ネットでよう実の2年生編がアニメ化することを知ってから再開しだしたことは本当に済まない。
寮の手前まで来たところで、佐天から連絡がきた。初春と春上がポルターガイストに巻き込まれとのこと。
前に佐天達の見舞いに行かなかったことを初春に怒られたしな。今回も行かなかったらまた小言を言われるかもしれない。
少し距離はあるが、二人が搬送されたという『第5救命救急センター』に向かうことにした。
目的地に着くと、受付近くのロビーに大勢の負傷者達が手当を受けていた。
辺りを見渡すと、初春と先に到着していた佐天達を確認した。すぐに声を掛けようとしたが、MARのロゴが入ったジャケットを着た連中の姿が見えたためにやめておく。あまり向こうの注意を引きたくないしな。
MARの連中に気付かれないように負傷者達に紛れ、初春達の会話に耳を傾ける。
「ところで初春。ポルターガイストの直前、春上さんの様子に変わったところはありませんでした?」
「え?」
「ですから、この間の花火大会のような」
「あの……一体何の」
「わたくしが調べたところ、春上さんは
どうやら白井は一連のポルターガイストの原因が春上にあると疑っているようだ。
当然、春上と仲の良い初春は白井に反発する。
「酷いです、白井さん。春上さんは転校してきたばかりで、不安で、私達を頼りにしてて…………それなのに!」
「ちょっと落ち着きなよ初春」
「あのね、初春さん。黒子は別に……」
佐天と御坂が初春を宥めようとしていた時、
「『精神感応』がAIM拡散力場の干渉者になる可能性は無くはないわ」
「テレスティーナさん…?」
花火大会でパワードスーツを着て初春達を助けたテレスティーナがMARのロゴ入りのジャケットを着た姿で現れ、会話に割って入ってきた。
「ただし、それには少なくとも
暗に、春上が犯人ではないと示唆するかのような口振りで説明するテレスティーナ。
「……念のため、ちゃんと検査したほうがいいのかも知れないわね。お友達の名前は?」
「春上衿衣さんですの」
「白井さんっ!」
白井が即答するが、初春は抵抗する。
「被災者を一人、本部の研究所に送る。表に車を一台回せ」
「あの……!」
「潔白を証明するためと思いなさい。大丈夫。ウチには専門のスタッフが揃っているから安心して」
専門のスタッフ、ね。警備員よりも人員が揃っているようだ。
初春の抵抗むなしく、春上がMARの車両で移され、御坂達も同行することとなった。
「……まあ、許容範囲内か」
車両が病院から去るのを見届けたオレは寮に戻ることにする。
佐天には、後で入れ違いになったとでも連絡しておこう。
♢♢
「「キヨポン、ちょっと面貸せや(すぜよ)」」
翌朝、寮の自室でゆっくりしているとインターホンが鳴り、扉を開けると青髪と土御門がいかにもガラが悪そうな態度もともとガラが悪いで外で待機していた。
パン屋に居候している青髪がわざわざ寮に来るなんて珍しい。
「どうしたんだ二人共?なにか機嫌悪そうだが」
「機嫌が悪そうやとぉ?そう見えるんなら察しがつくんやないん?」
「いや、全くわからん」
こっちはまったく心当たりがないんだよ。
「俺達はお前の裏切り行為について問いただしに来たんぜよ」
「裏切り?そんなことした覚えがないが」
「ないやとぉ?とぼけんなや!」
「ネタはあがってるぜよ!」
「顔近い顔近い」
互いの鼻が触れ合う手前まで距離を詰めてきた二人の話を聞くことにする。
「一体何の話だ?」
「つっちーから聞いたんや。自分、昨日女の子と一緒にいたそうやないの?」
「しっかりこの目で見たぜよ。結構可愛い黒髪ロングのボインな美少女だったぜよ」
「あっ」
どうやら土御門に弓箭といるところを見られてたようだ。
「あって、やっぱりそうだったのかにゃー!?」
「僕等が夏休みの補習受けとう間、色々とハメ外してるんか!」
「そんなことしてない」
というか青髪は小萌先生目当てで補習受けてるだろうが。
「はっ!まさかキヨポンにかみじょー属性が付加されてるのかにゃー!?」
「一緒にいる僕等にはどうして付加されないんやこんちきしょう!?」
鬱陶しい。真夏の季節に余計暑苦しくしないで欲しい。
「言っとくが、お前らが想像してるようなことはないからな」
とりあえず2人からの誤解を解くため、懇切丁寧に説明する。
「ほお?つまりその可愛い子ちゃんとはかみやんとの買い物に付き合った時に偶然出会ってから時々ばったり会うだけと?」
「要約するとそうだな」
「まだ付き合ってるとか、そういう関係ではないと?」
「まだっていう部分が気になるが…まあ友達だと思っている」
そこまで答えたところで、二人から漂う剣吞な雰囲気が鳴りを潜める。
「なんだ。そうだったのかにゃー」
「またつっちーの早とちりだったんやないか。いやぁ焦った焦った。危うくキヨポンを異端審問にかけて死刑にするところやったわ」
なんか青髪の口から物騒な言葉が聞こえた。
なんだよ異端審問って。こいつカトリックだったのか?宗教関係にはあまり関わりたくないから詮索しないでおこう。
「けど女の子と仲良くなれるのは羨ましいわぁ。なんかコツあるん?」
「ない」
とにかくなんとか二人からの誤解が解けたと安心しきったところで、携帯の着信音が鳴った。
「はい」
『あっ、清原さん』
「佐天か。昨日は悪かったな」
『いえ、気にしないでください。タイミングが悪かっただけなので』
「そうか。それで、どうした?」
『あの、実は少し相談がありまして…今、時間空いてますか?』
「ああ、大丈夫だが」
『なら会って話したいんです』
何時になく佐天の深刻そうな声音が聞こえてくる。十中八九昨日のことだろうな。
「電話じゃ話しにくい内容か?」
『えっと…………はい』
「わかった。どこで会う?」
『じゃあこの前アケミ達と勉強会をしたファミレスで。あっ、御坂さんも一緒です』
「えっ、御坂も?」
面倒くさいことにならなければいいが。
「すぐに行く」
電話を切ったところで、すぐそばに青髪と土御門がいることを失念していた。
「……おい、キヨポン。どういうことぜよ……?」
「今電話から女の子の声が聞こえたんやけども…?」
二人の目が一気に据わったものに変わっていた。
出るのに少し時間がかかるかも。
それからしばらく経って、ようやく待ち合わせ場所のファミレスに赴けた。
店内には既に佐天とついでに御坂の姿が。
「悪い遅くなって」
「あんた昨日もだけど遅刻しすぎでしょ」
「ちょっとした想定外の事態が発生してな」
本当に大変だった。
どれだけあいつらに弁明すればするほど、『なんでキヨポンとかみやんばっかりぃ!』と嫉妬が強まるばかり。もう面倒くさくなって放置した。去り際に『委員長に言いつけてやる!!』とかなんとかとんでもないことが聞こえたが気のせいだろう。
「それで佐天、話って言うのは?」
「あっはい。実は―――」
テーブル席に座り、佐天から話を聞く。
花火大会と昨日の21学区の自然公園で起きた地震が何者かにより引き起こされた現象であると風紀委員と警備員との合同会議で聞いていた白井は春上の書庫を調べ、彼女の能力である精神感応が特定条件下では本来の強度を超える数値の能力を発揮すると記されていた点から、春上に疑いの目を向けたのだが……。
「MARで検査してもらった結果、春上は違ったと?」
「はい。春上さんの能力は受信専門で、AIM拡散力場への干渉は不可能っていうことでシロでした。でも、次に浮上した容疑者が枝先さんっていう春上さんの昔の友達で、しかも木山先生の元生徒で、えっと……」
「久し振りに聞いたなその名前」
木山春生。この間起こった幻想御手事件の主犯であり、偶然にも
「そういえば木山は昔、自分の生徒達を実験で昏睡状態にしてしまったとか………その生徒達の中に春上の友達がいたと?」
「はい…あとMARの所長さんのテレスティーナさんって人が、枝先さん達がポルターガイストの原因かもしれないって」
「テレスティーナ…なんだ?」
「え?」
「そのテレスティーナって人のファミリーネームだ」
「あっ、さあ?そういえばフルネームをちゃんと聞いていないような」
「それがなんなのよ?」
「いや別に。少し気になっただけだ」
この様子だとテレスティーナの正体にまったく気付いていないようだ。完全にあの女のペースに乗せられている。
婚后がMARのところにいることはこの際敢えてこいつらには黙っておくとして……。
「ところで、白井と初春はその後どうなった?ひょっとして、今度は春上の友達を疑ってるのか、と初春が白井に反発してるのか?」
「えっ、よくわかりましたね。あっ、やっぱりお得意の名推理で?」
「そんなんじゃない。春上を疑われた後だから大体予想できる」
公私混同する初春と、風紀委員としての職務に忠実(?)な白井の衝突か。まず先に白井が春上を疑ってごめんなさいって謝れば済む話だと思うが。ただし謝る相手は春上。
「二人とも意地っ張りというか頑固というか……それで清原さん」
「なんだ?」
「その、もしよかったら何ですけど……二人を仲直りさせるのと枝先さんを見つけるの、そのう、手伝ってくれたりなんかできます?」
そうきたか。
「いや、オレあの二人とそれほど仲良くないし、オレより仲の良いお前たちに言われた方が納得いくんじゃないか?」
「あたし達が言っても耳を貸さないんですよ~」
「ならお手上げだな」
「そこをなんとかぁお願いしますよ名探偵さん」
「だから名探偵じゃないって。言っとくが、それあんまり言いふらすなよな」
もはや包み隠さず、佐天がへなへなとした感じで懇願してきたが、正直気が進まない。
とはいえ、捜索がこのまま進まないとなると、こっちの予定にも支障を来たす。少しばかり軌道修正は必要か。
「………はあ。その枝先を探すのはともかく、仲違いの仲裁に関してはやるだけやってみる」
「え?手伝ってくれるんですか?」
「オレにできることなんてたかが知れてるがな」
「ありがとうございます!」
「二人は今どこにいる?」
「多分まだ風紀委員の一七七支部で調べてるんだと思います。あっ、よかったら案内しますよ」
「そこまでしなくていい。支部の場所は検索すれば出てくるし、一人で行った方が相手にプレッシャーを与えないで済む」
それに案内させたら、さっきから御坂もついてきそうだしな。
「それじゃあオレはこれで――――」
「ちょっと待ちなさい」
珈琲を飲み干して撤退しようとしたところで、置物状態だった御坂に呼び止められた。
「あんたに聞きたいことがあるんだけど」
デジャブだな。もうこのくだり10回は体験したぞ。佐天が話してる間、オレを見る御坂の目つきは鋭いものだった。お願いする立場の人間がする態度ではなかったからそんな気がしていた。
「今日は何を聞きたいんだ?」
「単刀直入に聞くけど…………あんた、木原幻生っていう名前に聞き覚えは?」
ん?
「誰?」
「木山を利用して枝先さんたちを酷い目にあわせた科学者のお爺ちゃんよ」
「その木原という科学者が木山の記憶の中でオレの名字を言っていたと?」
「そうよ」
「えっ」
タイミングからして木原幻生の名前はテレスティーナから聞いたのか。
「何度も言うがオレはその科学者と一切関係がない」
「そんなわけないでしょうが。毎回そうやって適当にはぐらかして」
「はぐらかすもなにもあまりにしつこいから適当にあしらってるだけだ。キヨハラなんてたまたま名字が同じだけなのかもしれないだろ?それともそいつはオレのフルネームを言ったのを聞いたか?」
「………いえ。聞いて、ないけど…」
「じゃあこの話は終わりだ」
「ま、まだあるわよ!あんた、ホワイトルームってのと何か関係あるの?」
「えっ」
「は?」
なんで御坂の口からその単語が出てくるんだ。
「…………ホワイトルーム?一昨日佐天が言っていた都市伝説にそんなのがあったな…」
「学園都市の外にあるとされる超能力研究施設。あんた、学園都市に来る前にそこにいたんじゃないの?」
「何故オレがそこにいたと?」
「書庫であんたの事を調べたけど、去年学園都市に来たばっかりの人間に幻想御手事件や花火大会の時みたいな動きができるわけない」
「だから学園都市に来る前から能力開発を受けていたんだろうと?突拍子もない」
「とぼけたって無駄よ。あんたがホワイトルームって単語に反応してたの私知ってるんだから」
あの時か。
『どうだ参ったか?』と言いたげな勝ち誇った顔しているが、悪いな御坂。
「それはお前の勘違いだ」
「は?勘違い?」
「一昨日佐天が口にした都市伝説、ホワイトルームの他にもあっただろ。なあ佐天?」
「あっはい。どんな能力も効かない能力を持つ男とか喋るゴールデンレトリバーとか……」
「オレが反応したのはそのどんな能力も効かない能力を持つ男についてだ。クラスメイトにそれっぽいのがいるから驚いただけだ」
「そ、そんなわけないでしょ!」
「わけない?御坂も心当たりあるはずだが?」
「えっ、あっ、そう…だけど……」
「えー!御坂さん知ってるんですかぁ!?ひどい!なんであたしに黙ってたんですか!?」
「さ、佐天さん!?」
都市伝説好きの佐天が別の都市伝説の話に食かせることで御坂を封じ込める。
「他に質問は?ないな?それじゃあオレはこれで」
「ちょっ、待ちなさい。まだ話が―――」
御坂が席を立ったオレを呼び止めようとしたとき、御坂の方から携帯の着信音が聞こえだした。
「出なくていいのか?」
「っ、まったく誰から…………はい御坂です。え!?木山が釈放!?」
御坂が電話の方に気を取られている隙に会計を済ませ、オレは素早くその場を退散した。
♢♢
「―――そう。それでここに来たのね。なんかごめんなさい」
「気にしないでくれ」
佐天の言っていた風紀委員の活動支部の一つである第一七七支部に赴くと固法が出迎えた。初春はパソコンのディスプレイに向かい合って作業に集中。白井は今外に出ていていないようだ。
「清原君。紅茶と珈琲どっちにする?」
「じゃあ珈琲を。ミルクも砂糖もなしで………」
固法は「どうぞ」とオレに珈琲入りのカップを渡し、もう一つのカップを初春のところに持っていく。
「いりません」
「やせ我慢も大概にしたら?」
「あ……すみません。あれ?清原さんがどうしてここに?」
今気付いたのか。
「春上のことを佐天から聞いてな。気になって様子を見に来た。白井とギスギスしてるんだって?」
喧嘩の仲裁を佐天に頼まれて来た、とは言わない。
「………白井さんが春上さんを疑ったことも聞いたでしょ?」
「ああ。酷い話だな」
「ほんとですよ!疑われる気持ちが分からないんですかね!あんな人だとは思いませんでした!」
「あの、初春さん―」
固法がなにか口にするのを手で制する。
「確かに、白井が春上を疑って書庫を調べたのは事実だ」
「そう――」
「だが、それは自分の中の春上に対する疑念を打ち消すためだったみたいだぞ」
「えっ」
「初春がなにがなんでも友達なら信じるべきだと考えるように、白井には友達であれば目を逸らすよりも疑いを晴らす事に尽力すべきという考えだった……」
「で、ですが白井さん、そんなこと一言も――」
「言わなかったし、初春自身も感情的になって聞こうとしなかった」
「あっ」
まあ、普通は言葉にしないと分からないか。思慮が浅いと言えばそれまでだが、そう簡単に割り切れるような人間は多くない。だから簡単に汚い大人に利用される。
「どちらが悪いとかいう話じゃない。ただすれ違ったが生じただけのことだ。一度互いに頭を冷やして話し合ってみろ」
「で、ですが…」
「春上と約束したんだろ?必ず枝先を見つけると。聞かせてくれ。お前は友達との約束を果たすために、いったいどこまでやるつもりなんだ?」
「と、とことんやります!」
「なら白井に協力を仰がないとな」
「うっ…」
こういう場合、どちらかが先に折れた方が手っ取り早い。
「目的達成のためだというのに諍いを脇に置けないなら、お前の覚悟はその程度だったわけだ」
「…………っ!!」
敢えてムカつく言い方で挑発する。たとえよく思われなかったとしても、敢えて嫌われることも必要だ。
オレの挑発に、初春は少しばかりわなわなと震える。睨んでるみたいだが全然怖くない。
「…わかりました。後で白井さんと話します」
そう言ってディスプレイに向かう初春の言葉に怒気が混ざってる。
「………清原君説得が上手いわね。言い方がすごくあれだけど」
「オレは自分の主張を伝えただけだ」
珈琲を一口飲んでから話題を変える。
「そういえばさっき小耳にはさんだ情報だが、木山春生が釈放されてたみたいだぞ」
「「ええええっ!?」」
二人の叫び声が室内に響き渡る。凄い驚き様だ。
「なんでそれを先に言わないんですか!?」
「オレの中では初春と白井との問題解決が最優先事項だったからだが?」
「こ、この人は……」
「ま、まあいいわ」
なんか二人共頭を抱えだした。まあいいか。
「佐天から聞いた話では、MARは木山の生徒達が最近の地震の原因と考えているそうだな。木山が釈放済みとなると………」
「ちょ、ちょっと待ってください。木山先生は子供たちを助けようとしてあんな事件を起こしたんですよ。それなのに、その子たちを利用するなんて………」
「あくまでもMARの極端な考えだ。学生の能力への憧れを利用した女だから不思議じゃないというな。ネットに上がっているニュースでは木山の動機は私的な研究目的ということにされているから、あの場にいなかった誰もがそう信じている」
「上からの圧力……ですかね」
「さあな。それより、こういう場合は仮説でも事実のみを整理すればいい」
オレは固法の許可を得て、部屋にあったホワイトボードに文を書く。
1.木山の生徒達は現在昏睡状態が続いており、木山は生徒達を起こそうとしている。
2.幻想御手事件の後に木山が釈放
3.幻想御手事件の後になって地震が多発。地震には木山の生徒達の能力の暴走が関係?
「これらはバラバラの情報だが、地道に一つずつパズルの様に組み上げていく。1と2から、釈放後も木山は生徒達を起こすことに力を入れていることになる」
「まあ当然そうなるわね。初春さんの話からして諦めてないみたいだし」
「なら今の情報と3を組み上げたらどうなると思う?」
「どうなる…………ってまさか!木山先生が子供達を起こそうとして能力が暴走しだしたのでは!」
「っ!それありえるかも!」
気付いたようだな。
「とすると、今までの地震は子供たちがそろそろ起きようとしている予兆に。春上さんが最近になって精神感応で枝先さんの声を聞いたという話と辻褄が合います!」
「他の9人の子供たちも同じ場所に集められているのかもしれないわね。あっ、でも子供たちの足取りが途中で掴めなくなって今はどこにいるのか……」
その辺は徹底したからな。
「だ、大丈夫です。もっとデータを探れば……」
「もっとって言うが、我武者羅にやったところで時間がかかるだろ?」
「うっ…」
「……そうね。少し視点を変えるべきかもしれないわ。子供たちの足取りが負えないなら、子供たちと一緒にいるであろう木山の足取りを追えば……でもあんな事件を起こした後に一目につくようなぼろを出すのか疑問か」
この辺りでいいか。
「人目につくと言えば、木山は派手な車を持っていたな」
「車?」
「真っ赤なスポーツカーで、車種は……何だったっけ初春?」
「えっと、確かランボルギーニだったと思います。外車でもかなり高級で、学園都市でもそう見かけたりは……………はっ!」
なにかを閃いたかのように、初春はディスプレイに向かってキーボードを素早くタイプしだす。
「どうしたの初春さん?」
「木山先生の車は学園都市でも数台しかない外車です。もし釈放後も同じような車を利用しているなら、学園都市の交通道路のカメラに映っている車から絞り込みが可能になります!」
「…でも人目につくのを避けているんじゃ」
「いや、人の趣味はそう簡単には変えられない。初春の考えは良い線をいっていると思う」
後は行動時間をある程度絞り込めば簡単だが、このくらいでいいだろう。
「……それじゃあオレはこれで」
「えっ、もう帰っちゃうの?」
「ああ。忙しいみたいだからな。ここでオレができることはもうない」
他にやることがあるし。
「でも子供たちの能力が暴走してるって問題は……」
「それはオレの専門外だしあくまでも仮説だ。あっているかどうかは木山本人に会って聞けば良い」
残っていた珈琲を飲み干す。
「珈琲ご馳走様」
「あっ清原君」
「なんだ?」
出口の扉に手をかけようとしたところで固法に呼び止められる。
「その、ありがとね。色々と」
「礼を言われるようなことはしていない」
そう。固法や初春達には悪いが、本当に礼を言われるようなことはしていないのだ。
「ああそれと初春、ちゃんと白井と話し合うんだぞ」
「わ、わかってますよ!」
念の為初春に釘を刺してから支部を後にしたのだった。
タイトルとか、今後の話の流れを書くのに悩んでスランプ状態に陥り、一年くらいになってようやく続きがかけました。
遅れてしまい申し訳ありません。
他の作品を執筆しつつ、最近連載中の『とある科学の心理掌握』を熟読し、思考の片隅で今後の展開を考えていました。
あと、キヨポンの能力設定についてもある程度思いつきました。