来年によう実の第3期が始まりますね。
花火を鑑賞する絶好のスポットは、一転して事故現場となっていた。
瓦礫を退ける作業は、全て駆動鎧によって行われ、崩れた斜面に何やら機械をかざしている隊員までいる。
MARに警備員よりも資金が流れてるようだな。
そして、その部隊の指揮をしているテレスティーナという女に白井が近寄る。
「先ほどは友人を助けていただき、ありがとうございました」
「怪我してなくてなによりだわ」
「ところで、この場におけるAIM拡散力場を観測していらっしゃいますの?MARでは事前に力場の異常を探知出来たりするのでしょうか?その、対応があまりにも迅速でしたので」
「あなた、お名前は……?」
「風紀委員第一七七支部の白井黒子と申しますの」
「……なるほど。一七七支部には優秀な人材が揃っているみたいね。RSPKとAIM拡散力場の関係について、もう把握してるなんて」
「RSPKは何者かによるAIM拡散力場への人為的干渉が原因。その同時多発がポルターガイストを引き起こしている」
「あら、よくわかっているのね」
「合同会議で仰ってくれれば、不審人物の割り出しなど、お手伝いする事はできましたのに」
「そういうのは警備員の仕事よ。会議でも言った通り、あなた達風紀委員には風評被害対策や日頃の安全対策に専念して欲しかったのよ」
つまり学生の力はいらないか……こっちとしては都合がいいが。
無事餌に食いついたようだし、長居は無用だ。
白井たちへの視線を外し、初春たちの容態を確認する。
「怪我は無いか?」
「あっ、はい」
「春上さんもMARの人達が言うには寝てるだけです。ただ弓箭さんの方は…………」
「…はわわ………お姫様抱っこ…………清原さんに……お姫様、抱っこ……えへ、えへへへ…」
「……ある意味重症ですね」
ベンチの上には、眠ってしまった春上と放心状態の弓箭が横たわっていた。
弓箭の方は顔から湯気を出しながらなにやらブツブツ言っている。呼びかけても返事が返ってこない。
「…それほど地震のショックが強かったのか?」
「あっいや、多分別のことが原因かと」
「別の原因?」
佐天達はなにか心当たりがあるようだ。
「ほら、あの、あれです。お姫様抱っこ」
「お姫様抱っこ?…………あっ」
あれか。
相手を両腕で抱え上げ、体の正面で抱えた状態では、互いの距離が一番近くなる。
弓箭は学び舎の園のお嬢様、異性に対する免疫力が低いというのを考慮すべきだったか。
「あれ全然わかってないみたいですね」
「清原さん変なところで鈍いな………そういえば初春も清原さんにお姫様抱っこされたんだって?」
「ちょっ!?それ誰から聞いたんですか!?」
初春と佐天がなにか小声で話しているが、女子の内緒話を盗み聞きするのは無粋だな。
「オレはもう帰るが、お前たちはどうする?」
「あっ、そうですね。そろそろ帰らないと」
「春上さんは……どうしましょうか?」
「寝てるだけって言うし、今日は寮で寝かせてあげたら?」
「そうですね。でもどうやって運びましょう?」
佐天や初春の力では長距離おんぶしていく事は出来ない。それに弓箭もいる。
テレポートを使える白井が楽に移動できるが…………。
「いたいた。いやがったわね!この野郎!」
…………はぁ。
聞き覚えのある声に思わずため息を溢しそうになるが、堪えて振り返る。
「何の用だ御坂?」
「決まってるじゃない!今こそ話を聞かせてもらうわよ!」
「話ってなんのだ?」
「とぼけんじゃないわよ!人一人抱えた状態で瓦礫の上をピョンピョン跳ねてたことについてよ!」
「あー…あれだな。火事場の馬鹿力ってやつ」
「そんなわけあるか!」
事故の後だというのに元気だな。
「…あのな。その話今重要なことか?」
「は?あんたまた誤魔化すつもりじゃ……」
「いや、お前ら門限大丈夫か?」
「えっ?」
「そ、そうですわよお姉様!急いで戻らないと、無断で外出したことが寮監にバレでもしたら……」
「……」
白井に返事をするまでもなく、御坂は顔を真っ青にした。どんだけ怖いんだよ。
「い、急ぐわよ黒子!」
「はい、お姉さま!」
「あっ、ついででいいから弓箭と春上を寮に…………ってもういないか」
弓箭と春上の送迎を頼もうとする前に、二人の常盤台生は消えた。
まいったな。春上は初春のルームメイトのようだから問題ないが、弓箭の方はそうもいかない。スマホで検索してみたら、弓箭が在籍している枝垂桜の寮は、ここから数キロ先の学び舎の園の中にある。ここからタクシーで向かっても門が締まるまでには間に合わない。
「……仕方ない。佐天、初春、今日だけ弓箭をお前らのところに泊まらせても大丈夫か?」
「問題ないですよ」
「助かる。それじゃあタクシーを呼ぶ」
タクシー会社に連絡して数分後、時間通りに来たタクシーまで二人はオレが運んだ。後のことは佐天と初春に任せ、オレは帰宅した。
♢♦♢
「清原、これを見てなんとも思わないか?」
「思ってたより無事で何よりだ」
翌朝、お隣の上条が着信拒否したことについて文句を言いに来た。
「これのどこが無事に見えるんだ!?眼科行け!」
ものすごく不機嫌な上条の身体に、同居人のものと思われる噛み跡がいつも以上に付いていたことを言っているのだろう。
「頭蓋骨や脳にはダメージいってないんだろ?」
「寧ろそのほうが良かった程昨日荒れてたんだぞ」
コイツはゴキブリの親戚かなんかか?
「ま、どっちにしろ夏祭りには行けなくて良かったと思うぞ。昨日地震で高台が崩落したし」
「まじで?」
ニュース見てないのかコイツ。
「もし不幸体質のお前がそこにいれば、瓦礫の下敷きになる可能性は大いにあったわけだ。そのことを考えれば、それですんだだけマシだと思うだろ?」
「ぐっ、ひ、否定できねえ」
「…………まあ、行けなかったのは流石に可哀想だからな。インデックスにこれを渡すといい」
昨日の射的でゲットした菓子袋の一部を上条に手渡す。
「満腹とまではいかないが、少しは気が晴れるだろう」
「お、おう。そうだな。サンキューな清原!恩に着る!」
菓子を受取った上条は急いで自分の部屋に戻る。
『おいインデックス!清原の奴が昨日の祭りのお菓子をくれ―――うわっ!?』
一分も経たない内にバタッと転倒したような音と女子特有の甲高い悲鳴が聞こえた。
『当麻ああああ!』
『ちょっ、わざとじゃないってぎゃあああ!不幸だあぁぁ!!』
噛み傷の数が増えたみたいだな。
名指しでオレに助けを求める声が聞こえたが無視し、部屋を出て廊下の階段を降りる。
一階に到達したとき、見知った顔が入り口付近でうろうろしていた。
「弓箭?」
「き、きききよ、清原さん!」
「もう大丈夫なのか?」
「は、はひィ、き、昨日はご迷惑をおかけしました!」
以前と同じように、弓箭は直立した状態からオレに向かって90°の角度まで頭を下げる。
「いや、あの程度迷惑の範囲には入らない。オレの方こそ悪いな。急に抱きかかえたりして。嫌だったろ」
「い、いえそんな!!危ないところを助けていただきましたし、むしろお姫様抱っことかご褒美といいますか、思わず天に召されたような心地でゴニョゴニョ」
「ん?後半辺りがよく聞こえなかったが?」
「い、いえなにも…そ、それより助けて頂いたのでなにかお礼を」
「いや、そういうのは別にいいが」
「そ、そういうわけには!せ、せめてタクシー代くらい」
「だからいいって」
なかなか引き下がらないな。男子寮の前長居してると他の連中に見られて面倒なことになる。
「そういうことなら少し付き合ってほしいんだが」
「へ?」
「最近人気のカフェがあるんだが一緒に行かないか?利用客が女の子ばかりでな。男子禁制って感じがして一人で行く勇気がない」
カフェに行きたいのは噓ではない。上条達を誘おうとも考えたが、店の雰囲気はあいつらの趣味に合いそうになかったしな。
向こうで少し世間話でもしながらどうやってオレの住所を突き止めたか聞いてみよう。
「付き合う…付き合う…お付き合い…ひょ、ひょっとして、友達を通り越して男女交際の申し立て?!リア充の仲間入りに、ま、まだ心の準備がぁ……」
両手で口を塞ぎ驚いた表情で、なにか小声でブツブツ言っている弓箭。
ひょっとして嫌だったか?
「嫌なら別にいいが」
「い、いえ…行きます!ぜ、是非!わたくしでよければ!」
「そうか。なんか顔が真っ赤だが、大丈夫か?」
「に、日射に焼けたのかもしれませんね!さあさあ行きましょう!善は急げです!」
「いや、オレはどこのかはまだ言っていないぞ」
「し、失礼しました」
なにやらテンパってる様子の弓箭を連れて男子寮から離れる。
流石に誰も見ていないだろ。
「ど、どういうことぜよ…き、キヨポンが女子と…!?しかもあいつは確か――――」
(※思いっきり土御門に見られてた。)
しばらく歩き、オレたちは例のカフェに入る。
カジュアルさをメインとしたダイニングカフェで、大きなガラス窓でオープンエアの解放感が溢れており、テーブル席やカウンター席が完備されている。メニューもコーヒー系だけでなく紅茶系もある。
今日も中にいる客の多くが女子で、常盤台生が何人かいる。休みの日も制服着用だと目印になってわかりやすいな。
「す、すごい人数ですね」
「夏休みだからな。弓箭も初めて来たか?」
「はい……わたくし、こういうところ一人で入る勇気がなくて」
「あっ、スマン」
しまった。弓箭の地雷を踏んだようで、彼女の目からハイライトが消えた。
「あそこの席が空いてるぞ」
「あっ、そ、そうですね」
弓箭の目に光が戻り、入り口付近にあった本日のメニューリストに目を通す。
「オレはエスプレッソにする」
「で、ではわたくしも同じのを」
何を注文するか決まり、奥のカウンターまで向かっていると…………。
「あら?清原様?」
「ん?」
声をかけられて振り返ると、湾内と泡浮がいた。
「まあ、やっぱり清原様でしたか」
「お久しぶりです」
「あぁ、久しぶり」
久しぶりと言うには、寮祭からまだそんなに経っていないはずなんだが……。
「あの清原様、こちらの方は……その、彼女でしたり?」
「か!?か、かかかかの、かの…」
このくだり夏休み前にもあった気がするな。
「いや、友達だ。初めて入るところだから、無理言って一緒に来てもらった」
「まあ、そうでしたの」
オレと弓箭との関係を聞いてきた湾内が安堵する。なんで?
「むぅ…」
弓箭の方も友達認定したというのに少し不満そうな顔をしていた。女心がわからない。
「初めまして。常盤台中学1年湾内絹保と申します」
「同じく1年の泡浮万彬です」
「は、初めまして。枝垂桜学園3年の弓箭猟虎と申します」
「まあ、枝垂桜学園と言えば同じ学び舎の園の?」
「きっとどこかで会っていたのかもしれませんわね」
「そ、そうですね」
互いに自己紹介をして打ち解けているようだ。
「二人はここによく来るのか?」
「いえ、わたくし達も今日初めて来まして…………あの、もし清原様たちがよろしければお紅茶をご一緒にいかがでしょうか?」
「ん?」
「あら、良いですわね」
お紅茶なんて丁寧語実際に聞いたの初めてだぞ。ナチュラルに育ちの違いをつきつけられるな。
「あの、駄目……でしょうか?」
湾内の上目遣いに、オレはノーと答えるほどの勇気はなかった。
カウンターでエスプレッソ二つを受け取り、二人のいるテーブル席にお邪魔する。
そこで、一つ気になることがあった。
「…そういえば、婚后は一緒じゃないのか?」
「あの、実は婚后さんは……その、入院しておりまして」
「入院?なにかの病気か?」
「いえ、この前学び舎の園の方で地震が起こった後、寮の部屋でポルターガイスト現象に遭遇しまして……」
ポルターガイスト現象か。AIM拡散力場への人為的干渉が原因だが、余計不安にさせるから伝える必要は無いな。
「幸い怪我はなかったのですが、MARの方々に連れていかれたきり戻らなくて」
「MARの連中が?」
「昨日お祭りでいましたね」
ポルターガイスト現象に遭遇したレアサンプルとして検査するためか。
「検査で時間がかかるという理由で面会も謝絶されまして…………」
「大丈夫でしょうか…………」
婚后の身の安否を心配する二人は不安げな表情を浮かべる。
……取り敢えずフォローしておくか。
「怪我とかがないのなら婚后は大丈夫だ。MARの連中も常盤台生を長期も監禁するほど馬鹿じゃないはずだ。いずれ解放せざるおえなくなる」
それにそうかからないうちにMARという組織そのものは消える。
「もししなかったら、学校側から正式に抗議すればいい」
「なるほど。その手がありましたか」
「さすが名探偵の清原様ですわ」
「いや、だから名探偵じゃないって。オレはそんな大層なものじゃないぞ」
「ご謙遜を」
「そうですわ。この前の寮祭での清原様が奏でられたピアノの旋律、音楽室に飾られてる絵から御本人が飛び出してきたのではないのかと錯覚してしまうほどの美しさでしたわ」
「大げさな」
第一、オレとあの楽聖は全然似てないだろ。
どうもこの二人のオレに対するリスペクト度が寮祭の時より上がってる気がする。様呼びを全然やめてくれないし。
頼むから、キラキラと輝かせた目でこっち見ないでくれ。
反比例するかのように弓箭の目からどんどんハイライトが消えていってるから。
それから学び舎の園にはどんな店があるのか、コーヒー派か紅茶派かなど他愛ない話をして時間が過ぎていった。
♢♦♢
「ええ~自然公園~?春上さんと二人で?ずる~い!」
同時刻。風紀委員の活動支部の一つである一七七支部に遊びに来ていた佐天はその場にいなかった初春に連絡を取っていた。
「なんで誘ってくれなかったのよ~。大体非番だって聞いてなかったし~」
『はぁ、はぁ、すいません…………たまにはマイナスイオンを吸うのもいいかなって…………』
「っていうか吸い過ぎじゃない?息、荒いよ?」
『え?荒いですか?そんなことないです…………よ』
電話の向こうでは、初春が自然公園の小さな湖の上でボートを漕いでいた。
「あー……あんまり無理しないでね。初春体力ないんだし」
『無理してません…………よ』
息も絶え絶えの初春との通話が終わり、「あーあ、せっかく遊びに来たのに振られちゃった」と呟いていると固法から「ここは遊びに来るところじゃないんだけどね」とつっこまれる。
「……ところで固法先輩、御坂さん達は何やってるんですか?」
「んー?あーなんか書庫で調べ物ですって」
「調べ物?」
佐天がパソコンがあるところに行くと、御坂と白井がパソコンのモニターと睨めっこしていた。
「うーん…………おかしいわね」
「どうしたんですか二人共?」
「あっ、佐天さん」
「あれ。それ清原さんのデータですか?」
モニターに映し出されている清原綾斗の顔写真が佐天の目に入る。
「顔写真もポーカーフェイス………なんで清原さんのデータを?」
「実は…昨日地震が起こった時に彼が常人じゃありえないような動きを披露しまして」
「幻想御手事件の時にもあいつ初春さんを抱えながら階段を数秒で駆け上がってたし……フィジカル系の能力者じゃないかって思ったんだけど……………」
「へぇ…でも書庫には無能力者って書かれてますよ?」
そう。佐天の言う通り、書庫にある記録には、清原綾斗は無能力者としか書かれていなかった。
「えっとなになに…………学園都市に来たのは去年の10月ごろ、かなり遅い時期ですね」
「ええ、このあたりから時間割を受けてもすぐに能力が発現するとは思えませんわ」
「だとしても、あれの説明がつかないわよ。『原石』の類か学園都市に来る前から能力開発を受けていたのなら話は別だけど…」
御坂の頭の中に能力を打ち消すツンツン頭の男子高校生がふと浮かぶが、頭をブンブン振ってかき消す。
「ふむ…………学園都市に来る前から能力開発を受けていた、ですか」
「佐天さん?」
「……ひょっとして清原さん、ホワイトルームにいたんじゃ」
「ホワイトルーム?なんですのそれ?」
「学園都市にある都市伝説の一つですよ」
「また都市伝説ですの?」
「佐天さん本当に好きね」
白井と御坂が呆れるが、佐天の話は進む。
「学園都市の外に秘密裏に建てられた超能力研究施設の名称で、なんでも内部の部屋は名前通り真っ白らしいんですよ」
「そんな施設があるなんて聞いたことないわよ」
「だから秘密裏なんですよ。ブログの口コミによると、その施設を探っていた記者達が次々と消息不明という形で消されたとか、あまりにもハードすぎる時間割に施設の子供の殆どが廃人になって出てくるとか、良くても感情に障害が残ったままとか、第二学区のある研究機関と共同研究をしていたとか」
「聞くからに物騒なところね」
「聞かされた他の都市伝説よりもかなりブラックな内容ですわ」
「ですよね。名前はホワイトなのに」
「上手くありませんわよ」
軽いジョークを言う佐天に白井は呆れてしまう。
「都市伝説ブログの内容を真に受けるのは良くありませんわよ」
「ロマンがないなぁ……この前見つけた幻想御手は実在してたじゃないですか?」
「それはたまたまですの。もしそんな施設があるのなら倫理的な問題で即解体になるでしょうし、そもそも探っていた人間が消されたのが事実なら、ブログに書いた方やそれを見た佐天さんも生きていないでしょう?」
「あぁ、確かにそうですね……」
自分が後ろからスドンされる瞬間を想像して、佐天は嫌そうな顔をする。
(そう言えばあいつ……昨日ホワイトルームっていう単語に反応してたような)
「お姉様、こっちはいくら調べても出ないようで春上さんの方を」
「…………」
「お姉さま?」
「えっ、あ、うんっそうね」
「え?なんで春上さんのことも調べるんですか?」
首を傾げる佐天に御坂が事情を説明する。
「昨日の地震の直前、春上さんの様子がおかしかったでしょ?急に遠い目をしたと思ったら『どこ……どこなの……』って呟きながら歩き出して……」
「ああ………そういえばあの後、気絶しちゃうしで大変でした……って、ひょっとして春上さんが地震を引き起こした犯人だと思ってるんですか?」
「そう思いたくはないですけど、春上さんへの疑念を打ち消すためにも確認をしませんと」
御坂の電気操作で画面が春上の記録に切り替わる。が、目新しい事は何も書かれていない。能力は精神感応のレベル2ということだけ。
「異能力者……ってことはまだほとんどの実用の域にない」
「よかった~春上さんはポルターガイストとは関係ないってことですね!」
御坂と佐天が安堵する中、
「お姉さま、これ……!」
「え?」
白井が指差す特記事項には、「特定波長下においては、例外的に能力以上の力を発揮することもある」と書かれていた。
「これって…………」
春上に対する疑念が深まっていく中、突然足元がグラリと揺れだした。
「えっ!?」
「地震!!?」
「またですの!!?」
♢♦♢
「最近地震が多いですね」
「先程のは震度6近くはありましたわ」
先程の地震で幸い怪我人は出なかったものの、余震を警戒してカフェは少し早めに閉店となり、オレたちは店を出た。携帯に送られてきた地震速報では、震源が第21学区の自然公園で怪我人が大勢出たという情報が来た。
「今日はもう寮に戻った方がいいぞ」
「そうですわね」
「もう少しお話したかったのですが、仕方ありません」
これ以上話のネタは持ち合わせていないから勘弁して欲しい。
「それじゃあ、気を付けて帰れよ」
「あ、あの!お待ちを清原様」
その場で解散しようとしたら湾内に呼び止められた。
「なんだ?」
「あの、よろしければ連絡先交換しませんか?」
「いいですわね。いつでもお話ができますわ」
「……まあ、別に構わないが」
「あ、あの!それならわたくしも!」
特に断る理由がないため了承すると、弓箭も連絡先を交換しようと携帯を出す。
パかッと携帯を開き、電源を入れた弓箭は突如顔を青褪めた。
「どうした?」
「い、いえ!!な、なにも問題ありません!まったく!」
「そ、そうか」
連絡先を交換し終えた後、弓箭は失礼しますと猛ダッシュで立ち去った。
「どうしたのでしょうか?」
「さあな……」
結局どうやって寮の場所を突き止めたか聞き出せなかったな。
湾内と泡浮とも別れて寮まで向かってると、スマホからメールの着信音が鳴った。
オレはすぐに取り出し、メールの内容に目を通す。
―――思った通りだ。
♢♦♢
「むふ、むふふふ…………」
ああ、にやけが止まりません。
パシリからくる仕事がタイミング悪くきて、クラスメイトと仲良くなる機会を逃してるわたくしの携帯の連絡先が一気に3つも追加されました。
これって最早ぼっちから脱却したと言っても過言ではないのでは?
これも清原さんのおかげなのでしょう。
ケヤキモールで生徒手帳を拾ってもらい、その後に公園で、昨日の祭りとお会いできたうえ、お姫様抱っこして貰えるというハプニング。
あまりのことに脳のキャパがオーバーライドして不覚にも気を失ってしまったため、その時に覚えた清原さんの匂いを頼りに寮のところまで向かいました。
入口のところまで来たところで、初めて男子寮に入るとなると緊張してしまってうろうろしていると、タイミング良く清原さんが降りてきてなんとお茶に誘ってくれました。
ですがそこで清原さんの知り合いと思しき女子達と相席することに。
いや、お話ができたので良かったとは思いますけど……。
あのお二人が清原さんを褒めたりした時、なんだか胸の奥がもやっとしました。
つまり
もし
「ふふふ…………」
おっと、そろそろアジトに着きますね。
昨日と今日連絡がつかなかった言い訳を考えて謝りませんと。
アニメで権謀術数を得意とするキャラクターで思い浮かぶのは
よう実のキヨポン
デスノートのキラ
呪術廻戦の夏油(偽)
ですね。