か良いのは無いのかよ…!?」

 

パソコンをヤケクソの様に操作するシン。

 

メルが再び輝ける場所、それを作る事のできる何か。

 

…だが、出て来るのはお笑い等の芸能やスポーツばかり。

 

何れも幼い頃からの経験や、独自のテクニックが必要になるものが殆どだ。

 

特に芸能関連は今のメルには酷だろう。

 

「…あれもダメだ…ならこれは…いや、メル先輩が今から始めるには難しい。何か…何か無いのか…!?」

 

眼を血走らせながら懸命にキーボードを叩き、モニターを凝視して選択肢を絞り込んで行く。

 

「…?」

 

そして…見付けた。

 

運命を変える選択肢を。

 

「【G.(グラン)T.(ツーリスモ・)W.(ワールド)A(オーディション)】…?」

 

キーボードから手を離してマウスをクリックし、概要を確認する。

 

要約すると、

 

・FIAとSonyによる合同のレーサー育成プロジェクト

 

・【グランツーリスモ】のオンラインレースによる入学試験を開催し、合格したプレイヤーはFIAが運営する各国のGTアカデミーへの入学を許可される

 

・GTアカデミーで訓練を受け、優秀な成績を修めた上位十名は、課程修了と同時にチームやメーカーと契約する権利を手にできる(尚、契約はチーム及びメーカー側の指名によるものとする)

 

・参加者は応募者の中から抽選で選ばれる

 

…というものだ。

 

「応募の中から抽選か…この時点でも狭い門だけど、素人でもチャンスがあるのか…まぁ、選択肢の1つとして採用してみるか」

 

そう言ってページをコピーするシン。

 

その後も、シンは徹夜で作業を続けた。

 

 

 

 

 

「はぁ…結局これ以外は良案無しかよ、くそっ…!」

 

手にG.T.W.Aの資料を持ったシンが溜息を吐く。

 

既に外からは眩しい太陽の光が差し込み、部屋の中を照らしている。

 

「まぁ、何も無いよりマシか…」

 

「シン様〜、朝ご飯できたわよ〜」

 

「あっ、今行きます!」

 

扉の向こうから聞こえるちょこの声に返事をすると、部屋から出て一階へ降りる。

 

既にシン以外の面々は出揃っており、テーブルの上にはトースト、サラダ、ハムエッグ、コンソメスープ、フルーツヨーグルトと言った朝食の王道とも言える献立が並んでいる。

 

「頂きます」

 

徹夜で食欲が無いシンは、メル同様に無理矢理胃袋の中へと料理を押し込んで行く。

 

料理上手なちょこが手掛けた絶品料理なのにも関わらず、味も香りも殆どわからない。

 

喉に詰まらせかけては、それをスープやコーヒーを飲んで洗い流すという愚行を何度も何度も繰り返し、漸く平らげた所で口を開いた。

 

「メル先輩、昨日の話の続きなんですけど…こんなのはどうですか?」

 

そう言って、シンはメルに印刷したG.T.W.Aの資料を手渡す。

 

そらとちょこが横から覗き込み、驚愕の声を上げる。

 

「…これ、レーサーの育成プロジェクトだよね!?」

 

「まさか…メル様をレーサーにするって事!?」

 

「はい、メル先輩がまたファンの皆に会える可能性があるもの、その中で素人からでもチャンスがあるもの…って色々考えて、これなら良いかなって。どうですか?」

 

暫く目を資料に向けた後、再び顔を上げる。

 

「…本当に、良いのかな…?」

 

「はい、後はメル先輩の気持ち次第です」

 

その答えに、メルは再び俯く。

 

そして、金色の瞳から涙を溢し、嗚咽を漏らしながら、言葉を吐き出した。

 

「…あり…が、とう…!」

 

「泣かないで下さいよ、応募した所で参加できなきゃ意味無いんですから…取り敢えず応募しましょう、話はその後ですよ」

 

「うん…うん…!」

 

漸く見えた一筋の光明。

 

とても小さなものだが、メルの心を覆い尽くした闇を晴らすには十分だった。

 

 

 

 

 

そして1週間後。

 

郵便受けの中に、抽選結果を示す封筒が入っていた。

 

「…開けますよ」

 

神妙な面持ちのシンに、頷く4人。

 

封筒の開け口を鋏で切り開き、中身を確認する。

 

結果は…

 

『夜空メル様

 

この度はG.T.W.Aへのご応募、真にありがとうございます。

 

厳正なる抽選の結果、貴女は見事当選しました。

 

2週間後に、GTアカデミーへの入学を決定する【グランツーリスモ】でのオンラインレースを開催致します。

 

貴女のご健闘を心の底からお祈りしています。

 

株式会社Sony interactive entertainment』

 

「…」

 

静寂が辺りを包み込む。

 

そして…

 

「「「「やったぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっっ!!!」」」」

 

シン、そら、ちょこ、ノエルが歓喜の咆哮を上げる。

 

ただでさえ狭い門、その1つ目をまずはクリアした。

 

「あぁ…っ!」

 

メルも思わず息を呑み、喜びの色を浮かべる。

 

「それじゃあ、俺が配信用に用意したハンコン使って練習しますか?」

 

「ありがとう…メル、絶対に…勝つから…!」

 

 

 

 

 

 

そして2週間が過ぎ、関東ブロック入学試験当日。

 

都内にあるレーシングシミュレーターショップを訪れるシンとメルの姿があった。

 

「…準備は良いですか?」

 

「すぅ…はぁ〜…うん、大丈夫」

 

店内へ入り、店員に抽選結果の手紙を渡す。

 

「G.T.W.A入学試験に参加される夜空メルさんですね。では、左奥のシミュレーションをお使い下さい」

 

店員に指定されたシミュレーションに向かうメル。

 

「…あれ、メルちゃんだよな?」

 

「こんな所で何やってんだ…?」

 

「ってか、さっきの封筒ってまさか…」

 

客の視線に思わず息が止まりそうになるが、シンがメルの肩に手を載せて諭す。

 

「…メル先輩、気持ちはわかりますけど、今やるべき事に集中して下さい」

 

「…うん」

 

レース用グローブを嵌めてシートに座り、位置を調整するメル。

 

店員が使用マシンである【NISSAN GT-R NISMO GT3】を選択し、リアウィングやタイヤ、エンジン等のセッティングを進めて行く。

 

「…では、頑張って下さいね!」

 

セッティングを終え、離れた所で見守る店員と客達。

 

「全部で19台…その中のこいつが試験官か…」

 

同じ白いGT-Rの群れの中、1台だけ先頭を走る黒を基調としたカラーリングのGT-R。

 

そして画面が切り替わり、モニターにサーキットを走るマシンからの視線が映り、レース開始までのカウントダウンが始まる。

 

『3』

 

『2』

 

『1』

 

『START』

 

「ッ!!」

 

一気にアクセルを踏み込むメル。 

 

…今、新たな運命の歯車が回り出す。




本作でのメルちゃんの新しい舞台が決まりました。

アイドルからレーサーに転身させます。

メルちゃんの1件は皆様それぞれ思う所があると思います。

今でも思い出すだけで心臓が締め付けられる様な感覚に襲われる程で、ホロライブやVtuberという文化と出会ってしまった事を後悔したりもしました。

それでも僕はホロライブファンとして、そしてメルちゃんのファンとして、最推しであった彼女が輝く為の新しい舞台を僕なりに設けて、そこで彼女を活躍させたいと思います。

何度も言いますが、これは僕が自分を救う為の自己満足なので嗤って貰っても全然結構です。

もう見たくないという人は無言でブラウザバックして下さい。
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