僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order 作:小野屋陽一
side立希
「―っ!!」
「ようやくお目覚めですね、マスター」
「玉藻………」
目が覚める。森の中じゃない。そこは病室。自分の片腕には点滴が打たれ、自分が寝ているベッドの隣に、玉藻が座っていた。一瞬呆けた。が、直ぐに何があったのか思い出す。
「―そうだ!皆林間合宿は!?皆は!!?姉は!?!?「落ち着いてくださいっ!」ヘブッ!?」
取り乱してしまい、玉藻に札で叩かれた。
「しっかり全部お話いたします。相澤という人物からマスターが寝ている二日間。何があったかを―」
「っ―」
完全敗北。玉藻の話を聞いて感じた。林間合宿場で起きた事件。生徒42名の内、敵の攻撃によって意識不明の重体16名。重・軽症者11名。無傷で住んだのは13名無傷ですんだのは13名。そして―
「―行方不明2名……マスターのクラスメイトの一人、爆豪勝己…そしてマスターのお姉さん。藤丸立香 」
「―っ!」
プロヒーローからも6名のうち1名が重体。もう1名が行方不明となっていた。敵側は3名の現行犯逮捕。他は跡形もなく姿を消した。そして、今自分達がいる病院は合宿所近くの病院に運ばれた…との事。
「―以上です。」
「……くそっ……くそっ!くそっ!くそぉお!!」
玉藻の報告を聞いた自分。悔しい。自分がこんなにも弱くて悲しくなる。何がヒーローだ。何がマスターだ。家族を守れなくて何が…っ何がっ……
「…はっ………はっ…………はぁー…………「落ち着きましたか?」…まさか……全然落ち着いてない…でもこの悔しさは取っておくよ…姉を…大事な家族に手ぇ出したあの野郎に…っ」
最後に見た…姉を連れ去ったペストマスクを付けた黒コート。名前は…束…
「一発…いや泣くまで殴る…っ!……色々ありがとう玉藻…そっちは大丈夫だった?」
「ハイ♪この玉藻、マスターの頼みとあらば即ミコッと参上♪ですが…そろそろお暇しても?流石に二日もマスターの看病はそろそろ魔力が尽きてきている私にとってはキツいですぅ…」
そう言って尻尾と耳をしょぼんとさせた。
「あー…それは本当にごめんなさい。後でお礼にお稲荷作ってあげるから」
「なんと!!それはまことに…まことに楽しみですわ!!あ、そうそう。あのドクターが一度来てました。そこの机にお見舞い品置いて行ったので『美味しく食べてげんきになって』との事です」
「ロマニが?そっか…うん。元気になって姉を助けるよ!…カルデアはどうなってる?」
「ドクターが言うには…マスターのお姉さんと契約している者達が荒れに荒れてるとの事です…はい。」
「(あぁー……やっぱそうなるかぁー…早いとこ何とかしないと…!)ん。何とかするよ」
「では―」
玉藻を返し、病室が静かになる…一先ず、英気を養おう。お見舞い品の果物食べようかな?
「そういや…自分の腹どうなったんだ?」
銃弾で撃ち抜かれた。しかも2発。よく生きてたな…自分…やっぱり鍛えた効果?気になって病院服を剥いで見ると…
「うわー…跡残ってる…痛々しい…」
腹部に綺麗に銃弾の跡が二つ。玉藻のスキルで回復したけどやっぱ応急処置だったから少し残ってる…まぁ生きてるならいいや。
「立希いるー?って寝てるから挨拶がかえってくるわけ―」
「―へ?」
「―え?」
ドアがいきなり開いた。そこには芦戸さん。で、お互い固まったそれもそうだ。だって今自分は…
「き、きゃあああああ!!?」
「うわぁあああああ!!?」
病院服剥いでほぼ半裸だったから。
「えっと…汚いものを見せて申し訳ありません…」
「い、いやいや!?だ、大丈夫!というか私が勝手に入っちゃったから!!え、えと…い、いい体だったよ!?」
お互い顔を赤くして変に意識してしまう。こちとら異性に裸見られたの姉ぐらいだぞ!?ってああもう思考が…
「え、えと……今何が、どうなっているかは玉藻から聞いたよ……」
「えっと…あの狐の女性だよね?ずっと立希が目を覚ますまでその場から一歩も動かなかったよ。」
「(ホント…感謝と謝罪だなぁ…) うん。家族に迷惑かけた………皆はどう?」
「響香と葉隠はまだ意識戻ってない…緑谷とヤオモモは重症でここに入院してる…残りのメンバーは大丈夫……爆豪と…立香ちゃん以外は…」
二人の名前を出すと、芦戸さんは段々と顔を俯く…
「…そっか……うん…それでも皆無事でよかった…「よくないよ!」み、三奈さん?」
いきなり大声を出す三奈さん。彼女の眼からポロポロと雫が落ちていた
「ヤオモモ…緑谷…響香…葉隠……それに立希……ずっと目が覚めないで…死んだんじゃないかって思ったんだよ!?さっき緑谷が意識もどって、立希も戻って少しは安心出来たよ!!でも……爆豪や立香ちゃんが…行方不明って……こんなの……全然よくないよ……っ!」
「…ごめん…「…部屋、入っていいか?」!焦凍君…」
三奈さんの言う通りに、何も言えなくなっていた時、焦凍君が来た
「芦戸の声が廊下まで聞こえたから、お前が目ェ覚めたってわかったから来た。」
「轟ぃ……」
焦凍君はゆっくり自分のベッドの隣に来た。そして…
「すまねぇ…お前の姉を……立香を救えなかった……託されたのに……本当にすまねぇ…」
「っ!」
深く、頭をさげ、自分に謝罪してきた。
「……うん。許せない。」
「…」
焦凍君は俯いたままだった。確かに自分は信じて、託した。でもダメだった。けどこればかりは仕方が無い。彼を責めても姉が戻ってくるわけじゃない。だから…
「ちょ…立希それは言い過ぎ―「だから。もう一回言う」―え?」
「立希…?」
「自分の大事な家族を…姉を―『助けよう』」
自分はもう一度、託す。何となくだけど、姉を助けるには焦凍君の力が必要だと感じた。
「…ああ。絶対に、立香を助ける。」
覚悟の決まった顔をする焦凍君。自分はその顔をみて納得した。それから自分は三奈さんを見て、深く頭を下げる。
「三奈さん。心配をかけてごめん。そしてありがとう。こんな自分を心配してくれて」
「っ…うん!どーいたしまして!!今度こんな無理したら酸で纏った拳でぶん殴るからね!!」
「そ、それは勘弁してほしいかなぁ…あはは」
少し雰囲気が軽くなった時
「おー!立希!!目が覚めたんだな!!よかったぜぇ!!」
「あ、鋭児郎君。心配かけてごめんね」
今度は鋭児郎君が来た。元気そうで何より。
「気にすんな!緑谷も目ェ覚めたし!このまま皆元気になってくれればいいもんだぜ!!……で、話変わるんだけどよぉ…立希…お前の姉の事なんだけど」
「…うん」
「…まさか切島…」
「…………」
二人の反応。何かあるのだろうか?
「爆豪とおんなじなだけどよぉ…お前の姉を…立香を助ける方法があるんだ」
自分は鋭児郎君の話を聞く…
「―全く…鋭児郎君らしいなぁ…」
夜。既に入館時刻は過ぎている。自分はお見舞いに来た鋭児郎君の話を思い出していた。鋭児郎君が自分に言って来た提案―『爆豪・藤丸救出作戦』。林間合宿時、八百万さんが敵の脳無に『発信機』を取り付け、その発信元をヒーローと警察に届けていたところを偶然鋭児郎君は見たと言った。そこで、八百万さんに『発信機』にもう一台『創造』してもらい、自分達が救出しに行く。という事だった。
―俺は行く。今度こそ、お前との約束守る―
―まだ手は届くんだよ!―
焦凍君と鋭児郎君は行くと決めていた。この事は緑谷君たちにも話し、飯田君や他の皆は反対し、すこしもめたらしい。
「(多分緑谷君も行くんだろうなぁ…そして自分はどうするか…) 今晩、病院の前…」
行くのなら今晩。病院前で集まる。行かないならここに残る。
「姉を救出できる可能性があるなら、行くべき…だけど…それは―」
合理的じゃない。相澤先生ならそう言うはずだ。戦闘許可はとっくに解除されている。それに、『ルールを破る』これは敵と同じなんだ。
「………」
三奈さんの泣いた顔が鮮明に浮かび上がる。心配してくれる人もいる。そう簡単に動けるわけが………
「……………」
…こういう時、姉がいれば簡単なんだ。姉はすごい。自分はすぐ色々と考えて纏まらない。でも姉はスパッと決めて、後は真っ直ぐ……まぁ途中で止めたりするけど。でもその決断力はスゴイ。うん……
「……………馬鹿か自分は…何ウダウダ考えてるんだよ……!」
自分は勢いよくベッドから起き上がる。
side三人称
「―んん…「目が覚めたか。藤丸姉」…っ!!ここ…は…」
「よおこそ俺の『実験場』へ!歓迎…しなくてもいいな!ハハハ!」
「…っ」
何処にあるのか分からない地下の研究所。そこにはペストマスクを付けた黒いコートを来た男性―束。そして…手錠で拘束され、吊るされている女性―立香がいた
side立香
「『バーサーカー』!!」
目が覚めると私は直ぐに“個性”を使う。拘束して動きを封じられていようが『英霊召喚』すれば関係ない。ペンテシレイアさんを出してここを切り抜け―
「無駄だよ、藤丸姉。それは既に『対処済み』だぜ」
「!?な、何で!?『バーサーカー』!『ライダー』!『フォーリナー』!!」
何度も呼んだ。私が呼びだしたい英霊を思い浮かべて何度も何度も……けど誰も来なかった。空しく、私の声がこだまする。
「嘘……“個性”が…『使えない』!?」
「最近、裏で出回り始めた『薬』があってなぁ~面白い効力だぜ?なんせ今の藤丸姉の状態―『個性を使えなく』するんだぜぇ~?これは金になる」
「!?」
白い粉が入った小瓶を私に見せつけてくる。
「つっても出回ってるのは『しばらく”個性”が使えなくなる』方で、お前に投与したのは俺が個性で改良…改悪した独自の『薬』だけどな。ま、ここに『血清』はあるし、二度と使えなくなるわけじゃない。けど今はどうでもいいよな。なんせ、お前はこれから俺の『実験体』となるからなぁ!!ハハハハハ!!!」
「っ」
不安。焦り。恐怖。鼓動が速くなって、呼吸も荒くなる。こんなにも怖いと感じたのはいつぶりなんだろうか…
「(落ち着いて…まだ…まだ策はあるんだから……っ) 何で…私を攫ったの?理由ぐらい話してよ」
「んーーーーー…まぁ、いいか。どうせこれからお前は『魔神柱』になるからな!個性が使えない奴なんてただの『雑魚』でそこらにいる奴らとなんら変わんねぇ―『統制のとれないクズ。吐き気がとまらない』ぜ」
―どいつもこいつも統制のとれないクズばかりで吐き気がとまらないな―
「―!?」
既視感。彼の言った言葉。以前聞いたセリフと似ていた。そう、あの男と…あの悪魔にっ!
「その言葉…」
「ん?……ああ、やっぱり、お前…いや、『お前ら』にとっては『懐かしい』んじゃねぇか?くくく…」
そう言って彼はペストマスクを外した。彼の顔を見て、私は絶句した。
「なんで…嘘……」
「んーこういう時、何ていうんだ?久しぶり?って奴か?まぁ、俺自身は初対面なんだが…なぁ、藤丸立香」
にこやかに、そして物腰柔らかな顔で言って来た。その顔に私は見覚えがあった。覚えてないはずがない。忘れたくても忘れられないんだから。私は震える口を何とか抑えながら、言う。その人物の名を―
「『レフ・ライノール』…っ!」