CHiYO NOTE   作:苺ジャム

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プロローグ最終話です。
それではどうぞ…!


第十話 契約

程なくして、トレーナーたちによるスカウトが始まった。

通例ならば一着~三着のウマ娘のスカウトが集中するらしいが、今回に限っては半数以上のトレーナーが一着のサイレンススズカのスカウトに行ってしまった。デビュー前からあのレベルの走りが出来るウマ娘となれば、こうなるのも当然な気はするが。

 

僕は迷わずサクラチヨノオーの元へと向かう。

 

「こんにちは、サクラチヨノオーさん。」

 

「あ…えっと、夜神…さん?」

 

どうやらサクラチヨノオーは僕のことを覚えているようだ。

 

「はは、覚えててくれたんだね。嬉しいな。」

 

「私、人の名前とかはよく覚えてる方なので……」

 

気丈に振舞ってはいるが、前に会った時のような元気はない。

やはり落ち込んでいるな。

五着はそんなに悪い結果ではないと思うのだが、今回のレースは上位のウマ娘たちの走りのレベルが高かったから、余計に自分を過小評価しているのだろう。

 

「五着、でした…全力で走ったんですけど、まだまだですね…。」

 

「落ち込むことはないよ。君の努力は十分に伝わった。だから僕はここに来たんだ。」

 

チヨ「私、日本ダービーで勝ちたいんです。憧れのマルゼンさんが、どうしても走りたかったレースだから。夜神さん、私、日本ダービーで勝てると思いますか?」

 

 

 

 

 

 

月「…君の力では、日本ダービーを勝つのは…難しいと思う。」

 

 

 

「っ…。そう、ですよね。分かりきってたことですよね。……、分かりきってたこと、なのに…」

 

チヨノオーが涙を流す。

 

 

 

 

「だけどそれは、君一人なら、の話だ。」

 

チヨ「…え、」

 

「確かに君一人だと限界がある。だけどこれは君に限ったことじゃない。誰にだって言えることだ。一人で出来ることには限界がある。

でも、二人なら…二人なら、ダービーを勝てる。マルゼンスキーを越せる。…僕は、そう思ってる。」

 

「だから、僕に君を担当させてくれないか。必ず、君を勝たせてみせる。」

 

 

 

 

 

「…こんな結果でも、私を信じてくれるなら…こちらこそ、よろしくお願いします、夜神さん!いや、トレーナーさん!」

 

チヨノオーの顔は以前涙ぐんではいるが、その表情からは前向きな姿勢が伝わってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、僕とチヨノオーは担当契約を結び、次の日の放課後にグラウンドでトレーニングをするという約束をして、その日はお互いに帰るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「月、本当にお前の言った通りになったな。」

 

リュークが言う。

 

「まぁ、多少想定外なことはあったが、無事に担当契約を結ぶことが出来て、良かったよ。」

 

そう、僕はこの展開をある程度予想していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話は、今日の午前中に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━昼食前、寮にて━━━━━━━━

 

「リューク、僕の予想が正しければ、この模擬レースの結果は、チヨノオーが入着せずに終わると思う。」

 

「どうしてだ?才能はあるんだろ?」

 

「彼女の走りはまだ完成系には程遠い。他のウマ娘よりもまだまだ発展途上だ。昨日の練習を見ていたが、彼女はなぜか模擬レースの距離である2000mではなく、1000mを何度か走るという練習をしていた。」

 

「なんで1000mを走ってたんだ?レースの合間に休憩なんてないだろ?」

 

「僕は今の彼女に2000mを走りきるだけのスタミナが多少不足しているからだと考えている。

このことを踏まえて考えると、彼女は今日のレースは中盤までは良い位置で走れると思う。だが、おそらく後半、スタミナ不足で沈んでいくと予想している。模擬レースとは言えど、選りすぐりの十八名のウマ娘が出揃っているんだ。スタミナ不足で勝てるようなレースではないだろう。」

 

「なるほどな。そこまでは分かったが、そこからどうやってスカウトに持っていくんだ?」

 

「入着出来なかったとなれば、スカウトの声がかかる可能性は限りなく低いだろうから、ライバルがいないってことだ。もしそうなれば、担当契約は案外すんなりいくと思うよ。ウマ娘はトレーナーがいないとレースにも出られないらしいからね。担当契約が結べるとなれば、断るウマ娘なんてそうそういないだろう。」

 

「ククク、本当にそんなに上手くいくか?」

 

「まぁ見てなよ、リューク。」

 

 

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こうして、僕はサクラチヨノオーと担当契約を結ぶことが出来た。

これで僕の当面の目標は本人の希望通り、サクラチヨノオーを日本ダービーで勝たせること、もといマルゼンスキーを超えるウマ娘にすることだ。

 

マルゼンスキーについては調べがついている。

別名『スーパーカー』と呼ばれた、伝説級のウマ娘の一人…

それを超えるとなると、生半可は気持ちではトレーナーなんて務まらないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

面白い、やってやるよ。

 

僕は、ウマ娘界の神になる。




という訳で、次回から第一章が始まります!
ようやく夜神月をトレーナーとして動かせるということで!
やりたいことはたくさんあるので、頑張って書いていきたいなと思ってます!

連載の方式について

  • 2000文字くらいで週3~5連載
  • 4000文字で週1~2連載
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