今日も駄菓子屋行ってデュエルしようぜ!!!!   作:SOD

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金持ちお嬢様より調子こいてる従者っているよね。心へし折ってみたい。




駄菓子屋で地雷女の心へし折ってみた。

 

「ハハッ、あのガキ……無限のライフを削り切りやがった。」

 

無限のライフを【チェーンバーン】で狩り取る。

デュエルモンスターズの空前絶後を総て漁って、どれだけのデュエリストが行えたか分からないような、グーにチョキで勝つ偉業を成した小学4年生のエロガキに、驚愕と称賛と歓喜の籠もった声を漏らした裕介。

 

 

「うおおおおおーー!!!!すっごいぞチョー!!やったー!!」

 

「凄いでゴザルよチョー!感動した!!」

 

「とんでもねえな、アイツ。オレたちの誰も出来ねえことをやりきりやがった。」

 

観戦席のアイ、コタロウ、リュウも惜しみない賞賛を捧げた。

 

 

「な、なんという事ですの……無限のライフポイントを…初見で削り切るだなんて……そんなことが……お猿さんに…」

 

「……………凄いの…。」

 

 

敵側のカザリとシキまでも、認めざるを得なかった。

 

「…………………………」

 

必勝を確信し、恨み言を口にし続けたメイカは、手を握りしめ、歯を噛み締め、悔しさの一粒たりとも零すまいと震えながら、主の元へ戻って行った。

 

「メイカ、ご苦労様でしたわ。」

 

「………………………もうし…わけ、ありません。おねえ、さま…ッッッ。」

 

「良いのですよ。メイカ。

貴女は何も悪くありません。あのお猿さんのデッキがたまたま埒外だっただけの話です。

 

【チェーンバーン】にホーリージャベリンやぶつかり合う魂を採用しているなどという偶然が、たまたま今回だけ噛み合っただけですわ。次戦えば、絶対に貴女が勝ちます。ワタクシはそう信じていますの。メイカ」

 

「……………ありが、とう…ござい、ます……おねえ、さま……」

 

お姉様と呼び慕うはずのカザリの励ましも虚しく、メイカは依然として、屈辱に震えている。

カザリの発言は決して的外れでも身内贔屓でもない。

今回の勝因は、ホーリージャベリンという、通常採用する選択肢に入らないマイナーカードがあったがゆえだ。

チョーが他に適切なカードが揃わなかったがゆえに、採用していたホーリージャベリン。これがなくては勝利にはならなかったのだ。

 

チョー自身、最も勝利に貢献することになるから、などと考えて採用したわけじゃない。

 

バーンカードを連続使用すれば、すぐに手札が切れるから、メルに『メタモルポット』を求めた。

 

ライフ的に有利を保てるだろうと予想を立てたから、ゲキに『ぶつかり合う魂』の交換を持ちかけた。

 

単純に一枚でのダメージ量の多さと、魔法罠主体で通常召喚権の余りが有効活用出来るから、アイが贈ってくれた『ファイヤートルーパー』を採用した。

 

ホーリージャベリンは、本当にただ枠が余ったのと、後続の味方のライフを少しでも万全に残す可能性を上げる為に、消去法による採用だった。

 

メタモルポットで手札を満たしても、対抗策がなければダメだ。

ぶつかり合う魂が引けても、ライフが下回っていてはダメだ。

ファイヤートルーパーを使っても無限のライフにはダメージは無いも同然だ。

 

ホーリージャベリン(マイナーカード)で回復したから、勝利に繋がっただけなのだ。

もし、チョーのデッキが万全なチェーンバーンに成り上がった時、果たしてそのレシピにホーリージャベリンが入っているのか?

まして、それで今回のように勝利できるのか?

 

答えは、おそらくはNOだ。

なぜならデュエルモンスターズは、デュエルは、事前に採用したカードの持つ力以上を発揮することなど、出来はしないのだから。

 

 

それでも、メイカが敗北感でいっぱいなのは--

 

 

(………………わたしのほうが、沢山のカードを持っているのに……。

…………………わたしのほうが、強いカードを持っているのに……。

 

 

わたしは……わたし自身が……矢吹チョーに敗北した………)

 

限られたカードだけで、ベストなデッキを組めていない。そんな相手に、デッキのフルパワーを発揮して負けた。

 

その事実が、デュエリストの矜持を傷付けるには、充分過ぎる。否。過剰に過ぎたからだ。

 

(負けない……次は……負けない……ッッッ!!!!!)

 

耐えて耐えて、噛み締め続けてもなお、溢れ出した1滴の嗚咽(きもち)に続く涙を、舌を噛んででも耐えきったメイカを、羽衣山カザリはせめて誰にも晒すまいと自らの身体で隠すことしか出来なかった。

 

 

「さあ、シキ。次は貴女の手番ですわ!

耳馴染みのない分家の名前ではありますが、お父様からの推薦でいらしている以上、期待させて貰えるのでしょうね?」

 

「……うん。大丈夫。

 

シキはあの人と戦ってみたい。」

 

そう言うと、シキは自身のロングスカートを優雅にフワリと舞い上げる。太ももが見えるほどはっきりとスソが上がり、健康的な生足を惜しげも無く披露した。

 

「--!!!!!!!」

 

そんなお宝な光景をチョーが凝視せずにいられるはずもなく……。

 

「ガーターベルトだと…!?み、みえ…もうちょい!みえ…!!!

--ん……?」

 

明らかに性欲と欲望に理性と知性を捧げた血走った目でシキのスカートの中身を見つめながら、沸騰して人の越えてはいけない線引を越えた脳みそで、チョーはそのスカートの中身に確かな違和感に気づいた。が、すぐに忘れることにした。なぜなら

 

「お待たせ……準備が出来たの。」

 

「…………ああ。全く待ってないぜ。なんならあと一時間くらい余裕だった。」

(なんということだ……赤のレース…だと!??)

 

この世の全てはパンツの前に無意味であり、無価値。

太ももに括り付けてあったメイドらしからぬ品の数々など、心の底からどうでも良いことだった。

 

人としての知性や善性を捨てるほど蕩けた脳みそですら認識せざるを得なかった違和感など、無視して良いはずがないのに、チョーは赤いレースのパンツを見たことで、それら総ての情報を、些事と投げ捨てたのだった。

 

「それじゃあ、よろしくおねがいします。なの。」

 

「ああ、宜しくな。」

 

「--決闘(デュエル)!!!!」

 

シキ LP7500

チョーLP600

 

 

「んで、あの犬耳のメイドはどういうやつなんだ?解説のコタロウちゃん?」

 

「拙者はいつから解説役になったのでゴザルか?裕介(うじ)

 

「質問に質問で返しちゃいけないんだぞー」

 

「…………はぁ…」

 

「うわーため息付かれた。」

 

「ドローフェイズ。ドロー。

スタンバイフェイズ、メインフェイズへ。

 

魔法カード『無尽機関アルギロ・システム』を発動するの。

 

デッキからセリオンズと名のつくカードを墓地へ送る。

 

『セリオンズ“エンプレス”アラシア』を墓地へ。」

 

 

(セリオンズか。こりゃチョーのガキはここまでかもな。

手札の『セリオンズ“キング”レギュラス』を出されれば、遅くても2、3巡でライフに手が届く……)

 

「そして、手札から『セリオンズ“デューク”ユール』の効果発動。

墓地のアラシアを装備カードにして、特殊召喚するの。」

 

 

セリオンズ“デューク”ユール ATK2800

 

「い、いきなり攻撃力2800がポンと出てくんのかよ…!」

 

「ユールは攻撃力が2100だけど、セリオンズはみんな、セリオンズに装備されると、攻撃力を700ポイント上げてくれて、自分の効果も使わせてくれる絆の強いカードなの。

でも、セリオンズが墓地になくても、それはそれとして、同じ種族のモンスターを装備カードにして特殊召喚することも出来るの。

 

メイカのギガンテック・ファイターを装備カードにして、『セリオンズ“ブルズ”アイン』を特殊召喚するの。」

 

セリオンズ“ブルズ”アイン ATK2100

 

「次から次へとなんてカードだよ…!」

 

「装備カードのセリオンズ“エンプレス”アラシアの効果を、手札一枚を捨てて発動します。

魔法・罠ゾーンのセリオンズモンスターを一体対象として、特殊召喚出来る。みんなで戦うの。」

 

セリオンズ“エンプレス”アラシアATK2100

 

セリオンズ“デューク”ユール ATK2100

 

セリオンズ“ブルズ”アイン ATK2100

 

 

「なんと言うことか…攻撃力2000を超えるモンスターを、一度に3体も特殊召喚するとは!!」

 

「チョー!頑張れー!」

 

「ちっ…簡単に言ってくれるぜ…アイのやつ」

 

 

「バトルフェイズに入るの。」

 

 

「発動するならここしかねえか…バトルフェイズ、スタートステップ時、リバースカードオープン!

速攻魔法『緊急テレポート』発動!デッキから『Dr.フランゲ』を守備表示で特殊召喚だ!」

 

Dr.フランゲ DEF300

 

「手札から使えるカードが入っている…の?」

 

 

「さあな?

Dr.フランゲの特殊召喚成功時、ライフポイントを500払って効果発動。

 

デッキの一番上を確認する。それをデッキの一番下に戻すか、相手に見せて手札に加える。だが、加えたら次のターンのドローフェイズはスキップだ。」

 

「オホホ!間違ってもダメージの過剰分が次のプレイヤーに襲いかかるこのデュエルの、この局面で使うようなカードではありませんわね!

さすがはお猿さん。負けたくないその一心だけで味方の足を引っ張るとは。足手まといですわねぇ〜」

 

チョー LP100

 

「ふん…足手まといをご所望かい?テメエの小さな身体で振り返ってみろよ。いくらでも拝めるぜ?」

 

「メイカは充分に役目を果たしましたわ。

奇跡的に一度勝利した程度で図に乗ると、痛い目を見ますわよ!!」

 

 

ドチビ糞ドリルの煽りも虚しく、自らのデッキに指を掛けるチョー。

鬼が出るか、蛇が出るか。

 

 

「大丈夫だよチョーくん!チョーくんはもう一人倒したんだから、今度は私達の番だよ!!」

 

「そのとおりだチョー!一歩間違えば全員全滅の危機をお前は救った!アレだけ強力なモンスターに一歩も引かずに戦うお前の姿に、我々は勇気を貰ったのだ!!」

 

「「だから最後まで諦めずに戦ってほしい(くれ)!!!!」」

 

「………デッキトップ、オープン。」

 

ピッと指でカードを弾き、無駄にスタイリッシュに宙に舞わせてカードを手に取るチョー。これで外せば最高にダサい。

チョーの顔から冷や汗が滴る。無意味にハードルを上げたチョーに、果たしてスタイリッシュの神は微笑んでくれるのか……!?

 

 

「……………………。」

 

 

「なんだがワクワクするの……」

 

この緊張感溢れる瞬間を、敵ながら楽しむシキ。ほんわかとしながらも笑みが溢れている。

 

一方チョーは……

 

「……流石にここまでかー。

まー、無限のライフポイントゼロにしただけでも大金星だ。

良くやったな。チョーのやつはよー」

 

「…………………(チーン)」

 

絶対かつ確定的に、外した(無駄ヅモ)と、ギャラリーが確信できるほどはっきりと白目になっていた。

 

「………………デッキの下に戻しまーす。」

 

「……残念。なの。

さっきはとっても凄かったから、もしかしてって思ってたの……」

 

「……………笑えよ。」

 

「ううん。さっきのライフポイントを削り切ったところは本当に凄かったの。

だから都合よくそこだけ覚えて帰るね。なの。」

 

「くっそー……憐れまれている……っっ!!

でも都合は良いので()()()()同僚の美人なお姉さんメイドとかがいたら拡めてください!!!!」

 

その浅はかかつ短絡的…直球的に言ってバカの発言に、優しい笑みを浮かべながら、シキは返答する。

 

 

 

 

「…………ごめんね。ソレは出来ないの。

()()()()には、()()()いればいいから………。

 

 

 

 

 

バトルフェイズ、メインステップ。

デュークでDr.フランゲに攻撃するの。」

 

デューク ATK2100 Dr.フランゲ DEF300

 

「フランゲー!!お前のせいじゃ無いけど、ちょっと恨むからなー!!!!」

 

「素敵なデュエルを見せてくれてありがとう。なの。

 

セリオンズ“ブルズ”アインで、矢吹チョーに直接攻撃(ダイレクトアタック)。」

 

下半身の車輪がギュルルルと回転し、ケツの穴を刺し穿つのにちょうど良さそうな感じの槍がチョーに襲いかかった。

 

彼はよく戦った。誰もソレを否定すまい。誰もソレを…咎めまい。

最後まで戦った戦士を、仲間を称賛とともに迎え入れよう。

5人の誰もがそんな気持ちの中、一切の負の感情を持たず、チョーの敗北を見届け

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リバースカードオープン。『自爆スイッチ』。」

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、その場にいた全員が、時間が止まったかのような錯覚に陥った。

 

「………………ゑ?じ、自爆…スイッチ……??」

 

「何だ!?その明らかに負けそうな名前のカード!??」

 

「あ、アレって…チョー君が最初に伏せた4枚の中の最後のカード…だよね?

全然発動する気配が無いから、てっきり使えないのかと思ってたけど……」

 

「いったいこの土壇場で、どんなカードを発動したのだ!?」

 

 

 

そんな誰もが動揺していた状況で、たった一人だけ動き出した者がいた。

 

 

いや……飛び出していったのだ。

 

 

「ーーーー!!!!!!」

 

 

「メイカ!!!!」

 

 

飛び出していった葉山メイカを追いかけるべく、羽衣山カザリもまた後を追っていった。

 

「何だ何だー?いきなりどうしたんだ傷んだ脳みそは?」

 

 

「………………耐えられなかった…なの。」

 

 

メイカの奇っ怪とも取れる行動を全て理解していたシキが、本当に簡単に説明した。簡単すぎて、その真意を理解出来たのは

 

彼らの持つ全てのカードの元々の所有者、裕介。

正式に自爆スイッチを持っていた少女、コタロウ。

現・自爆スイッチ所有者、チョーの3名のみだったが…。

 

 

「…………『自爆スイッチ』は、両者を引き分けにするカードなのでゴザルよ。

その発動条件は、ライフポイント7000以上の差が開いていること。」

 

「引き分けー?んで、それで何で傷んだ脳みそが出てったんだよコタロウ?」

 

「………葉山メイカからしてみれば、あの自爆スイッチの存在で、自分がこれ以上無い道化だったと思い知らされることになったわけで……」

 

「どういうことだ??よくわかんないぞコタロウ。」

 

「……ふむ。得心がいった。

つまり、己が勝者であると驕り切っていたのが、実はチョーの掌の上で踊らされていたことを知って、いたたまれなくなった…ということか。」

 

「そう言うことでゴザル。葉山メイカに限らず、チョー以外の、この場の全員が、圧倒的な不利と、相手の優勢を絶対と思っていた。

 

ところが真実は、チョーはいつでもあの無限のライフを無価値なゼロに変えることが出来た。

にも関わらず、チョーは引き分けではなく自らの勝利を最後まで諦めず、あまつさえ、勝利した。最後の切り札を隠しきったままに。

 

 

これは、完全な勝負あり。奇跡でもなく、偶然でもなく、チョーは自らの意志で戦い、勝ち残った。

 

おそらく、葉山メイカの中で、認めたくない格付けが……決定付けられてしまったのであろう。

下民と嘲り、見下した相手に……完全敗北を突きつけられたのだから。」

 

 

「うん。それで合ってるの。メイカは、プライドが高い割に心が弱いから……。

 

それにしても、チョーのデュエリストとしての才能は凄いの。

初めから一人で2人倒すつもりだった?」

 

「ああ。オレが先鋒って決まってから思ったんだ。

オレのデッキは連戦で2人相手するとか不可能だから、速攻で一人倒した後、あわよくばもうひとり持って行けたらモテるんじゃね?って。

 

いや〜ここまで上手くいくとは思わなかったけどなー。

取り敢えず、一人で2人倒したオレは間違いなくMVPだな!ハッハッハッハッハ!!」

 

 

「ふふふ。」

 

口元に手を当てて品よく笑ったシキは、手札の一枚をデュエルテーブルに置いた。

 

「--ライフを半分払って、手札から、カウンター罠『レッド・リブート』を発動するの。罠カードの発動と効果を無効にして、その罠カードを伏せ直すの。」

 

 

「……………え???」

 

 

 

 

 

「ごめんね。シキはもう少し、デュエルを楽しみたいの。」

 

 

 

「えー(´・ω・`)」

 




葉山メイカ(??)

羽衣山カザリの従者兼メイド兼同級生。
プライドが高く、カザリ以外を見下す傾向が強い少女。
地雷系ファッションのようなメイド服に、ツインテールに、舌ピアス。と地雷見え見え。
矢吹チョーに完全敗北したことを理解した彼女が、どのような行動に出るのか………作者のモチベが続けば明かされるかもしれない。



【挿絵表示】

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  • 羽衣山カザリ
  • 葉山メイカ
  • シキ
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