ご主人様とお気楽ペット   作:ちゃっぱ

7 / 9
五話 つぶらなひとみ

 

 

 

 最近、可愛い兎もどきヒーローとして人気が高い私にとって最も不本意なのはぐうたら気ままなペット生活が出来なくなったこと。

 しかし毎日同じようなことを繰り返して暇になるよりは日々刺激が高いヒーロー生活の方が面白いかもしれない。

 

 私の毛並みはご主人様のおかげで誰が触っても堕ちると分かるぐらいふわっふわだし、毎日お風呂に入れてもらっているので、太陽のような良い香りがする私を腹吸いをしても笑顔で受け入れてしまうぐらいには身体を綺麗にしている自覚はある。

 ただし私の毛並みを堪能し、その香りを楽しみたいのなら高級苺を用意することだな!

 ご主人様ってばやっぱり庶民の感覚が強いのかなるべくお高いのは頑張ったご褒美用としてしか買ってくれないんだよね。

 

 でもほら、私ってばこの世界ではポケモンって認識より突然変異の新種扱いじゃん?

 だからご主人様はいろいろ試してくれて、美味しいご飯を作ってくれるようになった。そう、手作りである。

 

 やだもう。ご主人様ったら本当にハイスペックなんだから!

 しかもちゃんと私の事を思って作ってくれてるから嬉しさも倍増だよね。私を家族扱いしてくれてるんだから、そりゃあヒーローとして活躍してる私を心配しつつも嬉しそうにするご主人様を見ているともっと喜ばせたいって思うのは当然の事よね!

 

 

「ぶぅ」

 

「どうしたんだいブイ君。やけにご機嫌じゃないか」

 

「ぶいぶい」

 

「あっ、今日食べた苺が美味しかったからかな。じゃあ今日パトロールで頑張ったら帰りにまた買ってあげるよ」

 

「ぶい!」

 

 

 ご飯は大好きだけど苺も大好物なのでいっぱい買ってねご主人様。

 そうしたら私、鳴き声の代わりに最近覚えた「つぶらなひとみ」を連発していっぱい攻撃力下げてあげるからね!

 

 ────ああそうだ。ポケモンの技と言えば、レベルアップで覚えるのもそうなんだけど。技マシンってこの世界にないじゃん。でも個性を使える人間に対して技を使ったら「こうかばつぐん」がとれるんだから、ある意味人間をポケモンと見なしてやれるっていうこと。

 

 つまり、この世界って若干ポケモンとして扱える部分があるっていうこと。

 首輪代わりに巻いてくれたシルクのスカーフっぽい物のおかげか、攻撃力が上がったみたいに。

 最近拾った石がなんか隕石みたいな形をしていて、ある意味前世で見たゲームの「ねがいぼし」っぽかった。ただ見た目が似ているだけだと思ったけれど違ったのだ。

 その石に触った状態のまま一定の場所。つまりオールマイトが所属する事務所とか大きな力を使った直後の場所とかだとなんかこう巨大化するんじゃないかって前兆に襲われるのだ。

 

 つまりあれはねがいぼしそのものということ。

 そしてボールに戻すとかなくても────例えば某アニメの主人公のパートナーたるピカチュウみたいな感じでキョダイマックスできそうな気がするのだ。気がするというか、確信に近い感じ。

 

 まあこんなビルが多い場所でキョダイマックスなんてしたら大騒動に発展するし、オールマイトに迷惑かけちゃうし。私が人畜無害の可愛い動物ヒーローだと思っていたのに騙されたと批判する奴らが増えるかもしれないからね。なるべくねがいぼしもどきな石に触らないようにしようと思ってるんだ。

 

 まあそれは置いておいて。

 つまりだ。この世界でねがいぼしとかシルクのスカーフとか、私の身体を補助するアイテムがあるということは技マシンに近いものもどこかにあるんじゃないかって思ったんだ。もしくは「しんかのいし」かな。

 

 あーでも私、何に進化しようか迷ってるんだよねぇ。

 というか、進化していいのかな。最近ちょっとこう、気合いを入れたらニンフィアかブラッキー、もしくはエーフィになるという本能が揺さぶられてしょうがないんだよね。

 

 進化とかどうなるんだろうなぁ。

 都合よく進化したらまたイーブイに退化して、そしてまた別のポケモンに進化するってこと出来たらいいんだけどね。

 でもほら、それが出来なかった場合私の進化って一度に限られる可能性があるわけじゃん?

 つまり大事な進化先をそう簡単に決められるわけがないってこと。

 

 それに進化したとしてご主人さまに分かってくれなかったらって思うと怖いんだよね。だからまだ保留なのだ。

 

 しばらくはイーブイのままでもいいかな。

 

 そう思いながらも、私を抱っこしながら移動するご主人様の首元にすり寄った。

 今はまだオフの姿。つまり世間を騙すために偽っているマイツプロ第二秘書の八木として私の世話係を任命されたからという形をとっている。

 

 つまりどんな姿でもずっとご主人様と一緒に居られるということ。

 

 

「ぶぅーい!」

 

「ふふ、くすぐったいよブイ君」

 

 

 優しく撫でてくれた手にすり寄って、心の奥底で『おや!? イーブイの様子が……?』というようなざわめく本能をBキャンセルした。

 

 そういえば最近なんか町の中が騒がしいんだよね。

 ヴィジランテがどうのこうの。なんか嫌な予感がするけど、大丈夫かな……。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。