本当はオリキャラは出したくなかったんですけど、この役どころはウマ娘、デスノートどちらのキャラにもこなせなかったので…
とある日の朝。
僕はいつものようにその日に使う資料の整理を済ませ、スマホでネットニュースを見ながら朝食を食べていた。
そんないつもとなんら変わりない朝に、突如インターホンが鳴った。
宅配を頼んだ覚えもなければ、人と会う約束をした覚えもない。
モニター越しに相手の姿を見てみると、そこには髪型を特に整えていないアグネスタキオンがいた。
しかし、見知った者だったからといって安心できるということはない。
むしろ場合によっては見知らぬ者がドアの前に立っている方がまだマシだったかもしれない。
彼女は自分の知り合いを自作の薬品の実験台にするきらいがあり、この僕に対しても例外ではない。
幸いこれまで薬品を飲まされそうになった時は何とかかわせているが、彼女の被害者となり七色に光り輝いていたトレーナーを僕は何人も見てきた。
こんな朝早くに尋ねてくる理由はないはずなのだ。
故に恐ろしい。彼女が何を考えているのか理解出来ない。
ここは居留守を使ってやり過ごすことにしよう。
面倒事に積極的に関わりに行く程僕はお人好しではない。
すると彼女は案外あっさりと諦めて、手元のメモに何かをサラサラと書き、そのメモを僕の部屋のドアに挟み、どこかへと行ってしまった。
その様子に僕はまるで焦っているかのような印象を受けた。
彼女がどこかへと行った気配を確認して、彼女が挟み込んだメモを確認する。
そこにはこう書いてあった。
〘至急の案件だ 用意ができ次第旧理科準備室に来い リューク君も連れてきてくれ〙
早書きで書き殴りの文字を見るあたり、どうやら本当に余裕が無い状況のようだ。
幸い今日は特に用事もないし、トレーニングの予定もない。行って何かに支障が出るということもないだろう。
仕方ない、行くか───
そして、旧理科室に着いた。
そこでは既にアグネスタキオンが今回の件に関するものだと思われるデータをパソコンで弄り回していた。
彼女がこんなにも熱心に何かをしている所を初めて見た。
僕が来たことに気づいていない所を見るに、それだけ集中しているということだろう。
「おぉ、ようやく来たかい。それじゃあ早速で悪いが、そこに腰掛けてくれたまえ。」
こちらとしても時間を無駄に過ごすのは好きではない。
どうしても否応に軋む旧理科室の椅子に腰を掛けてすぐ、彼女に質問をする。
「僕がその計画とやらに協力するかは内容次第だ。タキオン、君は一体何をしようとしている?」
それなりに彼女の事を知っているつもりでいたが、今の彼女が何を考えて僕とリュークを招集したのかは分からない。
もちろんその目的如何によっては協力も辞さないつもりでいるが。
「説明を欠いたことに関しては申し訳ないね。何せ私もついさっき知ったんだよ、『彼』が動き出したことを。」
そして彼女はいつになく神妙な面持ちで語り始めた。
「確か、夜神くんには前に話したことがあったね、『名前のないトレーナー』の話は。私の言う彼とはその男のことさ。彼は滅多に学園の表舞台に出てくることは無い。初めはそうでもなかったのだがね。とにかく、そのせいでこちらからアクションを起こすタイミングを逃した。私が『彼』を見つけ出した時には既に彼には担当ウマ娘がいたし、そのウマ娘は規格外の強さにまで成長していた。こうなってしまった以上私一人で手を打つことは困難だと判断した。よって君たちを招集したのだよ。私に協力してくれる者の中で、尚且つトレーナーとして強い素質を持つ君を。」
タキオンはまくし立てるように話していった。
勝手に「タキオンに協力する人間」の枠に括られたことは癪ではあるが、まぁそこは一旦置いておくことにしよう。
そして、彼女は一度手に持つ紅茶を口に含んだ後、再び話し始めた。
「私が君を呼んだ目的は他でもない、その男とその担当ウマ娘に気をつけておいて欲しいということだけだ。ともかく気に留めておいて欲しかったからだ。何も知らずに接触してしまえば、みすみす相手に力を与えてしまうかもしれないからねぇ。そう、その男は明らかに『異常』なんだ。その手腕は並のトレーナーとは一線を画している。彼は
それを聞いて、背筋が凍ったような感覚に陥る。
ウマ娘のステータスが見える…それはまるで…
「あぁ、まさに今君が思っていることさ。その力さよく似ているだろう?リュークくんの持っている力と。」
僕の心を見透かしたように彼女はそう言った。
実際に僕はそう思っていたが。
しかし、僕の見解は少し違う。
「いや、今言っていたことが本当なら、そいつはリュークの持っている目よりも強力な力を持っているかもしれない。」
今の話を聞く限り、そのトレーナーは自分の担当しているウマ娘の能力値が見えているということになる。
リュークの能力値を見ることが出来る目はノートを所有しているウマ娘には適応されない。
もしアグネスタキオンが言ったことが本当なら、そのトレーナーはチヨの所有しているチヨノートよりも強力な力を持っているか可能性がある。
これらの事を彼女に説明すると、彼女はそれを聞いてこう質問してきた。
「ふぅン、そうか。リューク君の持つ目はノートの所有者には適応されない…それは間違いない情報なのかい?」
「確たる証拠がある訳じゃない。これまでの状況から推測で判断しているに過ぎないからな。」
今言った通り、確証がある訳では無い。ノートの所有者であるサクラチヨノオーの能力値を見ることが出来ないことと、手帳を持っていたエイシンフラッシュの能力値が見えなかったことから推測で判断しているに過ぎない。
それに、エイシンフラッシュの方に関してはチヨノートのような特殊なノートを持っているのかどうかすら分からない。
リュークの目に能力値が映ることを防ぐ方法が存在していて、それを彼女が無意識のうちにしている可能性も否めない。
「…そうか。まぁそちらの件に関してはおいおい検証していくことにしよう。まだ不確定な事が多すぎるしねぇ。それよりも問題はこっちの方だよ。」
タキオンがお手製の資料を袖でペシペシと叩いて言う。
話が横に逸れたので少し機嫌が悪くなっているようだが、最初に話を逸らしたのはそっちだ。
こっちに当たらないで欲しい。
「そのトレーナーの名前は
戦略のヒントを得る…?
よく分からないが、その男と会話をする事は避けた方がいいということだろうな。
そして、今の話を聞いてあの日の出来事に合点がいった。
先日のオグリキャップとの併走トレーニングの日。
あの日のサクラチヨノオーも並のウマ娘相手なら快勝できるレベルの実力を持っていた。
しかしそれでもなお、オグリキャップ相手には三バ身差で敗北を喫した。
僻む訳ではないが、あの時のオグリキャップの強さは異常としか形容出来なかった。
レースの最中に持久力が回復したことや、ベストなタイミングでの加速にしてもそうだ。
トレーナーの腕が相当に優秀なのだと踏んでいたが…
今の話を聞く限りだと、その『戦略のヒント』というのが関係しているに違いない。
「あぁ、気をつけておくよ。他に用はないか?ないなら僕は帰らせてもらうが。」
何せ唐突に警戒すべき相手が増えたのだ。
すべき事はいくらでもある。
オグリキャップとは今年のGIでぶつかる可能性も高いので、それまでにサクラチヨノオーを今以上のコンディションに仕上げておく必要も出てきた。
「それじゃあ一つだけ聞かせてもらおうか。前にチヨノオー君にリューク君が見えるようになって以来、他にリューク君やチヨノートに変わったことなかったかい?」
「主だった変化はない。強いて言うなら、やたらと色々な事に興味を持つようになった、ということくらいだな。」
これはあくまで僕の意見でしかないが、チヨノオーにリュークが見えるようになったあの日から、リュークはやたらと好奇心旺盛になったように思う。
そう言うとタキオンは満足したようで、僕とリュークはすぐに帰された。
「月、なんかまた面白いことが起きそうな予感がするな」
「あぁそうだね、リューク。」
その男には恐らくウマ娘のステータスが見えている。
それがリュークの持つ力と同等のものか、それともまた異質のものなのかは定かではないが…
もし、その力を僕の物に出来たのなら。
僕はトレーナーとしてより完璧に近い存在になることができる。
アグネスタキオンには悪いが、僕の目的はその男とオグリキャップにレースで勝つことじゃない。
僕が奪うことだ。その男の持つ能力をね。
ーProject■■■ー
■■■が本格的に動き■■た模様。
この件に関しては■が手を出すことはなく、あ■■でも対応を■■に留め■■■とする。
目的は■■■の■■ではなく、あく■■も■■■との接触による■■二号の■■である。
なお、本件の結果■第では、■■も視野に入れ■■のとする。
■■■■■■■■検閲済