CHiYO NOTE   作:苺ジャム

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第四十八話 葛藤

静宮 早織はトレセン学園に来て2年目の中堅トレーナーであった。

茶髪のショートヘアに飾り気のない髪留めという、粗樸な身だしなみではあるものの、容姿端麗であるウマ娘に対して引けを取らない程のルックスであり、男性トレーナーからの人気は密かに高い。

明るい性格で裏表がなく、その性格もウマ娘からすれば親しみやすいもので、ウマ娘からの人気も高いトレーナーだった。

 

しかし肝心のトレーナーとしての腕はいまひとつといった所で、1年目に担当したウマ娘は結局晴れ舞台に立つことはなく、レースの道を諦めてしまった。

そして担当契約が解消され、誰の担当をすることも無くレースの研究に明け暮れていること2ヶ月。

このままではいけないと思い、新たな担当ウマ娘をスカウトしに模擬レースを見に行くことにした。

そんな時に出会ったのが、エイシンフラッシュであった。

 

その予定調和のような綿密に計算されたようなレース運びを見て、彼女は可能性を感じた。

この娘となら、私はまた歩んでいけるかもしれない。

夢の舞台を目指すことが出来るかもしれない、と。

 

そう思ってから行動に移すまでは早かった。

模擬レースで2着という成績を収めたエイシンフラッシュの所には多くのトレーナーが押し寄せる…かと思いきや、スカウトの申し出は1着を取ったウマ娘に集中したようで、静宮は案外簡単にエイシンフラッシュと担当契約を結ぶことが出来た。

 

それからはデビューに向けて切磋琢磨する毎日だった。

初めはお互いに他人行儀で、どうコミュニケーションを取ったらいいのかも分からなかったが、共に月日を重ねていくうちに、自然とそんな障壁も無くなっていった。

彼女の脚質にあったトレーニングを考え、実行し、また練り直す。

短期間で大幅に能力のアップが図れる訳ではないものの、長い目で見れば着実に実力は上がっており、この調子でいけば来年にはデビュー出来るだろうと考えていた。

去年デビューさせてあげられなかったあの娘の気持ちも背負うつもりで今年こそと、彼女は息巻いていた。

 

しかし、お互いの理解も深まり、良い信頼関係を築き始めてから2ヶ月程経ったある日。

突然契約解消の話をエイシンフラッシュから切り出された。

 

「トレーナーさん、今年限りで、契約を解消したいんです。」

 

訳も分からず混乱する彼女をよそに、それだけ告げて去ろうとするエイシンフラッシュ。

昨日まではそんな素振りもなく、至って普通にトレーニングに励んでいたのに。

思わず咄嗟に問いただしてしまう。

 

「ねぇっ…!フラッシュ!何かあったの?理由くらい…教えてくれてもいいじゃない…。」

 

何がダメだったのか。

一体自分には何が足りなかったのか。

少し間を空けてエイシンフラッシュが振り返る。

その疑問に対するエイシンフラッシュの答えはこうだった。

 

「トレーナーさんは悪くないんです。でも、私はこのままじゃ…ダメなんです。だから…すみません。」

 

そう告げて去っていくエイシンフラッシュの背中を、彼女は引き止めるでもなく、ただ見ていることしか出来なかった。

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

そうした事のあらましを彼女から聞いた。

話している最中の彼女は時折辛そうな表情を覗かせていた。

夜神月はありがとうございますと一言礼を言い、彼女の空いたグラスの中にワインを注ぐ。

 

しかし、話を聞いた限り、彼女の方に落ち度らしい落ち度がある訳でもないように思うが…

何が不満だったのだろうか。

エイシンフラッシュの元担当である彼女に聞けば何故フラッシュが契約を自ら解消したのか分かるかと思ったのだが…

肝心な部分は分からずじまいだ。

 

「契約を解消する前に、何か変化はありましたか?」

 

ダメ元でもう少し深く突っ込んでみる。

去年の苦い記憶を思い出して、憔悴したような表情を見せながら、彼女は小さく呟いた。

 

「そういえば…話を切り出される2()()()()()()()()()、彼女、練習メニューにない自主トレーニングをするようになった気がする…。」

 

つまりエイシンフラッシュの行動や口振りから察するに、彼女はデビューを焦っていた、という可能性がある。

少しでも早くデビューしたいが故に自主トレーニングに精を出し、1歩ずつ堅実にレベルアップするという方針の静宮トレーナーと方針の食い違いが生じた、というところか。

 

「そうですか…。すみません、わざわざ辛い出来事を思い出させてしまって。」

 

そう言うと彼女は首を振り、とんでもないです、と一言だけ口に出した。

その後連絡先を交換して、夜神月はその場を離れた。

ひとまずここでやるべき事は終えたので、隙を見計らって寮に帰ろうと思っていると、この会の幹事である沖野さんに捕まった。

 

「お〜い夜神ぃ、お前すごいじゃねぇか!まさかこの中央に来て1年でGIを獲るなんてな!いやぁ、俺も鼻が高いぜ〜」

 

余程強めの酒を飲んだのか、開始からまだ1時間も経っていないというのに既に出来上がっている。

なるべく当たり障りの無い返答をしてやり過ごすしか…。

 

「いや、単純に担当のサクラチヨノオーの努力の成果ですよ、僕は何も。」

 

「かぁ〜〜っ!謙虚で良いねぇ!俺も若い頃はよぉ、謙虚に!しかし強かにトレーナーやってたもんだ!いやぁ〜懐かしいなぁ!」

 

しまった。

どうやら何かが沖野さんの琴線に触れたようで、1人でヒートアップしている。

これは長くなりそうだ…。

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

結局小一時間沖野さんの自慢話やら過去の経験談やらを聞かされて、彼が眠そうになっているところで隙を見て離脱した。

後で聞いた話だが、あの沖野さんの酔い方は学園内では有名なものらしく、一部では新人に対する洗礼という見方もあるらしい。

僕もそれにまんまとかかってしまったということだ。

そしてLはと言うと、僕が静宮に接触を図る為にLのそばを離れた直後に帰宅したらしい。

実際あの場にいたらLも沖野さんに絡まれていただろうし、その行動は正解と言えるか…。

 

先輩トレーナーからの洗礼を浴びて、夜神月は帰路に着くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーProject■■■ー

 

ここ数ヶ月、■■1号の■■に変化が生じている。

 

■■の兆候の■■性も考慮に■■た上で■■を続行する。

 

なお、■■■号と試■■の接触を確認したが、その事象が2■に及ぼした変■は未■に不明。

 

引き続き■■を続■するものとする。

 

■■■■■■■■検閲済




静宮さんはオリジナルです。
また安易に出してしまって申し訳ない。
髪型とかに関してはポケモンのユウリに近い感じです。
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