今日も駄菓子屋行ってデュエルしようぜ!!!!   作:SOD

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皆さんこんにちは。最近またコロナが環境トップに躍り出たせいで大会に出られません。うP主です。

世界大会の竜剣士の出現は驚かされましたね。
おかげでこっちとら大会も出られないのに対策だけはしっかりやってるせいで、手持ちのデッキが増えることになりました。

 
【エルドリッチ】をメインにして

【イビルスプライト】【イシズティアラメンツ】【サンドラビーステッド】【ふわんだりぃず】【相剣】【海】【HERO】【LL】【ルーン】【宝玉獣】【ラビュリンス】

【EM竜剣士】←NEW

汎用カードの収集が……追いつかない…!!!!



駄菓子屋でデュエマしようぜ!!?? Ⅱ

自身のメイドであるメイカが殺意の波動に目覚め、なんとか被害を抑えようと発言したカザリは、他3人の興味皆無な様子に心が折れた。

そして……

 

「……………ごめん…なさい、チョーさん…ぐすっ…。

ワタクシ……できればっ、あなたとも…お友達に……なりたかったですっ……!ぐすっ……」

 

悲痛な面持ちでメイカが走り去った方向に手を合わせていた。

 

「泣くなよカザリ……。

遅くても明日には学校で会えるって。」

 

アイがカザリの頭をよしよししながら、あやしていると、カザリの指示を受けたAIが反応して返答をし始めた。

 

『ねえー!さっきからやってるんだけどさ〜。日向アイの実力の数値化が難しすぎるんですけどー』

 

「え?

えっと……どういうことですの?アイさんの実力が数値化出来ないというのは」

 

アイにあやされてどうにか立ち直ったカザリが、AIの返答に疑問を返す。

 

『その子のデッキよー!

 

デュエリストのランクって、プレイヤーの人間としての総合力を算出して決めるじゃん?

 

主にー

プレイングの整合性。(プレミしないか)

デュエル中の判断力。(相手のデッキ内容の想定、伏せカードの危険性に対する嗅覚など。読みの力。)

二者択一を選ぶ決断力。(プランの選択、マストカウンターの選択)

運命力(ドロー)

デッキの強さ

 

この中で『デッキ』だけ明らかに他の実力に見合って無さすぎて、どうしても暫定のデュエリストランクが実際の力に追いつかないんですけどー!』

 

「ほーん。ガキのデータ取りに随分細かくやってんだな。」

 

そのデータに、これまでゲームの方には興味を示さなかった駄菓子屋が、初めて目線を向けた。

 

『…………うげっ!???安堂裕介じゃんっっ!?

何でこんなヤバいのがお嬢の近くにいるわけ!?お嬢逃げて!ウチごと逃げて!!』

 

「フハハハハ!!小学生がゲーセンのアーケード機抱えて走れるわけねえだろ。おもしれえなコレ。あと

 

 

ーーぶっ壊されたくなかったら、余計な情報は漏らすなガラクタ

 

『ひぃっ!!』

 

「まあせっかくだから、アイの今のデータがどんなもんなのか、見せてみろ。」

 

『は、はいっ!!優秀なAIとして公正かつ厳密なデータを提供さしてもらいますっ!!』

 

「……??」

 

急なキャラの変化に持ち主のカザリがきょとんとしたが、構ってる暇など無い。さっさと言われた仕事をする。

 

『こちらが、日向アイの実戦データを元に算出したパラメーターです。

今の所わかる限りの

 

プレイング 6

読み 4

決断力 5

運命力 7

デッキ 2

 

ランク 4

 

「お〜これがあたしのデュエリストとしてのデータか。なるほど、わからん。」

 

「そ、そうだね。数字だけ出てきても全然分からないかな。」

 

「うむ。片手の指以上の数字で人のデータを測っても、良いこと無いのである。」

 

「あ、えっとですね、これは……」

 

「ーー最大の数字を12とした時の割り振りだ。6が平均値だな。

俺がカードばら撒き始めたのが春だから、ざっと2ヶ月でこれか。

 

やっぱ育成のしがいがあるな。こいつは」

 

わしゃわしゃとアイの頭をご機嫌に撫で回す。

 

「わははは!嬉しいか裕介にぃ〜!!あたしも嬉しいぞー!

お〜お〜…目が回ってきた〜〜」

 

「あ……いいな…アイさん。」

 

スキンシップと構われに飢えるお嬢がぽつりとこぼした言葉は、誰が気付くことも無く話が進む。

 

『安堂裕介の言うとおり、ネットもない環境で友達と遊んでるだけの十歳がこのパラメーターなのは、もう才能が高いと言えるわけ。

 

だから〜同じランク4からデュエリストを選んできても

デッキだけ金かけて強くてあとは空っぽなゴミがほいほい湧いてきちゃうわけ。

 

プレイング 2

読み 1

決断力 1

運命力 4

デッキ 12

 

ランク 4

 

みたいな。

 

 

だからさっきからランク5とか6からも引っ張ってきてるのに、この子わざわざ相手にレベル合わせて戦うから正確な数値が全っ然!測れないんですけどっ!!

 

ただでさえ、ホームに繋げられないから内部で演算してるのに、その上正確な数値が測れないから適切なデュエリストが選べない!これが日向アイが敵を弱いと思ってる理由です!これでウチが悪いってのか!!?おぉん!』

 

「そっかー。ごめんなAI。大変な思いしてくれてたんだな。ありがとう」

 

『………べ、別に、機械だし!計算とか得意だし!?大変なんかじゃないっつーの!』

 

「つまり、要は敵が雑魚いからアイが実力発揮する機会がねえんだろ?

だったら同年代でランクが高いデュエリスト。出せ。」

 

『わ…わかんないッピ……じゃなくて、そんな都合のいいデータがスタンドアローン状態であるわけーーあ、あった。』

 

「おー都合がいいな!」

 

「わぁー便利。」

 

「………?同年代でランクが高い………?あれ?

ま、待ってくださいAI!そのデータってもしかしてーー!」

 

 

『対戦相手、選出完了。

 

ランク8 。【有罪夜行】所属 最強者-力の称号 【生死境混(デッドオアアライブ)】 神条キョウヤをリスタートします。

 

 

 

ピーン・ポーン・パーン・ポーン。

こちらのデュエリストログは、違法データ扱いとなります。

公式イベントでの使用は懲役刑となります。扱いには細心の注意をお願い致します。以上、決闘協会からのアナウンスでした。』

 

 

 

金髪の立髪、とても同年代とは思えない発達した筋肉。

戦争を経験した兵士のような眼光を光らせた少年が、画面に現れた。

 

「ほむほむ。ランク8か。それはすごーー……ん?」

 

「ちょっと待ってもらえるかな。カザリチャン?」

 

「(ビクッ!!?)は……はい……。」

 

「私の聞き間違いなのかな?今『違法データ』とか『懲役刑』って聞こえた気がするんだけどなぁ?私の気の所為かな?かな〜??」

 

誰の目に見ても明らかな怒気を持って、カザリを圧迫するメル。

その顔には『何持ち出してきてんだテメェ』とはっきり書かれている。

 

「ぴいっ!??め、メルさん、これは違いますの!違いますのー!

 

「へぇ〜違うんだー?何がどう違うのか、聞きたいな〜?内容によっては、()()()さんとの付き合い方をもう一度考え直さなきゃいけないかな。

違法行為してるなら、犯罪者だもんね?」

 

「違うんです!

コレは、決闘協会が非公式に配布している弱体化のパッチを当てているから、結果的にデータが公式で存在を公認出来ないだけで、危険なものではないんです!

羽衣山家のように権力のある家の子供が、分不相応に伝説のデュエリストと戦いたいとゴネた時に、普通にやってたらゲームにならないからという、しょーもない理由で作られた【接待パッチ】が入っているだけなんですー!

危険は一切ありませんし、実際に懲役刑なんて、なりません、から……だから……()()()()は……ゆる、して…くださ……い……」

 

説明をやりきるや否や、崩れ落ち、涙を流すカザリは、トラウマを刺激されたように震えている。

 

「だ、大丈夫だぞカザリ!誰も仲間外れにしないから!!

 

メル、あんまりカザリをいじめちゃ可愛そうだぞ。」

 

「虐めてるわけじゃないんだけどな……でも、ごめんね。

勘違いで怒ってごめんね、カザリちゃん。」

 

「うぅ……メルさん…っっ。ワタクシも、説明不足でごめんなさい。

懲役刑のアナウンスは、非公式パッチが付いているもの全てに適応されるんです。」

 

 

「ふむ。メルはチョーのこともあって、少し過敏に危険に反応し過ぎていた。(割と生来の気質だが)

羽衣山カザリは少しうっかりしていた。(友達がいない人生でホウレンソウを徹底する習慣が付くはずもなく。)

 

要は、間が悪かったのだな。だが、晴れてめでたしめでたしだ!ハッハッハッ!!」

 

「よしよし。もう大丈夫だぞー。カザリは、この神条ってやつ、知り合いなのか?」

 

「ぐす…っ。ありがとうございます、アイさん。

 

えっと、その方と面識は無いのですが……協会が認定している一芸を究極まで極めたとされるデュエリストに贈られる称号【最強者】という……その、お年寄りらしい安直なネーミングながら、実力は本物なデュエリストで、特に『攻撃力』の代名詞のような存在ですわ。

 

 

 

 

覚悟してデュエルしてくださいまし。アイさん。

その人……………すっげぇー強いですわよー……」

 

「……そっか。カガリが目を曇らせて口調が変わるほどトラウマなんだな」

 

「ならばアイよ!それほどの実力者が相手となれば、さぞや良い修行となるだろう。

ファイトだ!!!!」

 

「おう!!!!

今度こそ強い相手と戦えることを祈るぞ!!」

 

やる気満々。気合十分。アイは自分のデッキをゲーム機の所定の場所にセッティングする。

それに反応し、画面のAIが対戦モードに以降した。

 

『準備は万端か?始めるぞ?』

 

「おう!行くぞー!」

 

『「決闘(デュエル)!!!!」』

 

オートシステムにより決まった先行は、日向アイ。

 

「先行はあたしか。よし、ドロー。

 

フィールド魔法『祝福の教会 リチューアル・チャーチ』を発動だ。

手札から『ライオンの儀式』を捨てて、デッキから『奇跡の方舟』を手札に加えるぞ。

そして『儀式の準備』を発動だ。デッキからレベル7までの儀式モンスターを手札に加える。『スーパー・ウォー・ライオン』を手札に加えて、その後墓地の儀式魔法も手札に加えられるから、墓地から『ライオンの儀式』を手札に加えるぞ。」

 

「ライオンの儀式…?初めて耳にするお名前ですわ。それにスーパー・ウォー・ライオンという儀式モンスターも。

いったいどのような効果を持っているのでしょうか?」

 

「む?スーパー・ウォー・ライオンに効果など無いぞ羽衣山カザリよ。」

 

「………え?」

 

「効果など、無い。ぞ?」

 

「…………そ、それは失礼いたしました。」

 

「アイちゃん、あのライオンをかっこいいからって理由でデッキに入れてるんだよね」

 

「うむ。実際にカッコいいぞ。見た目と儀式魔法。セットでロマンがあるではないか!ハッハッハッハッハ!!!!」

 

 

「『切り裂かれし闇』を発動して、儀式魔法『ライオンの儀式』を発動。

手札の『翼を織りなす者』をリリースして、スーパー・ウォー・ライオンを儀式召喚!!」

 

スーパー・ウォー・ライオン ATK2300

 

『ウオオオオォォォォーーー!!!!』

 

 

両腕と爪を広げ、獣の後ろ脚で大地に立ち、ライオンは雄叫びを上げる。紅い(たてがみ)は号令を受けた野獣の群れの如く束になって宙を舞い、気合万全で対戦者と対立した。

 

 

「ほんとう……凄く、かっこいいですわね。スーパー・ウォー・ライオン……」

 

「そうだろカザリ。カッコいいだろ〜!

カードを一枚伏せて、ターン終了だ。」

 

アイ LP8000

手札1(奇跡の方舟)

場 スーパー・ウォー・ライオン ATK2300

伏せ1

 

アイのターンが終了したところで、裕介が口を開く。

 

「……アイ、ゲキ。よく見ておけ。パワーファイター型のお前ら二人にとって、このガキ。神条境夜のデュエルは、一つの回答だ。」

 

「解答?どういう意味ですか裕介(せんせい)!?」

 

「………よく分からんないけど、裕介にぃがわざわざそんなこと言うんなら、そうなんだろうな!しっかり見てるぞ!」

 

ターンが移り、神条キョウヤのドローフェイズ。

 

『……オレのターン。ドロー。

魔法カード『エマージェンシー・サイバー』を発動。サイバー・ドラゴン・コアを手札に加えて、召喚する。』

 

「動きは普段ワタクシがデュエルしている時と同じようですわね…」

 

『コアの召喚成功時効果、発動。デッキから速攻魔法『エターナル・サイバー』を手札に加える。

そして魔法カード『機械複製術』を発動。

機械族・攻撃力500以下。

以上の条件を同時に満たすフィールドのモンスターを対象に発動。

これとデッキ内で同名であるモンスターを二体まで、特殊召喚出来る。

 

『サイバー・ドラゴン』を二体、特殊召喚だ。』

 

サイバー・ドラゴン ATK2100×2

 

「サイバー・ドラゴン・コアじゃない…?」

 

「サイバー・ドラゴン・コアは、フィールド、墓地に存在すればサイバー・ドラゴンとして扱う、って書いてあるぞ。メル。

これでデッキから攻撃力2100のモンスターを二体特殊召喚出来るのは、かなり強いカードだな。」

 

「アイさん、神条キョウヤの狙いは、そんなものでは終わりません!」

 

「なんと。これより先にまだ狙いがあるのか?」

 

 

『行くぞ。手札から、機械族専用融合魔法『パワーボンド』を発動。

場のサイバー・ドラゴン3体を融合する。

 

終わることなき研鑽の果て、尽きることのない旅路を糧とし、素体を重ねーー永遠よ、起動せよ。

 

融合召喚。レベル10サイバー・エンド・ドラゴン』

 

サイバー・エンド・ドラゴン ATK8000

 

 

「なんと!!攻撃力8000だと!!??」

 

「なんの装備魔法も使わずにそんな攻撃力になるのか!??」

 

「うそでしょ…モンスターが元々持ってる攻撃力って、最大が5000なんじゃなかったの!?」

 

「パワーボンドは、融合召喚したモンスターの攻撃力を、2倍にする効果があるんですの!」

 

「融合……それほどの力が…!」

 

 

『バトルフェイズに移行する。

 

サイバー・エンド・ドラゴンで、スーパー・ウォー・ライオンに攻撃。エターナル・エヴォリューション・バースト!!!!』

 

 

サイバー・エンド・ドラゴン ATK8000

 

スーパー・ウォー・ライオン ATK2300

 

「でも大丈夫だ!

 

攻撃宣言時、切り裂かれし闇の効果発動!通常モンスターをリリースして儀式召喚した儀式モンスターの攻撃力を、相手のモンスターの攻撃力分アップするぞ!」

 

スーパー・ウォー・ライオン ATK10300

 

「よし!!これでサイバー・エンド・ドラゴンの攻撃力を大きく上回ったぞ!!」

 

「よかった!相手の人は『切り裂かれし闇』の効果を知らなかったんだね……」

 

「………残念ですが、神条キョウヤというデュエリストにとって、単純な攻撃力の上昇は、驚異にはなりません…」

 

 

『ダメージ計算前、速攻魔法発動『リミッター解除』!!』

 

 

「あれは、機械族モンスターの攻撃力を2倍にする速攻魔法ではないか!!」

 

「ここから、更に2倍にするの?!」

 

サイバー・エンド・ドラゴン ATK16000

 

『ーーーー!!!!!』

 

攻撃力が5桁を超え、機嫌良さそうに咆哮を上げたサイバー・エンド・ドラゴンは、そのままの勢いで、スーパー・ウォー・ライオンを焼き滅ぼしてみせる。

 

サイバー・エンド・ドラゴンATK16000

スーパー・ウォー・ライオンATK10300

 

「ぐうううー!!くっそー!」

 

アイ LP2300

 

「凄まじい程にライフが減ってしまったな…」

 

「アイちゃん!まだ大丈夫だよ!!リミッター解除には、機械族モンスターをエンドフェイズに破壊するデメリットがあるんだから!

 

まだまだ戦えるよ!」

 

「おう!そうだな……」

 

「アイさん、いずれ分かることなのでお伝えいたします。

先程、神条キョウヤさんが手札に加えた速攻魔法は、墓地からサイバー融合モンスターを蘇生して場に戻せるカードですの。お気を付けくださいませ!!」

 

「わかった!」

 

 

『メインフェイズ2魔法カード『一時休戦』を発動。両プレイヤーはカードをドローする。更に、相手のターン終了まで、両者のダメージはゼロとなる。

 

カードを一枚伏せて、ターン終了。サイバー・エンド・ドラゴンは破壊される。』

 

「エンドフェイズで、リバースカードオープン。リビングデッドの呼び声。

墓地の『翼を織りなす者』を特殊召喚。更に『切り裂かれし闇』でカードを一枚ドローだ!!」

 

神条キョウヤLP8000

手札2

 

伏せ1

 

 

日向アイLP2300

手札3(奇跡の方舟.1)

 

場 翼を織りなす者(リビングデッドの呼び声) ATK2750

 

(切り札のサイバー・エンド・ドラゴンは『エターナル・サイバー』再び特殊召喚可能。

『一時休戦』で手札は増えたけど、あたしのターン終了までダメージがゼロになってて、絶対に倒せない。

 

……このままじゃ、何も出来ずに負けるな。)

 

日向アイは、それほど勝利にモチベーションが高いタイプではない。

ただモンスターを高火力にして殴り合うのが楽しい、というタイプだ。敗北の危険性すら、スリルの内。だからこそ、相手が弱すぎればつまらないが、強すぎる相手に対して、憎しみを抱いたり、癇癪を起こすようなことはない。強敵上等。負けても問題は無い。

 

そんなアイの思考に待ったをかけるのは、裕介がアイとゲキに言った言葉だ。

 

 

(……アイ、ゲキ。よく見ておけ。パワーファイター型のお前ら二人にとって、このガキ。神条境夜のデュエルは、一つの回答だ。)

 

 

(……………裕介にぃは、やっぱりあたしに戦うことを望んでるよな。

 

あたしがさっさとやられちゃったら、裕介にぃはあたしに飽きちゃうかな…?

興味が無くなるのかな…?)

 

 

「…………。」

 

 

(今こうして、あたしを見てくれてる視線も……なくなっちゃうのかな…?)

 

「……それは、嫌だな。裕介にぃの面倒見てたいもんな」

 

 

目を閉じて。

しゅるり……アイは自らの髪を解き、反対側に結び直す。

 

 

 

(いつの間にか、ふらりとやってきて、駄菓子屋を建てて、だめな大人をやっている裕介にぃ。

初めて会った時に思ったんだ。『今度こそこの人を死ぬまで面倒見ていたい』って。

 

 

興味がなくなったら、フラリと消える気がするんだ。駄菓子ごと、全部。最初から無かったみたいに。

 

ーーそんなのは嫌。)

 

キッと髪を結び終え、まぶたを開ける。

 

 

「アイちゃんが……デュエルで髪を結び直した…?」

 

「……うむ。初めて見るな。アイの本気のデュエルは」

 

「本気のデュエル…ですの?いったいどう言った意味なのでしょうか?」

 

 

「行くよ。わたしのターン!!ドロー!」

 

 

(さぁーて…どうやって戦う気だ?アイ。介護や店番ばっかりが能じゃねえってとこ、見せてみろよ。)

 

 

デッキからカードを引く。

手札は4枚。

どう動くのか。その場の全員が、アイの動きに集中している。

 

 

「手札から、レスキューラビットを召喚。

効果発動!」

 

「ひゃっ!?」

 

「ぴぃっ!?め、メルさん!?どうしてワタクシの後ろに隠れているのですか!?」

 

「ふむ。アイのレスキューラビットから出てくるモンスターと言えば、アレであるな。ゴキーー」

 

「言わないでゲキくん!!言ったらもう先生を怒らせた時フォローしてあげないからね!!」

 

「黙すること。これもまた人生(しゅぎょう)……。」

 

「あ…ゲキさん、よく美月先生に怒られていらっしゃいましたものね。無自覚で。」

 

「デッキからG戦隊シャインブラックを二体特殊召喚!!」

 

G戦隊シャインブラック ATK2000 ×2

 

「やっぱり出たー!!」

 

「ああ…メルさんはアレが嫌で隠れていたのですわね…」

 

 

「まずは『切り裂かれし闇』の効果で一枚ドロー。

そして手札から、『馬の骨の対価』を発動。シャインブラック1体を墓地へ送って、2枚ドロー。」

 

アイはデッキから引き込んだ2枚を確認し、すぐさま次のカードをゲーム機に装填する。

 

「2枚目の馬の骨の対価を発動。シャインブラックを墓地へ送って2枚ドロー!!」

 

「更なるドローカードを引き込んだか!!」

 

「これでアイさんの手札は6枚です!」

 

「ああ…やっと黒いのがいなくなったよ……」

 

引き込んだ手札を確認する。

 

「来た!速攻魔法、『サイクロン』!

あなたのリバースカードを破壊する!!」

 

 

アイがそう言って指定したのは、神条キョウヤの場の伏せカード、即ち、エターナル・サイバーだ。

 

 

「あ、アイさん!?そんなことをしてもサイバー・エンド・ドラゴンが復活してしまうだけになってしまいますわ!!」

 

「血迷ったのか、アイ!?」

 

『チェーン2。エターナル・サイバー、発動。

サイバー・エンド・ドラゴンをリアニメイト。』

 

サイバー・エンド・ドラゴン ATK4000

 

「アイちゃん、先にサイバー・エンド・ドラゴンを出させて、破壊しちゃうつもりなのかな?」

 

「それでも、エターナル・サイバーは、サイバー融合モンスターが破壊される場合、墓地から除外することで身代わりになる効果があるんです。

 

そうでなくとも、サイバー・エンド・ドラゴンは、神条キョウヤの力の象徴そのものです。

 

これまで、幾人ものデュエリストが、このデータに挑み、サイバー・エンド・ドラゴンを除去してきました。

しかし、それを物ともせず、何度でも現れ、敵を蹂躙する。

これが、神条キョウヤの銘【生死境混(デッドオアアライブ)】の由来ですの。このままでは、不利なことは変わりませんわ……」

 

「何度倒しても何度でも現れる……まるでゾンビみたい…」

 

「或いは、死に場所を失った兵士の亡霊か。

鎮まる時を見誤り、力を奮い続けるより存在に意義を見いだせない存在は、何も過去の話では無い……と言うことか。」

 

自身の腕を強く握りしめるゲキ。カザリの話に思うところがあるのか、悼むような目でサイバー・エンド・ドラゴンを見つめている。

 

 

「死んでも死にきれない亡霊か。だったら封印してあげようか。

 

フィールド魔法 祝福の教会 リチューアル・チャーチの効果発動。

手札の『奇跡の方舟』を捨てて、デッキから儀式魔法を手札に加えるよ。

 

私はデッキから『イリュージョンの儀式』を手札に加えるよ。」

 

「イリュージョンの儀式?初めて見る儀式魔法だね」

 

「イリュージョンの儀式……そうですわ!その手が有りました!!アイさんはこれを狙っていたのですわね…!」

 

「行くよ、イリュージョンの儀式を発動。

翼を織りなす者をリリースして、手札から『サクリファイス』を儀式召喚!!」

 

サクリファイス ATK0 

 

「うひゃぁっ!???キモイー!!何あのモンスター!?本当にただの()()()()()じゃない!!」

 

『シュン…(´・ω・`)』

 

「あの…メルさん。心なしか画面内のサクリファイスが落ち込んでいるように見えるのですが……」

 

 

「あはは…メルは好き嫌い多いから。

でもこの子すごいんだぞ!サクリファイスの効果発動!

 

サイバー・エンド・ドラゴンを装備カードにして、自身に装備する」

 

 

サクリファイス ATK4000(サイバー・エンド・ドラゴン装備)

 

 

『(`・ω・´)シャキーン』

 

 

『………俺のサイバー・エンド・ドラゴンを、サクリファイスで装備して封印したか。』

 

 

「お、ここに来て神条キョウヤが初めて喋った。

 

切り札を封印されて、ようやく少し焦った感じか?」

 

 

『…………焦りはない。だが、接待パッチとやらを充てられていても、サンドバッグを叩いているのと変わらない感覚だったものが、変わったな。』

 

「そうか。AIって記憶が継承されていくのか。それは、つまんなかっただろうな。私も、たった十戦だったけど、つまんなかったよ。」

 

『…………そう、だろうな。』

 

画面の中で()()を握り潰した神条キョウヤは、掌をフッと吹き、アイに向き直った。

 

 

『今、俺の中の接待パッチを握りつぶした。

 

次のターン、全力を見せてやろう。万全で向かってこい。』

 

「え…??え!?

ちょ、ちょっと待ってください!今パッチを握り潰したとおっしゃいましたの!?

 

なんてことをするんですか!いいえ、何でそんなことが出来るんですか!?AIですわよね貴方!!」

 

『本体の性能に限りなく近いものを再現する文明力。仇となったな。』

 

「そ、そんなぁ……」

 

『……それよりそこを退いてくれ。俺の対戦相手は、そこの女の子のはずだ。』

 

「日向アイだ。よろしく、神条キョウヤ!」

 

『ああ。よろしく。もし、本体に会ったら、そっちにもよろしくしてやってくれ。』

 

「うん。分かった。

 

それじゃ、全力で迎え撃つ!カードを3枚伏せて、ターンエンド!!」

 

 

アイのエンド宣言が完了し、一時休戦のダメージ0の効果も消えて、ターンがキョウヤに渡される。

 

 

『エンディングを始めよう。

ドロー。』

 

キョウヤの手札は3枚。

 

「アイさんの驚異的なドロー加速により、手札の差は歴然です。

いくら神条キョウヤと言えど、途中までハンデがあった状態から、手札3枚で覆すことなど出来るわけが……」

 

「……だが、もし可能であるのなら……裕介(せんせい)の言っていた、回答が見られるのかもしれない。」

 

 

『墓地のサイバー・ドラゴン・コアの効果発動。自分の場にモンスターが無く、相手の場にモンスターがあれば、デッキからサイバー・ドラゴンモンスターを特殊召喚する。

来い、サイバー・ドラゴン・ヘルツ』

 

 

サイバー・ドラゴン・ヘルツ DEF100

 

 

『サイバー・ドラゴン・ヘルツは、特殊召喚成功時、自身のレベルを5に出来る。

 

更に、相手の場に表側モンスターが存在し、特殊召喚に成功したモンスターの攻撃力が1500以下の場合を条件に速攻魔法『地獄の暴走召喚』をチェーン発動する。

 

手札・デッキ・墓地から同名モンスターを可能な限り特殊召喚する。

 

相手も自分の場の表側表示モンスターと同名モンスターを特殊召喚出来る。』

 

「私の場にはサクリファイスしかいない。特殊召喚はできないな。」

 

『サイバー・ドラゴン・ヘルツは、コアと同じく名称をサイバー・ドラゴンとする。よって墓地のサイバー・ドラゴンを2体。デッキから1体を暴走召喚する。』

 

サイバー・ドラゴンATK2100

ヘルツ DEF100

 

「これは……」

 

神条キョウヤの場を見て、羽衣山カザリが苦い顔をする。

だが……

 

『つまらない心配をするな。

ここでインフィニティを出すくらいなら、わざわざパッチを破壊などしない!!

 

場のサイバー・ドラゴン4体を墓地へ送り

 

『キメラテック・フォートレス・ドラゴン』をEXデッキから特殊召喚!!!!』

 

 

キメラテック・フォートレス・ドラゴンATK4000

 

 

「融合なくして、融合モンスターを召喚しただと!??」

 

「しかも、また攻撃力が4000あるよ!?」

 

 

「これを手札一枚しか使ってないんだから、驚くよね……!」

 

 

『ヘルツの効果。墓地のサイバー・ドラゴンを手札に加える。

 

そして、『強欲で貪欲な壺』を発動。カードを2枚ドローする。

 

さあ、バトルフェイズだ。

キメラテック・フォートレス・ドラゴンで、サクリファイスへ攻撃!!

 

エヴォリューション・レザルト・アーティレリー!!!!』

 

キメラテック・フォートレス・ドラゴンATK4000

 

サクリファイスATK4000

 

「攻撃力は互角だよ!」

 

「相打ち狙いか?」

 

 

『攻撃宣言時、速攻魔法発動!!『決闘融合−バトル・フュージョン』!!!!』

 

「チェーン2!切り裂かれし闇!!相手の攻撃力分攻撃力アップ!!」

 

『こちらも相手の攻撃力分攻撃力アップだ!!!!』

 

サクリファイスATK8000

 

キメラテック・フォートレス・ドラゴンATK12000

 

「サクリファイスが攻撃力を抜かされた!!」

 

「まだまだここから!!

バトルステップ!

罠カード『アームズ・コール』を発動!!『魔導師の力』を装備!

自軍の魔法・罠一枚につき攻守500上昇!2500アップ!」

 

サクリファイスATK10500 DEF5300

 

「攻撃力が1万に届いても、まだ足りていないぞ!」

 

「頑張れアイちゃん!!」

 

「もちろん!ダメージ計算前、速効魔法発動!『コンセントレイト』!!サクリファイスの攻撃力を守備力分アップするよ!」

 

サクリファイスATK15800

 

「やりましたわ!攻撃力がサイバー・エンド・ドラゴンを超えました!!」

 

 

「ほー。

コンセントレイトが消えたことで、本来なら魔道士の力の攻撃力アップ効果が500下がるところだが、攻撃力の上書きで乗り越えたか。

 

やっぱこのガキ、もう既に理論だけはその辺の大会出場者に引けを取らねえんだよなぁ……」

 

 

『まだまだ甘いぞ!!チェーン2、速効魔法『リミッター解除』発動!!機械族モンスターの攻撃力を倍にする!!』

 

キメラテック・フォートレス・ドラゴン ATK24000

 

「今度はキメラテック・フォートレス・ドラゴンが攻撃力を3000ポイント上回った!」

 

「コンセントレイトはターン制限を持たない速効魔法なんだ!!

チェーン3で、二枚目の『コンセントレイト』を発動!!」

 

サクリファイス ATK21100

 

「コレではまだ足りませんわ!!」

 

「うおおおおーー!!!!ラストワン!!

チェーン4で『牙城のガーディアン』だあああああー!!!!!」

 

「アレは、ゲキくんがよく使う守備力増強カード!!」

 

「アレをチェーン上で使うということは、コンセントレイトの影響で上がるサクリファイスの攻撃力は計算のし直しですわ!!」

 

「ふむ!!!!………で、いくつだ??」

 

「えっと…10500+(5300+1500)×2だから……」

 

「24100だな。」

 

「ふぇっ!?裕介さん、計算早い……」

 

「いや、元々21300に牙城のガーディアンの2回分3000を足せばいい話だろ。お前難しく考えすぎなんだよ。メル。」

 

「あ…そうでした。」

 

 

キメラテック・フォートレス・ドラゴン ATK24000

 

サクリファイス ATK24300

 

 

「これで、アイさんのサクリファイスが、キメラテック・フォートレス・ドラゴンを上回りましたわ!!」

 

「うむ!!最強の力に打ち勝ったのだな!!」

 

「やったね、アイちゃん!!」

 

 

 

 

 

『力強いデュエルをありがとう。』

 

「……こっちこそ。いい勉強になったよ。

 

今度は最初から全力のキョウヤと戦いたいな。」

 

『ああ。約束しよう。』

 

「………それじゃあ、《とどめを刺して》。」

 

「え?」

 

『ああ。了解した。』

 

 

そう言うと、キョウヤは最後の一枚の手札から、2枚目のリミッター解除を発動した。

 

「に、2枚目の……リミッター解除ですの…!?」

 

「最初から、勝負は決していたのか……!?」

 

キメラテック・フォートレス・ドラゴン ATK48000

 

サクリファイス ATK24300

 

 

2倍近い威力差の攻撃が、サクリファイスを飲み込み、チリも残さずに消し飛ばす。

そして、サクリファイスを使役していたアイのライフもまた……

 

 

アイ LP0

 

 

『…………また、戦おう。』

 

「うん。今度はもっと、強くなってるから。」

 

 

勝者がこれ以上敗者に言葉を掛けるのは無粋。

そう言わんが如く、神条キョウヤは画面から姿を消した。

 

 

 

 

「………ごめんね、裕にぃ。全力でやったけど、駄目だったよ。」

 

目尻に涙を溜めて、アイは裕介に無理に笑いかけた。

 

「アイツに勝つつもりがあるなら、これからは弱いやつに合わせて戦うの止めろ。

 

強者は常に、弱者にも手を抜かない。それが、結局は自分のさらなる飛躍に繋がる。」

 

「……うん………」

 

「そして何より、今のお前みたいに、全力で戦って負けた側にも、得るものがあるんだ。

手加減するってことは、その機会を奪うことでもあるんだぞ。」

 

「………うんッッ……!!!!」

 

言いたいことを言い終わると、裕介はギュッとアイを抱きしめた。

アイはその腕の中で、静かに泣き出した。

 

「お嬢。」

 

「………え、あ、はいっ!」

 

「ありがとうよ。お前が持ってきたおもちゃ、思った以上にいい結果を出してくれた。

コイツ、才能はあったんだが、どうにも勝つことが()()()って感じで、今ひとつ成長が遅くなってたんだ。

 

おかげで、やっとコイツにエクストラデッキのカードを与えられる。

 

なんだかんだで、メルに続いてようやく二人目だ。」

 

「あ…はい。お役に立てて、光栄ですわ。安藤さま。」

 

「よし、褒美にお前も、俺を名前で呼んでいいぞ」

 

「ーー!!本当ですか!?裕介さま!!?」

 

「おーおー。目を輝かせてやがる。

二言はねえぞ。」

 

「ありがとうございます!裕介さま!!」

 

 

「ほいほい。

さーてと……今日はそろそろ店じまいにすっか。

ほら、お前ら帰りの準備を始めろよー」

 

 

 

 

「「「「はーい。」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、今回の裏方組。

 

 

「ゼェ…ゼェ…ゼェ…!」

 

「ひーっ、ひーっ、ひーっ!!と、年寄りには、畑の再興は…しんどいのう……ったく、ジジイ孝行のできん不出来な孫を持つと…苦労するわい……」

 

「……あ?ざっけんなジジイ……て、テメエが8割壊してんだろうがよ…手伝って頂いたことにひれ伏して感謝しろや……」

 

朝の体操で田畑をぶち壊しにした臥竜のジジと孫は、泥だらけの虫の息で、地べたに倒れ伏していた。

 

「リュウー。臥竜翁ー。夕餉の支度が出来たでゴザルよー」

 

なお、全く同じ作業量をこなしていた筈のコタロウは、余裕で飯の支度をして、無様に大地のゴミとなっている2名に満面の笑みで呼び掛けていた。

 

 

「…………コタロウちゃん…ほんとに、とんでもねーなぁ……。

リュウ、マジで逃すなよ……曾孫の顔が……た、楽しみ…じゃわい」

 

「ゼェ……………ゼェ……………ふざけろ、色ボケジジイ………」

 

 

 

 

 

 

そして、途中退場の2名は、いまごろ野山辺りで鬼ごっこでもしているのだろう。

 

 

「止まれ矢吹チョー!!!!その二人分の下着と命を置いて逝けええええええーーー!!!!!」

 

「ギャアアアアアアーーー!!!?妖怪パンツ置いてけが出たあああああああーーー!!!!!

 

誰か私を助けてくださいー!!!!!!」

 

 

 

 




アイ「全力で戦って負けるなんて初めての経験だったなー」

メル「アイちゃん、びっくりするほど天才肌だもんね。」

カザリ「まあ、そうでしたの!かっこいいですわねアイさん。」

アイ「えへへ…ありがとうな、カザリ。

あたし、もっと強くなることにするよ!」




次回、敗戦と学びとラッキーお風呂!(仮)


メル「アイちゃんの羞恥心の無さは、小学四年生としては、ちょっと心配だよ………」


 

デュエルシーンと日常シーン、どっちが好みですか?

  • 男ならデュエル!!!!
  • ヒロインが可愛い日常が見たい。
  • おにゃのこのデュエル見たいお
  • その他(コメントで)
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