CHiYO NOTE   作:苺ジャム

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第十四話 因果

まさかLまでトレセン学園のトレーナーになっていたとは。

それも既に担当ウマ娘までいる。

同じデビュー戦に出走すると決まったわけじゃないが、もしそうなった場合は一筋縄ではいかなそうだ。

これまで以上に気合いを入れなければな。

 

L「どうです?月くん。

お互いに担当ウマ娘がいるわけですし、一度併走トレーニングでもしてみませんか?」

 

「…何を考えている?」

 

「そんなつもりはないですよ。ただお互いのためになると思っただけです。」

 

Lはこう言っているが、何かあるんだろうな。

でなければ併走をしようとは言わないだろう。

 

レースでライバルになる可能性のある相手と併走するというのは、それなりのリスクを伴う。

トレーナーとしては、併走は相手のウマ娘の情報を知ることが出来る機会である。

 

しかし、これは逆も然り。

相手側にも自分の情報を教えてしまうことになる。

だからライバル相手に併走を申し出るということは、Lには何か策があるに違いない。

 

「まぁ、考えておくよ。それに、まだうちのチヨは他のウマ娘と併走が出来るほど仕上がってないんだ。」

 

「そうですか、残念です。では、私もトレーニングがありますので、この辺りで。私の連絡先は渡しておきますので、併走する気が起きたら連絡ください。」

 

「分かった、考えておこう。」

 

Lが何を考えているのかは分からない。

分からないが…関係ない。

 

 

今回も、僕が勝つ。

 

 

 

思えば、僕個人としてトレーナーをやる意味はあまりなかった。

ウマ娘に対して特別何かがあるわけでもなく、ただ能動的に流されてここまで辿り着いたというのも真実だ。

デスノートもないこの世界で、いたって普通に生きていくという選択肢もあるにはあったわけだ。

 

しかし、流されて辿り着いた先にはL、お前がいた。

何の因果かは分からない。

 

どうして僕がこの世界にいるのかも。

どうしてこの世界の僕はトレーナー試験なんて受けているのかも。

どうしてリュークがチヨのノートに憑いているのかも。

 

分からないことだらけだ。

 

ただ、今の僕には目標が出来た。

 

「Lに勝つ」

 

どうやら僕は生粋の負けず嫌いのようだ。

俄然やる気が出てきたよ。

 

こうして僕はこの世界でもLと関わりを持つことになった。

 

「いやぁ、やっぱり人間って…面白!」

 

リュークはいつものように笑う。

こっちは面倒事が増えて大変なんだがな。

 

「良かったな、リューク。これでもう退屈することはないんじゃないか?」

 

「あぁ、また面白いものが見れそうだ。期待してるぜ、月。」

 

そう言って、リュークはさらに笑うのだった。

 

 

そうして、僕も本来の目的であるチヨとのトレーニングをするため、グラウンドへと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこでは、アップを終えたチヨが、他のウマ娘と話していた。

 

「それでね、私今度のデビュー戦に出れるかも!」

 

チヨが元気に話す。

 

「そうなんですか、頑張ってくださいね。」

 

話しているウマ娘は、髪の色が薄い水色で、赤い髪飾りをしている。

あれはメジロ家について調べていた時に見たことがある。

メジロアルダンか。

 

彼女の姉、メジロラモーヌはティアラ路線で偉大な功績を残したウマ娘だ。

しかし、メジロアルダンは生まれつき体が丈夫ではないという話を聞いたことがある。

とはいえメジロのウマ娘。実力は折り紙付きのはずだ。

 

「こんにちは、メジロアルダンさん、だよね?」

 

「あ、アルダンさん!この人が私のトレーナーさんなんだよ!」

 

チヨが嬉しいそうにアルダンに言った。

まぁまだ新人のトレーナーがこの学園に赴任してきて数日だ。

トレーナーがいるウマ娘の方が少ないのだろう。

 

「そうですか、こんにちは。

メジロアルダンです。以後、お見知り置きを。」

 

見た目に違わない礼儀正しい立ち振る舞い。

流石良家の令嬢だ。

 

「チヨとは仲が良いんだね。」

 

少しチヨとの関係性を探る。

仲が良いのなら、今後チヨのトレーニングにも付き合ってくれるかもしれない。

 

「はい、同じクラスですし、チヨノオーさんは可愛いので。」

 

「ちょっと、アルダンさん?!何言ってるの?!」

 

チヨノオーが照れる。彼女は良くも悪くも純粋だ。

常に感情を表に出さない無表情な奴よりは接しやすいが、ここまで純粋だと騙されそうで心配にもなる。

 

「いや、実際チヨは可愛いと思うよ。」

 

「ちょっ、トレーナーさんまで急にどうしたんですか!も、もういいから、早くトレーニングしましょう!トレーニング!」

 

そう言うとチヨノオーはアルダンをどこかに追いやった。

 

「まぁいいや、それじゃあトレーニングを始めよう。

まずは昨日の練習を踏まえてトレーニングメニューを調整したから、一度これでトレーニングをやってもらえるかな?」

 

「了解です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、やはり速くなっている。

これがベストな走り方とまではいかないかもしれないが、前の走り方よりはいいのではないだろうか。

よし、当面のトレーニングメニューはこれでいこう。

 

「月、ちょっといいか?」

 

リュークはうすら笑いではなく、焦ったような顔をしている。

 

「どうした?」

 

「なんか後ろの奴に見られてるぞ…お前。」

 

…それくらいなら、別にあるんじゃないか?

自慢になるが、僕は顔も悪くないので、見られることは昔からよくあった。

 

「どういう奴だ?」

 

「髪が黒くて、髪の長さはそんなに長くない。手帳みたいなのに何か書き込んでるぞ。でもそれだけじゃない、あいつの頭の上に数字が見えないんだよな。」

 

これは死神の目の話だが、「死神の目」の所有者は目で見た人間の名前と残りの寿命を見ることが出来る。

しかし、ノートの所有権を持っている人間の寿命は見ることが出来ない。

これは、デスノートの所有者は「命を狩られる」側ではなく「命を狩る」側として認識されるため、殺す対象の名前と寿命だけ見えればいいからである。

 

「なっ?!おい、デスノートじゃないだろうな?」

 

もし今のリュークの目にも同じルールが適用されているとしたら、あのウマ娘はノートの所有者である可能性がある。

 

「名前は見えるのか?その子の名前は?」

 

「えーっと、エイシンフラッシュ…かな。」

 

リュークはそう言った。

 

エイシンフラッシュ…?!

初めて聞く名前だ。少なくとも僕と面識はないはずだが。

僕が後ろを振り向くと、彼女はどこかへと走っていってしまった。

 

くそっ、逃げられたか。

追いかけたいが、人間の脚力だとウマ娘に追いつくのは難しい。

それに、今はチヨのトレーニングの最中だ。

何も言わずここを離れるというのもはばかられる。

結局、彼女の正体は謎のままだ。

 

まったく、次々に予想外の事が起こる。

一体この学園はどうなっているんだ。




メジロアルダンとエイシンフラッシュが初登場ですね
エイシンフラッシュは今後重要なキャラになっていく…予定です

連載の方式について

  • 2000文字くらいで週3~5連載
  • 4000文字で週1~2連載
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