僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order 作:小野屋陽一
第101話
side三人称
緑谷が雄英に戻って翌日。オールマイトからA組にアメリカNo.1ヒーロー、スターアンドストライプの訃報が伝えられる。彼女はオールマイトに協力すべく仲間と共に日本へ独断専行の途中、死柄木と戦闘。“個性”『新秩序(ニューオーダー)』が奪われるが毒のように死柄木を蝕み、相当数の“個性”を破壊する事に成功した。本来数日で完全体となる死柄木だったが、スターとの激闘により深手を負ったため延長する。
「―少なくとも一週間。死柄木は動けない。この時間を有効に使う。死柄木とAFOを倒す。」
雄英避難用居住区スペース。広場にて、一部集う人々。丸テーブルの真ん中には箱が置いてある。一人がその箱の中にある黒い欠片を取り出す。
「…願いを叶えるって本当なのか?」
「あの方が言うんだ。間違いは無い。」
周囲に聞こえないよう小声で話す。欠片を持っている人物が問う。
「何を願えばいいんだ?」
「簡単だ。『あの方のためにに役立ちたい』だ!」
「具体性が無いとダメなんじゃないか?『ヒーロー達を倒したい』…とか?」
「何かの欠片だから…そう多くは叶えられなさそうだ…シンプルに『破壊しろ』でいいと思う…」
どんな願いがいいか各々言い合う。会話から分かると思うが、この場に集う者達は全員AFOを支持する者達。その中で血気盛んな者達だった。是が非でも役に立ちたいが為、雄英避難場所に一般市民に扮していた。
「おい慌てるな。まだ使うとは言ってない!それにコレは“何かあった時に使え”という指示だ!そう迂闊に…」
「後手に回っちまったら意味がねぇだろ!」
「それ貸せ!オレが使う!」
「いや俺だ!」
「僕だ!」
「私よ!」
「お前ら落ち着け!!」
だんだんと会話がヒートアップし、遂には黒い欠片の奪い合い。これには周囲にいた市民達がなんだなんだと集い始まる。
「そこで何をしているの!」
「まずい…!ヒーローだ…!」
周囲からみれば喧嘩が始まったかのように見える状態。偶然パトロールをしていたヒーロー…全面戦争で負った怪我を完治したミッドナイトがそこへ駆け付ける。
「関係ねぇ!なんなら丁度いい!!」
「バカよせ!!」
「一度冷静にしたほうがよさそうね…!!」
ミッドナイトは服を少し破り、『眠り香』を放つ。その香りが届くよりも早く、黒い欠片を奪い取った人物が大声で吠える。
「『ヒーローをぶっ倒せ』!!」
黒い欠片は呼応。そこから黒い水が噴き出した。
『緊急!緊急!ヒーローは直ちに出動せよ!直ちに出動せよ!』
『!!』
雄英高校内に響き渡る警報とアナウンス。当然それはA組の寮内にも伝わる。その場にいるオールマイトのスマホに連絡が入った。直ぐにスピーカーにして繋ぐ。連絡相手はセメントス。
「セメントス!何があった!!」
「『影』です!住居区の広場から突如として大量の『影』達が発生!現在私とミッドナイトで応戦中!市民達の避難が間に合わない!!応援を!!ぐっ―」
「皆行くぞ!!」
『おう!!』
セメントスからの連絡が途絶えると同時、既に戦闘衣装に着替えていたA組全員が飯田の号令と共に寮から飛び出る。オールマイトも急ぎ寮から出て大声で伝える。
「無理はするな!!相手は”個性”が効きづらい!!市民優先を!!」
「逃げろぉ!!」
「あの黒い奴等だ!!」
「うわあああああ!!!!」
広場では、全面戦争の時のように、黒い水が噴き出し、そこから影達が現れ続ける。
「セメントス!市民の避難優先!!」
「分かってますとも!!」
「「「「「■■■■■■■■■!!!!!!」」」」」
セメントスは”個性”で地面のコンクリートを操作。影と市民達を分断するように『壁』と『退路』を作り出す。
「やっぱり効かないわね…っ!」
ミットナイトは『眠り香』を影達に放つが誰一人眠ろうとしない。寧ろ影達はミッドナイト、セメントスに容赦なく突撃してくる。
「■■■■!!!!」
「なんてパワーなの!」
「これほど強いとは…!」
セメントスが形成した『壁』を容赦なく壊す。ミッドナイトは影が持っていた武器と交えるが、腕力の差故、後退してしまう。今だ影を一体も倒す事が出来ない中、願いを込めたAFOを支持者達にも危機が迫っていた
「な、何だよこの液体!?」
「し、沈む!!どうなってんだ!!」
「ひぃいい!!」
黒い液体を直ぐ近くで浴びてしまうAFOの支持者達。底なし沼のようにゆっくりと沈んでいく。もがいても体に蝕み続ける。
「ち、力が…ぬけ…る…」
黒い欠片を持っていた人物は脱力してしまい、欠片を黒い液体の中へ落としてしまう。そのまま成すすべなく黒い液体の中へ沈んでいく。他の支持者たちはそれを見て恐怖し、何とかもがき這いずり脱出を試みるが無駄。どんどん沈んで行く者達が増えていく。
「た、たすけ―」
天に手を伸ばす。当然、そこには何もない……とその時、その手に『黒い鞭』が巻き付き、黒い液体から浮上する。
『!!』
一人だけでなく、数人にも『黒い鞭』が巻き付き、引き上げられる。
「救助者確保!」
それは緑谷の”継承した個性”の一つ『黒鞭』である。更に緑谷は『浮遊』し、上から釣り上げる。
「安心しな!俺達が来た!」
そして鞭以外にも瀬呂の『テープ』が他の人の手に巻き取り、救助。
「行きますわよ!」
「おう!!」
「よっしゃー!」
八百万が『ロープ』を『創造』し、そのロープに峰田の『もぎもぎ』を付けて投擲。数人にくっつけ、そのロープを『シュガードープ』にて強化した砂糖が引いて救助と次々と黒い水に沈みかけていた者達を救助する。そして救助だけではない。
「爆豪!脚を狙え!」
「俺に命令すんな!!死ねぇ!!」
「「「「「■■!!」」」」」
セメントス、ミッドナイトに襲い掛かっていた影達。それを駆け付けた轟が『氷結』で脚を凍らせ、爆豪は『爆破』で脚を破壊し、影達の行動を鈍らせる。
「貴方達!」
「助かった!!」
「今は市民の避難優先だ!避難終えるまでは時間を稼ぐ!」
飯田はそう言い、『エンジン』で加速。影の一体を蹴り飛ばす。
「人の形してるけど…人じゃないんでしょ!なら!!」
芦戸は掌から『酸』を周囲に放つ。その液を被った影達は溶け、動きが鈍る。
「攻撃が効かなくても、動きは止められる!」
麗日は素早く影達の懐に入り、触れて『無重力』で浮かし続ける。
「『尾空旋舞』!!」
「『烈怒頑斗裂屠』!!」
尾白は『尾』で、切島は『硬化』した拳で影達を殴り飛ばし、奥にいる影の集団たちを巻き込ませる。ヒーローとして、己が出来る事をする…が、しかし、この状況を解決するまでには至らない。
「「「「「■■■■…………」」」」」
「…何…何なのアレ…!」
「耳郎も聞こえるのか…あの音が…いや、声が!」
少し離れた所で索敵をしていた耳郎と障子。彼らの耳にはいまだ噴き出る黒い液体の音を捉えていた。その黒い液体はただ溢れている音だけでない。
―ォォォォォォォォォォ―
―ァァァァァァァァ―
―ヤァァァァァァ―
―キャァァァァァァァァァ―
叫び、嘆き、狂気、悲鳴…ありとあらゆる負の感情を凝縮したかのような音が止まずに噴き出ていた。聞くに耐えれなくなった耳郎は地面にさしていた『イヤホンジャック』を抜き取る。
「あんなの…藤丸達は集めてんの…!?」
「…!何か様子がおかしい!!」
障子が『複製腕』で生やした目が察知。動きが鈍くなった影達だが、負傷した部位が完治し、直ぐに再起動。氷を壊し、轟に刃を向ける。
「ちぃ!!」
「『徹甲弾 機関銃』!!」
突撃してくる影に爆豪は連続で乱れ撃つ。しかし影は構わず特攻。腕や体、脚に貫通されようが直ぐに再生する。そして更に、無重力状態で浮遊していた影達は装備していた杖や弓で砲撃を開始する。
「きゃあ!」
「麗日さん!!」
「ケロォ!」
被弾する麗日を『舌』で回収する蛙吹。八百万が『大盾』を『創造』し、防御に徹する。
「オイラのもぎもぎが!」
「峰田あぶねぇ!!ぐぎっ!」
「切島!!」
『もぎもぎ』で地面と影を固定していたが、他の影が杖から発した砲撃で焼き払い再突撃。矢の雨が降り注ぎ、切島が『硬化』した体で身を挺してクラスメイトを守る。
「皆!!(やっぱり”個性”が効いていない!!なら…元を断つ!!)」
緑谷は地面に着地し、その場でなんども屈伸。すると脚に力が溜まる。
「(『発勁』!そして…)『エアフォース・セントルイススマッシュ』!!」
『発勁』にて、一定の動作を繰り返して運動エネルギーを一時的に脚に蓄積した力と共に蹴りを放つ。その衝撃波は地面を抉り、広がった黒い水を吹き飛ばす。周囲にいた影達も四方八方に吹き飛ぶ。
「(全面戦争でもあった黒い物…アレを何とかすればこの影達も消えるはず!!)あった!!」
宙に舞う黒い欠片。それを緑谷は受け止めようと『浮遊』し、手を伸ばした時、脳内に『警戒音』が響く。
「「「「「「■■■■■■■■■■■■!!!!」」」」」」
「!?」
『危機感知』が反応し、緑谷は手を伸ばすのを止めると同時、黒い欠片から勢いよく黒い液体が噴き出し、その中から影達が現れる。直ぐに緑谷は『浮遊』を発動させ、姿勢制御。離れて着地する。
「緑谷君!大丈夫かい!?」
「うん平気!だけど…」
駆け寄って来た飯田に無事を報告しつつ、緑谷は蹴り飛ばした黒い欠片を見る。今だ健在の影達が再び動き始める。
「(さっきから『危機感知』が頭に鳴り響く…僕たちではアレを対処できないのか…!?)…だったら…時間を稼ぐ!!」
緑谷は『エアフォース』を影達に撃ち放ち、少しでも避難した市民に近づけさせないようにする。他のクラスメイトも攻撃の手を休めずに攻め続ける。
「『黒影』!!」
『アイヨ!!』
常闇が『黒影』を呼び、黒影は影達を殴り飛ばし続け、
「梅雨ちゃん!」
「いくわよ!!」
麗日が瓦礫を『無重力』で浮かし、それを蛙吹が『舌』でハンマーのように振り下ろし黒影にぶつけ、
「こっち来るなぁ!!」
「っ☆!」
「『皆、影達の視界を邪魔するのです!!』」
再度峰田は『もぎもぎ』を投げ影達を足止め、青山が『ネビルレーザー』で撃ち伏せさ、口田の『生き物ボイス』にて鳥達が影達の行く手を阻む。それでも…
「何で倒れねぇんだクソが!!」
爆豪が吐き捨てるように言う。影達は止まらない。吹き飛ばされても何事もなかったかのように立ち上がる。少しずつ、ヒーロー側が不利になり始めて来た。そして遂に、拮抗状態が崩れる。
「■■!!」
「っああ!!」
影の一体が八百万の方へと突進。『大盾』を装備していた八百万だったが、盾もろとも吹き飛ばされる。その背後にいた蛙吹、葉隠、芦戸もその衝撃で飛ばされる。
「ヤオモモ!葉隠!芦戸!」
耳郎は駆け付け、不時着した八百万を支える。
「だ、大丈夫ですわ…」
「私も大丈夫ー!」
「こっちも平気―」
遠くで葉隠が手を振り、芦戸も地面に体を打ち付けるが、平気だと声を上げた時。
「…■■」
「ぇ」
芦戸の背後から忍び寄る影の姿。その手には鋭利なナイフがあった。
「―!!」
誰かが芦戸の名前を叫ぶ。誰かが少しでも早く、芦戸との距離を詰める。芦戸も『酸』で防ごうと動く。それでも…
「■」
影が振り下ろすナイフの方が早かった。容赦なく、芦戸の体にナイフが突き刺さる―
―クハハ―
「―ぇ?」
―ことは無かった。芦戸の影から伸びる『黒い炎を宿した手』が影の胴体を貫いていた。
「■―」
影はナイフを落とし、その場から消える。芦戸の影から伸びた手は影に沈む。その数秒後、今度はゆっくりと芦戸の影からが浮上する。
「…ふぅ」
その人物は芦戸に背を向けた状態で、地に足を着く。濃緑のポークパイハットを被り、濃緑のロングコートを身に纏う。その人物に、芦戸を含めたA組や教師達、そして映像越しでみているであろうオールマイト達には見覚えがあった。
「…『クハハハハハハ!!!!』」
藤丸立希が高笑いをして現れたのだった。
読み直しながら続き書いてます。
あとは劇場版も書きたいですね。