Hololive SEED DESTINY─止まらない運命─ 作:疲れた斬月
「じゃあ、早速作って行こうか」
安室の指示に従い、3人がガンプラの箱を開ける。
「まずは、パーツが全部揃っているか確認して…「にぇぇぇぇぇぇ!!」っておいおい!?」
包みを開いてパーツを取り出した途端に手でもぎ取ろうとするみこを慌てて安室が制止する。
「今説明したばかりだろう!まずはパーツが全部揃っているかどうかを確認するんだ!稀ではあるが、パーツが足りない事もあるからな。それに、切り離す時はニッパーを使うんだ!」
そう言って安室がニッパーを手渡した途端に…
「お?おお~!本当によ~切れるにぇ!」
「手当たり次第にすんなー!」
説明書も読まず、滅茶苦茶にパーツを切り取って行くみこにシンのツッコミが炸裂する。
「あれ?角がどっか行っちゃったにぇ」
「ほら言わんこっちゃ無い!ほら、此処にあるぺこ!」
数時間後。
「や、やっと…」
「完成したぺこ…」
みこのザク、ぺこらのガンダム、シンのデスティニーが何とか完成した。
「お、お疲れ様です…」
「てんでダメだな…」
「ま、まぁ、完成には漕ぎ着けたから良しとしようじゃないか。な?」
苦笑しながら労いの言葉を贈る聖と、呆れた様に批評するレイジ。
竜也が辛くもフォローを入れるが、やはり呆れ果てているのが目に見えており、苦笑いを浮かべていた。
「じゃ、じゃあ早速動かしてみようか。作ったガンプラを持ってついて来てくれ」
安室の指示に従い、一同は部屋を出て、バトルシステムのある部屋へと向かう。
道中でGPベースを受け取り、目的の部屋に到着すると、バトルシステムが既にプラフスキー粒子を散布しながら待機していた。
「この中でガンプラは戦うのか…」
「ビームや弾丸、被弾した時の破損や爆発も、この粒子によって視覚的に演出されるんだ。前会長のマシタCEOが持ち込んだ技術だよ」
「つっても、アイツはウチからアリスタ盗んだだけだけどな」
安室の説明に茶々を入れるかの様に吐き捨てるレイジ。
彼からすれば、自分の家から盗んだものを使って莫大な金儲けを働いた挙げ句、世界大会で散々自分と聖の妨害を謀ったマシタの事はもう思い出したくもないのだろう。
だが、そのマシタによって開発されたガンプラバトルに熱中し、あまつさえ世界チャンピオンの座にまで上り詰めてしまった事に皮肉を感じてもいるレイジであった。
『Set your GPbase』
バトルシステムのアナウンスに従い、貸与されたGPベースをセットする3人。
GPベースにプレイヤー各々の名前と、使用するガンプラの機種が表示される。
『Please set your GUNPLA』
3人がそれぞれガンプラを台座の上に置くと、カタパルトが展開され、発進準備が完了する。
「シン・アスカ、デスティニー!行きますッ!!」
「みこ、ザク、行くにぇ!!」
「ぺこーら、行きまーす!!」
3人の掛け声と共にガンプラが発進する。
ステージは【コロニー】が選択されており、カタパルトから射出された機体の眼前には宇宙空間が広がっていた。
「凄いな、こんな高いレベルで再現できるなんて…でもあのコロニーの形、何時見ても慣れないなぁ」
デスティニーを操作しながら呟くシン。
C.Eの砂時計型のコロニーしか知らないシンにとって、他のガンダムシリーズで主体となっている円筒型コロニーはやはり違和感が強い。
ガンプラの操縦に関しては、本物のMSに比べると細かい操作が利かないが、その分簡略化されていて動かし易い。
慣れるまでにそう時間は掛からないだろう。
「兎田ぁ!ぶつかんじゃねぇにぇ!」
「こっちのセリフぺこだよ!みこ先輩の下手くそ!」
───あっちはそうではないらしいが。
さっきから何度もコロニーの外壁やデブリ、互いに機体にぶつかり、口論しながら飛んでいる。
やいのやいのと言い合っている内に2人共操作に慣れたらしく、流れる様に戦いを開始する。
その様子を、シンは苦笑しながら見ていた。
「にぇぇぇぇぇぇーーーー!!」
咆哮を上げながら斧で斬り掛かるみこのザク。
ぺこらのガンダムはその一閃をシールドで受け止め、ビームサーベルを抜刀し、袈裟懸けに振り下ろす。
サーベルはザクの胸を掠めるが、間一髪で躱し切る。
「見せて貰うにぇ!兎田のガンプラの性能とやらを!」
スラスターを吹かせて一気に加速を掛け、離れた距離を詰めに掛かるザク。
しかし、ガンダムは襲い掛かって来るザクを少し横にずれるだけで回避してみせた。
「軌道が見え見えぺこ」
「おぶっ!?」
そのままザクは勢い余って、進路上にあった隕石に頭から突っ込んだ。
ギャグ漫画みたいに隕石に頭を埋めるザク。
「勢い付け過ぎたにぇ…」
「アホぺこじゃん」
「うるせぇ!見てろ兎田ァ!!」
だが、事もあろうかザクは姿勢を建て直し、隕石を被った頭で体当たりを繰り出して来た。
「たかが石ころ1つ、こうしてやるぺこ!」
ビームライフルを構え、最大出力で隕石と化したザクを迎撃する。
派手な爆発が起こり、撃ち抜かれた隕石が粉々に砕け散った。
「甘いにぇ!」
爆煙を突き破って隕石の拘束から逃れたザクが姿を現す。
その手には発射準備が完了したバズーカが構えられており、みこは引き金を
「バカたれっ!こんな距離でバズーカを…」
時既にお寿司かっぱ寿司。
爆発に巻き込まれた2機は、纏めて木っ端微塵になった。
「何やってんだあんたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ば、爆発オチという事で」
「ふざけんなぺこだよ!」
勝者、シン・アスカ(不戦勝)。
「…」
「ひっでぇザマだな…」
「「あはははは…」」
呆然とする聖。
呆れ顔で悪態を吐くレイジ。
笑うしか無い竜也と安室。
ギャグマンガじみたみことぺこらの戦いを目にした一同の反応は三者三様だった。
そこへ、何もせずに傍観していただけで勝ち残ってしまったシンが声を掛けた。
「…そろそろ俺と
「「「!!」」」
この言葉に一気に目をギラつかせた者が3人。
チャンピオンコンビとメイジンである。
「流石にこんな勝ち方は消化不良なんで…3人も早くやりたいでしょ?纏めて相手しますよ」
3人はろくに返事も返さずに駆け出し、GPベースとガンプラをセットする。
「やはりファイターとしての血が騒いだか…」
後ろで見守る安室が静かに呟く。
「行くよレイジ!結城先輩!」
「ああ!」
「此方の準備はできている!!」
『Battle start』
「ビルドガンダムMarkⅡ!」
「行くぜぇッ!!」
「バリスティックザク!出る!!」
合図に合わせ、待ってましたと言わんばかりに2機のガンプラが発進する。
「オラァァァァァァァッ!!」
咆哮を上げながらサーベルで斬り掛かるレイジ。
その背後からは竜也のザクが放つバズーカの弾頭が襲い掛かって来る。
シンはライフルでバズーカを迎撃しつつ、振り下ろされたサーベルを左手に携えたフラッシュエッジで受け止める。
MarkⅡを蹴り飛ばして距離を取り、ライフルを放とうとするが、再びザクのバズーカが火を吹いた。
頭部CIWSで弾頭を撃ち落とし、フラッシュエッジを投げ付ける。
不規則な軌跡を描いて急迫するブーメランに、ザクはバズーカを破棄して囮にする事で難を逃れた。
ザクとMarkⅡは即座にビームライフルを抜き、射撃戦に移行する。
シンも右手のビームライフルと左手のパルマフィオキーナで応戦する。
「ガンプラの出来は僕達の方が上の筈なのに…!」
「これが…本物の戦場を経験したパイロットの力か!」
自分達の攻撃はデスティニーを捉える事すら叶わず、逆にシンの攻撃は先程からずっと自分達を的確に仕留めに掛かっており、2機で互角の戦いに持ち込むのがやっとだ。
次元の違う強さに歯噛みする聖と竜也。
…その一方で。
「ハハハ…ッ!面白ぇじゃねぇか!」
レイジの眼に火が灯る。
世界で頂点を取ってしまった事でタメを張れる相手がいなくなった事や、故郷の王になる勉学の為に、満足にガンプラバトルを楽しめる環境が少なくなってしまった事で、彼の中には「自分と鎬を削れる程の相手との熱い戦い」への渇望が芽生えていた。
そして、その渇きを想像以上の形で満たしてくれる存在が目の前にいる。
自分が終生のライバルと認めた男であり、メイジンの称号を継いだ竜也とコンビを組んでやっと互角に戦える猛者。
「最高だぜ、お前ッ!!」
闘争への欲求を満たしてくれるシンへの感謝と興奮に、レイジは獣の様な凶暴な笑みを浮かべた。
「思った以上にやるな…!」
2機の猛攻に応戦しながら、デスティニーを駆るシンが呟く。
ガンプラの出来栄えの差や数の差もあるとは言え、実際の戦闘を経験した自分と互角に渡り合っている。
ザフトでも赤服を着れるレベルだろう。
チャンピオンとメイジンの名は伊達ではない、という事か。
「!!」
MarkⅡのバックパックが分離し、自律ユニットとなってビームを連射しながら襲い掛かって来る。
更にザクの肩部に増設されたコンテナからファンネルが射出され、ビームでデスティニーの動きを封じ込める。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーッッ!!」
「ッ!!」
ビームを回避する事に意識を割いていたシンの隙を突いてMarkⅡがサーベルを振り下ろして来る。
ステップでギリギリ回避したが、ビームライフルが真っ二つに両断され、爆散する。
「チッ…!」
慌てて距離を取り、フラッシュエッジを投擲する。
弧を描いて飛翔するブーメランが、MarkⅡの飛行ユニットのライフルを切り飛ばした。
更にシンはブーメランにパルマフィオキーナのビームを放つ。
掌から放たれたビームはブーメランのビームと相互干渉、拡散され、ザクのファンネルを全機撃ち落とした。
「何!?」
「今のは…!」
「ビームコンフューズか…ッ!!」
ビームコンフューズ。
ブーメランの様に投擲したビームサーベルにビームライフルを放つ事で、そのビームを拡散させ、広範囲に攻撃を行う、機動戦士Zガンダムの主人公【カミーユ・ビダン】が使用した戦術だ。
シンの場合は精密な操作ができるブーメランなので、より簡単に行う事ができるのだ。
「くっ…!」
ビームライフルを構え、デスティニーに照準を合わせるザク。
しかし、シンの方も既に迎撃準備ができており、右手のパルマフィオキーナを構え、互いにトリガーを引く。
双方の銃口が同時に火を吹き、ザクのライフルが右腕ごと破壊される。
デスティニーもまた右腕を撃ち抜かれる。
「チャンスだ!レイジ!!」
「貰ったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
一気に距離を詰め、ビームサーベルを突きだすMarkⅡ。
サーベルはそのままデスティニーを貫いた。
…筈だった。
「嘘だろ、オイ…!」
MarkⅡのサーベルが貫いたのは、デスティニーの頭部だった。
完全な回避が不可能だと判断したシンは、機体を僅かに下にずらす事で辛うじてコックピットへの直撃を避けたのだ。
そしてとどめを刺すべくMarkⅡが距離を詰めて来た事を逆手に取り、逆にデスティニーのフラッシュエッジでMarkⅡの胴体をバックパックごと貫いた。
しかし、此処でレイジが思いも寄らぬ反撃に出る。
「!」
自身の腹部を貫いたデスティニーに組み付き、拘束したのだ。
「今だ!ユウキ!!」
レイジの叫びに応える様に、長大な斧【ダブルビームトマホーク】を構えたザクが斬り掛かって来る。
「このォ!!」
しかし、シンも只ではやられない。
フラッシュエッジの柄から手を離し、自身に組み付くMarkⅡの右腕をパルマフィオキーナで粉砕して拘束を解き、同武装でザクを迎え撃つ。
「「うおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」」
斧がデスティニーへと振り下ろされ、掌の光がザクの腹部へと突き出される。
そして…
「見事な勝負だったよ、4人共」
汗だくでへたり込む4人に、安室がスポーツドリンクを手渡す。
システムの上には、バラバラに大破した3機のガンプラが横たわっていた。
「いや~、負けた負けた。物の見事に負けちまったぜ」
「何言ってんだよ…相討ちだろ、あれは」
「いや、レイジ君が隙を作ってくれなければどうなっていたか…あれは実質、負けた様なものだ」
「やっぱり本物のガンダムパイロットは凄いや…!」
爽やかな笑みを浮かべながら互いの健闘を讃え合うシン達。
「何かもう…全然次元が違ったにぇ」
「ぺこーら達のバトルがまるで子供の喧嘩に見えて来るぺこ…」
バトルのあまりの凄まじさに開いた口が塞がらないぺこみこの2人。
「なぁ、またやろうぜ。今度は勝つ!」
「ああ、次も負けないぜ」
そう言って、シンとレイジは握手を交わす。
MSの戦いをこれ程までに楽しいと感じる日が来るとはな、と感慨に耽りながらシンは笑みを浮かべた。
因みにこの案件の動画の再生回数は1日で300万回を超え、シンのチャンネル登録者数も56万人に跳ね上がったのは嬉しい誤算だった。
結果は相討ちに終わりました。
もっと戦闘描写を上手く書ける様になりたい…。
次回はホロライブサマー復活記念。
「夏と言えば?」な皆さんお待ちかね(?)の…
次回もお楽しみに!