Hololive SEED DESTINY─止まらない運命─   作:疲れた斬月

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「Vtuberのエンディング、買い取ります」っていう小説を本屋で見掛けてしまい、読んでみたい様な読みたくない様な微妙な気持ちにさせられてます。

傷が癒える可能性も悪化する可能性も両方あるのが恐ろしい。

読んだ事ある人いたら感想教えて下さいませ。

因みに今回はメルちゃんの休日回です。


第27話「親しき仲にも礼儀ありとは言うが、遠慮しすぎるのも友情を壊す原因となる」

「じゃあ、行こっか」

 

「うん」

 

アカデミー内の駐車場に停まっている車に乗り込むメルと永遠。

 

今日は約束の土曜日。

 

永遠の紹介で富士スピードウェイ(アカデミー日本支部)のある小山町を出て、御殿場まで足を運ぶ予定となっている。

 

メルがシートベルトを締めたのを確認すると、運転席に座る永遠がエンジンを始動させ、車をゆっくりと走らせる。

 

「確認お願いします」

 

「小町さんと夜空さんですね…はい、行ってらっしゃい」

 

ゲートで警備員に生徒証明書を確認して貰い、敷地の外へ出ると、メルは徐ろに鞄の中から何かを取り出す。

 

「…何やってるの?」

 

「変装。メルってバレたら色々めんどくさいから」

 

そう言って赤髪ロングヘアの鬘を被り、ルームミラーを使って青いカラーコンタクトを付ける。

 

「…もうアイドルじゃないのに必要なの?」

 

「契約解除されたアイドル、って悪い意味での有名人だからね。下手したら小町ちゃんにも迷惑掛けちゃうかもだし」

 

…本音を言えば、先日はその場の感情に流されて外出に同意してしまっただけだった。

 

後になって冷静な頭で考え直した結果、自分と一緒に外出するなど、よく考えなくても永遠が迷惑を被ってしまう事間違い無しであると気付いたのだ。

 

自分共々白い眼で見られてしまう事は避けられない…そう考えて後でやはりやめよう、と話したのだが、永遠は「私は別に平気」と判然と拒否(メル自身が嫌ならやめるけど、とも言っていたが)。

 

折角できた友達と遊びたい、だが迷惑を掛けたくない…その2つを叶える為、メルは変装するという判断を下した。

 

「別に気にしなくても良いのに…」

 

そう呟いて、永遠は車を走らせた。

 

 

 

 

 

「着いたよ、メル」

 

「わ〜、おっきいね」

 

車を走らせる事数十分。

 

2人がやって来たのは、御殿場市内の大型商業施設。

 

「まずは何する?」

 

「う〜ん…メル、映画観に行きたいかな」

 

「映画…そう言えば、あんまり観ないかも。行ってみよう」

 

駐車場に車を停め、外へ出る2人。

 

建物の中に入り、エレベーターで映画館のある階へと向かい、映画の上映スケジュールを眺めて相談する。

 

「メル、何かオススメはある?」

 

「そうだなぁ…う〜ん…」

 

【ウィッシュ】…はディズニー作品である故に一見期待値は高く見えるが、観た観客の殆どから凄まじい批難が飛んでおり、イマイチとっつきにくい。

 

【ゴジラ-1.0/C】…は以前シンとのデートでカラー版を観た為か、金を払ってまでまた観ようという気が起こらない(内容自体は非常に良かったのだが)。

 

【翔んで埼玉〜琵琶湖より愛を込めて〜】…は前作を観ていない為、今から観ても何もわからないだろう。

 

あれでもない、これでもない…と思考を巡らせていると、永遠がある作品を指差した。

 

「…あれ、メルの彼氏が出てるヤツ?」

 

そう言って永遠が指差した方を見ると、そこに書かれていたタイトルは【機動戦士ガンダムSEED FREEDOM】。

 

「…小町ちゃん、ガンダムわかるの?」

 

「…何となくは。でも、それよりも…メルの彼氏が出てる作品、観てみたいなって」

 

正直、前作でのシンの扱いの悪さを知っているメルはどうしよう…と悩むが、以前ネットで「DESTINYに不満がある人こそ観るべき」という意見が多数散見されたのを思い出し、それを信じて覚悟を決める。

 

「うん、じゃあガンダムにしよっか」

 

1番近い上映時間のものを選択し、2人分のチケットを購入するメル。

 

「まだ時間あるけど…どうする?」

 

「他のお店、見て回ろう」

 

 

 

 

 

永遠と一緒に映画館を出てやって来たのは、CDショップ。

 

このCDショップはかなり古い年代のものから最新のものまで幅広く取り扱っており、レア度の高いものが手に入り易いとマニアの間で評判だ。

 

「小町ちゃん、好きなアーティストとかいるの?」

 

「ううん。音楽が好きなだけ。怒りを発散したい時、泣きたい時、楽しい気持ちになりたい時…色んな時に、音楽は人の気持ちに寄り添ってくれる。勿論、レース前に気合いを入れたい時も」

 

永遠の答えに成る程、と納得するメル。

 

2人で店内を散策していると…それは、突然目に入った。

 

入ってしまった。

 

「っっ!!」

 

メルの呼吸が一瞬、止まる。

 

そこには…『夜空メルちゃん、ありがとう』というメッセージと共に派手な装飾が施されたエリアだ。

 

メルの曲を収録したCDや、メルのグッズ等が売られている。

 

「…」

 

思わず目を逸らすメルと対照的に、永遠はそのエリアをまじまじと見詰める。

 

「見て来ても良い?」

 

「…」

 

「…やっぱり、メルは嫌?」

 

永遠の問い掛けに、メルは黙って首を縦に振る。

 

…もう、あの頃には戻れない。

 

その現実を痛い程感じているメルに、あの場所へ立ち入るのは酷い苦痛だった。

 

「じゃあ、お店の外で待ってて。私、気になるから見てみたい」

 

「…わかった。じゃあ待ってるね」

 

そう言って、メルは店内を後にした。

 

 

 

 

 

それから約30分後。

 

「お待たせ」

 

「…ちょっと時間掛けすぎじゃない?何してたの?」

 

「ごめん…メルの曲、試しに聴いてみたら凄く良くて。聴き入ってた」

 

思わず呆気に取られるメル。

 

永遠が、自分の曲を気に入ってくれた…?

 

「だから買っちゃった。メルのCD」

 

手に持っていたビニール袋の中から、メルのCDを取り出す。

 

「アイドルだった頃のメルも見てみたかった…本気でそう思った」

 

永遠の言葉に、メルは嬉しいような申し訳ない様な複雑な気持ちになる。

 

褒めてくれた事を感謝すべきなのか、それとも自分の曲を気に入ってくれたのにもうステージに立てない事を謝るべきなのか…メルが葛藤していると、永遠が何かを差し出して来た。

 

「これって?」

 

「11年も前の古いヤツだけど…売ってたからメルにあげる。良い曲聴かせてくれたお礼」

 

永遠が渡して来たのは、1枚のCD。

 

表面には【CiRCUiT BEATS -SUPER GT 20th ANNIVERSARY-】と書かれている。

 

どうやらVOCALOID【IA】のアルバムの様だ。

 

「パパとママのお気に入り。レース前に聴くと、気合いが入るんだって。だからメルにも」

 

「…ありがとう、小町ちゃん」

 

「どういたしまして」

 

「…そろそろ映画始まるから、行こっか」

 

「うん」

 

アイドルとしての自分を受け入れてくれる友達に感謝しつつ、メルは永遠と一緒に映画館へ歩みを進めた。

 

 

 

 

 

そして、映画を見終えた2人。

 

「…メルの彼氏、凄かったね」

 

「うん!ちょっと不安だったけど…観て良かった〜」

 

どうやらメルの方はかなり満足した様だ。

 

前作での不遇っぷりを見事に払拭する活躍ぶりに、思わず涙した跡が目元にある。

 

「でも…あのアスランって、変なヤツだった」

 

「あ、あはは…w」

 

戦闘中に恋人の裸を妄想して相手を混乱させるアスランの姿には、流石の永遠も笑わずにはいられなかった。

 

メルも危うく飲んでいたコーラを吹き出す所だった。

 

暫く映画について談笑した後、ふとメルが言った。

 

「…小町ちゃん、今日はありがとう。楽しかった」

 

「私も。友達と一緒に遊ぶのって、こんなに楽しいんだね」

 

「うん。メルもこの感覚、凄く久しぶりな気がする」

 

ホロライブを退所してから今日に至るまでの日々は、本当に酷いものだった。

 

欠片ほどの希望も見出す事ができず、何もする気が起こらず、ただただ絶望と罪の意識に苦しみ続ける日々。

 

GTアカデミーへの入学後も、プロになる為にひたすら訓練に明け暮れ、娯楽を楽しむ事を考える余裕すら無かった。

 

そんな状況に、自分を追い詰めてしまっていた。

 

だが、今日永遠と共に遊んで、少しだが気持ちが楽になったのを感じる。

 

「ホロライブの皆とも…また笑い合えるかな…」

 

「…きっと大丈夫。もう同じステージに立てなくても、皆メルの友達でいてくれる」

 

「…ありがとう、小町ちゃん。そろそろ帰ろっか」

 

「うん」

 

新たな親友との絆と、嘗ての仲間達との思い出。

 

その2つを確かに感じながら、メルは永遠と共に帰路に付く支度を始めた。

 

…明日からまた、前に進んで行く為に。

 

 

 

 

 

 

 

「そうですか、小町さんを…」

 

同刻、理事長室。

 

スマホで誰かと連絡を取り合っている理事長の姿があった。

 

「…わかりました、本人にお伝えしておきましょう。手続きの書類は何時ごろ届きますでしょうか?…ええ、2週間後ですね。畏まりました。では…彼女の事、宜しくお願いします」

 

「理事長!」

 

通話を終える理事長の元に、バレットがやって来る。

 

マシンのテストを終えた直後に連絡を聞きつけて駆け付けた為、スーツとヘルメットを着用したままだ。

 

「永遠に来たって本当か?」

 

「ええ。流石首席候補です」

 

「動きが早いな…」

 

嘆息するバレットに、理事長がさらに言葉を紡ぐ。

 

「それと、夜空さんにも…」

 

「メルにも来たのか!?」

 

「まだ確定ではない様ですが、そのつもりの様です。それと、貴方にも」

 

「俺に?」

 

首を傾げるバレットに、理事長は頷く。

 

「何でも、チーフエンジニアになって欲しいと」

 

「…わかった。じゃあ…辞職の手続き、進める準備しないとな」

 

「…まだ気が早いですよ」

 

物騒な事を言い出すバレットに、理事長は苦笑しながらやんわりと告げた。




劇場版SEED、観て来ました。

まだ不安要素が残る終わり方ではありましたが、種死の心残りを晴らしてくれる良い作品でした。

デスティニーspecIIゼウスシルエット装備のMGはよ(気が早い)

そして永遠とメルに何やら起こりそうな予感が…
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