CHiYO NOTE   作:苺ジャム

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二週間ぶりの更新ですね。お久しぶりです。
週一くらいのペースにしていきたいと思ってるんですけど、中々難しいですね。


第五十六話 義理

「そこにいる女神様の力が本物だというのは今の話で十分に分かった。その上で言いたいことがある。」

 

そう言うとエイシンフラッシュはパッと顔を上げる。

 

「少し前に彼女…静宮トレーナーと話をした。少なくとも、彼女は君を嫌ってはいなかった。君とのトレーニングの日々で辛いと思った事なんてただの一度もなかった、と言っていた。」

 

そう言うと、先程まで何ともなかったエイシンフラッシュの顔色が変わる。

 

「そんな…嘘ですよ。だって彼女は…いつも寝不足で、栄養が偏った食事を摂っていたんですよ?私のせいで…私の…せいで…」

 

エイシンフラッシュは夜神月の言っていることが信じられないといった様子だった。

彼女が知っている静宮早織というトレーナーは、常に忙しくしていた。

彼女が普通のウマ娘よりも多いトレーニングを望んでいたから。

日が落ちた後のトレーニングコートの使用許可を取ったり、トレーニング器具を使う為の手続きをしていたからだ。

次第に彼女の瞳が潤んでいく。

やがてその潤んだ瞳には大粒の涙が溜まり、その涙は数刻も置かず頬を伝いぼろぼろと流れ落ちてゆく。

 

「君が彼女を大切に思っていたように、彼女もまた君を大切に思っていたんだと思うよ。」

 

話をした時に聞いたのだが、静宮トレーナーはエイシンフラッシュのトレーナーをしている間に辛いと感じたことはなかったらしい。

確かにやるべき事は多く、その上エイシンフラッシュ自身がトレーニングプランを提案してくることもあり、練り直しになることもあったという。

だが、それらが全てエイシンフラッシュの為だと思えばなんて事はなかったと、むしろ楽しいと、そう言っていた。

簡単な事だ。きっと彼女は、エイシンフラッシュが思っているよりエイシンフラッシュを好きだったのだ。

その後数分間、エイシンフラッシュは人目を憚る事なく静かに泣き続けた。

僕とバイアリータークは、それをただ見守るのみだった。

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

「すみません、取り乱してしまって……。」

 

謝罪を述べるエイシンフラッシュに対して、構わないよと返事を返す。

ひとしきり泣いて気持ちに整理がついたのだろう。

目の周りが腫れているが、その顔は先ほどよりもすっきりとしていた。

二人のすれ違いが解消されたのは良いことだが、こうなると彼女は静宮トレーナーの元へと戻る可能性が出てきた。

まだ三女神についての詳しい情報を聞き出したい僕としては、何としても阻止したい事態だ。

エイシンフラッシュがその選択肢に気づく前にさっさとケリをつけなければ。

 

「フラッシュも落ち着いたことだし、担当契約を済ましてしまおうか。」

 

「ええ、そうですね。」

 

僕がそう言うと、フラッシュは僕に対して特に疑念を抱くこともなく承諾してくれた。

だがしかし、この場にいるもう一人の人物が横槍を入れてきた。

 

「だがいいのか?エイシンフラッシュ。静宮トレーナーがお前を嫌っていないと分かった今、お前には彼女のもとに戻るという選択肢もあるんだぞ?」

 

三女神のその言葉に、エイシンフラッシュはハッとしたような表情を見せる。

くっ、余計なことを…

どうやら僕の前に現れる神とやらは悉く僕の味方ではないらしい。

ここまでかとも思ったが、エイシンフラッシュの返答は僕の予想とは異なるものだった。

 

「バイアリータークさん、ありがとうございます。ですが、私は彼女のもとに戻るつもりはありません。」

 

「すれ違いがあったとはいえ、私は自分の意志で彼女と決別したんです。それを今更取り消すのは、彼女に対して不義理なので。

もし今の私にできることがあるとするのならば、夜神トレーナーのもとで結果を示し、その上で彼女に感謝を伝えることだと思います。」

 

ひとまず、エイシンフラッシュには静宮トレーナーの元に戻る気はないようだ。

彼女が義理堅い性格のウマ娘で助かった。

あとはこちらの問題だな。

バイアリータークには聞きたいことがいくつかあるし、エイシンフラッシュとサクラチヨノオーの顔合わせもしなければならない。

何よりリュークの存在をどうやって説明したものか…

どのみち今すぐに処理できる問題ではない。

既に日は落ち始めていて、夕焼けが校舎を飴色に照らしている。

チヨノオーとのトレーニングも後に控えているし、ここは一度日を改めて話し合うのがいいだろう。

 

「フラッシュの意見は分かった。ひとまず担当契約の書類は僕の方から出しておくよ。今僕が担当している子とも会ってほしいし、話すこともあるから明日にでも僕のトレーナー室に来てもらえるかな?」

 

そう言うとエイシンフラッシュは頷き、取り出した手帳に予定を書き込んでいた。

そして去り際にちらっとこちらを振り返り、微笑みながらこう言った。

 

「 Freut mich. Sehr Angenehm.これからよろしくお願いしますね、トレーナーさん。」




正直なところ、ドイツ語は専攻分野ではないので翻訳が怪しいところが今後出てくるかもしれません。
そのときは指摘してもらえると幸いです。
いや言語ってホントに習得難易度高いですよね…
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