Hololive SEED DESTINY─止まらない運命─   作:疲れた斬月

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タイトル通り。


第2話「石田さんごめんなさい」

「ウチでVtuberやらない?」

 

「「は?」」

 

それは、YAGOOの唐突な提案から始まった。

 

 

 

 

「何でこんな事になるんだ…」

 

オーディション会場のある施設の入り口を前に、そう言ってがっくりと肩を落とすシンの姿があった。

 

事の発端はこの世界に来てから2週間程経ったある日の事。

 

シンとアスランは、YAGOOの家に居候する傍らで、就職活動の準備をしていた。

 

タダで衣食住を提供して貰っていた2人事に申し訳無さを感じていた2人は、恩返しの為に自分達も何かしら仕事をしようと考えていた。

 

そんな時、YAGOOから「ウチで働くなんてどうかな?」と誘いを受けたのだ。

 

衣食住だけではなく、仕事まで用意して貰う事に少々抵抗を覚え、シンとアスランは当初は拒否していたが、「ウチも決して人手が多い訳じゃないから、少しでも戦力が欲しい。君達が入ってくれると大いに助かる」と言われ、すんなり納得。

 

誘いを受ける事を選択したのだが、よりによってVtuberデビューとは…。

 

YAGOO曰く「初の男性タレントを採用したい」との事。

 

Vtuberという業界自体ができて間もない為、様々な事に挑戦して行くのが肝心だそうだ。

 

完全に裏方のスタッフとして働くつもりでいた2人にとっては寝耳に水の事態だった為、シンは凄まじい緊張感に襲われていた。

 

「落ち着け、シン。お前なら大丈夫だ。なる様になるさ」

 

そう言ってシンを優しく宥めるアスラン。

 

「よく緊張せずにいられますよね。あんた歌苦手だったでしょ?」

 

「どうせ受かる訳が無いからな」

 

「諦めてるだけかよこの野郎!!」

 

菩薩の様な表情で答えるアスランにシンのツッコミが炸裂する。

 

此方の世界に飛ばされて来る前の「諦めるな」というセリフを忘れたのかあんたは。

 

「ったく…大丈夫ですよ、ちょこさんとかノエルさんですら受かったんですから」

 

「それはそうだが…」

 

今度は逆にシンがアスランを励ます。

 

会場に来る前、自分達を救出してくれたホロライブのメンバーからも激励の言葉を貰って来たのだが、ノエル曰く「歌が下手なちょこ先生や団長でも通ったから大丈夫!2人共良い声してるもん!」との事らしい。

 

シンとアスランも2人の歌っている動画を見せて貰ったが、確かにとてもじゃないが上手いと言えるものではなかった。

 

それでも、苦手ながらも一生懸命歌っている姿と歌声には何処か初々しい可愛らしさがあり、これが彼女達がオーディションを合格した理由なのだろうと察するに難くなかった。

 

「お前の声が鈴村健一で羨ましいよ、シン…はぁ、何故俺の声を当てたのが石田彰なんだろう…」

 

「いやメタ発言やめろよ!!」

 

完全に心が折れてしまっているアスランの口から発せられた羨望の言葉をシンがばっさりと切り捨てる。

 

その通り、アスランの担当声優である石田彰氏は「歌うか声優を辞めるか」という究極の選択肢を突き付けられない限りは絶対に歌う事が無く、ガンダムSEED主人公組の中でアスランだけがキャラソンが無いのもそのせいである。

 

かくいう作者も石田彰氏の歌は「攘夷がJ〇Y」しか知らないのだ。

 

どうやら自分達に魂を吹き込んだ声優達の影響を一部受けてしまっているらしく、アスランは歌が苦手、シンは特撮が大好きという形でそれが顕れているのかもしれない、との事。

 

え?何を言ってるかわからないって?

 

大丈夫だ、作者もわからない。

 

 

 

 

「お2人共、準備はできましたか?」

 

「「あっ、はい!」」

 

友人Aから声が掛かり、2人は返事をしながら会場の中へと入る。

 

今回審査を担当するのは、そらと友人A、YAGOOの他に、そらの同期である【AZKI】と【星街すいせい】の計5人だ。

 

トップバッターはアスラン。

 

「え~っと歌うのは…大塚愛さんの【さくらんぼ】ですね」

 

「以外な選曲だね」

 

「此方の世界に飛ばされて来てから初めて覚えた日本語の歌だからな。できる限り自信を持って歌える曲の方が良いと思って選んだ」

 

AZKIとすいせいの言葉にそう返すアスラン。

 

それにしても、この嫌な予感は何なのだろうか。

 

───まぁ、ちょこさんやノエルさんですら通ったんだから、アスランもアスランなりに個性を出せれば通るだろう。

 

「う"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"」

 

───そう思っていた時期が俺にもありました。

 

謎の奇声から始まったアスランの歌。

 

それはもう酷い物だった。

 

「てェッ!長うおおおおおおおおひラクとぉぉもおおおおおおお!

 

二ねェェ!んッ!?たぁぁッ!通なぁあッ!あ"でぇぇぇ!

 

やぁぁぁ!あ"パぁぁぁ!!Gィ還するネェェェ!

 

何だかデェェェ!れたりす。ルゥゥゥゥゥ!ネェェェェ!

 

そおイヤァァ!!ヒどいことモ下れたシン!!ヒどいこー当も友ったシン!!!!

 

馬鹿ミがァァッ!イーいパイ!トゥ!マァァ!あたぁぁ!甘いあ"あ"あ"まいもの。デェェ!す。JUSTICE

 

なきなきのいチにチヤァァ!!Gデェェん斜のたビーやぁッ!かキあラァァァアア!!わぁぁあああせレない

 

だァァァってお"お"お"インダモウヤメルンダッ!!

 

くぅぅぅ~~~キィィ!!ミィィィ!!いとぉぉぉ!!通ぅぅぅながァァァ!!撤退ィ~

 

モウシン!!あの向こおおおおオニ見ェェェ!!ルゥゥゥ!!モォォォ!!のがあるなら殺し合うぅぅぅぅぅ

 

ふぅ"ぅ"ぅ"!!たァァァ!!あリ

 

シン!!!!!!あわセのぉぉ!!そラァァァ!!

 

トゥ!!なァァ!!りどうしキラ!レイ!シン!!!!!!と

 

あ"あ"あ"あ"たしアスラン

 

う"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"

 

「「「「「…」」」」」

 

 

 

 

「ふぅ…何とかなった様だな」

 

何が何とかなったのだ。

 

そう言いたい気持ちを必死に抑える一同。

 

最早歌が下手なんてレベルじゃねぇぞこれ。

 

「くぁっはっはっはっはっはっはっwwいーっひっひっひっひっひっひっひっひっwwwお、お腹痛いひはははははははは…www」

 

すいせいに至っては腹を抱えてバカ笑いしている。

 

「此方はアスラン・ザラだ。∞ジャスティス、これより帰還する」

 

意味のわからない事を言って立ち去ろうとするアスラン。

 

…しかし、彼は失念していた。

 

自分が歌っていた曲には、思わぬ落とし穴がある事を。

 

さぁ、意味を理解した人も「?」な人もせーので言ってみよう。

 

せーの!

 

『も う い っ か い !』

 

「バカヤロウ!!」

 

慌てて戻って来て続きを歌い…歌い?

 

叫び始めるアスラン。

 

「キィィ!!ミィィィ!!いとぉぉ!!

 

だァァァ!!きあアァアァ!!デェェ!!退ィ~

 

モウシン!!とおいミラァァァ!いヲおおおよおそぉぉおおォォ!!する!のなラァァ!!愛し合うぅぅぅぅぅ

 

ふぅ"ぅ"ぅ"!!たァァァ!!あ"リ

 

two

 

いぃぃいぃぃつのとキィィィいモぉぉ

 

トゥ!!なァァ!!りどうし

 

あぁぁぁ!!なぁぁッ!!たぁぁ!!とぉ"ぉ"

 

あ"あ"あ"あ"たしアスラン

 

う"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"お"

 

 

 

 

 

 

───俺の全てがアスランに劣ってる訳じゃなかったんだな。

 

シンはそう心の中で呟き、ほっと息を吐いた。

 

数日後の結果報告で、シンのみがタレントとして、アスランはスタッフとして採用される事が決まった。




こ れ が や り た か っ た。

因みにシン君は「ELEMENTS」を歌ってオーディションをパスしました。
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