デュエルしません。
「すまぬ!!引き分けが精一杯だった!!」
ガン!!とコンクリートの地面に力いっぱい額を打ち付け土下座するゲキ。
それをチョーは冷ややかかつゲスな顔で見下ろしている。
「何が精一杯か!?
オレの作ったアドバンテージがまさか全部消し飛ばされてイーブンにされよってからに!!
目的の為に最善を選ばねえことは、精一杯とは言わねえんだぞゲキ!!」
「だ、大丈夫だよチョーくん。まだライフポイントはこっちが有利だよ。」
「甘やかすな委員長!!
こいつとはTime Place Occasionについて深く語り合う必要がある!!
あとついでに頸椎を360度回転させるという
「それは会話じゃ済まない!処刑っていう市民がやっちゃいけない行為だよ!」
「市民がやらなくて誰がやるんだ!この腐りきった国家を真にどうにか出来るのは暴力だけなんだ!」
「どうして子供同士のデュエルが国家レベルの問題にすり替わっているの!?
とにかくチョーくんは一度落ち着いて!次のデュエルを私が勝てば、それでチームの勝利なんだから!ね?」
「ちぃ……委員長がそこまで言うなら」
「本当に済まない、メル。どうか勝利を決めてきてほしい!」
「うん。精一杯頑張ってくる。だから、絶対大丈夫だよ。」
メルは精一杯の気合を込めて、勝利を誓う。
すると、流れで審判をやっているような立ち位置の駄菓子屋が口を開く。
「話は纏まったか。
んで……大将戦になるわけだが………いつになるんだこれ?」
そう。居ないのである。大将が。敵が。
「そーいや、出てったっきり戻ってこねーすね。ドチビ糞ドリル。」
「どこいっちゃったんだろうな?」
「死んだんじゃねえの?」
「ざけんなエロガキ。万が一フラグが立って死んでたらどうしてくれやがる。死体が腐ったら腐臭が漂って臭えだろうが」
「間違っても今の返答は命を軽んじた発言をした子どもに返す返答じゃねーんすよね…裕介のニイチャン」
「心配せずとも、店の外に人の気配はするから、生きてはいるでゴザルよ。裕介
両者引き分けに終わり、チームの勝敗が大将に委ねられたこの試合、肝心の相手大将は傷心の仲間を追って不在。
温まっていた空気は冷えていた。
「タレ耳メイドが呼びに行ってから、けっこー経つぞ。」
「面倒くせえなぁ…相手側はデュエル見てなかったから、進行について説明せにゃならんのに。」
「お待たせいたしましたわ!!!!」
ドン!!!!
という効果音と共にハキハキとした大きな声で現れた羽衣山カザリは、何故かドヤ顔だった。
「おまたせしたのー。…………はむ……」
その背後から顔を見せたシキは、なにやらヘタった顔をしている。
なにかしらシキが疲れるイベントでも起きたのかもしれない。
「さあ森園メルさん。ついにこの時が来ましたわね!
ワタクシと貴女、どちらが真の委員長に相応しいのか、いい機会ですからついでにハッキリさせて差し上げますわ〜!」
「おいニンジャ。急に新設定生えてきたんだが何だコレ」
「なにと言うことも無いでゴザルよ。
クラスの委員長を決めるとき、羽衣山カザリが真っ先に立候補したのをリュウが
『何か知らんけど権力を握らせちゃならねー人間の臭いがする!!』
って言って、嫌がるメルに無理矢理を強いて委員長の座におさめてしまったでゴザルよ。」
「何やってんだアイツ。」
「最終的には涙目で拒否していたメルを、何をどうやったのか本人の意思を無視して美月先生に認可させてしまったのでゴザルよ。」
「すげえことやってんな。内容は最低だが。自分でやる選択肢は無かったのか」
「ふむ。『オレに票が集まるわけねーだろ』と至極正論で返していたでゴザルな。」
「お前は恋した男がそれでいいのか?」
「ひゃわっ!??にゃ、にゃぃを言うでごじゃるかっっ!!喝!!!」
「しかし、そんな無茶苦茶やって、リュウのやつ、よくメルと関係性崩れねえな。」
「メルは
『この借りは倍にして返すよ……いつか絶対に委員長押し付け返してやるっっ!!』
って意気込んでいたでゴザルよ。」
「負けず嫌いに火を付けただけで済んだのか。……あるいは計算尽く?
ちなみに、ニンジャには委員長勧めてこなかったんか?」
「………リュウは、拙者に仕事を振ろうとはしないので……」
少し寂しそうな顔をして、苦笑いを浮かべた。
「………………少しだけ、メルが羨ましかったなぁ……」
「森園メルさん。ワタクシが勝利した暁には、委員長の座、明け渡して頂きますわよ!」
「そうは行かないよ阿呆陀羅お嬢。私の委員長の座は、絶対にリュウに押し付けると決めてるんだから。それを邪魔するって言うなら………ユルサナイよ…」
思わずゾッとする程深い闇を瞳に宿して殺気をあらわにするメル。
「……………おいリュウ、お前本当に何で寄りによってメルに押し付けたんだよ……」
「え?裕介のニイチャンはアイ、ゲキ、チョーの中に委員長適性あるやつ居るように見えるすか??」
「ないな。」
「でしょ?だったら仕事サボらずこなすメルが一番すよ。」
「ニンジャじゃアカンのか」
「………アイツは頭良いバカなんで駄目すね。」
「ふーん……。」
納得したようなしないような表情で話を終えると、今度はデュエルをする両者に、説明フェイズに入る。
「えー、両者聞いとけよー。
さっきのデュエル、ゲキとシキのデュエルは引き分けで終わった。
となると問題になるのは、次のターンはどっちが先に動くのかだ。」
「なるほど。満足に場にカードが残されていないフィールドにも関わらず、最初に動くプレイヤーはバトルフェイズに入ることを許されているライフ引き継ぎルールにおいて、これは並のハンデでは収まりませんわね。」
「確かに。私達のどちらかが、次のターンに何もできずに倒される危険性と隣合わせなんだ。」
「んで、気になる次のターン、どっちが先に動くのかだが…」
両者、固唾をのんで裕介を直視する。
羽衣山カザリからすれば、敵陣の男が、わざわざコチラに有利な判断をするとは限らないという、アウェーの常識に不利を感じる。
森園メルにしてみれば、裕介が普段からだらけて適当でズボラでダメな大人でありながら、判断は極めて公正で公平である意外な一面を知っている。
普通のデュエルよりも更に重みが違う先攻1ターン目。
選ばれるのは……?
「引き分け時はゲキのターンだった為、プレイヤーの敗北と同時にエンドフェイズを行わずにドローフェイズへ移行するというルールに乗っ取り
羽衣山カザリを先攻とする」
「なんですって…?!」
「やっぱりそうですよね。」
心底意外そうなカザリ。
予想通りだったメル。
両者とも審判の判断に心中を僅かに乱されながらも、すぐに心を落ち着けてデュエルテーブルに着いた。
「意外なジャッジではありましたが、結果だけは何も変わりませんことよ!どちらであろうともワタクシの勝利で終わる!お覚悟ですわ!」
「……そっちこそ、その思い上がった根性を叩き直される覚悟は出来た?釜で熱して金槌で叩いてロードローラーで伸ばして矯正するから」
「伸ばすにしても、それは過剰が過ぎませんこと…??」
「それだけ貴女の言った事は、私たちにとって許せないことなんだってこと……思い知らせてやる。」
決闘前の挨拶も終わり、双方デッキからカードを引き手札を満たした。
「それでは真の勝者の姿、拝謁の栄誉を差し上げますわ!!オーッホッホッホッホッホ!!」
「それがあなたの、生涯最期の自信になる。
「「--決闘《デュエル》!!!!」」
羽衣山カザリLP5100
森園メル LP7000
森園メル(10)
3人の中ではいちばん正統派に美少女に
クラスで委員長をしており、基本自習の授業でノートを集めて先生に持っていく、珍しく先生が教卓に立って授業する時は準備を手伝うなど、普通にかったるい雑用をこなしている。
アイと同じくクソ駄目グータラ人間の裕介の介護をしているが、アイが趣味と愛情でやっているのに対して、メルは義務感と人情で行っている。
つまり、別に好き好んでやっているのではなく、裕介が自立するのは大歓迎であり、わざわざ仕事を増やしたいとは思っていないので、委員長とか面倒くさいと思っている。
リュウが委員長を押し付けようとしてきた時は本気で抵抗し、絶対に負けないつもりで動いていたため、それでもリュウに負けた時は負けず嫌いの悔しさから涙目になっていた。
次は絶対に負けないという気持ちを胸に委員長を完璧に行い、次の委員長決めの時には何が何でもリュウにリベンジすると心に決めている。
負けたことを本気で悔しがっている一方で、委員長を押し付けられた事実そのものは実はあまり気にしていないので、リュウにリターンマッチをして勝利した上でなお、リュウがどうしても嫌がるようなら委員長自体は継続してもいいとも考えている。
要は負けっぱなしでいられないだけなのである。
「普段から勉強全然なリュウくんに完敗させられたのが悔しくて仕方ない。絶対に私の方が頭いいって思ってたのに。」
「もー謝るからソレでよくねえか?あと悔しい理由が人としての礼儀が終わってんぞ」
「絶対にいや!!手抜いたら私本気でリュウくんのこと嫌いになるから!!!!」
「オレもう勝たなきゃならねー理由ねーじゃん!!」
「リュウくんが勝ったら一週間私のお菓子上げるよ!」
「わりにあわねー……」
なんだかんだ、仲良しではあるのだ。
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羽衣山カザリ
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葉山メイカ
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シキ