僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order 作:小野屋陽一
side立希
自分達が集まった場所は、細身の長身にメガネの男性―プロヒーローの『サー・ナイトアイ』の事務所だった。
「先生!」
「先生が何故ここに?」
「急に声かけられてな…藤丸姉も来たか」
「はい。」
姉は相澤先生の元に、緑谷君はミリオ先輩の元に、切島君は環先輩の元に、麗日さんと梅雨さんは波動先輩の元へ行く。自分はゴールドさんの元に行き、鋭児郎君の隣に座る。
「鋭児郎君、これどういう状況?」
「いや俺もわかんねー。ハッサイ?」
「くわしい事はこれから話すから大丈夫や。それに、十分関係してくるで。」
鋭児郎君のインターンを担当してる縦にも横にも大きい巨漢、プロヒーローの『ファットガム』がそう教えてくれた。取り敢えず話を聞く事にしよう。それで姉や自分らが呼ばれた理由も分かるはず。
「えーそれでは始めてまいります。」
会議室に移動した自分達は、緑谷君のインターン担当している事務所のサイドキックさんが今回の件を話してくる。内容は『死穢八斎會』というヤクザが敵連合と会合していた事から始まり、そしてそのヤクザがここ一年で裏稼業団体と接触が多く、組織の拡大・金集の動きが大きい事が話された。
「えーこのような過程があり!『HN』で皆さんに協力を求めたわけで―」
「…?ゴールドさん。HNってなんです?」
「『ヒーローネットニュース』の略称だよ。プロ免許持った人だけが使えるネットサービス。全国のヒーローの活動報告が見れたり便利な“個性”のヒーローに協力を申請したりできるのさ。これで今回の件に呼ばれたのさ」
捕捉されながら説明を聞く。
「…で、さっさと本題の“企み”について語ろうぜ」
「ぬかせこの二人はスーパー重要参考人やぞ!」
「「!」」
いきなりファットガムが立ち上がって鋭児郎君と環先輩を示す。
「それだったら藤丸姉弟も参考人だよ」
「「え?」」
ゴールドさんも自分と姉を示して来た。話は続く。八斎會は認可されてない『薬物』の捌きをしている疑いがあった。その薬は…『個性を壊す』効果があった。
「個性を壊す……って姉!」
「っ…うん…あいつに私が摂取された薬と同じ…」
『神野区の悪夢』。爆豪君と姉が誘拐されて、オールマイトと敵連合が激戦を起こした事件。それで姉が呼ばれたのか。どうやら先日環先輩もその薬を打ちこまれたらしく…でも今は個性が扱えていると環先輩は言った。
「俺の『抹消』とはちょっと違うみたいですね。俺は“個性”を攻撃しているわけじゃないので」
『抹消』の個性を持つ相澤先生の話によると、『個性因子』という人体に含まれている因子を一時停止させていると語った。
「環が撃たれた直後、病院で診てもらったら個性因子が『傷ついとったんや』。今は自然治癒で元通りやけど」
そして、鋭児郎君のデビュー戦でその薬が手に入ったという事だった。
「因みに、藤丸君のデビュー戦でもその薬が手に入ったんだ。最後殴りかかって来たあの敵が所持してたよ。」
「そうだったんですか!?」
衝撃の事実に大声を上げてしまった…
「切島君と藤丸君のお手柄や」
「カッコイイわ」
ファッガムがその薬について話し、その薬の中身は…『人の血、細胞が入ってあった』と言う
「っ…!?」
その違法薬物の流通経路の中間売買組織の一つに『八斎會』と交流があり、そして麗日さん、梅雨さんのデビュー戦で退治した敵グループの片方がその中間売買組織の元締めだったとの事。
「成程…最近多発している組織的犯行の多くが八斎會につながると…しかしこじつけにも考えられる。決定的な『証拠』はあるので?」
ゴールドさんが質問した。するとサー・ナイトアイが答えた。若頭の個性は『オーバーホール』。対象の分解・修復が出来る事。そして…その若頭に『娘』がいる事
「「っ!?」」
自分、そして姉も気付き、顔を青くする。悍ましい事に…
「立希?顔を青くしてどうしたんだよ?」
「立香ちゃん。顔色が悪いわ」
プロヒーロー、『ロックロック』がため息を吐きながら言う。
「…その姉弟は分かったようだな…つまり『娘の身体を媒体として捌いている』って事だ」
『!?』
全員が驚愕。その娘はミリオ先輩と緑谷君と接触していたらしい。二人を見ると悔しそうに顔を伏せていた。
「―今回の事件の解決は…その娘の居場所を特定・保護!可能な限り確度を高め早期解決を目指します!ご協力よろしくお願いします。」
side立香
「―通夜でもしてんのか」
「先生」
会議が終わった私達は、緑谷君とミリオ先輩に若頭の娘―『エリ』について教えてもらう。もしその時点で娘を保護していたら……すごく悔しい気持ちが私にもわかった。そんな暗い雰囲気の中、先生が来た
「あ、学外ではイレイザーヘッドで通せ。いやぁしかし…今日は君達のインターン中止を提言する予定だったんだがなぁ…」
『!!』
相澤先生はそのまま話を続ける。
「連合が関わってくる可能性があると聞かされたろ。話は変わってくる。そして藤丸姉は参加無理だ。元々インターンしてないしな」
「あ、そうですね…それじゃあ私、話聞かない方がよかったのでは?」
「…一応、重要参考人だったからな。『どうして個性が使えなくなったか』…その原因は分かっただろ?」
「…そうですね。」
「藤丸姉の証言でその薬のルートが絞れ、やっとここまで事が動いた…」
そして相澤先生は緑谷君に娘さんと共に救おうと励ます。
「…とは言ってもプロ同等かそれ以上の実力を持つビッグ3はともかく、蛙吹、麗日、切島、藤丸弟。お前たちは自分の意志でここにいるわけでもない。どうしたい?お前たちの役割は薄いと思う」
「…私は!あんな話聞かされてもうやめときましょうとはいきません!」
「先生がダメと言わないなら…お力添えさせてほしいわ」
「俺らの力が少しでもその子の為になるんなら!!」
麗日ちゃん、梅雨ちゃん、切島君は参加する意思を示す。そして立希は…
「自分は……参加します。役割が少なくても…それで人々が救われるなら…っ!」
「…意思確認をしたかった。分かってるならいい。」
参加する意思を示した。私は残念だけど参加は出来ない…なら、私が出来る事をする。取り敢えずは…立希をサポートする事にしよう。
side立希
若頭の娘さん…エリちゃんの居場所が特定できるまでの間、自分達は待機となった。そしてインターンに関しては一切の口外を禁止された。緑谷君、鋭児郎君、麗日さん、梅雨さん。そして自分が作戦メンバーに入る。
「インターン組動きがきれてる」
「外で何か掴みやがったんだ…コラオイ何を掴んだ言え!!」
「わりー言えねー!」
待機している間、自分達は特訓し、鍛える。そして自分は今―
「ぐっ……はぁ…はぁ…」
「…………ふぅ」
当然、姉と特訓中だ。姉は今ペンテシレイアさんと憑依し、自分はマシュと憑依している。バーサーカーの強力な打撃に撃ち負け膝をついてしまう…
「ほらほら、どうしたの?そんなんじゃ助けられないよ」
「分かってるよ……『投影-」
それからずっと姉と模擬戦をした…が、どうにも戦績が悪い。色々と攻撃パターンを変え、手数で姉を攻撃するが、姉はあっさり返してくる。
「―『降霊:殺生院キアラ』」
「うわっ!?」
この勝負も姉の勝ちだ。白い手に足を掴まれ宙ぶらりん状態になる。
「うーん…はっきり言って攻撃が軽い。そっちは私より英霊と憑依できて攻撃手段は手広いけど…広すぎてここって時の攻撃が少ないね」
「…なら憑依する英霊を絞ったほうがいいの?」
「そういう問題じゃないよ。寧ろ攻撃手段は多いほうがいい。」
逆さまに吊るされた状態で姉から助言を貰う。頭に血が上ってそろそろ痛いんだけど……
「じゃあ…どうすれば……」
「…『投影』も『降霊』も憑依する条件は『英霊達との絆が高い』と憑依できる…シンクロすれば英霊の身体能力が少し付与される…これが強みだよ。」
「う、うーん…わからん…」
姉が自分に何を伝えたいのかいまいちピンと来なく、訓練が終わった。
「(今回の姉との勝率は3割…色々考えて戦ったけど全然効果なかった…このままインターンに参加してもいいのか…)」
「―い!おい!立希!箸止まってんぞ!」
「うぇ!?あ、鋭児郎君。」
昼食を食べてたけど、考えすぎて食べるのを忘れていた。少し心配そうな顔付きで鋭児郎君がやって来た。
「…インターンの事か?」
「…まぁね…今の自分は力になれるかなぁって。さっきの体育授業で姉と模擬戦して全然勝てなかったし…まずいかなぁ…って」
「おいおい…男らしくねぇぞ立希!何始まる前から弱気になってるんだよ!」
そう言いて喝を入れてもらう。自分は苦笑しながら答える
「まぁーこういう性格だしねぇ…ホラ、『石橋を叩いて渡る』…っていうけど自分は叩き過ぎて結局渡らないんだよ。」
「慎重になり過ぎだぜ!?男なら石橋なんて叩かないでそのまま渡っちまえ!」
「橋が折れて落ちたら?「それでも進め!」石橋関係無くなった…」
少し暗い空気が変わった。そのまま談笑してると
「何々ー?何の話をしてるのー?」
「石橋がどうしたのー?」
三奈と葉隠さんが昼食を持ってやって来た。
「あー、諺でな『石橋を叩いて渡る』ってあるじゃねぇか。立希はそれを『石橋を叩いて渡らない』って言うんだよ。」
「慎重過ぎない!?」
「そして結局渡らないんだね…」
ジト目で視られた。もう苦笑するしかない…
「アハハ…二人だったらどうする?」
「んー…『石橋を溶かして新しい橋を作る』!」
と、三奈
「『石橋を叩いて渡って皆に教える』!」
と、葉隠さん…何か意味がめちゃくちゃになって来た…皆の性格がよく分かる…
「切島は?」
「『石橋を渡る』!折れても渡り切るぜ!」
「切島君らしいね!『叩かない』って所が!」
そこから色々と諺を自分の好きなように言い換えて盛り上がった。気付けば昼休みが終わった。
「立希、色々と考えるのはいいけどよ、考えすぎて動けなかったら、結局は何も出来ないんだぜ?」
「鋭児郎君…」
「俺はこのインターンでする事は1つだけだ。『守る』事だ!ヒーローや先輩達の力になって!そんでエリちゃんを保護する!そんだけだ!」
拳と拳をぶつけ、そう宣言する。少し、スッキリする自分がいた。
「…うん。そうだね。皆を守る…それがヒーローだね」
「おうよ!」
それから2日後の深夜…スマホに連絡が入る。
「遂に…来た―」
―決行日