さてと…今日は昨日のトレーニングで得た情報を元に作ったトレーニングメニューをチヨに試してもらおう。
フォームの矯正が目的のため、基礎に重点を置いたトレーニングではあるが、デビュー戦で勝つためにはまず基礎が完成していないと話にならない。
こう考えると、僕のこれまでしてきた勉強もレースも、大差ないな。
基礎を理解し、応用し、自分のものとする。
チヨノオーは元々努力家気質だし、レースで勝ちきれるだけの素質もある。
このペースでトレーニングをしていけば、本当に日本ダービーでも勝てるかもしれない。
ともかく、その才能を生かすも殺すも僕次第だ。
しっかりとサポートしていかないとな。
そんなことを考えながら、グラウンドへと向かう。
着くのが早かったため、まだチヨノオーはいなかった。
ちょうどいい。他のウマ娘の走りでも見ておこうか。
そう思った時、後ろから声をかけられた。
「久しぶりですね、月くん。」
「!」
この声は…忘れるはずがない。
〝あいつ〟だ。
僕はかつてデスノートを使い、腐った世界を正し、新世界の神になろうとしていた。
しかし、僕のその夢は、この男によって阻まれた。
「……久しぶりだな、竜崎。いや、『L』。」
「覚えていてくれたんですね。この学園でも竜崎ということで通しているので、呼び方に関しては竜崎で構いませんよ。」
L…お前もこの学園にいたとはな。
Lは、前に僕がいた世界では、警察内でトップの権力を持っており、『最後の切り札』なんて呼ばれていた名探偵だった。
その頭脳故にICPO内にもかなりの発言力を持っていた。
こいつさえいなければ、僕は新世界の神になれていたはずだった。
僕がデスノートを使い犯罪者を殺し、世間で救世主『キラ』と呼ばれ始めたとき、わざわざ日本のテレビをジャックして僕に宣戦布告してきたのが全ての始まりだった。
その一件で『キラ』が僕、夜神月であると考えたLは竜崎という偽名を使い僕と同じ大学を受験し、僕と同率の全教科満点で受験を通過した。
他にも、僕とLは警察内部に介入し、共に捜査を進めたり、お互いが監視となりながらの生活をしたこともある。
Lは終始僕を『キラ』だと疑っていた。
しかし最終的に勝ったのは僕だった。
僕は死神を操り、Lを殺した。
僕とLの対決は、僕の勝利で幕を閉じた。
しかしLとの対決の数年後、Lの意思を継ぐ「ニア」と「メロ」によって、僕は敗北した。
僕とLには、そんな因縁がある。
「それで、どうして竜崎はトレセン学園に来たんだ?」
「それは私の方が聞きたいです。月くんに殺されたあと、目が覚めたらこのトレセン学園の寮だったんです。」
ほぼ僕と同じ状況と言うわけか。
「それで、お前はどうするつもりなんだ?
僕は今キラじゃないし、デスノートなんて持ってない。
目的なんてないんじゃないのか?」
「いえ、目的はあります。月くんに勝つことです。」
「…何を言ってるんだ?」
「私が死んだその後の事がどうなったかは知りませんが、私は月くんに敗北しました。これは紛れもない事実です。
私は負けず嫌いなので、月くんに勝ちたいんです。」
「僕に勝つって言ったって、一体何で優劣をつけるんだ?」
「それはもちろん、レースですよ。
私たちは今トレーナーですし。」
それはつまり、自分の担当ウマ娘を勝手に勝負に巻き込むということか…?
「L、ウマ娘にもそれぞれ人生がある。僕らの勝手な都合で巻き込んでいいわけないだろ。」
「…正論ですね。とてもデスノートで多くの人間を殺したとは思えない程の。
まぁ、やる気があるとかないとか、そんなのは関係ないです。
僕は勝手に月くんに勝つことを目標にしてるというだけなので。」
「はぁ…相変わらずだな。」
おそらく今回のトレーナー試験をトップで通過したもう一人のトレーナーというのはLのことだ。
もしたづなさんの言うことが本当なら、Lにも既に担当してるウマ娘がいるに違いない。
「そういうことなら、勝手にすればいいさ。」
「では、そうさせてもらいます。」
やはり僕とLの因縁は、切っても切れないらしい。
というわけで、Lが登場です!
Lの本名はエル=ローライトですが、実は原作設定の月は本名を知りません。
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