Hololive SEED DESTINY─止まらない運命─   作:疲れた斬月

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今回は団長とのフラグ建設回。

かなり難産でした。


第5話「薬と毒は紙一重」

「フフフフフ…」

 

真夜中のホロライブ事務所。

 

定時などとうに過ぎており、既に誰もいなくなった真っ暗な空間の中で、1人残って怪しげに笑う人影があった。

 

彼女の名は【博衣こより】。

 

コヨーテの獣人であり、holoX(ホロライブ6期生)の頭脳(自称)。

 

「自称じゃない!」

 

…地の文にツッコミ入れるの止めて貰えませんかね()

 

キッチンで何やら作業をするこより。

 

目の前の鍋の中には、ピンク色の液体が煙を立たせながらグツグツと煮え滾っている。

 

「もう少し…もう少しで完成しますよ~…!」

 

 

 

 

「はぁ、はぁ…おはようございま~す、ってまだ誰もいないか」

 

朝7時、事務所に息を切らした汗だくのシンが入って来る。

 

シンとアスランの家から事務所までは近過ぎず、遠過ぎずの絶妙な距離がある為、シンは毎朝ランニングを兼ねて出勤している。

 

事務所内にあるシャワーで汗を流し、ザフトの赤服に着替えて支度を整えると、事務所の奥からこよりが姿を現す。

 

「おはよ~、今日も早いね~」

 

「あっ、おはようございます。こより先輩こそ今日は随分早いですね」

 

「まぁ早く目が覚めちゃったからね~、はいこれ」

 

そう言ってこよりがスポーツドリンクを渡して来る。

 

「あ、ありがとうございます」

 

そう言ってドリンクのボトルの蓋を開き、口に運んだ瞬間…

 

「あ…れ…?」

 

頭がくらっとする様な感覚がシンを襲い、シンはそのまま倒れてしまう。

 

───何か変な薬作って中に仕込んだか…。

 

そう結論付けたシンが薄れ行く意識の中で最後に見たものは、こよりの悪戯っぽい笑みだった。

 

 

 

 

「おはまっする~」

 

それから約数十分後、徐々にホロライブの面々が出勤し始める時間帯。

 

今日最初に来たのはノエルだ。

 

「さ~て、今日も1日…!?」

 

…その時、ノエルは見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おはよう…ございます…」←絶賛幼児化中のシン君

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…か」

 

「か?」

 

「可愛いいいいいいいいいい!!」

 

「むぐっ!?」

 

思い切りシンを抱きしめるノエル。

 

ノエル自慢の大胸筋に自分の顔が埋もれ、思わずくぐもった声を上げる。

 

シンそこ代われ。

 

「だ、だんちょ、くるしい…///」

 

「あ、ごめんね!」

 

慌ててシンから腕を離すが、顔を真っ赤に染めてもじもじしている彼の姿が余りに愛くるしく、再び抱き付きたくなる衝動を必死に抑える。

 

「おはこんでございまs…!?」

 

「おっはy…!?」

 

続けて入って来たのはフブキと【夏色まつり】、夏色吹雪の2人。

 

やはり幼児化したシンを見て硬直する2人だが、ノエルの時と反応が違った。

 

「これは…まさか…!?」

 

「こよちゃんが…!?」

 

「ふっふっふっ、やりましたよフブキ先輩!まつり先輩!」

 

其所に不敵な笑みを浮かべたこよりが現れ、誇らしげに胸を張る。

 

「こよりちゃん、これはもしや…!」

 

「はい、やりましたよフブキ先輩!」

 

「あ、こよちゃんの仕業だったんだ」

 

フブキとこよりのやり取りを見て、ノエルが「やっぱりか」と言いたげな様子でそう呟く。

 

「これこそ、こよりが発明した新薬『アホトキシン4869』!その試作品!飲んだ人間を子供にできちゃう夢の薬です!」

 

こよりが高々と掲げた試験管の中には、怪しいピンク色の液体が入っている。

 

「これでまつり達のロリライブ計画が1歩前進する訳ですよ!」

 

「なんですかそのけいかく…」

 

最早怒りも通り越して呆れてしまうシン。

 

「ほう…それで?」

 

「効果を試すべく、スポーツドリンクに仕込んでシン君に…ハッ!?」

 

ギギギギギ、と壊れた機械の様なぎこちない動きで振り向くこよりと夏色吹雪の3人。

 

3人の背後に修羅(アスラン)が立っていた。

 

右手にシン専用ハリセン(あろんだいと)、左手にアスラン専用ハリセン(しゃいにんぐえっじ)を携えて。

 

「さて…何か言い残す事はあるか?」

 

一見穏やかな笑顔を浮かべている様に見えるが、目が全く笑っておらず、身体中からどす黒いオーラがメラメラと立ち上ぼっている。

 

「で、では、最期に白上から一言だけ…」

 

「何だ?」

 

「…やっぱりロリライブは最高だぜ!」

 

「テンション・フォルテシモ!!」

 

「「「ギャーーーーーーーーーー!!」」」

 

意味不明なアスランの掛け声と共に、3人に制裁の一撃が振り下ろされた。

 

 

 

 

「…で、これからシンをどうするんだ?」

 

アスランが3人に制裁を加えた後、すっかり子供の姿になってしまったシンの処遇について会議が行われていた。

 

「よ~しよ~し」

 

「ほ~ら、お菓子でござるよ~」

 

現在シンはノエルの膝の上で頭を撫でられ、6期生の【風真いろは】にお菓子を貰っている。

 

「おれ、いちおう17さいなんですけど…」

 

幾ら幼い姿になっているとは言え、17歳にもなって小さな子供扱いされるのは流石にこそばゆいものがあるらしく、シンは顔を赤くしながら戸惑う。

 

だが、そんな様子も皆の母性をくすぐる要素にしかなっていないらしい。

 

「とりあえず、まずはシンの面倒を見られる人が必要だな。俺は明日からのEN支部への出張に向けた準備があるから…誰か頼めるか?」

 

アスランの問い掛けにノエルが手を挙げる。

 

「団長がやろっか?今日午後からオフやし」

 

「では頼む。これが家の鍵だ」

 

「あれ?団長の家で面倒見るつもりやったんやけど」

 

すっとんきょうな声を上げるノエルに、アスランが深刻な顔で答える。

 

「…正直、この薬の効き目が何時切れるのかわからないからな。もし君達の家で面倒を見たとして、シンが元の身体に戻った時にシンが着られるサイズの服が無かったらどうなると思う?」

 

「?」

 

「…俺が服を届けるまでずっと、裸のシンと一緒に過ごす事になるぞ」

 

数秒の沈黙が流れる。

 

真っ先にそれを理解したのはそらだった。

 

「…~~~~~~!!??///」

 

「そらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

シンの一糸纏わぬ姿を頭に浮かべてしまったそらの耳から首までが一気に真っ赤になり、頭から煙を噴いて倒れてしまう。

 

先日のデート以来、シンを徐々に異性として意識し始めていた彼女には刺激が強過ぎたらしい。

 

目を回して倒れたそらを介抱する友人Aを尻目にアスランが言葉を続ける。

 

「…そんな訳で、シンの着る物が何時でも用意できる俺達の家がベストという事だ。わかったか?」

 

「は、はい」

 

「よし、じゃあ頼むぞ」

 

 

 

 

「すいません、きょうはよろしくおねがいします」

 

「ええんよええんよ、団長に任せんしゃい♪」

 

胸を張り、自慢の大胸筋をばるんと揺らすノエル。

 

シンとアスランの家は子供の足で帰るにはかなり距離がある為、今日はタクシーで帰宅する。

 

タクシーを降り、家の近くのスーパーで夕食の材料を購入してから帰宅する2人。

 

シンとアスランの家は一見すると小さな平屋建ての住宅ではあるが、新築である故に外装、内装共に綺麗であり、2、3人程度で暮らすだけなら十分過ぎる程の広さと快適性がある。

 

寧ろこれ以上大きな家だと、掃除が面倒な事になるだろう。

 

「綺麗な家だね~、団長の家とは大違い」

 

「だんちょうはちゃんとそうじしてください」

 

冷静にツッコミを入れるシン。

 

1度コラボ配信をした時に家にお邪魔させて貰った事があるのだが、ハッキリ言ってリビングが散らかりに散らかっており、ゴミ屋敷1歩手前と言っても過言ではない状態だった。

 

配信を開始する前にシン主導で部屋の掃除を行い、やっと綺麗に片付いたのだ。

 

恐らくアスランが自分の家で面倒を見させようとしたのも、ノエルが名乗り出たからというのが理由の1つとしてあっただろう。

 

「今晩ご飯用意するから待っとってな~」

 

「いいです、おれがやりますから」

 

そう言ってキッチンにやって来たシンの口を人差し指で抑え、ノエルは微笑む。

 

「良い機会だから、ちょっと他人に甘えるって事を覚えんしゃい。シン君放っといたらすぐ無茶するから」

 

そう言って、道中スーパーで買って来た食材を開封し、調理を始めるノエル。

 

申し訳無さそうにその様子を見ていたシンだったが、やがて諦めたのか、大人しく料理をノエルに任せ、録り溜めてあった仮面ラ○ダーを見始めた。

 

「シン君、本当に特撮(それ)好きやね」

 

「ないようがふかくて、こどもむけのはずなのにすごくおもしろいんですよ」

 

そう言って再びシンはテレビに視線を向ける。

 

まるで歳の離れた弟ができた様な微笑ましい気持ちになりながら、ノエルは調理を続けた。

 

 

 

 

「大丈夫?辛くない?」

 

「おいしいですけど…こどもになったからかな、なんかいつもよりからくかんじる」

 

そう言ってノエルが作ったカレーを頬張るシン。

 

幼児化して痛みや刺激に対して敏感になっているらしく、辛味が強く感じる。

 

様子を見兼ねたノエルが牛乳を淹れて持って来る。

 

「食べづらいなら飲んでね」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「因みに団長から搾ったヤツじゃないからね?」

 

「なにいってんですかあんたは!?」

 

 

 

 

食事も入浴も終え、時刻は夜10時を回った頃。

 

子供の身体に戻っている為、眠くなるのが早いのか、シンは既に布団の中で寝息を立てている。

 

「zzz…」

 

「ふふふ…可愛いなぁ…♪」

 

気持ち良さそうに眠っているシンの頬を優しく撫でる。

 

何処までも真っ直ぐで、熱血で、頼りになる普段のシンの面影は何処にも無く、つい可愛がりたくなってしまう。

 

シンの隣に寄り添う様に布団に潜り込む。

 

「…お休み」

 

そう呟き、ノエルもそっと目を閉じた。

 

 

 

 

「う~ん…」

 

瞼越しに外の光が差し込み、ノエルの意識を浮上させる。

 

腫れぼったい眼を擦り、ボヤけた視界をクリアにさせた瞬間…

 

「ッ!?」

 

ノエルは思わず絶句した。

 

自分のすぐ側で眠っていたシンが、元の姿に戻っている。

 

彼が着ていた服は身体が元に戻る過程で身体に合わなくなったのか、ボロボロの布切れとなり果てている。

 

「…!」

 

少し視線を下げると、しなやかな細身でありながらも鍛えるべき箇所は極限まで鍛え上げられた凄まじい肉体が目に映る。

 

布団の陰になって下半身が見えていないのが不幸中の幸いか。

 

思わず悲鳴を上げてしまいそうになる衝動を堪えつつ、ノエルはシンが目を覚ますまで寝たフリをする事を選択する。

 

「…?…!?」

 

すると、1分もしない内にシンが目を覚ました気配がした。

 

暫く困惑していた様だが、やがて落ち着いたのか、一瞬布団の感触が軽くなってシンの気配が遠くなり、衣擦れの音が聞こえて来る。

 

どうやら布団から出て服を着ている様だ。

 

そろそろ起きても大丈夫そうなので、ノエルは寝たフリを止め、上半身を起こした。

 

「う~ん…あ、シン君、おはまっする~」

 

「お、おはようございます…あの~、団長、幾つか聞きたい事があるんですけど」

 

「んぅ…どしたの~?」

 

「…何で団長が俺の家で、俺の布団で寝てるんですか?」

 

「…ほえ?」

 

詳しく聞いてみた所、どうやら昨日の朝、出勤してこよりに渡されたスポーツドリンクを飲んでからの記憶が全く無いらしい。

 

こよりに何かされたのだろうという事は大体予測できているのだが、何があったのか全くわからない様だ。

 

ノエルは一先ず、こよりがそのスポーツドリンクに飲んだ相手を子供にしてしまう薬を仕込んでいた事、子供の姿になってしまったシンの面倒を自分が見ていた事を大まかに話した。

 

「何て言うか、その…すいませんでした」

 

「ええんよ、団長も弟できたみたいで面白かったし」

 

気丈に笑って答えるノエルだが、内心では「記憶を失ってくれていて助かった」と考えていた。

 

…というのも、昨晩入浴した際、ちょっとしたトラブルがあった為である。

 

それについてはこの場では描写できない為、R18の方で補完させて貰うとしよう。

 

 

 

 

因みに、出勤した後にこよりに例の薬について聞いてみた所「いかがわしい事をしてもバレない様、薬の効き目が切れたら子供に戻っている間の記憶が消える様にしておいた」との事。

 

これを聞いて激怒したアスランが、ENからの帰国後に3人に再び制裁の一撃を振り下ろしたのは完全な余談である。




念のため言っておきます。

シンと団長はまだギリギリ一線超えてませんのでご安心を。

シン「安心できるかァ!!」
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