僕のヒーローアカデミア×Fate Grand Order 作:小野屋陽一
side立希
コンテスト開始10分前…ステージ裏に自分含め、姉、焦凍君、三奈と待機する。
「はぁ~~~~~~~~…………(人生で二回も女装するなんて…)」
「立希、似合ってるぞ」
こんな事で褒められても嬉しくない…自分は焦凍君を見る
「嬉しくないです。というかこれはステージイベントだよ?大衆の目にさらされるんだよ?焦凍君はいいの?」
「ああ、特に問題ない。それにこういうのは楽しんだほうがいいんじゃねぇか?」
最初の頃とは雰囲気が大分違う焦凍君に自分は内心驚いた。
「丸くなりましたねぇ…”初期ろき”君は何処へ…」
「?」
「ププ…大丈夫だから立希…クスッ…似合ってるから…」
「さっきから笑いを我慢してるようで漏らしてる姉に言われても説得なんて無い……」
「ほらほら!しゃきっとしてよ立希!」
「三奈…」
「あ、ステージで何か話す時は地声じゃなくて女子っぽい声で話して♪あと王様か姫様っぽい人召喚してよ!」
「…ア、ハイ」
味方は誰一人いなかった…
side立香
「あれあれー?もしかしてA組もコンテストに出るの?意外だなぁー!」
B組の物間君が来た。彼もこのコンテストに出場するのか着流しを着ていた。
「君たちが出るなんて話聞いたことなかったけど、グランプリを取るのは勿論僕たちB組さ!なにせウチには拳藤がいるからね!ミスコンでは“動”の美しさを、そしてこちらでは“静”の美しさを見せつけるのさ!僕のエスコートもあるから完璧だよ!」
「負けないぞー!」
私と焦凍君と少し離れた所で物間君は芦戸ちゃんと立希に話かけていた…というか立希の姿を見て嘲笑してるし…
「おやぁ?もしかして君、藤丸弟君かい?ははは意外だなぁ!君がまさかそんな姿を大衆に晒す日が来るなんて!」
「…………」
立希は…さっきから真顔で物間君を眺めて……
「―あ、これヤバイ」
「どうした立香?」
「ウチの弟…キレそう…」
「…そうなのか?そうに見えないが……」
「普段怒らない人って…いざ怒ると結構怖いよ…うん」
普段の弟は怒らない。何があっても『自分が悪い』と決めて直ぐに謝罪して、怒りなんて知らないような奴…けど…本当に怒らせると何するか分からない……
「ひょっとして女装が趣味とかだったりする?藤丸弟君が可愛らしいメイド姿なんて滑稽「当て身」ガハッ」
「「!!」」
と、物間の首筋に綺麗に手刀を決める人物、拳藤さんがやって来た。物間君が着流しなこともあり、こちらも華やかな着物姿だった。
「ごめんな、こいつ心がアレで。藤丸弟も気にしないでくれ。」
「……うん。分かりました。」
立希は笑顔で対応した。
「じゃあ、そろそろ開始時間だから私らもそろそろスタンバイするわ。お互い頑張ろうな」
「ええ、お互い頑張りましょう。」
そうして拳道さんは物間君を担いで去って行くのだった…
「立希どうしたの?急に丁寧口調になって…」
「…何でもないですよ。三奈、ちょっとした練習です。ステージでアピールしないといけないので…」
「おお~~何か瀟洒なメイドさんみたい!じゃあ私も…コホン、皆さん、どうぞよろしくお願いいたします…うーん何かもどかしいかも…」
拳藤さんが来てくれたおかげで事が起こらずにすんだ…立希は怒ると丁寧口調になるから…一歩手前だった。
「…物間君に何しようとしたの?」
「…別に何もしませんよ。ただまぁ……いつか仕返しはしたいかなぁと思いましてねぇ…」
「(あ、コイツ根に持つタイプだ…)」
「それよりも、姉も何をするのか焦凍君と相談したほうがいいんじゃないので?お互い頑張りましょう」
「…そうだね。」
「ああ」
side三人称
『それでは皆様、お待ちかね!「雄英カップルコンテスト(笑)」開始いたします!!それでは早速いっちゃいましょう、一組目―…!』
観客席には多くの生徒たちが見に来ている。歓声を上げる者、スマホで撮影する者、声援を掛ける者、皆大いに楽しんでいる様子だ。勿論A組の面々も自分たちのクラスメイトの出番をまだかまだかと待ち構えていた。ステージはミスコンの時と一緒の物で、ランウェイを歩き一番前の広いスペースでちょっとしたアピールをするというものだ。B組の物間、拳藤ペアは着物に合わせてゆったりとした動作で観客を魅了する。他にもチャイナペアや、男女で制服を入れ替えたペア、アラビアン衣装のペア、ウィッグを被る者など様々だ。
『―さぁー!次のペアは男女!しかし服装は逆!!1年A組!藤丸立希&芦戸三奈ペア!!』
「藤丸弟ー!」
「芦戸ー!」
A組の仲間からも声援が飛ぶ。と、同時に立希と芦戸が現れる―が、二人の前にもう一人、現れる
「―散歩の途中なのですが……」
その女性―ルーラー、『アルトリア・ペンドラゴン(水着)』。バニー姿をベースにスカートやグリーブ。背中には後光のようにビットが飛び回る。アルトリアは日傘を差し、ゆったりと皆に魅せながらランウェイを歩く。アルトリアの後ろに続く様に立希と三奈が現れる。
「おおお…こ、神々しい…」
「執事も様になってんなー…」
「…え、アレ男子!?完全に見た目女子だろ……」
観客全員がざわついた。司会はハッと我に返り、解説をする
『え、えーと!?あ、あの神々しい女性は藤丸立希さんの“個性”で召喚された人物!司会の私含め、多くの観客を魅せてきます!これは…言葉が見つかりません…っ』
ランウェイを渡りきると、3人は優雅にお辞儀をする。その姿に皆感嘆した。
「アフタヌーンティーの時間です」
「かしこまりました」
「こちら、ゴールドゴールドティップスインペリアルでございます。」
アピールタイム。アルトリアが立希と芦戸に言うと、二人は了承し、立希は観客に魅せるように紅茶をポットからカップに注ぎ、それを芦戸がアルトリアに渡し、それをアルトリアは飲む。
「ええ…これは中々美味しいですね…腕を上げましたね。」
「「ありがとうございます。」」
「フフ…では、散歩に戻るとしましょうか」
そう言ってステージ裏へと戻る3人。全員静かにそれを見送った。また呆けてしまった司会がまた我に返る。
『―は!な、なんという従者二人と主の一部始終!!本物の貴族を見た気分でしたー!!』
side立香
「(成程…アルトリアに注目させて少しでも自身の女装を見せないようにした…) でも様になってるなぁ…」
「そろそろ、出番だぞ」
「あ、うん。でもパフォーマンスどうすればいいかな?私も誰か呼ぶ?」
「…いや、呼ばなくていい……ここは俺に任せてくれ」
「(何か考えがあるのかな…?) …うん。分かった。」
そろそろ時間だ。
「それじゃあ、エスコートお願いします」
「ああ」
side三人称
『―お次も1年A組!男女カップル!轟焦凍&藤丸立香ペア!』
二人がステージに躍り出る。轟と立香は手を繋ぎランウェイを歩く。さながらお姫様をエスコートする王子様という様子だ。
「轟だ!」
「きゃー!」
「おー…あの女子綺麗だな!」
「いいなぁ~」
様々な声が飛び交う。二人はランウェイを歩きながら観客達に手を振る。
「(なんとかなるとは言ったけど、どうすんだろ?とりあえずお姫様っぽくはしてるけど……)」
笑みを浮かべながらも内心不安になる立香。そしてあっという間にランウェイを歩き切り、一番前へ来る二人。その時、轟が立香のほうに体の向きを変え、跪き、そして繋いでいた立香の手にそっと唇を落とす。
「……………ぇ?」
『きゃーーーーーーーーーー!?!?!?』
女子の黄色い声援が響く。実を言うと轟は王子様というものをあまり知らない。小さい頃読んだ童話やちょっとだけ見たアニメのものは知っているがそもそも男子なので興味がなかった。故に自身が持ちうる限りの知識やイメージを総動員した結果がこれだったのだ。
「………立香。少し、我慢してくれ」
「……………へ?」
すべて良かれと思ってやっている。まさに天然王子。そんなことは知らない立香。何が起こったのかいまだに脳が処理出来てない時、更に轟は行動を移す。
『きゃーーーーーーーーーー!!!!!』
『おおおおお!!!!』
なんとそのまま立香を抱き上げたのだ。そう、お姫様抱っこで。
「―(くぁwせdrftgyふじこlp)!?!?!?」
もはや会場は阿鼻叫喚だった。驚きの声、黄色い声、冷やかしの声……そして立香もようやく何が起きたのか理解すると同時に内心叫び散らかす。
『なんとここでキス&プリンセス・ホールド!会場も温まって参りました!』
「掴まってろ」
「…はぃ……」
バランスを取るために立香も轟の肩に手を回す。そのままランウェイを戻り、ステージ裏にはける二人であった……
コンテストの結果は―優勝せずとも、藤丸立希&芦戸三奈ペアは『ユニーク賞』。そして轟焦凍&藤丸立香ペアは『審査員特別賞』を獲得したのだった…
side立希
『おめでとーー!!!』
コンテストが無事に終わり、皆に賛美される。まさか賞獲れるなんて思わなかった。嬉しいようで、嬉しくないようで…不思議な気持ちだ…
「執事芦戸かっこよかったぜ!」
「えへへ!ありがとー!」
「メイド藤丸弟よかったよー!あの紅茶の注ぎ方すごかった!」
「ドウモ、アリガトウ」
「ナイス轟!お似合いだぜお二人さん!」
「ああ…」
「立香!すごく綺麗でしたわ!」
「ウン。アリガトウ」
自分と姉は片言で話す。お互い羞恥心いっぱいいっぱいで…あ、もう着替えは終えてる。もう…もう二度と女装したくない!!
side立香
「…………………」
焦凍君に手の甲にキスされて……焦凍君にお姫様抱っこされて……
「立香?どうかしたか?」
「っ~~~~~~」
不意に焦凍君に呼ばれるが、私はそっぽを向いてしまう。
「…立香?」
今、焦凍君の顔が見れない!さっきの出来事が鮮明に浮かび上がって…っ
「焦凍…君!」
「?おう」
「っ……えと…お、お疲れ様でしたぁ……」
「…ああ……悪ぃ、無理させ過ぎたな…」
「そ、そんな事ない…です!その…えと…私にとってはいい経験だったというか…むしろ嬉しいというか…ああもう…何言ってんの私……兎に角!」
「おう」
「……き、嫌いじゃなかったです…ハイ…楽しかった…よ……うん」
「…そうか。俺も、楽しかった」
その時の焦凍君の顔は…
「――――」
優しい笑みで私を見ていて―
「おい轟!ちょっと来てくれ!」
「おう。じゃあまたな立香」
「…ぁ…………はぃ……」
―分からなくなった。この“気持ち”に…
こうして、文化祭が終わった…