ご主人様とお気楽ペット   作:ちゃっぱ

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四話 シルクのスカーフ

 

 

 

 私がオールマイトのサイドキックヒーローとして初めて人間じゃない生き物が活躍するとニュースになった。

 ご主人様はその時反対していたけれど、ナイトアイから「何も知らせず密かに個性持ちの動物をオールマイトが飼っていると知られた場合より、先に世間に知られて下手に手出しできないようにした方がいい」と先手を打つ形で公表に至った。

 

 記者会見が開かれるほどの大騒ぎ。

 私の力がどれほどのものかについては期待されているが、それよりかはオールマイトの髪型に似た大きな耳やら可愛らしい見た目やらでさっそくグッズとして展開しているのは凄いと思う。ナイトアイお前そのために私を見世物にしたのかと思ったぐらいだ。まあ違うって言うのはすぐわかったけれど。

 

 

 なんせ私のご主人様はナンバーワンヒーローのオールマイト。

 皆の人気者で、とっても凄い人。平和の象徴。ヴィランに対する抑止力。

 

 そんな彼が倒れるような事態になることは避けるため、弱みを見せないよう様々な面で苦労していたという。

 彼は家族を作ろうとはしなかった。友人もオールマイトとしてではなく八木俊典として関わるようにしていた。

 オールマイトの本来の姿を知る者はごく一部。

 

 だからある意味オールマイトを心から支える人は少ないと言えただろう。

 ナイトアイは何を考えていたのかなって思うけど、とりあえず悪い未来じゃない何かを個性で見たのは確実。

 

 私はオールマイトの唯一の家族。そして動物だけどヴィランを倒すことの出来るサイドキックヒーロー。もちろんヒーロー免許を持っていないから補助として活躍することになるけれど……。

 正直に言って働きたくはない。ヒーローとヴィランの目と目があったらバトルみたいな感じではなく、気楽なペット生活を送りたい。

 

 ぐでーっと茶色のモップみたいな感じで伸びている私を苦笑しながら背中を撫でたご主人様は私の気持ちを理解しているかもしれない。

 わざわざ甘くて美味しそうなイチゴを買ってきてくれたのだ。この前の褒美だよと言っていたけれど、それは私に首輪……というか、まるでシルクのスカーフみたいなものを巻いてくれたのがプレゼントだと思っていた。それプラスデザートはものすごーく高い苺で、それを餌皿に三つも入れてくれたのだ。

 

 

「ぶぅい」

 

「美味しいかい、ブイ君」

 

「ぶいぶい!」

 

 

 美味しいよご主人様!!

 こういうの大好きだからまたご褒美にちょうだいね!!

 

 ふわふわの背中をいっぱい撫でてくれるご主人様の手の平に頭を押し当てて撫でろと鳴きながら甘えていく。

 

 

「……ブイ君」

 

「ぶい?」

 

「君はまだ赤ん坊なんだから、怖かったらちゃんと言うんだよ。私が守るからね」

 

「ぶいぶい」

 

 

 いや全くそうだよね。赤ん坊なんだよ私。でもポケモンだからさ、普通の動物とは違ってかなり動ける方なんだよね。ゲームじゃちょっとした縛りプレイで生まれたてでもチャンピオンと容赦なく戦わせられちゃうのよ。まあここゲームじゃないしポケモン世界じゃないから私が怖がっているようなことは起きないけどね。

 

 ナイトアイにせっつかれてオールマイトと一緒に仕事するのも楽しくなってきたし。ご主人様の肩に掴まって移動とかは流石に無理だから、抱っこ紐で私を抱えたまま移動するって言うのが常なんだよね。

 

 おかげでニュースで『抱っこ紐つけたオールマイト!?』とかっていう面白写真が撮られてました。ちなみに抱っこ紐は正面に抱えられる形で。私の尻尾が抱っこ紐から出ていてフリフリ振ってる動画まで撮られてた。

 そのおかげでオールマイト格好いいだけじゃなくて、オールマイト可愛いっていうパワーワードがトレンドに載っててびっくりしたよ。ナイトアイが教えてくれたけど、これで人気上昇ってすごくない? ただ兎もどきな私を抱っこしてるだけなのにね。そりゃあエンデヴァーさん激おこになりますわ。

 

 

「ぶぅーい」

 

 

 

 うーんでも、私ってばかなり頑張ってる方だと思わない?

 オールマイトの傍にいて、補助として『なきごえ』や『しっぽをふる』をいっぱいしたらヴィランの動きが鈍くなるし、そこを狙わずともオールマイトなら瞬殺してくれるけどね。

 

 そう、私の力は何故か人間に作用する。

 火に近い属性であれば『ほのおタイプ』、水なら『みずタイプ』、オールマイトのような力なら『かくとうタイプ』のように。まるで人間がポケモンそのものになったかのように私の補助技はちゃんと効果があるのだと分かった。

 

 ご主人様を味方だと判断しているからか、『なきごえ』や『しっぽをふる』はオールマイトに効かないみたいだけれど、敵にはちゃんと効く。

 その特殊な力についてご主人様が驚いてあの地獄かと思える獣医の元でいろいろ調べたけれど未知の個性であり、もう少し成長してみないと分からないということ。人間じゃないため分かりにくくなっているんじゃないかということが結果に残っただけだった。

 

 まあいろいろあったけれど、つまり私は個性『イーブイ』として人間にも何故か効果があるポケモンの技を使ってオールマイトを助けていくだけ。

 

 そして美味しい食べ物を食べて楽しく暮らすのだ。

 

 

 

 




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