トレセン脱出   作:財団さん

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いよいよ物語は本格始動してしまいましたが、果たして彼は生き残れるのでしょうか?


EP.1 最後のトレーナー

眩しさに目をすぼめつつ、私は起き上がる。

時刻は午前10時。何とか私は、無事に次の朝を迎えられたらしい。

 

部屋から窓の外を見てみても、やはり誰もいない。

今日は授業も何もない日のはず。であるならば、通常はもっとこの学園は騒がしいはずだ。

ここまで静かな学園に少しずつ恐怖を覚えながら、学園のロビーの方まで出向くことにした。

きっとあそこなら誰かいるだろうし、何かしらの情報も手に入るだろうと、そんなことを考えつつ、ロビーまで向かいだす。

 

 

しばらくしてロビーに着く。そしてそこには、

誰もいなかった。

誰一人、たずなさんでさえいない。

ここまで来る道中にも誰とも会わなかったことを鑑みるに、おそらくあの辞令の緊急事態というのは、冗談ではなさそうだ。

 

そんなことをぼんやりと考えていると、誰かの足音が聞こえる。

 

「どうされましたか?トレーナーさん?」

 

私の目の前に現れたのは、緑の制服に身を包んだ人物、たずなさんであった。

 

「いや、学園内でここ二日間誰とも会ってないもんなんで、何かあったのかと思いましてね」

「ふふ、特に何も起きていませんよ?」

「いや、学園で他のトレーナーさんと一人とも会わないのは流石に何かあったとしか...それに、私宛によくわからん辞令も届いてますし、何かありましたよね?」

「.....」

 

急にたずなさんが黙り込んだかと思うと、急に館内放送が響く。

 

[最後のトレーナーさんを捕まえられた方が優勝です]

 

誰が話したかは分からない。しかしこの最後のトレーナーというのは、まぎれもない私であろう。

 

「ではトレーナーさん、ゲームスタートです」

 

少し遠くから聞こえたたずなさんの声。その方向に目を向けると、何人かのウマ娘達が並んでいた。

 

私は本能的にその場を駆け出した。なんであんなに急加速できたのかわからなかったが、それどころではなかった。

しばらく走ると、自室の前へと着いていた。急いで自室に入り、考えを巡らせる。それと同時に、友人から受け取った装置を身に着ける。

 

友人から受け取った装置、それは人間がウマ娘と同等のスピードで走れるようになる補助機、いわゆる外骨格というやつであった。

 

今の状況を端的に表すなら、

 

1VS2000

 

ということになる。はっきり言って勝ち目はほとんどない。

学園にいなかった1日か2日前にネットニュースにそのような話題がなかったことを考えるに、外部から時間がたてば救援が来るとも考えにくい。

 

コンコン

 

そんなことを考えていると、ノックの音が聞こえる。

しかし今の状況を考えるに、このドアの外にいるのはおそらく、私を捕まえようとする”誰か”であることはほぼ間違いない。

 

(この部屋は一階...なら...!)

 

ドサッ

 

最低限の荷物を外に放り投げ、その後に私も同じ窓から外へ出る。

外に出たその直後、自室のドアが破壊される音が聞こえた。

私は息を殺して近くの物陰に隠れた。数分もすると、自室からの音は消え、同時に学園が再び動き出したような感覚を感じた。無論、いい意味ではないがな。

私はふと、学園を取り囲むフェンスの外を見た。嫌な感覚がしたから見てみたが、どうやらその感は当たっていたらしい。

 

学園を取り囲む装甲車の車列と、謎の人影。スマホのズーム機能を用いてその人々を観察してみると、腕には緑、白、橙の三色旗のパッチ。

そう、彼らの正体は他でもない、アイルランド軍であった。

なぜここにアイルランド軍がいるのか一瞬疑問であったが、昨晩見た書類のことを思いだす。

 

【ファインモーション】

 

確かこのような名前のウマ娘がいたはず。そして彼女はアイルランド王家。

このことから、おそらく何が何でも、私を捕まえる気でいるのだろう。

 

私は見つかる前に走り出し、屋上に向かう。

 

なにが起きているかまだ十分に理解もできていないし、情報もない。

ただ一つ、目指すべき目標は、自然と出来ていた。

 

〈トレセン脱出〉

 

その目標を達成する為、私は行動を開始する。

 

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