僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order 作:小野屋陽一
side立希
試合後、姉は個性の使い過ぎで倒れた。まぁいつもの事だから心配ない。今は医務室で休んでいる。多分自分の試合中に戻ってくるだろう…それよりも…
「姉が負けたかー…しかも思いっきり弱点見つけられたー…」
頭を抱えながら自分はスタジアムに向かう。相手は爆豪君。“個性”は両手から放たれる『爆破』しかもそれだけじゃない。本人の戦闘センスがヤバすぎる。戦う度に強くなっている。上鳴君が言ってた才能マンというのも頷ける。
「自分も召喚は後一回…やるなら…全力で戦うか!」
『エブリイバディ!!準決勝!最後の試合だ!ここまで怒涛の攻撃でのし上がった!!爆豪!!対!色々とツッコミ満載な偉人を出しまくり!!藤丸弟!!』
またプレゼン・マイク先生に突っ込まれる。うーん何も言えない。
「モブ野郎…さっさと呼びたい奴だせ。強い奴だそうがテメェさえぶっ飛ばせばカンケーねぇ」
そして自分と対照的に立っている爆豪君はヤル気満々だ。
「(やっぱバレてた…弱点) …まぁ…そうだね。でもそれは爆豪君。君にも同じ事が言えるよ」
「あ…?」
「君の個性…強く広範囲な爆破をするとものすごく掌が痛いんでしょ?」
「っ……ちぃ!」
麗日さんとのあの大爆破した後、自分は爆豪君が『腕を抑えていた動き』を見落とさなかった。
「まぁ痛くしないように、小・中規模爆破を連続して使ってるようだけど…」
「うっせぇ!どう言おうが俺が勝つに決まってるからよぉ!!ねじ伏せてやらぁ!!」
痛い所を付かれたのか、大声を上げ挑発して来た。自分は深呼吸して一度緊張をほぐす。
「勝つ…かは分からない。けどそう簡単には勝たせないからね…っ!」
『お互いヒートアップ!!それじゃあ…―START!!』
スタート合図が来た。けど爆豪君は来なかった。
「さっさと呼べやぁ!!」
どうやら召喚してくれるようだ。これは嬉しい。
「それじゃあお言葉に甘えて…出てきて、『アルターエゴ』」
side立香
「た、ただいまー…」
大分回復した私はリカバリーガール先生に許可もらって観客席に戻る。
「あ!お帰りー!立香ちゃん!」
「戦い終わってぶっ倒れた時は驚いたぜー」
そんな私を麗日ちゃんや切島君らが向かえてくれる。
「あー…前に弟が言ったように、召喚は一日3人までだから……今は少し回復したし大丈夫かなぁー…今どんな感じ?」
席に座りながら状況を聞く。私の試合の次は立希と爆豪君だ。
「今試合始まったばっかりだよ。爆豪の奴、藤丸が召喚するの待ってる。その上で勝つ気らしい…」
耳郎ちゃんに教えてもらう。
「私だったら絶対攻撃してるよ……で…誰呼んだの?」
「あ!出てきたよ!」
三奈ちゃんの声で、私はスタジアムを見る。立希の召喚で現れたのは…それは凶悪な棘で出来た鋼鉄の具足。腕をすっぽりと隠している黒色の袖。そして、跳んでしまえばお尻が丸見えになってしまいそうなぐらいに防御力に難がありそうな装備……
「ひょおおお!!!」
「な、なんちゅー服だ!すっげー!!」
一言で言えば際どい服を纏った女性。これには峰田君と上鳴君がすごく反応していた。
『想定内というか斜め上を行ったぜ藤丸弟ぉーーー!!』
「うっそぉ…」
実況に続いて私も驚いた。
「うっひゃあ…衣装すごい……彼女は誰?」
麗日ちゃんが頬を染めながら聞いて来た。私は立希に対してのため息を吐いて答える。
「『アルターエゴ』。『メルトリリス』だよ」
side立希
「―以前。私が言ったわよね、マスター。貴方は燃えるような舞台がお好みなのね?」
自分が呼んだメルトは不敵に笑いながら聞いて来た。
「燃えるような…というか敵が燃えるね。『爆破』って意味で」
自分は笑いながら言い返す。
「んだその女ぁ……痴女じゃねぇか!!」
爆豪君がそうツッコんだ。いや、痴女じゃないよ。
「なぁ!?なんて失礼なガキなのかしら!?これにはちゃんとした理由があるのよ!?」
振る舞いは貞淑であってもその見た目は過激で嗜虐的。アルターエゴの『メルトリリス』。女神の英霊を複合したハイ・サーヴァント。組み込まれた女神はギリシャ神話のアルテミス、旧約聖書のレヴィアタン、インド神話のサラスヴァティー。因みに、下がアレな理由は上半身ほど感覚障害が発生していないため。布一枚隔てるともう感覚が解らなくなってしまうからだ。
「―ハン!そんな事すら知らないだなんて…ホントガキね!おこちゃま!」
メルトの言葉に爆豪君がイラついていた。
「んだとぉ…っ!」
そんな一触即発な二人の間に自分が割って入る。
「はいはい。ケンカの続きは拳と拳……じゃなくて拳と蹴りで付けようね。メルト」
自分はメルトの前に立ち―
「何かしらマスター?」
手を差し伸べ、言う。
「Shall we dance?」
「…フフ♪Yes. My master.」
メルトは妖艶な笑みを浮かべ、自分が差し出した手を取った
side三人称
立希とメルトリリスが何かしようと動き、構えた。それを見た爆豪は訝しむ。
「おいモブ顔…テメ何してんだ……」
「別に、メルトを呼んでも爆豪君は自分を攻撃してくるんでしょ?だったら簡単。自分も戦えばいい!」
「踊る気満々じゃねぇか!!」
「何よ。これが私達の戦い方なのよ?」
怒る爆豪に立希とメルトリリスは冷静に受け応え、爆豪は更にイラついた。
『なんだなんだ!?藤丸弟&プリティガール!これからダンスでもするってかぁ!?』
実況の声に立希とメルトリリスは不敵に笑う。そして―
「正に―」
「―その通りよ!!」
「!!」
ダボダボの萌え袖からメルトリリスの手を握る立希。そしてそのまま社交ダンスのような動きで一気に爆豪まで距離を詰めた。
「ワン!ツー!」
「ぐっ!!?」
予想外の息のあったステップ。立希が爆豪にメルトリリスの背を見せる様に回転。そしてメルトリリスから鋭い蹴りが爆豪を襲う。軽く爆豪は吹っ飛ぶがリングアウトにはならない。だが警戒するレベルだと気付く。その時立希がメルトと踊りながら言いこぼす
「いつだったか―マシュが全身全霊の『宝具』で姉や自分を守るために展開した時、彼女を支える為自分達は彼女の肩を掴んだ。するとマシュに魔力が注がれ、通常とは倍の威力が出され危機を乗り切った…そう…つまり自分が英霊と『触れながら』戦闘すれば魔力がよく循環し、より良い『ベストコンディション』が発揮される!!」
「見切れるかしら?」
立希が腕で視点が逆さまのメルトリリスの背をしっかり支えた決めポーズをさせる。
「ふざけてんじゃねぇぞ!!」
爆豪は『爆破』で空を飛び接近。二人を引き裂くように『爆破』を仕掛けた。
「スイッチ!」
「ええ!!」
「っ!?」
掛け声と共に二人は一度手を離す。爆破を回避しつつ、背中を軸に爆豪の左右を通りながらターンし、彼の背後でまた手を繋ぎ合流。
「うざってぇええ!!」
振り向き様に爆豪は大振りでの『爆破』。背後にいるメルトリリスと立希をぶっ飛ばすように力の限りを振るう。
「右の大振りぃ!!」
「!」
しかし、その攻撃は二人に掠ることなく通り過ぎた。しゃがみ込む立希、その上を跳んでいるメルトリリス。二人の間を通過するだけに終わってしまった爆豪の腕を見計らい、逆立ちの体勢で立希の背中に着地するメルトリリス。
「全く、ヒヤヒヤするわね…っ!」
「でも楽しいでしょ?」
『マジで踊りながら戦かってるぜ!息ピッタシだぁ!!』
『無駄の無い。息の合った動きだな』
これには実況・解説も感嘆した。
「trente(トラント)!」
「―ちぃ!!」
メルトリリスは立希の背中の上にて、腕を軸として体を回転。そして足に備わっている剣―『魔剣ジゼル』による斬撃を叩き込んだ。爆豪はそれに反応し後ろに下がる。ギリギリ、ジャージの上着が斬られる。
「まだまだ行くよ!」
「ああ、たまらないわ!」
「!」
立希、メルトリリスをフィギュアスケートでよくある投げ方でメルトリリスを爆豪の方へ高く投げる。メルトリリスはトリプルアクセルをするかのような回転で爆豪へ接近。膝に付いている棘で攻撃する。
「うぜぇ!!」
爆豪は回転してくるメルトリリスに向けて『爆破』をして防御。黒い煙が舞った。
「―自分で視野を狭めちゃだめでしょ?」
「っ!!」
爆豪は驚く。なぜなら煙の中から立希が現れたからだ
『ここで藤丸弟が前線!!マジかよ!!』
「バカが!!死ねぇ!」
しかし爆豪。思考を切り替えて『爆破』を立希に放つ。さっきより規模が大きい爆破だ。立希はそれを
「―~~~~っ!!!いっっっっだぃ゛!!」
モロに喰らう。実際は腕をクロスさせ防御はしたがジャージで防げるはずがなかった。裾は焼き焦げ、肌は大火傷で赤黒くなる。腕に襲う激痛。立希は少し涙を流し、唇をグッと噛んで我慢していた。
「(腕を捨てやがった!!何で―) 「ホント、馬鹿なマスター…私の為に攻撃の隙を作ってくれるなんて…」―そういう事かよ……っ!!」
何故無謀な事をしたのか疑問に思った爆豪だが直ぐに理解した。
「さっきのは……『大きめの爆破』……だったね………メルトリリス…『宝具』発動っ!」
両腕の激痛を食いしばって我慢しながら立希は後ろへ、メルトリリスはフィギュアスケートのように地面を蹴り前へ。お互いの位置を交換する。
「―そう、思う存分やっていいのね?」
メルトリリスが『宝具』を発動と同時、どこからともなく水が押し寄せ、スタジアムのフィールド全てを飲み込む。
『氷の次は水かよ!!爆豪大ピンチ!!!』
「っ!」
「(掌の汗腺から出る汗が『爆破』してるなら…メルトの水で流せば爆破は生じない!) それにさっきの『大規模爆破』で手を痛めてる……これが…自分の全力だ……っ!」
「―邪魔者には、そろそろご退場願おうかしら?ウッフフフ、アッハハハハ!之なるは五弦琵琶、全ての楽を飲み込む柱。消えなさい、『弁財天五弦琵琶 (サラスヴァティー・メルトアウト)』!」
爆豪を中心とし、メルトリリスは切り刻みながら大回転。そのまま上へ高く舞い踊り、渦型の水柱を形成した。
『黒い柱の次は水の柱ぁああ!!塩崎同様!!爆豪吹っ飛ばされたかぁーーー!?!?』
side立希
「はぁ…はぁ……加減は…してるよね?」
「当然。ホントはトドメの一撃で蹴り入れたかったけど……今回は渦だけにしといたわ」
「よかった…いだだ…」
我ながら無茶をした。両腕の火傷はリカバリーガールに治してもらおう…
「これで終わり?出直し―「まだ終わってねぇぞ!!痴女野郎!!」―なっ!!?」
試合終了…かと思った。
「マジか……っ!」
『爆豪生きてたぁああーー!!!』
「いつ俺が『攻撃出来ねぇ』つったんだぁ!!?」
上を見れば、空中にて、痛む体を叱咤して爆豪君は勢いと回転をつけ、大技に向けて準備していた。
「痴女野郎の回転……利用してやらぁああ!!!」
「っ!」
メルトは自分の盾になろうと前へ移動したが……それは自分が止めさせた
「―お疲れ、メルト」
「マスター!?アンタ何す―」
「『榴弾砲・着弾(ハウザーインパクト)』ォオオ!!!」
メルトに着弾するよりも早く、自分はメルトを返す。あの大技をくらったら彼女は大怪我を負う。いや、スキルを使えば回避は出来る。けど自分は出来ない。結局は詰みだ。まぁ色々と理由は考えるけど…一番の理由としては…
「…目の前で家族が大怪我する瞬間は見たくないんだよね―」
そんな独り言は、爆豪君の大技によって掻き消される。衝撃と轟音…そして魔力消費と疲労が襲い掛かった。
side立香
「あーあ…メルトリリス…絶対怒ってるなー…」
『藤丸君!行動不能!!爆豪君の勝ち!!』
―ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!―
試合終了。観客が大いに沸く。戦った二人に拍手喝采だ。
『逆転の勝利ぃいい!!!お前ら見たかよ!!爆豪の大技をよぉ!!!ビクトリーィイイ!!!』
「結果的に爆豪が勝ったけどよー立希もよく頑張ったよなー」
「うんうん!まさか踊って戦うなんて意外すぎるよ!」
切島君、三奈ちゃんはさっきの試合について興奮気味に話している。
「立香ちゃんも出来るん?」
「そもそもしないよ。あんな事」
麗日ちゃんと話しつつ、私は弟を見る。見事に場外に吹っ飛び、倒れていた。そして気絶してる弟の胸倉をつかんで叫ぶ爆豪君
「てんめっ!モブ野郎!!何痴女野郎消しやがった!!ナメてんのかぁ!?あ゛ぁ!?」
「ストップ!それ以上の追い打ちは禁止よ!!」
『おいおい爆豪まさかの不完全燃焼なのか!?藤丸弟に鞭を打つぅうう!!』
『何してんだアイツ』
結局、ミッドナイトとセメントスの二人に止められ、立希は医務室に搬送された。
「…ま、お疲れ。頑張ったんじゃない?」
side三人称
決勝戦。轟対爆豪。試合開幕と同時に轟は大氷結。しかし爆豪は氷壁に穴を掘って突破。その後爆豪は轟に近づいてぶん投げ、轟は場外に出るのを防ぐ。そして爆豪は轟に対して『左』を使わせようと行動にでるが、轟はまだ考えがまとまっておらず、『左』を使うのを拒んでしまう。そこで爆豪は奮い立たせる。
「てめぇ虚仮にすんのも大概にしろよ!俺が取んのは完膚なきまでの1位なんだよ!」
「―っ」
「何でここに立っとんだクソが!!!」
そう叫び、爆豪は跳ぶ。そして立香戦で見せた大技。『榴弾砲着弾 (ハウザーインパクト)』を撃ち放つ。轟は自分の今までの事を思い返す。
「負けるな頑張れ!!」
その時、緑谷の大声を聞くと同時に轟は一瞬炎を纏わせる……が、やはり、気持ちが不安定なため、炎を消し、爆豪の大技を喰らって場外に吹っ飛んだ。
「……は?―は!?ふっざけんなよ!!こんなの!こんっ…」
納得のいかない爆豪。轟の胸倉をつかんで不満をぶつけようとしたが、ミッドナイトの”個性”によって意識を無くした。
『轟君!場外!よって!以上で全ての競技が終了!!今年度雄英体育祭1年優勝は……A組!爆豪勝己!!!』
side立希
「いやはや…目が覚めたらもう決勝終わっててマジびっくりだ。はっはっは」
「そだね。そしてなんやかんやあったけど私らベスト4だよ。かなり良い線いったよね」
目が覚めたら知らない天井で、寝ている間に両腕の怪我が治っていた。リカバリーガールに感謝。今は姉と互いを称え合っていた。
『それではこれより!!表彰式に移ります!』
「何アレ…」
「起きてからずっと暴れてんだと、しっかしまー」
「ん゛んーーーー!!!!!」
「………………」
「「イエーイ」」
表彰台1位の座に拘束された爆豪君。2位の座には静かに立つ轟君。そして3位の座に自分と姉が立つのだった。というか爆豪君めっちゃこっわ。常闇君の「悪鬼羅刹…」という呟きが聞こえた。言い得て妙
「(よく相手出来たなぁ…)」
『メダル授与よ!!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!』
「私が!!メダルを持って『我らがヒーロー!オールマイトォ!!』来たぁ!!」
「被った…」
「うわぁ…」
悔しそうなオールマイトにミッドナイトは手を合わせて謝罪していた。そしていよいよメダル授与だ。
「おめでとう!藤丸少年!藤丸少女!姉弟そろってのベスト4だ!」
「「ありがとうございます。」」
№1ヒーローにメダルを授与されるのは感動ものだ。嬉しいと感じる。
「藤丸少女。君は個性に頼りきっている部分が見られたな。次はそれを補うよう頑張ってくれたまえ!」
「あ、アハハ…善処します」
「藤丸少年は、自分から率先して動いていたのはよかったが……共に戦ってくれた召喚者達の気持ちを考えてやって欲しい。彼ら彼女らの行動は、君を信頼しての行動だったからな!」
「ええ…そうですね…」
とまぁオールマイトからの講評。帰ったら謝ろう。轟君と爆豪君も自分と姉みたいに称賛されてメダルを授与され、軽く評価を言われ、授与式が終わった。
「しかし皆さん!!この場の誰にもここに立つ可能性はあった!!ご覧いただいた通りだ!競い!高め合い!さらに先へと登っていくその姿!!時代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!てな感じで最後に一言!!」
オールマイトは高らかに腕を上げ、指を立てる。
「皆さんご唱和下さい!!せーの!」
『プルスウ「おつかれさまでした!!!」え!?』
「え?」
「そこはプルスウルトラでしょオールマイト!!」
「ああいや…疲れたろうなと思って……」
ブーイングが響く中、体育祭が終了した。
その夜。今日の体育祭のVTRを背景にし、盛大なパーティーをカルデアで行った。皆が自分と姉を祝福して、自分と姉は今日呼んだ英霊達に謝罪と感謝をしたのだった。