僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order 作:小野屋陽一
side三人称
雄英避難用居住区スペース。先日のAFOの支持者達が起こし、瓦礫と化した広場が修復され、いつもの様に避難民が集う。
「…司令が来た」
「なんと?」
そんな中、まだ捕まっていないAFO支持者達が静かに言葉を交わす。
「煽れ。まだ潜在しているであろう反対派の人間を巻き込め―」
支持者達はAFOの言葉を告げる。
「―煽れ。緑谷出久が再びその砦にいられなくなるように」
嵐が静かに迫りくる…
side立香
学生寮。ドサリという音と共に、上鳴君が床に伏す。
「つ…つかれた…!」
「捜索範囲が広すぎるぜ…」
上鳴君同様に疲労気味の切島君が言いこぼす。AFO捜索開始から一時帰還する私達1年A組。皆疲労感を出している。AFOだけじゃない。解放戦線及び敵連合の捜査をしつつ、街に放たれたダツゴク達も確保している。疲れないほうがおかしい。
「ねぇ、立希の方で情報ないの?」
「全然。カルデアの情報網ですら手がかりの尻尾が見えないよ。ホント嫌になるよ。」
立希の言う通り、カルデアでも捜査を頼んでいるが全て空振り。いくつか拠点らしき場所があって行ったが全てスカだ。中にはダツゴクがいたりもしたが難なく確保している。
「速やかに就寝しよう。俺達の強みは若さだ。一挙手一投足全て力に繋がる。」
飯田君が頭部のマスクを機能させ折りたたみながら皆に告げる。
「ちょっとくらい猥談する時間ほしいよな」
「猥談はいいや。でもそうだね」
私の近くでそんな会話をする峰田君と緑谷君。峰田君のは兎も角、緑谷君に共感する…
「(…そういえば、色々あって話してないなぁ焦凍くんと…)」
ちらりと彼を見る。何となく話してみたくて彼の名前を呼ぼうとした時。学生寮の扉が勢いよく開く。
「私が!毎日のように来た!!」
元気いっぱいのオールマイトが塚内さんと根津校長と共に来た
「ちゃす。元気っすね…」
「逆にな!」
「青山さんの件でしょうか」
響香ちゃんが挨拶を返し、ヤオモモが訪ねる。
「更にその先だ。現在限られた者にのみ概要を伝えている。『第二次決戦の最終プラン』。その協議を行う。」
『!』
遂にAFOをおびき寄せる作戦が決まった。その作戦の要である。懐かしい人物が現れ、更にAFO含め敵連合を一網打尽にする内容も決まる。後はもう、私達次第だ。
「ふぅ…(さっさと寝たいけど…もう少し準備してから寝よ)」
協議と言っても時間は取らずにサクッと終わらせ、今は自室。寝る前に『円柱型の小型装置』の1つ手に持って握り、『魔力』を注ぐ。捜索しながらも魔力を注いでいたおかげで2本完成。3本目に注いでいる。
「(明日は…確か仮説要塞に移動だっけか。軽く荷物整理…明日の朝でいいかな)」
明日の予定を思考していると、ノック音。誰だろ?
「はーい。開いてますよー」
「…立香、今いいか?」
「…焦凍君!?あ、ど、どうぞ!」
まさかの人物に少し上ずった声で招く。
「(あ、今私の姿…ま、いいか!まだ戦闘衣装だし!向こうもそうだし!)えっと、どうかしたの?あ、さっきの協議の事?」
少しだけ明るい感じで訊く。焦凍君は静かにじっと私を見て言う。
「…久しぶり…だな」
その言葉に私は目を見開き、一息つく。
「…うん。久しぶり、だね。こんな風にふたりで話すの」
「ああ…」
ふっ。とお互い笑みをこぼす…けど、直ぐに焦凍君は険しい顔つきに変わった。
「……実はな、少し怒ってたんだ。俺自身にも、立香、お前にも」
「…ええ!?なんで…ていうか、勝手にいなくなったからだよね!?」
心当たりがありすぎて言い訳が出来ない。申し訳なくなってしどろもどろになる。
「ああ。でもそれを防げなかった俺自身にも苛立った」
「それは…しょうがないよ」
そう言って俯いてしまう焦凍君に私はそう言うが、本人は気にしている。
「しょうがなくねえよ。困った事があるならそれを助けるのがヒーローなのに何もできなかった。それが仲間のことだったら猶更だろ」
「……うん」
「だから…」
俯いていた焦凍君は顔を上げ、私を見て言ってきた。
「…もっと頼ってくれ。今まで以上に」
「いいの?」
思わず聞き返してしまった。
「ああ。勿論だ。それに前みたいに目の前で助けられないのはもう嫌だからな」
助けられない…かぁ…違うよ…私と立希の正体を知って、それでも普通に接してくれる…あの時点でもう大分助けられてるんだよ…
「(焦凍君に…A組の皆に出会えて本当に良かった…)ありがとう。それと今までごめんね?言えないことが沢山あって……ていうのは言い訳だけど」
「いや大丈夫だ。それに、これから知っていければいいだけだしな」
お互い微笑んで、私は手を差し伸べる
「これからもよろしくしてくれる?」
「ああ。」
焦凍君は応えるよう、握ってくれる。ゴツゴツとした男特有の固さ…けどどこか優しくも、暖かくも感じる。今まで、そしてこれからも頑張っている彼らしい手だなと思った。
「…それに、なんていうか俺の方の事情もこじれてるからな、とばっちりがいくだろうが、それでもいいならいいんだが……」
「(そうだ、荼毘―轟燈矢が家族だってことが世間に知られたから今、焦凍君は大変な身のはず。それなのにこんなに気遣ってくれるなんて……)焦凍君は優しいね」
「そうか?」
「そうだよ、凄く優しくていいヒーロー。だからね」
普段の私らしくないけど、この際言ってみる
「?」
「私の事も頼ってよね!とばっちりだろうが何だろうが跳ね返してあげるから」
「!……ありがとな、立香」
お互い笑い合う
「お兄さんの事、分かりあえる?」
「して見せるさ。立香の方が大変じゃないのか?」
「確実にね。でもぶっちゃけいつもの事だよ聖杯回収なんてね。」
それからしばらく軽く談笑して、明日に備えて私は眠る…少しだけ不安と緊張が和らげた気がした。